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与信管理(25)2つの借入金

2017年6月5日

回収金で返す借入と利益で返す借入
 借入金の多寡は企業の財務内容の良否を計る物差しとして使われます。ひとことで言えば借入は少ないほど安全性は高いのですが、借入が多いから一概に問題があるというわけでもありません。

 運転資金を使途とした短期借入金は、運転資金需要が大きい会社の場合、恒常的に発生します。手元資金が厚い会社であれば自己資金で賄えますが、足りなければ金融機関の短期借入金で賄うことになります。
 この分は金融機関でも経常運転資金を使途とした融資として、比較的長期的にわたり資金の書き換えで応じています。これは「ころがし」や「単名」(金融機関が融資の手段として振り出す、金融機関を受取人とする約束手形=単名手形の略)と言われます。
 この分は、原理的に売掛金の回収で返済が可能であるため、利益償還によって返済を行う融資とは区別されます。特定の回収予定資金を原資とするつなぎ資金や、シーズン物の在庫手当に対応する季節資金などもこれにあたります。

 一方、利益償還による借入金の代表的なものは設備資金です。高額の設備を長期借入金によって一括購入し、その利益と減価償却費を返済に充てていく形になります。
 信用調査報告書でも、返済能力を根拠として資金調達余力を見立てることがありますが、この場合は利益償還を行う長期借入金の年返済額が、単年度の利益と減価償却費から配当などの社外流出を除いた額(=返済原資・返済能力)に照らして適正かどうか、という判断を行っています。

与信の見立てにおけるポイント
 こうした前提に立って企業の与信判断を行う場合、ひとつのポイントとして、「運転資金目的の借入残高が、財務諸表から算出される運転資金需要の範囲内に収まっているか」を見ることがあります。
 これが収まっていない場合は、返済原資に充てるはずだった在庫や売掛金が滞留している可能性や、過去の赤字補填の借入が長期にわたって残っている可能性があります。また、運転資金需要は売上の増減や回収期間・支払期間の変化によって、増えたり減ったりします。

 運転資金需要が発生する会社において、売上高が年々減っているのに運転資金目的の借入額が変わっていない、というような場合も、不良在庫や貸倒損失の発生により資金滞留が生じ、返済計画が狂っている可能性を疑う必要があります。
 借入金の使途が明らかにならない場合は、短期借入金を運転資金分として見立てることになりますが、実際には運転資金を長期で借りているケースもあります。金融機関からすると長期の与信のほうがリスクを負うことになるため、貸出金利も高くなります。

 こうした長短のバランスは、当該企業と企業の関係や金融機関の営業姿勢にも影響を受けるため、その善し悪しは一概に言えません。

 ただし、当該企業について見た場合、長期運転資金はより高い金利を払って借りていることになり、一時的には手元資金が増えて潤いますが、毎年返済をしていくことが後々の資金繰りの負担にもなるケースがあります。長期借入をした後に売上が計画通りに上がらなかった場合には、返済が大きな重荷になることも予想されます。
 また、長期借入にシフトした時点で、資金の滞留による短期の返済が滞り、長期で手当をせざるを得なかったという場合も想定されるため、その会社の資金繰り全体を見ながら、実情を見極めることが重要です。


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