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差し迫る跡継ぎ問題(第2回) 出口戦略のポイント

2014年8月5日

 経営者の高齢化の進展と後継者不足により、同族経営の多い中小企業において、親族内に後継者がいないことによる事業承継難は大きな経営課題となっています。そこで、円滑に事業承継をすすめるにはどのような点がポイントになるでしょうか?
 『事業承継実態調査 報告書』(中小企業基盤整備機構 2011年3月)の中に円滑に事業を承継するために重要だと考える取り組みについての調査結果があります。「後継者と社内で一緒に仕事をする」が47.6%で最も比率が高く、以下「後継者に権限を少しずつ委譲する」(45.0%)、「後継者に財務・法務等の経営に必要な知識の習得」(42.1%)、「後継者に将来経営者となるためのアドバイスを行う」(40.3%)と続いています。

 これらの結果をふまえると、後継者とともに仕事をするなかで、後継者を育成しつつ、事業の魅力を維持していくことが円滑な事業承継のポイントといえそうです。後継者の育成は1日にして成るものではなく、共に仕事をするなかで、経営者としての判断基準や勘所など経営ノウハウを学ばせることが重要になります。

 事業承継を含めた出口戦略におけるポイントは次の4項目にまとめられます。第一に、現在の会社をどのように継続していくかという大局的な観点から俯瞰し、ビジョンを確立することが大切です。承継せずに売却や廃業という選択をする際にも、ビジョンは原点に戻るという点で重要となります。第二に、経営者が自らの意志表明をすることから全ては始まります。後継者がいない場合、売却や廃業を含めて自社にあった適切な出口を選択することも肝要です。第三に、事業承継は大きなイベントであるので、事前の準備について、専門家などへの相談をとおして、計画を作成することから始めることが重要となります。そして最後に、事業承継、売却、背教を含めた出口について、専門家と適切なタイミングで対策を相談することです。経営者の確固たるビジョンと専門家のノウハウや経験値、問題解決力を活用することで、自社にあった解決策がみつかるはずです。

 事業承継の形態としては、依然として親族への承継が一番多いですが、長期的には全体に占める割合は低下しており、親族外の第三者への承継や買収(事業売却)が占める割合が上昇しています(『2014年版中小企業白書』中小企業庁、2014年)。後継者難が続く状況下において、親族内承継だけでなく、第三者への承継や売却や廃業なども有効な出口戦略といえるでしょう。

 また、“有効な出口戦略”において、株価や資産価格が上昇する局面では、相続税への負担が重くなることを考慮し、計画的に後継者へ譲渡する必要があります。事業承継税制の優遇措置の拡充も図られており、国も政策面から後押ししているため、これらの制度を有効に活用したいところです。

 一方で、経営者の意見としては、税制優遇を受けるために経営の方針まで縛られたくないという考えもあり、必ずしも、国の考えるスキームと経営者の考え方が一致しているわけではないといえます。ミスマッチの解消に向けて、中小企業の現状に即した現実的な対策が必要とされています。


TDB REPORT128号「事業承継2014 −差し迫る後継ぎ問題 中小企業の出口戦略−」
http://www.tdb.co.jp/lineup/publish/tdbrep128.html

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