改正貸金業法に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2010年5月特別企画 -

 

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2010年6月3日
株式会社帝国データバンク産業調査部

貸金業法改正、企業の約5割が「倒産の増加」を懸念

〜 メリットとしては、経済環境の健全化に寄与するとの期待が多数にのぼる 〜


 近年の多重債務問題の深刻化を受け、借り過ぎ・貸し過ぎを防止する総量規制やグレーゾーン金利の撤廃、貸金業者に対する規制強化、ヤミ金融対策の強化などを定 めた改正貸金業法が2010 年6月18日に完全施行される。
そこで帝国データバンクでは、改正貸金業法に対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2010年5月20日〜31日。調査対象は全国2万1,362社で、 有効回答企業数は1万806社(回答率50.6%)。

貸金業法の改正、企業の48.6%が「倒産の増加」を懸念

 2010年6月18日に完全施行される貸金業法の改正について、そのメリットを尋ねたところ、「過剰貸し付けの抑制」が1万806社中5,885社、構成比54.5%(複数回答、以下同)と半数を超えて最も多く、次いで、「多重債務者の減少」(同49.0%、5,297社)、「上限金利の引き下げ(グレーゾーン金利の撤廃)」(同46.2%、4,987社)が4割を超えた。特に、「過剰貸し付けの抑制」は、10業界中『その他』(同48.1%、13社)を除く9業界で5割以上となっており、幅広い業界で貸金業法改正のメリットとして認識されている様子がうかがえる(参考表@参照)。

 他方、デメリットでは、「緊急の少額借入の困難化」が同50.7%(5,475社)と5割超で最多となり、「倒産の増加(個人事業主)」(同45.8%、4,945社)とともに、企業が法改正のデメリットと考える二大理由となった。また、「倒産の増加(法人企業)」は同14.9%(1,609社)で、法改正により個人事業主あるいは法人企業のいずれかの倒産が増加すると考えている企業は同48.6%(5,251社)と約5 割に達した。特に、『金融』は同53.1%(69社)となり、過半数が「倒産の増加」を懸念してい る(参考表A参照)。
 また、「消費の低迷を助長」は同29.3%(3,163社)で3位となり、約3割の企業が消費への悪影響を懸念していることがうかがえる。
 企業からは、「長期的には高金利の貸出の排除は個人破産の抑制につながり、社会的にも自殺防止によい」(ソフト受託開発、東京都)や「過度な価格競争を避け、デフレ脱却のためにも必要」(冷凍調理食品製造、富山県)という声のほか、「短期的には消費は後退するが、長期的には消費の健全化につながる」(労働者派遣、栃木県)といった、長期的なメリットを挙げる企業が多い。

 他方で、「病気や学費、冠婚葬祭等の緊急のお金に対する対応が困難となる」(建設、東京都)や「受注が目前にあっても、当座の資金に困窮するため機器等の購入が困難になる」(建設機械卸売、広島県)など個人・企業双方の緊急時の借入困難化を指摘する意見のほか、「悪質な貸金業者は減るが、正規の融資を受けられない人たちの逃げ場がなくなり生活困窮者が急増しそう」(建設、兵庫県)や「ヤミ金融に頼らざるを得ない人が多くなる」(事務用機械器具製造、山梨県)といったデメリットを懸念する声も多い。


注1:「倒産の増加」は、「倒産の増加(個人事業主)」と「倒産の増加(法人企業)」のうち、
少なくとも1項目を選択した企業の割合
注2:母数は有効回答企業1万806社

貸金業法対象機関からの借り入れ、「ある(あった)」は3.7%

 貸金業法の対象となる機関(消費者金融業者や金融の貸借の媒介業者、手形割引業者、クレジットカード会社(キャッシングのみ)、信販会社、総合リース会社、そ の他流通業者など)からの借り入れ状況について尋ねたところ、「ない(なかった)」と回答した企業は1万806社中9,583社、構成比88.7%となり、9割近くの企業は貸金業法対象機関からの借り入れ経験がなかった。

 他方、「ある(あった)」と回答した企業は同3.7%(399社)であった。特に、企業規模が小さくなるほど借り入れを経験している企業は多くなり、『小規模企業』では同6.6%(149社)と『大企業』(同2.2%、58社)を4.4ポイント上回っている。また、業界別では『不動産』が最も多く、同9.0%(24社)と1割近くに達した。次いで、『サービス』(同6.6%、98社)、『小売』(同5.8%、26社)と続き、内需関連業界で借り入れ経験をもつ企業が多い。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万806社

貸金業法改正による資金繰りへの影響、85.1%の企業が「影響はない」

 貸金業法の改正で自社の資金繰り状況への影響があるか尋ねたところ、「影響はない」と回答した企業が1万806社中9,199社、構成比85.1%となり、8割超の企業は法改正によって資金繰りに影響は生じないと考えている。

 他方、「影響がある」と回答した企業(「非常に影響がある」(同0.3%、35社)と「やや影響がある」(同2.7%、293社)の合計)は同3.0%(328社)となった。また、規模別にみると、『小規模企業』は同5.0%(113社)となり、『大企業』(同2.3%、59社)を2.7ポイント上回った。さらに、貸金業法対象機関からの借り入れが「ある(あった)」企業399社では、同18.5%(74社)となり、2割近くの企業が資金繰りへの影響を懸念している。企業規模が小さくなるほど、あるいは同法対象機関からの借り入れがある企業ほど、資金繰りに対する影響度は大きい。

 企業からは、「一時的にお金の流れが鈍化する」(機械・器具卸売、青森県)や「法改正で貸し渋りが増加する恐れがある」(貨物運送、奈良県)など、貸金業法改 正による金融機能への影響を指摘する意見のほか、「規制内容は正しいが、景気が低迷しているなかでの実施はタイミングとしてまずい」(和洋紙卸売、東京都)など施行のタイミングを疑問視する声も多く挙がった。

一方、「長期的には健全な経済の発展に寄与する」(産業用機器卸売、東京都)など、日本経済にとっての長期的な利点を評価する企業は多い。一時的な資金調達の選 択肢が減ることによる消費の落ち込みに対する懸念もみられるため、「公的金融機関がその役目を果たすべき」(飲食料品卸売、長野県)とあるように、政府は法改に よるデメリットを緩和するセーフティネットなどを同時に整備することが肝要である。



注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万806社

【参考1】 貸金業法改正によるメリット(複数回答) 〜 規模・業界別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万806社

【参考2】 貸金業法改正によるデメリット(複数回答)〜 規模・業界別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:「倒産の増加」は、「倒産の増加(個人事業主)」と「倒産の増加(法人企業)」のうち、少なくとも1項目を選択した企業の割合
注3:母数は有効回答企業1万806社

【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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