夏季の企業活動に関する意識調査

- TDB景気動向調査2011年5月特別企画 -

 

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2011年6月3日
株式会社帝国データバンク産業調査部

企業活動、南関東の7.6%が他地域へ移行の可能性

〜 日本の経済需給、企業の7 割超が電力不足で供給力の縮小を懸念 〜


 電力需要期における電力供給の不足が見込まれるなか、今夏、政府は電力使用量の15%削減、経団連は同25%削減を掲げている。また、政府の節電目標では、中小企業など小口需要家や一般家庭は自主目標とする一方、大企業など大口需要家に対しては、強制的に消費電力に上限を設ける使用制限が発令され、電力供給不足による計画停電や大規模停電に陥る事態を回避する方針となっている。
 そこで帝国データバンクでは、夏季の企業活動に関する意識について調査を実施した。調査期間は2011年5月19日〜31日。調査対象は全国2万2,660社で、有効回答企業数は1万1,111社(回答率49.0%)。

調査結果のポイント

※ 震災に対する企業からのメッセージ(被災地からの声、応援メッセージなど)をご覧いただけます。

今夏の電力不足、企業の71.4%が「節電を実施する予定」

 今夏の電力不足について、企業としてどのように対応するか尋ねたところ、「節電を実施する予定」と回答した企業は1 万1,111社中7,936社、構成比71.4%となった。7割超の企業が今年の夏の電力不足に対して節電を実施するとした。一方、「節電は実施しない予定」は同9.6%(1,069社)だった。

 「節電を実施する予定」と回答した企業を規模別にみると、『大企業』が同79.4%(2,055社)と8割近くとなり、『中小企業』(同69.0%、5,881社)を10.4ポイント上回った(参考表1参照)。

 地域別では、『南関東』(同87.7%、3,238社)や『北関東』(同82.5%、589社)が8割を超えているほか、『東北』(同72.9%、418社)などが7 割超となり、消費電力の使用制限が発令される予定 の東京電力および東北電力管内で、多くの企業が節電を実施する見込みである。


注1:※は「分からない」(19.0%、2,106社)
注2:母数は有効回答企業1万1,111社


節電内容、「空調などの温度設定の見直し」が94.2%

 今夏「節電を実施する予定」と回答した企業7,936社に節電の内容を尋ねたところ、「空調などの温度設定の見直し」が同94.2%(7,478社。複数回答、以下同)となり、節電を実施する企業の大部分が空調を挙げた。次いで、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」(同32.0%、2,541社)、「稼働・営業時間の短縮」(同13.7%、1,085社)が続いた。
 東京電力・東北電力管内では、『東北』『北関東』『南関東』ともに1 位から3位は全国と変わらなかった。4位以下では、『東北』は4位「電力需要の少ない曜日に操業」、5位「夏季休暇の増加」、6位「電力需要の少ない夜間操業の増加」となった。
 『北関東』は4位「電力需要の少ない曜日に操業」、5位「夏季休暇の増加」、6位「自家発電の設置または増加」が続いた。また、『南関東』では4位「夏季休暇の増加」、5位「サマータイムの導入」、6位「電力需要の少ない曜日に操業」が挙げられており、地域の産業構造や気象条件などを背景として節電内容の違いがうかがえた。



注:全国の母数は今夏「節電を実施する予定」と回答した企業7,936社。東北は418社、北関東は589社、南関東は3,238社


節電を実施しない理由、「自社がある地域では電力不足は生じない」が最多

 今夏「節電は実施しない予定」と回答した企業1,069 社にその理由を尋ねたところ、最も多かったのは「自社がある地域では電力不足は生じない」が同55.7%(595社。複数回答、以下同)となり、次いで、「節電が不可能な設備・業態だから」(同25.7%、275社)、「節電のメリットがない」(同16.5%、176社)が続いた。
 『東北』は「震災による代替需要増加への対応」と「節電が不可能な設備・業態だから」が同率で1位、「自社がある地域では電力不足は生じない」が3位となった。
 『北関東』では、1位「節電が不可能な設備・業態だから」、2位「節電のメリットがない」、3位「自社がある地域では電力不足は生じない」だった。『南関東』では、1位「節電が不可能な設備・業態だから」、2位「節電のメリットがない」、3位は「努力目標で強制力はないから」と「自社がある地域では電力不足は生じない」が同率となった。東北で代替需要への対応が挙げられたほかは、節電が不可能な設備・業態であることや節電によるメリットの不明確さ、強制力をともなわないことを挙げる企業が多く、地域により分かれた。



注:全国の母数は今夏「節電は実施しない予定」と回答した企業1,069社。東北は50社、北関東は40社、南関東は110社


企業の活動地域、電力不足で南関東の7.6%が他地域へ移行の可能性

 電力不足への対応を目的として企業活動を行う地域を移行する動きがみられるなか、自社の対応状況について尋ねたところ、「予定も検討の可能性もない」と回答した企業は1万1,111社中8,759社、構成比78.8%となった。約8割の企業が自社の活動地域を移行する意思を持っていないことが明らかとなった。
 他方、地域を移行(検討含む)する可能性がある企業は同5.4%(599社)だった(「すでに移行済み」(同0.2%、18社)、「移行を予定している」(同0.4%、46社)、「移行を検討している」(同1.0%、106社)、「今後、移行を検討する可能性がある」(同3.9%、429社)の合計)。地域別にみると、地域を移行する可能性があるとしているのは春の計画停電が実施された『南関東』が同7.6%(280社)で最も高く、『北関東』(同6.4%、46社)、『東海』(同5.7%、69社)が全体を上回った(参考表2参照)。逆に、『東北』は同4.0%(23社)にとどまっている。
 東日本大震災や原発事故を受けて、被災地から他地域へ企業活動を移行する動きが現れていたが、8割近くの企業はその可能性を否定している。ただ、中小企業より大企業で高く、関連企業の動向に影響が及ぶ可能性には注視する必要がある。



注:母数は有効回答企業1万1,111社。東北は573社、北関東は714社、南関東は3,693社


移行先、「近畿」が23.4%で最多、「海外」も14.0%が想定

 地域を移行する可能性があるとした企業599社に、移行する地域について尋ねたところ、「近畿」と回答した企業が同23.4%(140社。複数回答、以下同)で最多となった。さらに、「南関東」が同15.2%(91社)となり、「海外」(同14.0%、84社)、「九州」(同12.9%、77社)、「東海」(同10.0%、60社)が続いた。今夏の電力供給不足により活動地域を移行する可能性があるとした企業のうち、14.0%は日本国外へ移行することを想定していることが明らかとなった。
 地域別にみると、『南関東』の企業で移行する地域が分散する傾向が強く、「近畿」への移行が同28.2%(79社)、「九州」への移行が同14.6%(41社)などとなっている。また、「海外」への移行を考えているのは、『北関東』(同26.1%、12社)が最も高く、『東海』(同24.6%、17社)、『北陸』(同17.6%、3社)が続き、製造業をはじめとした輸出関連産業の多い地域で高くなっている。
 地域を移行する可能性がある企業のうち、近畿以西を挙げている企業は38.4%あった。とりわけ、『南関東』の企業で移行地域が広範囲にわたる。さらに、夏の電力不足を契機として「海外」への移行を視野に入れる企業も1割超あり、国内産業の空洞化に拍車がかかる懸念がある。



注1:「近畿以西」は「近畿」「中国」「四国」「九州」の少なくとも1地域を選択
注2:母数は、「すでに移行済み」「移行を予定している」「移行を検討している」「今後、移行を検討する可能性がある」と回答した企業599社



注1:網掛けは、10%以上を表す
注2:「近畿以西」は「近畿」「中国」「四国」「九州」の少なくとも1地域を選択
注3:母数は、経済活動地域を「すでに移行済み」、「移行を予定している」、「移行を検討している」、「今後、移行を検討する可能性がある」のいずれかを回答した企業599社


移行の方法、4割超が「分散」型

 地域を移行する可能性があるとした企業599社に、移行方法について尋ねたところ、「分散」と回答した企業は同42.6%(255社)となり、4割超の企業が地域の分散を図るとしている。また、「集約」は同15.2%(91社)となったほか、他の地域への「移転」は同10.5%(63社)だった。
 移行方法を「分散」とした企業は関東に多く、『南関東』は同53.6%(150社)と5割を超えたほか、『北関東』は同43.5%(20社)と全体を上回った(参考表3参照)。また、業界別では、『サービス』(同53.7%、65社)と『製造』(同53.2%、109社)が半数超となった。
 一方で、『北海道』や『北関東』のほか、西日本地域などで「集約」の割合が高く、おおむね2〜3割程度となっており、地域により活動地域の移行方法に特徴が現れる結果となった。



注1:※1は「分からない」(25.0%、150社)、※2は「不回答」(6.7%、40社)
注2:母数は、「すでに移行済み」「移行を予定している」「移行を検討している」「今後、移行を検討する可能性がある」と回答した企業599社


電力不足への対応で取引先の地域を移行する可能性は12.3%

 自社の活動地域の移行の有無にかかわらず、電力供給不足への対応のため仕入先や得意先の地域を移行する可能性があるか尋ねたところ、1万1,111社中9,560社、構成比86.0%が「どちらも移行する可能性はない」と回答した。一方、「仕入先を移行する可能性がある」は同6.4%(715社)、「得意先を移行する可能性がある」は同1.9%(215社)、「どちらも移行する可能性がある」は同3.9%(434社)となり、何らかの形で取引先の地域を移行する可能性があるとした企業は12.3%と1割を超えた。



注1::母数は有効回答企業1万1,111社


日本経済の需給関係、「供給の縮小」が「需要の縮小」を上回る

 今夏の電力不足によって、電力供給が通常であった場合と比較して日本経済全体でみた需要や供給が縮小すると思うか、拡大すると思うか、需要面と供給面それぞれについて尋ねた。需要面では、「やや縮小」と回答した企業は1万1,111社中4,472社、構成比40.2%と、最多となった。また、「縮小」は同22.7%(2,517社)、「大幅な縮小」は同2.8%(307社)となり、これらを合計した「縮小計」は同65.7%(7,296社)で、3社に2社が今夏の電力不足で需要が減少するとみている。他方、「拡大計」は同5.9%(660社)となり(「やや拡大」(同5.0%、561社)、「拡大」(同0.8%、91社)、「大幅な拡大」(同0.1%、8社)の合計)、拡大計と縮小計の差は−59.8ポイントとなった。
 供給面では、「縮小計」は同72.9%(8,103社)となり、4社に3社が供給が縮小するとみていることがうかがえる(「やや縮小」( 同46.0%、5,110社)、「縮小」(同23.9%、2,657社)、「大幅な縮小」(同3.0%、336社)の合計)。他方、「拡大計」は同2.3%(252社)にとどまり(「やや拡大」(同1.8%、203社)、「拡大」(同0.4%、43社)、「大幅な拡大」( 同0.1%、6社)の合計)、拡大計と縮小計の差は−70.6ポイントとなった。
 企業からは、「エネルギー(電力)なくしての産業活動はない。電力不足=産業停滞と捉えるべき」(金属線製品製造、大阪府)といった産業の基盤としてのエネルギーの不足を懸念する声のほか、「24時間連続操業を必要とするものは、月の稼働日を短縮する以外にない」(樹脂フィルム製造、香川県)や「ピークシフトで対応できれば需要と供給への影響は小さいが、絶対的な電力使用量を減らせば需要も供給も縮小する」(専門サービス、東京都)など、電力不足への対応について企業としてできることとその限界を指摘する意見もあった。一方、「震災の影響で国内需要は一時的に 回復する」(ポンプ・同装置製造、千葉県)や「すでに立ち直りだしている。新しい経済と市場の価値観の変化への対応が必要」(京扇子製造、京都府)、「節電対策関連商品など、今までなかった需要が掘り起こされる」(配管冷暖房装置等卸売、青森県)など、復興需要への期待や新たな環境変化への適応を訴える声も挙がった。
 企業は、今夏の電力不足によって電力供給が通常であった場合と比較して需要面、供給面ともに縮小するとみているが、供給面の縮小をより大きく捉えている企業が多く、供給不足にともないデフレ・ギャップが一時的に縮小する可能性を示唆している。これはデフレを弱める要因となりうるものの持続可能ではなく、本来あるべき需要面と供給面がともに増大する経済になるためにも、電力不足を契機とした新たな商品・サービスの開発を促すとともに、サプライチェーンや物流など、震災により低下した企業活動を早期に回復することが重要である。



注1::※は「分からない」(8.3%、920社)
注2:母数は有効回答企業1万1,111社


注1::※は「分からない」(8.3%、920社)
注2:母数は有効回答企業1万1,111社


【参考1】 今夏の電力不足への対応予定 〜規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万1,111社


【参考2】 企業活動地域の移行状況 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万1,111社

【参考3】 活動地域の移行方法 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、経済活動地域を「すでに移行済み」、「移行を予定している」、「移行を検討している」、
「今後、移行を検討する可能性がある」のいずれかを回答した企業599社



【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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