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与信管理(26)経営者の観察

2017年7月5日

融通手形は倒産のカタチ
 融通手形は、資金繰りに窮した会社が、他の会社と結託してお互いに手形を振り出し、それを割り引くなどして資金を融通するものです。
 一時的には資金を手当てできますが、手形の決済日にはお金を用意する必要があるため、だんだん手形の金額が大きくなり、早晩決済資金の手当てがつかなくなり、行き詰まりを迎えます。

 「ここだけ乗り切れば何とかなるはず」との思いもあるのでしょうが、経営者がそうした心理状態に追い込まれるような窮地において局面が回復するケースは少なく、もはや運に頼るのと同じ状態と言えます。

 自分の会社の経営状態はそこまで悪くないのに、知り合いの会社の窮状に手を貸す形で巻き込まれてしまうケースもありますが、多くはありません。そういう意味では、融通手形は倒産の原因というよりも、倒産に至る形態といえるかもしれません。与信判断において融通手形を見抜くことは難しいですが、そうした不正な取引に手を染める背景にある、本業での業績不振、そして経営者のモラルの低さをどれだけ見抜けるかが重要と言えます。

経営者の観察
 経営者のモラルを見抜くのもまた容易ではありませんし、審査担当者はそもそも与信先の経営者と直接接触する機会が少なく、そこは営業担当者のアンテナに委ねているケースも多いでしょう。

 ただ、経営者の人柄については日頃から情報入手に努めておきたいところです。営業担当者にとって与信先はお客さまになるため、往々にして与信先が強い立場になることが多くなります。 強い相手には誰もが同じような態度をとるものですが、弱い相手に対する態度は人によって異なってきます。

 商談における時間の守り方、名刺の受け取り方、態度、話し方、話の聞き方など、面談によって観察できることは多くあります。また世間話として趣味や休日の過ごし方を聞くことで、経済感覚や金遣いを知ることもできます。こうした定性情報の中に、その会社の体質や経営姿勢がたくさん埋まっており、場合によっては有事の対応を想定することもできます。業績が悪化している会社については、経営者がどういう人なのかについて情報収集するとともに、今後どうやって局面を打開していくのかという考え方や方針をヒアリングすることが有効です。

 営業にとって最高決裁者である社長と会うことは常に念頭にあるはずで、その目利きは営業の基本でもあるはずですが、長年の固定的な取引で窓口担当者が決まっている場合や、そもそも新規開拓が少ない場合などは、社長に会わずに取引が続いているケースも多いはずです。

 とくに経営者が命運を左右する中小企業においては、継続取引の中でも社長と接点を持ったり、日頃の言動について情報を収集したりすることを営業担当者に意識付け、営業担当者の経営者に対する「目利き力」を養うことが、適切な与信判断はもちろん、営業機会の創出にもつながるのではないでしょうか。


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