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与信管理(12)安定性の罠-2(安定性指標が悪いケース)

2016年5月9日

零細企業の決算書は深読みが肝心
 前回は自己資本比率や流動比率が高い会社にも注意が必要だというお話でしたが、今回は逆の財務状態です。こうした会社の多くは実際の経営状態も悪く、会社の規模が大きいほどその可能性は高いと言えます。会社が大きくなり、株主や銀行などステイクホルダーが増えるほど、会社は決算書を良い状態にしたいという動機が働くので、実態より良く見せるための乖離はあっても、悪く見せることはないものです。しかし、零細企業の場合は必ずしもそうではありません。

 社長一族や知人が出資する零細企業では、決算書は税務申告のために作るものと考えている社長が少なくありません。その目的は「払う税金をいかに少なくするか」に絞られます。バブル崩壊やリーマン・ショックといった風雪を経た今、「あえて赤字にする」と言える余裕のある会社は減ってきてはいますが、少なくありません。

販管費と借入金の内訳が見分けるポイント
 このような会社の実態を見極めるポイントは、販管費明細と借入金の内訳です。販管費明細(販売費及び一般管理費明細)では、役員報酬を見ます。役員報酬といっても零細企業では役員を社長の家族が占めるケースが多く、そこで何千万円も計上されている場合、これを削れば赤字決算がたちまち黒字決算になります。

 借入金については、社長や一族からの借入金が多くないかを見ます。銀行借入が少なく一族からの借入が多い場合、これらの借入は資本性の資金と見なすことができます。DES(Debt Equity Swap=負債と資本の交換)のように、これらを資本金に組み入れる、あるいは役員が貸付債権を放棄することで、自己資本比率は簡単に上がります。金融機関の融資先査定においても、こうした借入金は資本と見なしてよいという考え方があります。

 身内からの借入の範囲で商売を続けられる会社は銀行に気を遣う必要もないので、赤字決算を続けても平気です。もちろんこのような会社の財務状況が良くないのは事実であり、利益が出ているとは言えないこともあるので、こうした会社への過大な与信は控えるべきです。
 しかし、こうした会社との取引を審査において門前払いしてしまうと、売れる先を過度に狭めてしまう可能性があります。

 こういった見極めは「危険な会社」の見極めと比べれば優先度が落ちますが、目に見えて優良な会社が多くない時代、「取引してよい先」をどん欲に探っていくという意味では、持っておきたい観点です。

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