2011年の景気見通しに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2010年11月特別企画 -

 

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2010年12月3日
株式会社帝国データバンク産業調査部

2011年の景気見通し、「回復」を見込む企業は1 割弱にとどまる

〜 過半数が「円高」を懸念し「政策支援終了」も2割超、求める政策は「法人向け減税」が4割超に 〜


 2010年11月15日に発表された7〜9月期の実質GDP成長率は前期比0.9%(年率3.9%)増と4 期連続のプラスとなったものの、政府は「景気はこのところ足踏み状態となっているほか、失業率が高水準であり厳しい状況」と認識し、総額約5兆円規模の2010年度補正予算を成立させた。また、内需が脆弱ななかで、国内景気の回復力は弱い状態が続いている。
 そこで、2010年の景気動向および2011年の景気見通しに対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2010年11月17日〜30日。調査対象は全国2万 2,939社で、有効回答企業数は1 万948社(回答率47.7%)。なお、景気見通しに対する調査は2006年11月、2007年11月、2008年11月、2009年11月に続き5回 目。

調査結果のポイント


2010年、「踊り場」局面だったと判断する企業が45.5%、「悪化」は37.6%

 2010年の景気動向について尋ねたところ、「踊り場」局面であったと回答した企業は1万948社中4,985社、構成比45.5%となり、2009年の景気動向(2009 年11月調査)より11.5ポイント増加した。一方、「悪化」局面とした企業は同37.6%(4,117社)となり、2009年より13.5ポイント減少した。リーマン・ショック直後で先行きがまったく見えなかった2008年(2008年11月調査)と比べると48.3ポイント減少しており、景気を「悪化」局面とする悲観的見方は2年間で大幅に縮小した。しかし、「回復」局面とした企業は同3.9%(432社)にとどまった。
 企業からは、「景気の底はついたものの、全体をけん引するものがなく、底で安定している形になってしまっている」(運輸・倉庫、東京都)や「9月までは補助と猛暑に支えられて見せかけの回復がみられたが、先食いしただけで本質的にはなんら持ち直しが感じられない」(塗料卸売、大阪府)といった、2009年との比較で相対的に底を打ったと見えるものの、政策による前倒しの仮需要であったと捉えている企業は多い。また、「一部の良いところと大半の悪いところに二極分化している」(飲食料品卸売、福岡県)など、多くの企業で景気底入れの実感が乏しい年であった様子がうかがえる。
 2010年景気について、企業の間では「踊り場」局面にあったとの判断が45.5%を占めているものの、「悪化」局面とした企業も4 割近くに達した。2009年と比べるとやや改善したが、依然として「回復」局面とする企業は非常に少ない。


注1:2006年の景気動向および2007年の景気見通しの母数は、ともに有効回答企業1万3社(2006年11月調査より)
注2:2007年の景気動向および2008年の景気見通しの母数は、ともに有効回答企業1万131社(2007年11月調査より)
注3:2008年の景気動向および2009年の景気見通しの母数は、ともに有効回答企業1万602社(2008年11月調査より)
注4:2009年の景気動向および2010年の景気見通しの母数は、ともに有効回答企業1万521社(2009年11月調査より)
注5:2010年の景気動向および2011年の景気見通しの母数は、ともに有効回答企業1万948社


2011年の景気見通し、「回復」は1割弱にとどまり、「悪化」「踊り場」が3割超

 2011年の景気見通しは「悪化」局面を見込む企業が同33.9%(3,708社)となり、2010年の景気動向から3.7 ポイント減少している。また、2011年の景気を「踊り場」局面と予想する企業は2010年より11.0ポイント低い同34.5%(3,777社)、「回復」局面は5.3ポイント高い同9.2%(1,010社)となった。
 2011年の景気見通しを規模別でみると「回復」の割合は『大企業』(同9.4%、244社)と『中小企業』(同9.2%、766社)で大きな差がみられない一方、「悪化」の割合は『大企業』(同29.4%、76社)よりも『中小企業』(同35.3%、2,942社)が5.9ポイント高かった(参考表2参照)。特に、『小規模企業』は同40.4%(953社)と4割を超えており、規模の小さい企業ほど2011年も厳しい経済状態が続くとみている。また、業界別でみると、「悪化」は『建設』(同43.2%、649社)が4割を超えて高くなっている一方、『不動産』や『金融』『農・林・水産』など10業界中6業界で「踊り場」が「悪化」を上回った。地域別では、『北海道』(同41.0%、234社)と『北関東』(同40.0%、279社)で「悪化」が4割台となった。
 具体的には、「好材料と悪材料が混在し、外需次第の状況が続く」(不動産、福岡県)といった声のほか、「これ以上の円高が進めば、外国への工場移転が加速する」(養鶏、徳島県)や「企業の活性化が重要であり、法人税やその他税制を含めた”後押し”が必要」(ガソリンスタンド、静岡県)などの意見も多く聞かれた。さらに、「法人税減税を実施し、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加を明確にすれば景気回復につながる」(建設、千葉県)とあるように、円高対策、減税、規制緩和などを確実に実行し、海外市場への進出に不利にならない体制を求める企業は多い。
 2011年の景気見通しは、「悪化」局面と予想する企業と「踊り場」局面と予想する企業がともに3 社に1 社で拮抗している。また、2011年の景気が「悪化」すると予想する企業は、2010年と比べて全規模、10業界中8業界、10地域中8地域で減少した(参考表1、2参照)。海外の経済情勢に国内景気が左右される展開が続くなかで、企業の見方は「踊り場」と「悪化」が3割を超す一方、「回復」を見込む企業は1割弱にとどまった。


2011年景気への懸念材料、53.3%が「円高」と回答

 2011年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「為替(円高)」が1万948社中5,840社、構成比53.3%(3つまでの複数回答、以下同)と半数を超え、突出して多かった。さらに、「雇用(悪化)」が同32.9%(3,599社)となり、企業の3割以上が雇用環境の悪化に懸念を抱いていた。前回調査(2009 年11月)で2010年景気の懸念材料として42.5%の企業が挙げていた「物価下落(デフレ)」は同26.4% (2,886社)へと16.1ポイント減少、「所得(減少)」も前回調査の36.6%から22.8%(2,491社)に減少しており、デフレや所得に対する懸念は1 年前の時点より弱まっている。一方で、「政局」(同22.8%、2,492社)は15.8%から7.0ポイント増、「中国経済」(同21.6%、2,360社)も10.3%から11.3ポイント増加しており、政治の不安定さや中国の経済動向に懸念を抱く企業は多くなっている。
 企業からは、「円高の影響は避けられない」(飲食料品卸売、秋田県)や「雇用を増やそうと思えば産業の活性化しかない」(建設、大阪府)など、円高による輸出産業へのダメージや雇用環境を懸念する声が多く挙がった。また、「可処分所得の減少による消費意欲の低迷」(ソフト受託開発、北海道)や「景気、経済への影響として社会保障や医療など、生活基盤の改善・進展がないことが大きい」(建設用金属製品製造、東京都)といった、所得の増加や社会保障などを通じた暮らし向きの向上を指摘する意見もあった。



注1:以下、「税制(増税)」(10.2%、1,119社)、「金融市場の混乱」(5.3%、577社)、「金利(上昇)」(4.0%、436社)、「規制強化の流れ」(3.1%、343社)、「地政学リスク」(1.8%、194社)、「その他」(1.5%、161社)、「分からない」(1.4%、150社)、「特になし」(0.4%、39社)
注2:「政策支援の終了」は、2009年11月調査では項目なし
注3:母数は、有効回答企業1万948社


景気回復のために必要な政策、「法人向け減税」が44.4%で最多

 今後、景気が回復するためにどのような政策が必要だと思うか尋ねたところ、「法人向け減税」が1万948社中4,859社、構成比44.4%(複数回答、以下同)で最多となった。4割超の企業は法人向けの減税が今後の景気回復に必要と考えており、前回調査(2009年11月)の31.2%(7位)から大きく上昇した。
 また、「雇用対策」(同41.9%、4,589社)や「所得の増加」(同28.5%、3,115社)、「物価(デフレ)対策」(同27.2%、2,975社)などは上位に挙がったものの、前回調査から減少した。一方、「規制緩和」(同21.8%、2,384社)は前回調査の16.3%から5.5ポイント増加した。企業は、雇用改善や所得増加などに対して、これまでの直接的に対応する個別政策から、減税による企業競争力の強化を通じて総合的に解決を求める姿勢に変化した可能性がある。

 具体的には、「政府は法人税減税等の施策を進め、雇用や所得増額を促すべき」(広告代理、広島県)や「規制を緩和してもっと自由に商売ができるようにして欲しい」(金物卸売、大阪府)といった、企業負担の軽減や自由な経済活動を通じた企業競争力に対する後押しを求める声が多く挙がった。ただ、「政府の国家運営の明確なビジョンが何よりも大事」(建設、埼玉県)など、政府としてのビジョンを示すべきという意見は非常に多い。
 企業は、低迷が続く日本経済において今後の景気に対してさまざまな懸念を抱えているなかでも、「市場は新しいビジネスモデルを待っていると思う」(建設、栃木県)といった、閉塞する現状を打破するビジネスチャンスを捉えようとする意思は強まっている。そのため、企業が景気回復の兆しを掴みとるためにも、雇用・デフレ対策などにより国内需要の強化を図るとともに、税制や規制のあり方などを通じてグローバル競争に直面する企業の競争条件を改善していくことが肝要である。



注1:以下、「金融緩和政策」(11.9%、1,301社)、「環境関連の優遇策」(9.8%、1,072社)、「研究開発の促進税制」(8.8%、958社)、「地方への税源移譲」(8.5%、933社)、「道州制の導入」(4.4%、484社)、「個人向け手当の創設」(3.0%、327社)、「郵政民営化の工程の見直し」(1.2%、129社)、「その他」(5.1%、554社)、「分からない」(2.6%、286社)
注2:母数は、有効回答企業1万948社


【参考1】 2010年の景気動向 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万948社

【参考2】 2011年の景気見通し 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万948社


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
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