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コンサルティングの現場から
(5)組織と仕組みで実践するマーケティング

2015年3月4日

 我々にお寄せいただく相談内容は様々ですが、「仕組み化がなされていない」企業が非常に多いことに気づかされます。優秀な経営者が率いる会社や、成長している会社には必ず「仕組み」が存在しています。逆に、会社に「仕組み」が存在しなければ、成長は危ういものとなるでしょう。
 そこで、今回は仕組みの必要性をより身近に感じていただくために「売上を上げたい」というよくある経営課題をテーマにしながら、「仕組み」としてのマーケティングを社内にどのように位置づけるべきかをご案内いたします。

営業とマーケティングの違い
 マーケティングという言葉は非常に範囲の広い言葉です。「売上を上げる」と「販売を強化する」の違い、「マーケティング力を強化する」と「営業力を強化する」の違いを明確に使い分けている経営者は意外と少ないように思います。
 マーケティングの定義について誤解を恐れずに一言で表現するならば、「営業を必要としない状態にする活動」ということができます。まずはそのように捉えておくと、マーケティングと営業を区分しやすくなるかと思います。

営業マンのスキルアップだけが売上向上策ではない!
 お会いする経営者の多くは、「自社の営業パーソンのスキル」に満足されていません。しかし、果たして売上向上に足りないものは、営業パーソンのスキルアップだけでしょうか。「よい商品」と「できる営業パーソン」さえ揃えば売上は上がっていきそうですが、そうではありません。よい商品を揃えてもそれだけで商売が成り立つほど、世の中単純ではありません。かといって、何でも売ってくるスーパー営業パーソンがいれば解決する問題でもないのが、このテーマの難しいところです。そこで必要になってくるのが、「営業を必要としなくするような組織的なマーケティング活動」の取り組みです。

スーパー営業マンは、つくるべきではない!
 企業を成長させたいのであれば、一部の営業担当者に売上が偏らない体制を目指すべきです。その営業パーソンがいなくなったときのことを考えてみると、退職することも考えられるし、病気で長期的に会社を休むということだってありえます。
 したがって、売上の割合が一部の営業担当者に偏り過ぎている場合は、早期に脱却への舵を切らなければなりません。「この人がいなくなれば、会社が回らない」という優秀な社員が増えるほど、そのままにしていては、会社は危うい状態にあるのです。誰かがいなくなっても、会社が自然と回る仕組みをつくること。これが経営者にとって理想の形だと思います。
 経営者はつい「こいつがいればうちの会社は大丈夫!」という優秀な社員を育てようと考えてしまいがちですが、実は逆なのです。

社長が営業から抜けるためには「仕組み」が必要
 よく言われる法則に「2対6対2の法則」と呼ばれる法則があります。それを企業に当てはめると、2割の優秀な社員と6割の普通の社員と2割のぶら下がり社員によって構成されていると言われます。
 これでは、会社として、組織として売上をつくっているとは言いがたい体制です。社長が経営者として取り組むべきは、「残りの8割の営業パーソンを戦力化する」ことです。ここで注意すべきは、「営業パーソン個人のスキルアップ」に傾倒し過ぎないことです。上位2割は放っておいても売上を作っていくでしょう。動かすべきは残り8割の営業パーソンとなりますが、とりわけ6割の普通の営業パーソンたちをいかに戦力化し、動かすかで組織の明暗が分かれてくるのです。
 そのため、個人の能力・スキルに依存しない「仕組み」をつくる必要があります。6割の普通の営業パーソンが機能するようになれば、上位2割と合わせて、全体の8割が有効に機能することになります。組織の8割が稼働すれば、おのずと成果はついてくるでしょう。

スキルアップは「個人」が、マーケティングは「組織」がするもの
 スキルアップは、個人がするものです。しかし、マーケティングは組織でするものです。この違いを明確にする必要があります。
 個人でマーケティングを仕掛けたとしても、それはその人のスキルとキャラクターに依存し、他の人にとって活用できない(再現性のない)ものであったならば、それは1人の秀でた人の「仕掛け」でしかありません。組織として、誰もが(とまで言わなくても一定以上の人材が)それを活用できて、一定の成果を出せるものを「仕組み」と呼びます。
 行き当たりばったりの会社と、しっかりとした仕組みがある会社。企業としての成長の差は明らかです。仕組みとして、組織でマーケティングを実践していくときに、まず取り組むべきは、自社のお客さまがどこに存在し、どこに集まっているのかを「見える化」することです。
 次は営業部門とマーケティング部門の線引きです。つまり、お客さまを集めるという作業において、どこまでが営業部門の領域でどこまでがマーケティング部門(組織として)の領域なのかをはっきりさせることが必要です。見込み客がいないと、せっかくスキルアップして個人が高めた営業の力はまったく活かせないという残念な状態を生んでしまいます。

組織としてのマーケティングの仕組みを考えるのは、社長の仕事
 自社の営業パーソンの活動を振り返って、本来マーケティングでやるべき「見込み客探し」の仕事を、営業パーソンに任せっきりにしていないでしょうか。上位2割の営業パーソンは、優秀ですから会社の方針を汲んで、見込み客を集めることはできるかも知れません。もし6割の普通の営業パーソンとの違いがこの「見込み客を集める」機能だとしたらどうでしょうか。そこを会社が組織として補ってあげることができたなら、営業パーソンたちに均等に前提条件として提示してあげられたのなら、「組織の上位8割の戦力化」に一歩近づけます。
 ここで是非考えていただきたいのは、会社の戦略にのっとって、優先的に働きかけるべきお客さまは、どのような特徴を持ち他の客層と何によって区分されるのか、どこに多く存在しているのか、そしてそこにどのような働きかけをすれば、自社のビジネスメッセージを伝えることができるのか。そこを考え、定義し、社内に共有するという業務は、まさに経営者である社長の仕事です。社長が本来するべき業務に集中し、遂行することができれば、企業をもう一段高いステージに成長させることができるのです。

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