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与信管理 (37)経営者の意志と「目利き」

2018年6月5日

実績と将来性
 取引先の信用判断では、ともすれば昔から保守的なスタンスがとられてきました。実績重視・業績重視という考え方であり、これは今も判断の基本です。実績や業績は「結果」であり、その会社の力量や信用を示す「確かなもの」だからです。「予定」「将来性」は「不確かなもの」であり、どう読むかで「当たりはずれ」があります。

 企業経営者の多くは自社の将来に希望を持ち、今後の経営方針や事業計画を熱く語ります。とくに営業畑の経営者の話は、自社製品を売り込むセールストークのように流暢で、思わず引き込まれてしまうこともあります。
 こういう情熱やエネルギーが経済を活性化させる原動力ともなるのですが、語られた経営方針や事業計画が実現しない例も数多いのが世の常であり、そこで被害を受けると「騙された」「当てが外れた」となります。したがって、企業審査や信用判断において「過去」「実績」が重視されるのは必然と言えます。財務諸表によるスコアリングなどは過去実績からの確率計算であり、「実績主義」の典型です。

 しかし、「過去」「実績」を重視しすぎると、本当に将来性のある取引先との取引を逃してしまいます。与信を投資と考えるならば、与信方針にもローリスク・ローリターンやハイリスク・ハイリターンがあり、「ローリスク・ハイリターン」を実現するには取引先の将来性を目利きする力が不可欠です。例えば取引先の業績を見るときには、「外部環境がこうで、その中で何がいくら売れて売上高が○○になった」という情報にとどまらず、「取引先が外部環境にどう対応し、何に取り組んだ結果、売上高が○○になった」という情報が必要になります。

経営の「目利き」
 将来の事業計画や方針の妥当性を評価することは難しいのですが、これまでに計画や方針が実行されているかどうかを見ることによって、企業の傾向を捉えることはできます。例えば、取引先の設備投資は目利きを要する部分です。多額の借入で投資した場合、保守的に見れば「借入が多くて危険だ」となりますが、将来性の目利きにおいては「どういう効果をねらった設備投資で、返済計画はどうなっているのか」というところまで踏み込み、「その投資の成算が客観的に見て妥当か否か」という目利きをすることになります。

 もとより、「結果がすべて」というスタンスは自分に対してとるには自戒的な意味がありますが、第三者に対してとると関係を壊す方向にしか働きません。まず相手の意志や方向性を聞いて、その成否を議論・精査するという「目利き」のスタンスは、取引先へのヒアリングなどの場面でも、関係づくりに有益なアプローチとなるはずです。もちろん、そこで“関係に溺れず”目利きをするのがプロフェッショナルな企業審査と言えるでしょう。


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