2012年の景気見通しに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2011年11月特別企画 -

 

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2011年11月4日
株式会社帝国データバンク産業調査部

2012年景気、「回復」を見込む企業は上昇するも11.3%にとどまる

〜 6割超が「円高」を懸念、「増税」「金融市場の混乱」も大幅増加、
求める政策は「円高対策」が半数超に 〜


 2011年11月14日に発表された7-9月期の実質GDP成長率は前期比1.5%(年率6.0%)増と4期ぶりのプラスとなったが、政府は「景気は東日本大震災の影響により依然として厳しい状況にあるなかで、引き続き持ち直しているものの、そのテンポは緩やかになっている」という認識のもと、震災対策などに対する総額約12兆円規模の2011年度第3次補正予算案を国会に提出、成立した。一方、円高や海外経済の減速、電力供給制約など景気が下振れするリスクもある。
 そこで、2011年の景気動向および2012年の景気見通しに対する企業の意識について調査を実施した。調査期間は2011年11月17日〜30日。調査対象は全国2万3,170 で、有効回答企業数は1万695社(回答率46.2%)。なお、景気見通しに対する調査は2006年11月から毎年実施し、今回で6回目。

調査結果のポイント


2011年、「悪化」局面だったと判断する企業が42.8%、「回復」は3.9%

 2011年の景気動向について尋ねたところ、「悪化」局面であったと回答した企業は1万695社中4,575社、構成比42.8%となり、2010年の景気動向(2010年11月 調査)より5.2ポイント増加した。一方、「踊り場」局面とした企業は同37.4%(4,004社)となり、2010年より8.1ポイント減少した。「悪化」局面とする悲観的見方はリーマン・ショック直後で先行きがまったく見えなかった2008年(2008年11月調査)をピークに2年連続で減少していたが、3年ぶりに増加に転じた。また、 「回復」局面とした企業は同3.9%(412社)にとどまった。
 企業からは、「東日本大震災、海外の災害、政情不安など、負の要素ばかりが目立つ」(医療・福祉サービス、富山県)や「円高による工場の海外シフトなど、当面回復の糸口がつかめない状況」(変圧器類製造、大阪府)など、国内外でのさまざまな悪影響が挙げられた。また、回復局面とした企業からも「震災需要が顕在化しているが、一時的なものか景気の回復かは判断できない」(めん類製造、香川県)といった意見が出ており、必ずしも力強い回復とはみていない様子がうかがえる。
 2011年景気について、企業の間では「悪化」局面にあったとの判断が4割超を占める一方で、「踊り場」局面とした企業は37.4%に減少した。東日本大震災や円高などの影響もあり、「回復」局面とする企業は非常に少ない。



2012年の景気見通し、「回復」が11.3%に上昇、「悪化」「踊り場」は3割超

 2012年の景気見通しは「悪化」局面を見込む企業が同33.4%(3,574社)となり、2011年の景気動向から9.4ポイント減少した。また、2012年の景気を「踊り場」局面と予想する企業は2011年より5.8ポイント低い同31.6%(3,384社)となっており、「回復」局面は同11.3%(1,207社)と7.4ポイント増加した。「回復」局面を見込む企業が1割を超えるのは、2007年の景気見通し(13.2%、2006年11月調査)以来5年ぶりとなった。
 2012年の景気見通しを規模別でみると「回復」の割合は『大企業』(同11.8%、301社)と『中小企業』(同11.1%、906社)で大きな差がみられない一方、「悪 化」の割合は『大企業』(同29.5%、751社)よりも『中小企業』(同34.6%、2,823社)が5.1ポイント高かった(参考表2参照)。特に、『小規模企業』は同 38.3%(913社)と4割近くに達しており、規模の小さい企業ほど2012年の経済状態を厳しくみている。また、地域別でみると、『北海道』で「悪化」が4割を超えた ほか、『近畿』や『中国』『九州』が全体を上回っており、総じて西日本地域で悲観的な見方を示す企業が多かった。業界別では、「悪化」は『建設』が同37.2%(541社)で最も高くなっているほか、『小売』や『卸売』など10業界中6業界で「悪化」が「踊り場」を上回った。
 具体的には、「東北地区の本格復興をきっかけとした国内需要の喚起」(織物卸売、大阪府)など震災からの復興が回復要因になるという声のほか、「社会全体として前向きな姿勢を見せていくべきとき」(建設、神奈川県)と指摘する意見があった。一方で、「現在より良くなる要因が見出せない」(土木建築サービス、茨城県)や「国外の情勢が不安定であれば、あまり良い方向には行かない」(油圧・空圧機器製造、山形県)、「政府の経済対策を鮮明に打ち出すことが最重要」(一般貨物自動車運送、愛知県)といった声も多く挙がった。
 2012年の景気見通しは、「悪化」「踊り場」局面と予想する企業がともに3割を超えている一方、「回復」局面と予想する企業も5年ぶりに1割台へと上昇した。また、2011年と比べて全規模、全業界、全地域で、2012年の景気は「回復」すると予想する企業が増加した一方、「悪化」すると予想する企業は減少した(参考表1、 2参照)。日本経済が東日本大震災で大きく下押しされたなかで、企業の2012年の景気への見方は前年より良化しているが、依然として厳しい状況が続くとみている。


2012年景気への懸念材料、63.6%が「円高」と回答

 2012年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「為替(円高)」が1万695社中6,798社、構成比63.6%(3つまでの複数回答、以下同)と6割を超え、突出して多かった。さらに、「税制(増税)」が同24.7%(2,642社)、「原油・素材価格」が同24.0%(2,564社)となり、企業の4社に1社が増税や原材料価格に対して懸念を抱いていた。「為替(円高)」は、前回調査(2010年11月)で2011年景気の懸念材料として53.3%の企業が挙げていたが、今回調査ではさらに10.3ポイント増加した。また、「税制(増税)」は14.5ポイント増、「金融市場の混乱」(同19.1%、2,040社)は13.8ポイント増と、震災復興や社会保障費に対する増税論議、債務危機による金融市場への懸念は1年前より大きく強まった。一方で、「雇用(悪化)」(15.0ポイント減)や「物価下落(デフレ)」(12.3ポイント減)が10ポイント以上減少し、デフレや雇用、所得に対する懸念は1 年前の時点より弱まっている。
 企業からは、「欧米の経済状況の改善がない限り円高は続く」(自動車部品製造、愛知県)や「増税不安と所得減少による個人消費の抑制が2012年の経済を左右する」(包装用品卸売、愛知県)といった、海外経済の不透明感の増大などを通じた円高や金融市場の混乱に加えて、増税などによる消費低迷を指摘する意見が多く挙がった。



注1:以下、「政局」(12.3%、1,319社)、「東日本大震災」(12.2%、1,303社)、「電力供給の制約」(6.8%、722社)、「タイや周辺国における洪水被害」(6.5%、700社)、「政策支援の終了」(5.5%、588社)、「金利(上昇)」(3.2%、346社)、「規制強化の流れ」(1.8%、196社)、「地政学リスク」(1.0%、103社)、「その他」(2.6%、283社)、「分からない」(1.2%、129社)、「特になし」(0.2%、25社)
注2:「東日本大震災」「電力供給の制約」「タイや周辺国における洪水被害」は2010年11月調査では項目なし
注3:母数は、有効回答企業1万695社


景気回復のために必要な政策、「円高対策」が50.2%で最多

 今後、景気が回復するためにどのような政策が必要だと思うか尋ねたところ、「円高対策」が1万695社中5,365社、構成比50.2%(複数回答、以下同)で最多となった。半数超の企業は円高対策が今後の景気回復に必要と考えている。
 また、「法人向け減税」(同32.2%、3,439社)や「雇用対策」(同32.1%、3,431社)、「公共事業費の増額」(同27.6%、2,955社)などは上位に挙がったものの、前回調査からは減少した。他方、「原発事故の収束」(同27.1%、2,895社)と「震災復興」(同26.3%、2,812社)が5位と6位になり、東日本大震災からの復興や原発対策を挙げる企業も多い。企業は、減税や雇用改善、公共事業などの政策を必要としつつも、震災による未曾有の事態への対応や個々の企業では対処困難な円高に対する解決策を求める姿勢を強めていることがうかがえる。
 具体的には、「デフレを解決することで早期の円高解消」(特殊産業用機器卸売、埼玉県)など、円高対策を求める声が多く挙がった。また、「被災法人に対しては期限付きでも良いので減税して欲しい」(ソフト受託開発、宮城県)や「TPPの推進と被害業種に対する構造支援」(圧力・流量計等製造、茨城県)といった、震災被害への迅速な処理や企業の競争環境の整備など、政策に対する多様な意見がみられた。
 企業は東日本大震災や増税、円高、海外経済の減速など、今後の景気動向に対してさまざまな懸念を抱えるなかで経営努力を継続している。また、業績が上向いても「復興特需ということで、素直に喜べないものがある」(建設、宮城県)と複雑な心境を吐露する企業もあり、景気回復に向けて企業心理の改善が必須である。そのためには「経済政策には必ず反対意見があるが、強力なリーダーシップで実行すること」(機械同部品製造修理、岡山県)が必要であり、国際的な政策協調を進め、震災復興の進展や税制、規制緩和を通じた競争条件の整備など、政府が果たす役割は大きい。



注1:以下、「規制緩和」(20.8%、2,226社)、「個人消費拡大策の継続」(20.6%、2,205社)、「物価(デフレ)対策」(19.0%、2,037社)、「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加」(17.9%、1,910社)、「金融緩和政策」(10.6%、1,135社)、「環境関連の優遇策」(6.6%、707社)、「地方への税源移譲」(6.1%、651社)、「研究開発の促進税制」(5.0%、535社)、「道州制の導入」(3.8%、406社)、「個人向け手当の創設」(3.2%、339社)、「その他」(2.2%、231社)、「分からない」(2.1%、224社)
注2:「円高対策」「原発事故の収束」「震災復興」「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加」は2010年11月調査では項目なし
注3:母数は、有効回答企業1万695社


【参考1】 2011年の景気動向 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万695社


【参考2】 2012年の景気見通し 〜 業界・業種別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万695社


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
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