夏季の電力使用量削減に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2011年6月特別企画 -

 

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2011年7月5日
株式会社帝国データバンク産業調査部

電力使用量、南関東の58.6%が政府目標以上の削減を見込む

〜 クールビズ、開始企業は前年同時期比11.1ポイント増加、最終的に8割超が実施見込み 〜


 今夏、電力供給の不足が見込まれるなか、政府は東北電力・東京電力管内で昨年の使用最大電力から使用電力量の上限を15%削減、経団連は加盟企業・団体に25%削減、関西電力では15%削減、2府5県からなる関西広域連合では10%削減を要請している。また、数値を明示しないまでも多くの電力会社は電力需給ひっ迫に対する 節電を求めており、今夏の電力不足は全国的な課題となっているが、自主的な取り組みに委ねられる面が強く、その実効性は不透明である。加えて、環境省は節電対策の 一環としてクールビズを拡大させたスーパークールビズを推進している。
 そこで帝国データバンクでは、夏季の電力使用量削減に対する意識について調査を実施した。調査期間は2011年6月20日〜30日。調査対象は全国2万2,773社で、有効回答企業数は1万1,032社(回答率48.4%)。

調査結果のポイント


企業の7割超が「節電を実施」、削減量は企業の36.3%で政府目標以上

 今夏の節電実施状況について尋ねたところ、「実施する(予定・検討を含む)」と回答した企業は1万1,032社中8,020社、構成比72.7%となった。一方、「実施しない(予定・検討を含む)」は同11.3%(1,245社)だった。

 節電の実施による電力使用の削減量の内訳をみると、「15%」が同27.3%(3,011社)で最も多く、4社に1社が政府目標程度を見込んでいる。また、「15%超25%未 満」が同6.3%(695社)、日本経済団体連合会による加盟団体・企業への要請と同程度である「25%」が同1.6%(176社)、それを上回る「25%超」が同1.1%(120社)となり、合わせて36.3%(4,002 社)の企業が政府目標以上の電力使用削減を考えている様子がうかがえる。なかでも、政府の要請地域となっている『東北』は同42.7%(241社)、『北関東』は同49.6%(344社)『南関東』は同58.6%(2,134社)といずれも高い割合を示している(参考表1参照)。

 一方、政府目標を下回る「15%未満」は同23.0%(2,533社)となっており、企業の2割超が節電は実施するものの政府目標の達成は困難と認識している。


注1:※は「分からない」(16.0%、1,767社)
注2:母数は有効回答企業1万1,032社


電力削減量15%未満の要因、「事業所や店舗のため限界」が半数超で最多

 夏季の電力使用削減量が「15%未満」と回答した企業2,533社にその要因を尋ねたところ、「事業所や店舗のため限界がある」が同55.2%(1,399社。複数回答、以 下同)と、過半数を占め最多となった。次いで、「生産設備のため限界がある」(同36.1%、914社)、「(LED・空調などの)省エネ製品に切り替える余裕がない」(同 29.8%、756社)が続いた。
 業界別にみると、「事業所や店舗のため限界がある」では『小売』(同81.8%、90社)や『不動産』(同80.4%、37社)など、直接顧客が来店することを必要とする店舗型の業態で8割を超えた(参考表2参照)。また、「生産設備のため限界がある」では『製造』(同80.8%、631社)や『農・林・水産』(同75.0%、6社)が高かった。
 すでに節電を続けている企業も多いうえ、事業の性質から電力使用量削減に困難さを覚えている様子がうかがえる。



注:母数は電力使用の削減量が「15%未満」と回答した企業2,533社


企業の意見
  • 10年以上ISO14000の取り組みとして節電を実施してきており、一気に15%以上の削減は難しい(男子服 卸売、広島県)
  • 震災前に省エネ製品に切り替えている(建設、大阪府)
  • 復興関連の工事を受注したので納期優先での操業になる(建設、神奈川県)
  • 食品関係なので、工場の空調温度を上げるのは安全上できない(調味料製造、東京都)
  • 受注産業なので事前に生産調整ができない(印刷、大阪府)
  • 前年に比べ設備を増やした分の電力量が増加となる(印刷、熊本県)
  • 設定目標に根拠・整合性がない(電球製造、兵庫県)
  • 社員の健康と業務に問題が出る範囲まですでに節電しており、限界がある(事務用機械器具卸売、福井県)
  • 賃貸ビルにある会社なので、室内の電気使用量が把握しにくい(ソフト受託開発、神奈川県)
  • もともとそんなに電気を使用していない(建設用金属製品製造、愛知県)
  • 自動車以外の取引もあるなかで、自動車業界の輪番休日の影響で7〜9月は木金土日曜日すべて稼働となり、その対応で会社の休業日が減るため(金属プレス製品製造、岡山県)
  • 物流業であり、土日稼働に対応するものの、木金稼働の顧客もあり7〜9月は交代制で毎日稼働させなければならないため(普通倉庫、静岡県)
  • ピーク時の節電には協力するが、それを過ぎた時間帯は特に節電する意味も必要もない(生鮮魚介卸売、東京都)

電力の削減方法、「節電意識の向上」「設備の使用を制限」が突出して高い

 夏季の電力使用削減量が15%以上と回答した企業4,002社に削減方法を尋ねたところ、「節電意識の向上」を挙げた企業が同79.4%(3,177社。複数回答、以下同)と8割近くに達した。次いで、空調設定の見直しやエレベーターの一部停止など「設備の使用を制限する」(同67.2%、2,689社)が約7割と上位2項目が突出して高い。また、「(LED・空調など)省エネ製品への切り替え」(同30.7%、1,229社)は3割を超えた。
 とりわけ、『製造』では「生産設備の稼働曜日をシフトする」が同25.0%(291社)に達し、夏季の電力使用量を多く削減する製造企業の4社に1社が稼働曜日のシフトを削減手段として挙げている(参考表3参照)。また、「生産設備の一日の稼働時間を減らす」(同11.0%、128社)や「生産設備の稼働日数を減らす」(同9.3%、109社)も1割前後となっており、生産設備の稼働をさまざまな形で工夫することを考えている様子がうかがえる。
 政府目標の15%以上削減を見込んでいる企業では、社員の意識向上や設備の使用制限などで対応する企業が多い。また、電力使用のデマンドコントロール装置の導入や、太陽光や風力発電といった、削減のための設備利用を検討する企業も現れている。



注1:以下、「事業所や店舗の営業曜日をシフトする」(3.9%、157社)、
  「在宅勤務制度の活用」(1.6%、65社)、「その他」(3.3%、134社)
注2:母数は電力使用の削減量が「25%超」「25%」「15%超25%未満」
  「15%」のいずれかを回答した企業4,002社


企業の意見
  • 10年以上ISO14000の取り組みとして節電を実施してきており、一気に15%以上の削減は難しい(男子服 卸売、広島県)
  • 事務所の使用面積の縮小(金融、東京都)
  • デマンドコントロール装置を導入して、最大需要電力を把握すると同時に、15%削減を確実に実行する(自動車部品製造、埼玉県)
  • デマンド目標値を設定し、その設定値を超えそうであれば警報が鳴るようにし、使用量の抑制を図っている(パチンコホール、山口県)
  • 工場を一カ所に集中し、一部工場を閉鎖させる(生鮮魚介卸売、千葉県)
  • 太陽光発電装置の導入、屋根に断熱塗料を塗布(陶磁器・ガラス器卸売、東京都)
  • 週2回のノー残業デー実施、遮熱ブラインドへ交換(宝石・貴金属製品卸売、東京都)
  • 小型風力発電の導入を検討(燃料小売、北海道)

クールビズ、「開始している」は70.2%、前年同時期より11.1ポイント増加
2011年夏、最終的には8 割超の企業が実施の見込み

 クールビズの取組状況を尋ねたところ、すでに「開始している」と回答した企業は1万1,032社中7,739社、構成比70.2%と7割超に達した。
 これは、前年の同時期(2010年6月調査、59.1%)より11.1ポイント増加しており、7年目を迎えたクールビズが電力不足などを背景に一段と拡大していることがうかがえる。
 クールビズの実施について、現在「検討中」と回答した企業は同12.5%(1,384社)で、これをすでに「開始している」と回答した企業と合わせると計82.7%(9,123社)となり、初めて8割を超えた。
 2005年6月調査時には「開始している」企業(同20.7%)と「検討中」企業(同19.6%)を合わせた構成比は同40.3%だったが、最終的には同37.1%が実施した。2006年は 最終的に同48.6 % 、2007年は同56.9%、2008年は同66.7%と徐々に増加していき、2010年は同72.8%になるなど、クールビズを実施する企業の割合は概ね上昇してきた。こ れまでの実績に加えて、環境意識の高まりやクールビズの認識の広がりとともに、原発事故にともなう全国的な電力不足を背景に初動段階でクールビズが浸透していることから、2011年は最終的に全体の8割超の企業がクールビズを実施すると見込まれる。



注:母数は有効回答企業1万1,111社。東北は573社、北関東は714社、南関東は3,693社


スーパークールビズの認知度は約9割

 環境省ではこれまでのクールビズを拡大させたスーパークールビズを推進しているが、その認知度について尋ねたところ、1万1,032社中5,283社、構成比47.9%が「内容まで知っている」と回答し、5割近くの企業がその中身まで認識していた。また、「名前だけ知っている」も同41.3%(4,558社)あり、合わせると約9 割の企業がスーパー クールビズについて知っていた。一方、「知らなかった」は同7.8%(863社)と、1割未満にとどまった。スーパークールビズは非常に多くの企業がその内容も含めて知っていた。
 企業からは、「蒸し暑い日本ではクールビズはひとつの文化に育てた方が良いかもしれない」(建設、埼玉県)といった声のほか、「クールビズについてもっと国や経済がPR する必要がある。大企業は実践できるが、中小企業は取引先次第である」(機械刃物製造、大阪府)や「昔より平均気温も上昇しており、背広ネクタイは日本の夏の正装としてはもはや適当でない」(段ボール製造、大阪府)など、企業規模による導入のしやすさの違いや日本の気候に合わせた服装をいま一度見直すべきときにあるという意見がみられた。



注1:※1は「知らなかった」企業7.8%(863社)
注2:※2は「分からない」企業3.0%(328社)
注3:母数は有効回答企業1万1,032社


スーパークールビズへの取組、空調や室温対応、低コスト項目で高い実行性

 環境省で推進されているスーパークールビズの取組例のうち、自社で実行可能だと思う項目について尋ねたところ、「エアコンは必要な場所、必要なときだけつける」が1万1,032社中7,561社、構成比68.5%が回答し、最多となった(複数回答、以下同)。次いで、「自宅とオフィスでの室温28 度の徹底」(同57.6%、6,355社)、「扇風機などの活用」(同52.3%、5,773社)が5割を超えたほか、「ノー上着を夏のフォーマルにする」(同43.1%、4,757社)や「ブラインドの活用(夏の強い日差しをカットする)」(同42.2%、4,654社)なども高く、空調や室温への対応が上位を占めた。また、「パソコンなどのこまめなスイッチオフ」(同48.6%、5,359社)など、コストをかけずに節電につながる項目も高かった。
 企業からは、「環境省のスーパークールビズはとても良いことだと思うが、一般の会社員(営業等)には無理である」(農業協同組合、石川県)や「環境省が推奨するスーパークールビズは発想としては理解できるが、ビジネスの世界においてこのような格好は浸透しないと思う」(化粧品卸売、東京都)など、スーパークールビズ自体に対しては肯定的ながらも、現実問題としての導入可能性には懐疑的な見方を示す意見が多く挙がった。また、「スーパークールビズ(カジュアルウェア)がどこでも許容されるようなオフィス環境、雰囲気を醸成しなくてはならない」(精密機械器具卸売、東京都)といったもっと推進すべきとする声もあった一方、「スーパークールビズの服装はやり過ぎ」(ソフト受託開発、秋田県)や「スーパークールビズの薄着等は仕事上の緊張感が欠けるような気がして反対」(建設、香川県)など、特に服装に関して否定的な意見も多く、考え方は分かれている。



注1:以下、「省エネ家電への買い換え」(12.8%、1,410社)、「かりゆしウェアやアロハ、ポロシャツ、Tシャツなども可とする」(10.4%、1,152社)、「オフィスの窓際に植物のカーテン(グリーンカーテン)を設置」(10.1%、1,119社)、「休日出勤を禁止する」(8.9%、984社)、「サマータイムなど勤務時間の朝型シフト」(6.8%、746社)、「夏休みを固定で長めにとる」(6.1%、678社)、「体内から冷やしてくれる食べ物を摂取」(5.8%、645社)、「在宅勤務の導入を検討」(1.6%、180社)、「その他」(0.9%、98社)、「実行可能なものはない」(1.1%、116社)
注2:母数は有効回答企業1万1,032社


【参考1】 電力使用の削減量 〜規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:「15%」は政府の目標程度、「25%」は経団連の目標程度に相当する
注3:母数は有効回答企業1万1,032社


【参考2】 電力削減量15%未満の要因(複数回答) 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、節電を「実施する(予定・検討含む)」と回答した企業のうち、削減量が「15%未満」の企業2,533社

【参考3】 電力使用量の削減方法(上位10項目)(複数回答)
〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、節電を「実施する(予定・検討含む)」と回答した企業のうち、削減量が「25%超」「25%」「15%超25%未満」「15%」のいずれかを回答した企業4,002社



【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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