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コンサルティングの現場から
B戦略思考と事業領域3つのポイント

2015年1月8日

 社長が自社を語る際に「経営戦略」という言葉をよく耳にします。多くの社長が、戦略思考を持って、自社を捉え、先を見て経営されています。さらに、右腕となる人材や幹部人材には、この「戦略思考」を持ってほしい、そういう考え方ができる人材に育ってほしいと望まれています。
 本稿は、この「戦略思考」と「事業領域を決める3つの切り口と3つの視点」がテーマです。

戦略を発想するときの3つのステップ
 コンサルティングの現場では、「戦略思考」の例えとしてよく「カーナビ」の話を使います。戦略を発想するときの3つのステップがカーナビを使うときの3つのステップとうまく重なるからです。
 3つのステップとは、次のようなものです。カーナビを起動すると、まず画面にGPSを使った「現在地」が表示されます。これがステップ1です。
 次に、カーナビは「目的地を指定してください」と聞いてきます。それがステップ2です。
 そして最後にカーナビは、「ルートを検索します」といって、最短コースや渋滞回避コースなどルート候補を表示してくれます。これがステップ3です。

 これが戦略思考とどこが似ているかというと、ステップ1「現在地」が「現状分析」、今自社はどういう状態で、どこに立っているのかに該当し、ステップ2「目的地」が「経営目標」、会社として目指すべきゴール、到達したい状態に該当し、ステップ3「ルート」が「戦略」、現在地から目的地までどのようなルートを通って辿り着くか、まさにどのような戦略を用いて、目的を達成するかに当てはまります。

戦略思考のスタートラインとは
 この[1]自社の現状を把握する、[2]目標を定める、[3]実現するための戦略を考えるという3つのステップがまさに「戦略思考」です。ここで「現状把握」が最初のステップであり、如何に重要かご理解いただけると思います。現状が把握できなければ、戦略思考は始まりません。
 この点もカーナビに例えるとイメージが湧くと思います。いくら目的地を入力しても、現在地が設定できなければ、2点を結ぶルートを検索することはできません。戦略思考のスタートは現状把握とゴールを定めることです。
 ここで留意いただきたいのは、ルート(戦略)の描き方に対する影響は、ゴール(目標)よりも、現在地(現状把握)の方が、与える影響が大きいということです。ゴールを進むべき方向性とするならば、未来のことですので不確実性もあります。ですから、多少の幅が存在します。ところが現状については、現在起こっている事実なので、ここを如何に正確に押さえるかで、どんな戦略を描くことができるのかが大きく変わってきます。

現状把握は、自社の事業内容の定義から!そのための3つ切り口
 自社の現状を把握する場合、自社の「事業領域」を定義することから始めることをお勧めします。事業領域とは、自社がビジネスの主戦場としている領域はどこか?ということです。
 有効な切り口は3つあります。ご自身が自社を他者に説明される際、我が社は「[1]誰に、[2]何を、[3]どのように、提供している企業です」と3つの切り口で自社の事業を定義してみてください。それが自社の「事業領域」です。
 [1]誰にとは、ターゲットとするお客さまはどこか、[2]何をとは、自社が商材としてお客さまに提供しているモノ・サービス、[3]どのようにとは、お客さまにどのような手法、手段、自社の独自性を持って提供しているかということになります。
 この3つの切り口のどこかが違えば、事業領域が異なるということになります。例えば、家電を売っている会社をイメージしてください。同じ家電を販売する会社でも、次の2社は、同じ事業領域と言えるでしょうか。
 A社:[1]誰に:シニア世代の人々に、[2]何を:家電を、[3]どのように:対面販売および翌日配送サービスを用いて提供している会社。
 B社:[1]誰に:シニア世代の人々に、[2]何を:家電を、[3]どのように:御用聞きスタイルで高齢者宅を訪問し、家電の使い方と設定までしてくれるサービスとセットで提供している会社。
 お気づきの通り、3つの切り口のうち、1つでも定義が異なれば、同じ家電を販売する会社でも、主戦場が同じとは言えなくなります。逆に言うと、自社についてどんな事業をしている企業かを定義しようとすれば、この3つの切り口で定義する必要があります。

現状把握に欠かせない3つの視点
 ここで一度、「戦略」という言葉について考えてみましょう。経営分野でよく使用されるこの「戦略」という単語は、元は軍事用語です。
 戦争とは、自国(軍)と他国(軍)の二国(軍)間で戦うことです。勝つか負けるかの二極論の話です。相手をどう打ち負かすか、これが軍事用語の中での戦略です。
 ビジネスの世界の「戦略」について考えてみましょう。ビジネスは、自社と競合他社の2社間だけの話でしょうか?競合他社を負かせば、イコール自社の勝ちでしょうか?
 ビジネスの世界はそうではありません。戦争の世界と違って「お客さま」が存在します。ビジネスの世界では、競合他社を負かすだけでは、勝ちとはならないのです。「お客さまに選ばれて」初めて、ビジネスで勝利するということになります。

戦略思考に不可欠な「お客さま視点」
 この第三者としての「お客さま視点」があるかどうかが、軍事用語の「戦略」とビジネス用語の「戦略」の大きな違いです。ビジネス用語の「戦略」とは、「お客さまに選ばれるためには、どのような道筋を描き、実行するか」ということに他なりません。
 つまり、現状把握に欠かせない3つの視点とは、「自社」の現状、「競合他社」の現状、「お客さま」の現状です。戦略を立てるために必要な現状把握には、この3つの視点も必要になります。この「お客さまの視点」は、競合他社との競争に勝つことに集中し過ぎると、忘れがちな視点です。ぜひ自社の戦略を考える際の現状把握に盛り込んでください。

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