2011年度の業績見通しに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2011年4月特別企画 -

 

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2011年5月9日
株式会社帝国データバンク産業調査部

企業の3社に1社が「減収減益」見込み

〜 企業の55.9%が下振れ材料に「東日本大震災による被害」〜


 国内景気は、東日本大震災による被害の全容がいまだ把握できないなかで未曾有の困難に直面している。直接・間接的に甚大な人的・物的被害を被る企業が多い一方で、今後の復旧・復興に向けた動きも始まっており、企業の業績動向が注目される。
 そこで帝国データバンクでは、2011年度の業績見通しに関する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2011年4月18日〜30日。調査対象は全国2万2,240社で、有効回答企業数は1万769社(回答率48.4%)。なお、業績見通しに関する調査は2009 年3月、2010年3月に続き3回目。

調査結果のポイント

※ 震災に対する企業からのメッセージ(被災地からの声、応援メッセージなど)をご覧いただけます。

2011年度の業績見通し、企業の33.2%が「減収減益」見込み

 2011年度(2011年4月決算〜2012年3月決算)の業績見通し(売り上げおよび経常利益ベース)について尋ねたところ、「増収増益(見込み含む)」と回答した企業は、「分からない/不回答」を除いた1万664社中2,212社、構成比20.7%となり、2010年度の28.0%(2,985社)と比べると7.3ポイント減少した。一方、「減収減益(見込み含む)」は同33.2%(3,538社)と2010年度の28.6%(3,057社)から4.6ポイント増加している。「増収増益」と「減収減益」が概ね拮抗していた前年度と比べて、2011年度は「減収減益」が「増収増益」を12.5ポイント上回った。東日本大 震災の影響もあり企業業績が前年度より改善すると見込む企業は大幅に減少した。

 「増収増益(見込み含む)」と回答した企業を業界別にみると、『不動産』(同24.8%、71社)が最多となったほか、『製造』(同22.8%、689社)や『サービス』(同22.0%、335社)、『卸売』(同21.5%、711社)、『農・林・水産』(同21.1%、8社)が2割を超えた(参考表1参照)。
 他方、「減収減益(見込み含む)」は、『農・林・水産』(同42.1%、16社)や『金融』(同39.2%、49社)、『建設』(同38.6%、574社)、『運輸・倉庫』(同37.0%、150社)などで高かった。

 地域別にみると、「増収増益(見込み含む)」は『近畿』(同23.0%、420社)と『南関東』(同22.4%、800社)、『北陸』(同21.4%、112社)が全体を上回っている。他方、「減収減益(見込み含む)」では、『東北』(同45.1%、223社)や『北関東』(同39.4%、258社)が高く、直接東日本大震災の影響を受けた地域で業績の悪化を見込む企業が多い。
 また、2010年度の業績を「減収減益」と回答した企業3,046社のうち2011年度も「減収減益」を見込む企業は同48.5%(1,476社)と半数近くに及ぶ(参考表1参照)。他方、「増収増益」だった企業2,973社のうち、2011年度も「増収増益」を見込む企業は同31.5%(936社)と約3割だったが、同時に「減収減益」に転じると見込む企業も同30.1%(894社)となっており、全体として業績の悪化が拡大するなかで、前年度に増収増益だった企業での業績が二極化している。
 具体的には、増収増益を見込む企業からは、「復興需要により大幅な増収が期待できる」(一般機械器具卸売、愛知県)や「生産設備の新規需要が少しずつ動いてきている」(産業機械装置製造、山梨県)など、震災後の復興に期待する声が挙がった。また「マクロ的には日本経済の失速が懸念されるが、BCP(事業継続計画)の観点から西日本地域への拠点移動は地元経済にはプラス要因」(家具・建具卸売、岡山県)など、震災を受けて経営戦略の見直しなど副次的な要因を指摘する意見もあった。
 他方、減収減益を見込む企業からは、「ここ数年、海外に依存していた北海道の観光業界にとって今回の原発事故は死活問題」(旅館・ホテル、北海道)や「被災地以外の地域では公共工事が減少する」(建設、佐賀県)といった、東日本大震災による直接被害だけでなく、間接被害に対する要因を挙げる企業が多かった。
 総じて、厳しい経営環境が続いていたなかで東日本大震災に見舞われ、2011年度の業績見通しを厳しくみる企業が増加している。一方で、2年連続で増収増益を見込む企業も3割を超えており、地域や業界においても企業業績が二極化する可能性を示唆している。


注1:母数は2009年度業績が「分からない/不回答」を除く1万760社、2010年度業績見通しが同1万767社
   2010年度業績が同1万675社、2011年度業績見通しが同1万664社
注2:「その他」の内訳詳細は、脚注1〜脚注4参照
注3:業績は、売り上げおよび経常利益ベース

図「2010年度業績、2011年度業績見通しについて」

脚注1: 2009年度業績「その他」の内訳は、「増収だが利益は前年度並み」(4.3%、466社)、「減収だが利益は前年度並み」(8.0%、861社)、「増益だが売上は前年度並み」(1.6%、175社)、「減益だが売上は前年度並み」(1.4%、152社)
脚注2: 2010年度業績見通し「その他」の内訳は、「増収だが利益は前年度並み」(8.0%、863社)、「減収だが利益は前年度並み」(5.8%、620社)、「増益だが売上は前年度並み」(2.7%、293社)、「減益だが売上は前年度並み」(1.7%、188社)
脚注3: 2010年度業績「その他」の内訳は、「増収だが利益は前年度並み」(7.0%、751社)、「減収だが利益は前年度並み」(5.4%、579社)、「増益だが売上は前年度並み」(1.8%、190社)、「減益だが売上は前年度並み」(2.0%、212社)
脚注4: 2011年度業績見通し「その他」の内訳は、「増収だが利益は前年度並み」(8.1%、868社)、「減収だが利益は前年度並み」(4.9%、519社)、「増益だが売上は前年度並み」(1.8%、188社)、「減益だが売上は前年度並み」(1.8%、194社)


2011年度業績の下振れ材料、「東日本大震災による間接被害」が54.1%、
上振れ材料では、「東日本大震災にともなう需要の増加」が41.6%

 2011年度の業績を下振れさせる悪材料を尋ねたところ、「東日本大震災による間接被害」が1万769社中5,827社、構成比54.1%(複数回答、以下同)と5割を超えており、仕入先・得意先の機能低下や風評被害といった震災の間接的な影響を挙げる企業が最多となった。また、自社拠点機能の低下など「東日本大震災による直接被害」(同8.8%、951社)も、『東北』(同15.2%、76社)を中心として全国で1割近くの企業が挙げており(参考表3参照)、直接・間接にかかわらず東日本大震災による被害を下振れ材料と考えている企業は55.9%(6,016社)に上った。「個人消費の一段の低迷」(同48.3%、5,203社)は前年度よりやや改善したが、震災後の自粛ムードなどを背景に5割近くに達している。また、「原油・素材価格の動向」 が同40.2%(4,327社)と4割を超え、前年度(24.1%)を16.1ポイント上回った。原材料価格の上昇による収益力の低下を懸念する企業は大幅に増加している。

 企業からは、「3月までは増収増益だったが、4月以降は東日本大震災により先行きが見えず仕入れの目処が立たない」(産業用電気機器卸売、愛知県)など、東日本大震災による影響がどこまで続くのか不透明感を抱いている声が多く挙がった。
 一方、2011年度の業績を上振れさせる好材料で最も多かったのは「東日本大震災にともなう需要の増加」が1万769社中4,480社、構成比41.6%(複数回答、以下同)となり、復旧・復興にともなう需要の拡大を挙げる企業が4割を超えた。また、「外需の好調維持」(同23.4%、2,523社)は前年度(46.4%)から23.0ポイント減少した。海外における日本の一次産品や工業製品に対する風評被害の拡大などもあり、外需への期待感は大幅に後退している。

 2011年度の企業業績は慎重にみる企業が増加している。ただ、業績は「福島県の正確な情報が出ていないために、地域性を無視した福島県全域が放射能におかされているという間違った風評被害」(清酒製造、福島県)などによる影響も大きく、政府による国内外に向けた正確で迅速な情報提供は極めて重要である。




注1:「外需の悪化」は、「外需(米国経済の悪化)」、「外需(中国経済の成長鈍化)」、
   「外需(欧州経済の悪化)」のいずれかまたは両方を回答
注2:「東日本大震災による被害」は、「東日本大震災による直接被害」と「東日本大震災による間接被害」のいずれかまたは両方を回答
注3:母数は、2011年度は有効回答企業1万769社、2010年度は1万870社



注1:「その他」は2011年度16.0%(1,726社)、2010年度8.4%(918社)
注2:「外需の好調維持」は、「外需(米国経済の回復)」、「外需(中国経済の成長持続)」、
   「外需(欧州経済の回復)」のいずれかまたは両方を回答
注3:母数は、2011年度は有効回答企業1万769社。2010年度は1万870社


【参考1】 2011年度の業績見通し 〜規模・業界・地域・2010年度業績別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万769社のうち、「分からない/不回答」を除く1万664社
注3:2010年度業績の合計は「分からない/不回答」を除く1万760社。クロス集計は、両年度の「分からない/不回答」を除いているため、列の総和は必ずしも合計と一致しない


【参考2】 2011年度業績の上振れ材料(複数回答) 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万769社

【参考3】 2011年度業績の下振れ材料(複数回答) 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万769社


※ 震災に対する企業からのメッセージ(被災地からの声、応援メッセージなど)をご覧いただけます。

【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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