TPPに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2010年12月特別企画 -

 

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2011年1月11日
株式会社帝国データバンク産業調査部

TPP への参加、企業の65.0%が日本にとって「必要」

〜 不参加の場合、7割超の企業が景気に「悪影響」と認識 〜


 国内需要が弱く、海外需要を国内経済に環流することの重要性が増しているなか、太平洋に面する国家間の自由貿易などに関する経済連携を強化する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に対する議論が活発化しており、政府は2011年6月までにTPPへの正式参加の是非を判断するとしている。経済団体を中心に参加を支持する意見が大きい一方で、関税撤廃による国内農林水産業への影響などを懸念して、農協や漁協などの生産者団体を中心に、参加に反対する意見もある。
 そこで、TPPへの参加などに関する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2010年12月16日〜2011年1月5日。調査対象は全国2万3,101社で、有効 回答企業数は1万917社(回答率47.3%)

調査結果のポイント


TPP 参加の必要性、日本にとっては65.0%が「必要」と認識、一方、自社業界にとって「必要」は4割弱、「不必要」も約2割

 日本が環太平戦略的経済連携協定(TPP)の枠組みに参加することが日本にとって必要だと思うか尋ねたところ、「必要だと思う」と回答した企業は1万917社中7,097社、構成比65.0%となった。一方、「必要だとは思わない」とした企業は同8.6%(942社)にとどまっており、3社に2社がTPPに参加することは必要だと考えている。
 TPP参加は日本にとって必要とする企業を業界別にみると、『サービス』が同69.0%(1,083社)で最も高く、さらに『不動産』(同68.6%、190社)、『製造』(同66.6%、2,062社)、『卸売』(同65.9%、2,218社)と続き、10業界中7業界で6割以上の企業が「必要」と考えている(参考表1参照)。一方、『農・林・水産』は同35.6%(16社)となり、「必要ない」の同48.9%(22社)を下回った。

 また、自社の属する業界にとっての必要性を尋ねたところ、「必要だと思う」は同38.3%(4,181社)となった。一方、「必要だとは思わない」は同21.0%(2,289社)となり、「必要だと思う」が「必要だとは思わない」を17.3 ポイント上回った。
 自社業界にとっての必要性を規模別にみると、「必要」の割合は『中小企業』(同39.8%、3,291社)が『大企業』(同33.6%、890社)を6.2ポイント上回った。さらに、『小規模企業』も同36.7%(854 社)となり、大企業よりも中小企業の方が自社業界にとってTPP参加の必要性を感じている様子がうかがえる。また、業界別では、『製造』(同46.1%、1,428社)や『卸売』(同41.8%、1,407社)、『運輸・倉庫』(同40.5%、164社)で4割を超えた一方、『農・林・水産』では「必要ない」が同75.6%(34社)と4社に3社が否定的だった。
 企業からは、「中小・零細企業の製造業においても海外企業との競争は不可欠」(電気計測器製造、福岡県)や「TPP不参加では国際競争のスタート地点にも立てない」(貸事務所、東京都)、「自国の利益を確定できる枠組みのなかでこそ貿易立国の日本の姿がある」(茶小売、熊本県)など、企業競争力の低下や貿易立国としての生き残りを図るためにもTPP参加が必要とする声は非常に多い。一方、必要ないと考える企業からは、「自由貿易の原則は世界貿易の平準化であり、TPP は経済のブロック化につながる」(包装用品卸売、愛知県)や「メリットに比べてデメリットの方が大きい」(建設、神奈県)、「まず国内での規制整備や受け入れ態勢を整えるべき」(不動産、広島県)、「環太平洋である必要性はない」(金物卸売、愛知県)などの意見がみられた。
 TPPへの参加について3社に2社が日本全体にとって必要だと考えており、環太平洋地域における経済連携への枠組みに日本が積極的に関わっていくべきと考えている様子がうかがえる。しかし、自社業界に対しては4 割弱が必要とする一方、必要ないという企業も約2割となった。また、「分からない」も4 割を超えており、TPPへの参加が自社業界にどのような影響を及ぼすか判断し切れていない企業も多い。


注1:※は「分からない」企業26.4%(2,878社)
注2:母数は有効回答企業1万917社
注1:※は「分からない」企業40.7%(4,447社)
注2:母数は有効回答企業1万917社

TPPへの参加、現状でも「参加可能」とする企業は46.1%

 農業問題などさまざまな課題があるなかで、現状として、TPPに参加することができると思うか尋ねたところ、「参加できると思う」と回答した企業は1万917社中5,038社、構成比46.1%となり、TPPへの参加可能性について半数近くの企業が楽観的に考えていた。一方、「参加できる とは思わない」は同22.1%(2,408社)となり、5社に1社が悲観的にみている。
 6割以上の企業がTPPの枠組みに参加することは日本にとって必要だと考えているなか、日本には解決しなければならない多くの問題がある現状で参加できると考える企業は半数弱にとどまった。



注1:※は「分からない」企業31.8%(3,471社)
注2:母数は有効回答企業1万917社


TPP参加に最も必要なもの、「参加後のビジョンの提示」が35.8%で最多

 日本がTPPに参加するための道筋として最も必要となるものを尋ねたところ、「TPP参加後の日本経済の姿の提示(ビジョン)」が1万917社中3,909社、構成比35.8%で最も多かった。次いで、「農業部門などへの総合対策案提示」(同18.9%、2,061社)、「政治のリーダーシップ」(同15.2%、1,659社)が続いた。
 企業からは、「日本の長期にわたる総合ビジョンの検討、説明、策定が先決で、そのなかでTPPの位置づけを議論することが必要」(ソフト受託開発、新潟県)や「政府はもっと明確なビジョンを明らかにし、国民に不安を与えないこと」(自動車・同部品小売、長野県)といった、TPP参加後のビジョンの明示を求める声が多く挙がった。一方、「日本の農業は安全・品質・味覚ともに素晴らしく、外に出て行く方が発展する」(建設、広島県)や「いまや国内の消費だけでは立ち行かない時代になり、海外向けの農産物の開発が不可欠」(飲食料品卸売、埼玉県)など、日本の農業は高い競争力を有しており、農業生産物の輸出も含めて政治が支援していくべきという意見も多くあった。
 TPPへの参加に対して、農業部門などへの総合対策案が必要と考える企業は2割弱にとどまる。一方で、参加後のビジョンの提示は3割を超えて最も多く、さらに「政治のリーダーシップ」や「国内経済構造の改革」も上位を占めている。企業は、TPPに参加するだけではなく、参加した後の新しい時代に対応した経済構造の姿などを重視している様子がうかがえる。



注:母数は、有効回答企業1万917社


TPPに参加しなかった場合、7割超の企業が景気に「悪影響あり」と認識

 TPPに参加しなかった場合、産業の空洞化や国際競争力の低下などが予想されるなか、長期的にみたとき日本の景気にどのような影響を与えるか尋ねたところ、「悪影響を与える」と回答した企業が1万917社中3,887社、構成比35.6%となり最多であった。また、「多大な悪影響を与える」(同16.3%、1,780社)と「やや悪影響を与える」(同20.5%、2,240社)を合わせると、同72.4%の企業でTPPへの不参加は日本の景気に悪影響があると考えていることが明らかとなった。

 具体的には、「日本の経済発展の基盤は貿易にある」(男子服卸売、大阪府)や「環太平洋の主要国が参加を表明しており、それらの国々が非関税で貿易を行えば、日本の貿易は立ち行かなくなる」(産業機械装置製造、愛知県)といった、日本の経済構造から自由な貿易は欠かせないという声が多く挙がった。また、「国内の主要な輸出産業はTPP に参加した国に生産拠点を移さざるを得なくなる」(石油化学系製品製造、東京都)など、企業の海外移転が加速し、産業の空洞化により雇用不安の増大や資本の流出といった経済活動の停滞を指摘する意見も多い。一方、「悪影響はない」とする企業からは、「TPPだけが自由貿易ではなく、参加各国とFTAやEPAを結ぶべき」(飲食料品小売、新潟県)など二国間協定を推進すべきとする声や、「参加しようがしま いが、企業の国外離脱を止めることは不可能」(飲食料品小売、北海道)といった意見も挙がった。



注1:※は「分からない」企業22.1%(2,416社)
注2:母数は有効回答企業1万917社


最も望ましい枠組み、自由貿易協定が23.1%で最多、TPPは18.5%

 国際的な経済連携・貿易の枠組みは、TPP だけでなく、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)、世界貿易機関(WTO)における多国間協定などがある(それぞれの内容については4ページ「経済連携・貿易協定の枠組み」を参照)。そこで、今後の日本経済の発展にとってどのような枠組みが最も望ましいと思うか尋ねたところ、「自由貿易協定(FTA)」が1万917社中2,517社、構成比23.1%で最多となった。他方、「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)」は同18.5%(2,015社)となり、「TPP以外の経済連携協定(EPA)」(同9.7%、1,064社)と合わせて同28.2%の企業がモノやサービス貿易以外の要素も含む経済連携協定を最も望ましいと考えていた。また、「世界貿易機関(WTO)おける多国間協定」は同17.1%(1,866社)だった。
 企業からは、「WTOでの包括的多国間協定の締結が最も望ましいが、現状は二国間協定が先行しているなかで、日本も積極的にFTAやEPAを推進していかなければならない」(自動車整備、熊本県)や「地域性からアジア圏での貿易促進に将来性やメリットを感じるが、中国の参加は不可欠」(土木建築サービス、北海道)などの声が挙がったほか、「バランス良くすべての枠組みに対応すべき」(化学品製造、栃木県)といった意見もみられた。
 企業は日本経済の発展における海外との経済関係の在り方として、FTAが最も望ましいと考えている。また、政府が基本戦略と考えるEPAはTPP以外では1 割に達しておらず、政府と企業との間で海外経済との望ましい枠組みについて見方が分かれる結果となった。TPPに日本が参加するかどうかの是非とともに、さまざまな枠組みが抱えるメリットとデメリットを再認識し、日本と相手国がともに発展する方法を見出していくことが重要である。



注1:それぞれの内容については、下記「経済連携・貿易協定の枠組み」を参照
注2:母数は、有効回答企業1万917社


【参考1】 TPP参加の必要性 〜規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万917社

【参考2】 TPPに参加しなかった場合の景気に与える影響 〜 規模・業界別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万917社



経済連携・貿易協定の枠組み

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Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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