2011年度の業績見通しに対する企業の動向調査

- TDB景気動向調査2011年9月特別企画 -

 

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2011年10月5日
株式会社帝国データバンク産業調査部

企業の32.1%が売り上げ・利益ともに下方修正

〜 2011年度後半の企業活動は34.7%が震災後の見込みを下回る 〜


 東日本大震災の発災から半年が経過し、復旧・復興による需要増加がみられる一方で、原発事故の長期化や電力不足、円高の進行など、経営環境は厳しさを増してきている。
 そこで帝国データバンクでは、2011年度の業績見通しの修正状況について調査を実施した。調査期間は2011年9月16日〜30日。調査対象は全国2万2,909社で、有効回答企業数は1万1,028社(回答率48.1%)

調査結果のポイント


2011年度業績見通し、3割超の企業が売り上げ、経常利益ともに「下方修正」

 2011年度(2011年4月決算〜2012年3月決算)の業績および業績見通しについて、2011年度の期初見通しと比較して、通期の業績見通し(実績)に修正がある(あった)かどうか尋ねたところ、売り上げでは「下方修正」と回答した企業が1万1,028社中4,056社、構成比36.8%となった。また、「上方修正」とした企業は同13.5%(1,484社)であった。経常利益では、「下方修正」が同39.2%(4,321社) と4割近くに達した一方、「上方修正」は同12.2%(1,349社)となった。
 売り上げと経常利益をともに「下方修正」した企業は同32.1%(3,542社)に達し、3社に1社が期初見通しよりも業績の悪化を見込んでいることが明らかとなった。一方、ともに「上方修正」した企業は同9.7%(1,075社)となっており、「下方修正」を22.4ポイント下回っている。
 他方で、ともに「上方修正」した割合がともに「下方修正」した割合を上回っていたのは51業種中で「医薬品・日用雑貨品小売」(上方修正:33.3%、下方修正:11.1%)の1業種のみであった。また、ともに「上方修正」した割合が最も高い地域は『東北』で17.3%だった(参考表1参照)。東北地域の景況感は最も高く(2011年9月のTDB景気DIは『東北』が38.3で全国第1位)なっており、震災後の見込みと比べると、業績面でも上振れしていることが示唆される。
 ただ、総じてみると、2011年度の業績見通しを下方修正とする企業が多く、期初の見込みより厳しさが増していることがうかがえる。


注:母数は、有効回答企業1万1,028社


業績見通しに影響を与えた要因、「内需不振」が51.4%で最多

 業績および業績見通しに影響を与えた要因について尋ねたところ、「内需不振」を挙げた企業が1万1,028社中5,665社、構成比51.4%で最多となった(複数回答、以下同)。さらに、「東日本大震災」(同44.7%、4,931社)が4割を超えたほか、「円高」(同38.9%、4,286社)や「デフレ」(同23.3%、2,573社)、「原材料価格の高止まり」(同20.7%、2,284社)、「公共事業の減少」(同20.6%、2,275社)が続き、いずれも2 割を超えた。特に、「円高」は前回調査(2010年9月)より17.1ポイント増加しており、最近の円高が業績見通しを見直す大きな要因となっている様子がうかがえる。また、「東日本大震災」を挙げた企業では約4割が業績見通しを下方修正 していた(参考表2参照)。
 業績見通しを「下方修正」した企業からは、「放射能汚染がすべての始まり」(水産食料品製造、茨城県)や「東日本大震災の復興需要の遅れ」(化学工業製品製造、東京都)など震災による影響を指摘する声が非常に多く挙がった。また、「大企業・研究所の研究開発意欲の後退」(精密機械製造、茨城県)や「材料の不足や計画停電などで仕事が進まず、売上高が減少」(建設、栃木県)、「TPPなど重要政策の停滞」(農業資材卸売、島根県)などの意見もあった。他方、「上方修正」した企業からは、「震災復興需要」(鋼材加工、広島県)や「被災地域における需要の拡大」(雑貨品小売、東京都)といった意見のほか、「自動車産業の生産回復」(塗料卸売、大阪府)や「新築マンションや耐震工事などの案件が増えている」(建設、千葉県)などの声もあった。
 2011年度の業績(見通し)に影響を与える(与えた)要因では、東日本大震災と原発事故に加えて、自粛ムードによる消費低迷や高速道路の休日1,000円の終了によるレジャー消費の抑制など国内需要の不振を指摘する声が多く挙がった。



注1:以下、「海外需要の減速」(8.3%、910社)、「価格の引き上げ」(7.1%、783社)、「海外需要の拡 大」(5.5%、604社)、「政府の家計支援策」(1.9%、205社)、「その他」(3.6%、397社)
注2:2011年9月調査の母数は有効回答企業1万1,028社。2010年9月調査は1万1,349社


今後の懸念材料、「内需」が49.3%で最多、「為替動向」「国内政治」も約4割

 今後の不確定要素として懸念することを尋ねたところ、「内需」を挙げた企業が1万1,028社中5,433社、構成比49.3%で最多となった(複数回答、3つまで選択、以下同)。さらに「為替動向」(同42.6%、4,703社)が続き、「国内政治」(同39.9%、4,397社)や「原料価格動向」(同34.6%、3,820社)も3割を超えた。低迷する内需に加えて、高水準が続く円高などの外国為替レートの動きや政治情勢、原料価格動向などに対して、経済活動における懸念材料と考える企業が多いことがうかがえる。また、「電力供給不安」は同15.7%(1,734社)と1割台にとどまった。
 企業からは、「震災の復興を早くしないと内需拡大も図れない」(一般貨物自動車運送、山口県)といった震災からの復興が何よりも重要という声のほか、「復興税の内容によっては消費が冷え込む可能性もある」(建設、栃木県)や「電力が安定しないと、大手は海外移転を考える」(工業用樹脂製品製造、群馬県)、「東北に公共工事予算が集中する半面、他地域での予算縮小が心配」(建設機械器具レンタル、埼玉県)などを指摘する意見もあった。



注1:2011年9月調査の母数は有効回答企業1万1,028社。2010年9月調査は1万1,349社


政府・日銀に半数超の企業が「円高対策」を求める

 政府や日本銀行にどのような政策を求めるか尋ねたところ、1万1,028社中6,159社、構成比55.8%の企業が「円高対策」を挙げた(複数回答、以下同)。次いで「新たな消費喚起策の実施」(同45.8%、5,055社)が4割以上となったほか、「企業向け金融支援の拡充」(同33.2%、3,656社)、「減税」(同30.6%、3,379社)、「規制緩和」(同26.5%、2,927社)が続いた。特に、「円高対策」は前回調査(2010年9月)より5.8ポイント増加しており、2011年に入り急速に進んだ円高による業績面の悪化や企業の海外移転の加速懸念などを含め、政府・日銀に対策を求める企業が増加している。
 規模別にみると、「円高対策」や「新たな消費喚起策の実施」は『大企業』が『中小企業』を上回った一方、「企業向け金融支援の拡充」や「減税」、「規制緩和」では『中小企業』が『大企業』を上回った。とりわけ、「円高対策」と「企業向け金融支援の拡充」では『大企業』と『小規模企業』の差が大きい。「円高対策」は『大企業』が同58.7%(1,510社)で『小規模企業』の同47.3%(1,140社)を11.4ポイント上回ったほか、「企業向け金融支援の拡充」では『小規模企業』が同40.0%(964社)と『大企業』の同26.7%(687社)を13.3 ポイント上回った。
 企業は政府・日銀に喫緊の課題として円高への対応を求めているが、求める政策は企業規模によって望む内容が異なっており、政策実施においてはターゲットを明確にすることが肝要である。



注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:2011年9月調査の母数は有効回答企業1万1,028社。2010年9月調査は1万1,349社


2011年度後半の企業活動、震災当初と比較して「見込みを下回る」が34.7%

 震災以後、復興対策が進むなかで、今後は震災からの復興需要の増大やそれにともなう景気回復などが期待され、政府においても「2011年後半には比較的高めの成長が見込まれる」との見解が示されていたが、その動向には不透明感が漂いつつある。
 そこで、2011年度後半(2011年10月〜2012年3月)の生産や販売・サービスなどの企業活動全般について、震災当初に立てた見込みと比べてどのような見通しをもっているか尋ねたところ、「ほぼ見込みどおり」と回答した企業が1万1,028社中4,275社、構成比38.8%で最多となった。ただ、「見込みを下回る」と見ている企業も同30.1%(3,322社)で3割となっており、「見込みを大幅に下回る」(同4.6%、50 社)を合わせると同34.7%(3,831社)と3社に1社が2011年度後半について震災後に考えていた見込みより悲観的な見通しを立てていることが明らかとなった。
 一方で、「上回る計」(「見込みを大幅に上回る」と「見込みを上回る」の合計)は同9.9%(1,089社)と1割にとどまった。ただ、『東北』は同17.7%(108社)と2割近くになり、震災後の企業活動の改善がみられる(参考表3参照)。
 2011年度の業績は3社に1社が当初見込みより売り上げ、経常利益ともに下方修正しており、震災の影響を多大に受ける見通しとなった。一方で、「政治経済情勢が悪いなかでも、業績を伸ばしている会社はある」(クリーニング、福岡県)という指摘にもあるように、創意工夫などを通じてこの未曾有の困難を乗り切ろうとしている企業も多い。ただ、企業努力の限界を超える円高や消費の低迷、震災からの復興などに対しては政府による後押しが不可欠である。



注1:※は「分からない」(16.6%、1,833社)
注2:母数は有効回答企業1万1,028社


【参考1】 業績および業績見通しの修正状況 〜 『東北』 〜


注1:母数は、『東北』の有効回答企業611社


【参考2】 業績および業績見通しの修正状況
〜 業績見通しへの影響要因「東日本大震災」 〜


注1:業績見通しへの影響要因「東日本大震災」


【参考3】 震災後の見込みと比較した企業活動の見通し 〜 地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,028社


【参考4】 業績および業績見通しの修正状況 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万1,028社



【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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