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与信管理(23)仕入先の管理

2017年4月5日

仕入先を管理する目的
 与信管理は売上債権の回収不能というリスクを未然に防ぐことを主目的とするため、販売先をその対象とするのが常です。しかし、仕入先の管理を一緒に行うケースもあります。

 その目的のひとつは、安定した仕入を確保し自社の商流が止まることを未然に防ぐことです。仕入先が急に倒産すると、回収事故こそありませんが、自社の顧客に約束した納品ができず、顧客に迷惑をかけて、自社の売上と信用を落とすことになります。代替業者をすぐに確保できればまだしも、それが簡単でないこともあります。こういう観点で、とくに建設会社やソフトウエア開発会社は下請先を調査することが多いようです。

 もうひとつの目的は与信リスクが発生しているケースです。外注先や下請先は個人職人を含め零細企業の場合も多く、十分な資金力を持ち合わせていないことがあります。こうした企業と季節性の商材を取引する、あるいは発注量が一時的に膨らむような場合には、資金繰りを助けるために下請代金を前渡しする需要が生じます。前渡金が発生すると、発注品の納品前に下請先が倒産した場合にそれが自社の不良債権となります。また前渡はなくても、下請先に材料を預ける寄託行為が生じれば、この材料が与信となります。

 例えば、家族で営む零細企業に対して、学校の工事に用いる特殊商材の加工を依頼している場合、学校の工事は学校が休みに入る7〜8月や3月に行われることが多いため、一時的に発注が膨らむ分の資金支援を前渡しという形で行うことがあります。前渡金が恒常的に一定以上発生する場合は、管理手法として与信限度と同様、「前渡限度額」を設定しておくことも有益でしょう。

競合状況の把握や不正防止の効用も
 仕入先を調べる主な目的を説明しましたが、他にも仕入先を調査しておく意味はあります。例えば、仕入先が同業者と取引しているかどうかを調べる必要性です。とくに機密性が高い取引をしている場合はそうした情報が同業他社に流れるリスクがないかを確認する必要があります。また、仕入先が自社にどの程度依存しているかをチェックして、納入価格交渉に活用することもあります。

 仕入先の選定や管理は調達部門に委ねているという企業もありますが、審査担当が販売先与信の管理ノウハウ、すなわち「取引先を見分ける」ノウハウを使って管理を一元化するのは効率的です。前回紹介した循環取引のような不正にも気づきやすくなります。戦略的な商取引という側面では、とくにメリットが大きくなると言えるでしょう。


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