新卒採用に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2010年10月特別企画 -

 

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2010年11月4日
株式会社帝国データバンク産業調査部

新卒の採用活動、早期化の現状に対して企業の67.0%が「問題あり」と認識

〜 既卒者を新卒扱いで採用することに企業の4割弱が賛成も、見方は割れる 〜


 2010年春に4年制大学を卒業した学生の就職率が60.8%と前年比7.6ポイント低下したほか、高校卒業後に進学も就職もしていない人が約5万9千人に達するなど、非常に厳しい新卒者の就職状況が続いている。一方で、就職活動の早期化と長期化への対応として採用選考の開始時期を遅らせる動きも出ている。また、政府が企業の採用に際して卒業後3年以内の既卒者を新卒者扱いとすることを要請する検討をしているなか、2012年4月入社の採用活動がスタートした企業も多い。
 そこで帝国データバンクでは、新規学卒者の採用に対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2010年10月19日〜31日。調査対象は全国2万2,822社で、有効回答企業数は1万1,163社(回答率48.9%)

調査結果のポイント

新卒採用、定期的に「ある」企業は30.8%

 定期的に正社員として新規学卒者(以下、新卒者)の採用はあるか尋ねたところ、「ある」とした企業は1万1,163社中3,443社、構成比30.8%となり、約3割の企業で新卒者を定期採用していた。他方、「ない」は同62.5%(6,978社)となった。

 「ある」と回答した企業を規模別にみると、『大企業』が同60.7%(1,608社)と6割を超えていたのに対して、『中小企業』は同21.6%(1,835社)と2割程度であった(参考表1参照)。特に、『小規模企業』は同6.4%(150社)であり、新卒者を定期的に採用している企業は非常に少ない。新卒者を定期的に採用している企業は全体の約3割である。これは大企業で特に高い一方で、規模が小さい企業では非常に少なくなっており、日本企業における新卒採用の状況が企業規模間で大きく異なる傾向が如実に現れる結果となった。


注1:※は「分からない」企業6.6%(742社)
注2:母数は有効回答企業1万1,163社

採用活動の早期化や既卒者の就職難、「問題あり」と考える企業が67.0%

 新卒者の採用活動の早期化による学業への悪影響や、卒業時に就職できなかった場合にその後の就職活動が非常に困難になることについて、社会的損失を指摘する意見がある。そこで、採用活動の早期化や、既卒者の就職難についての問題意識を尋ねたところ、「問題がある」と回答した企業は1万1,163社中7,477社、構成比67.0%となり、3社に2社が問題ありと認識していた。一方、「問題があるとは思わない」は同10.5%(1,171社)と1割程度であった。
 「問題があると思う」とした企業を規模別にみると、『大企業』(同68.6%、1,818社)の方が『中小企業』(同66.5%、5,659社)よりも、問題ありと考えている様子がうかがえる(参考表2参照)。また、新卒者の定期採用の有無別にみると、新卒採用の「ある」企業(同70.2%、2,41社)が「ない」企業(同67.6%、4,71社)を2.6ポイント上回っており、新卒採用を行っている企業ほど採用活動の早期化や既卒者の就職難について問題を感じている。
 企業は採用活動の早期化や既卒者の就職難に対して問題意識を有している。しかし、「中小企業にとっては大手が早期に内定を出している以上はやむを得ない」(産業用電気機器卸売、静岡県)など、優秀な人材の獲得競争のなかで採用活動を早めている企業も多く、現在の採用活動において求職者と企業の双方で負担が増している。


注1:※は「分からない」企業22.5%(2,515社)
注2:母数は有効回答企業1万1,163社

採用活動の開始時期、半数超の企業が遅らせることに「賛成」

 就職活動の早期化と長期化が学業に悪影響を及ぼしているという指摘から、商社の業界団体である日本貿易会は2013年度入社の新卒から、採用選考の開始時期を遅らせると同時に採用試験自体の実施時期も見直す方針を決定した。そこで、新卒者の採用活動の開始時期を遅らせることについての賛否を尋ねたところ、「賛成」と回答した企業は1万1,163社中6,183社、構成比55.4%となり、過半数の企業が採用活動の開始時期を遅らせることに賛成した。他方、「反対」は同6.9%(775社)、「分からない」は同37.7%(4,205社)だった。

 採用活動を遅らせることに「賛成」と考える企業を新卒者の定期採用の有無別にみると、新卒採用の「ある」企業では同60.7%(2,091社)と6割超が「賛成」としており、「ない」企業(同54.8%、3,822社)を5.9ポイント上回っている。これまで定期的に新卒者を採用している企業ほど、採用活動を遅らせることに対して肯定的であった(参考表3参照)。

 採用活動の開始時期を遅らせることに対して6割弱の企業が賛成している一方で、反対している企業は1割に満たない。しかし、採用活動の早期化や既卒者の就職難に7割近くの企業が問題であると考えているなかで、「過去の有名無実化した就職協定の例もあるので、現実的には不可能と考える」(建設、東京都)といった1997年1月に廃止された就職協定の有効性に対する不信感もあり、4割近くの企業が判断しかねている様子がうかがえる。



注1:※は「分からない」企業37.7%(4,205社)
注2:母数は有効回答企業1万1,163社

既卒者の新卒扱いでの採用、4割弱の企業が賛成するも、見方は割れる

 既卒者の就職が非常に困難となっているなか、日本学術会議から「卒業後3年以内の既卒者は、企業は新卒として採用活動をするべき」という提案がなされたことを受け、政府は主要経済団体に対して同様の依頼を行った。そこで、学校を卒業後3年間は、既卒者を新卒者扱いとして採用 することについての賛否を尋ねたところ、「賛成」と回答した企業は1万1,163社中4,282社、構成比38.4%となった。他方、「反対」は同23.2%(2,591社)、「分からない」は同38.4%(4,290社)だった。企業の賛否が分かれているのと同時に、判断しかねている様子がうかがえる。

 新卒社員の定期採用の有無別にみると、既卒者を新卒扱いで採用することに「賛成」しているのは、新卒採用の「ない」企業が同41.2%(2,878社)であるのに対して、「ある」企業は同34.7%(1,194社)であった。一方、「反対」では、新卒採用の「ある」企業(同26.7%、919社)が「ない」企業(同22.3%、1,553社)を上回った(参考表4参照)。

 総じて、既卒者を新卒扱いで採用することに対して、約4割の企業が賛成しているものの、定期的な新卒採用を行っている企業は行っていない企業ほど肯定的に捉えていない様子がうかがえる。



注1:※は「分からない」企業38.4%(4,290社)
注2:母数は有効回答企業1万1,163社


【参考1】 新卒社員の定期採用の有無 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,163社

【参考2】 採用活動の早期化や既卒者の就職難に対する問題意識 〜 規模・新卒採用有無別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,163社


【参考3】 採用活動を遅らせることの賛否 〜 新卒採用有無別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,163社


【参考4】 既卒者を新卒扱いで採用することの賛否 〜 新卒採用有無別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,163社


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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