震災復興に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2012年2月特別企画 -

 

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2012年3月5日
株式会社帝国データバンク産業調査部

震災から1年、企業の79.9%が復興スピード「遅い」と認識

〜 企業の23.1%が自社への復興需要を見込む。今後の課題では「原発事故対策」が8割超 〜


 東日本大震災の発生からおよそ1年が経過した。被災者・被災企業の方々だけでなく、官民による震災からの復旧・復興が進められている一方、その状況や企業業績への影響についてはさまざまな見方がある。
 そこで帝国データバンクでは、震災からの復興状況について調査を実施した。調査期間は2012年2月17日~29日。調査対象は全国2万3,651社で、有効回答企業数は1万713社(回答率45.3%)。

調査結果のポイント


震災復興、約8割の企業が「遅い」と認識

 東日本大震災による被災地域の復旧・復興のスピードについてどのように感じているか尋ねたところ、「遅い」と回答した企業が1万713社中8,562社、構成比79.9%となり、約8割の企業が被災地域の復興は遅れていると感じていた(「かなり遅い」(同57.0%、6,107社)と「やや遅い」(同22.9%、2,455社)の合計)。一方、「速い」と回答した企業は同2.8%(304社)となり、被災地の復興スピードを速いと感じている企業は3%未満という非常に低い割合にとどまった(「かなり速い」(同1.2%、133社)と「やや速い」(同1.6%、171社)の合計)。また、「どちらともいえない(適切であり速いとも遅いとも感じない)」は同8.5%(907社)と、適切なスピードで復興していると感じている企業は1割未満であった。
 企業からは、「トップダウンによるスピード感ある判断を望む」(不動産代理、東京都)や「何をどうやっても不公平は生じるので、とにかく急いで政策を行い、生まれた不公平はあとから是正すれば良い」(配管冷暖房装置等卸売、神奈川県)、「非常時における指揮体系を確立して欲しい」(医療用機械器具製造、東京都)といった声が挙がった。
 東日本大震災からおよそ1年が経過しているが、その復旧・復興スピードには不十分と感じている企業が多いことが浮き彫りとなった。


注1:※1は「どちらともいえない(適切であり速いとも遅いとも感じない)」8.5%(907社)、※2は「分からない」8.8%(940社)
注2:母数は、有効回答企業1万713社


人々や民間企業の活動に対して4割程度の企業が復興に貢献と認識

 これまでの復旧・復興の進捗に貢献してきたこととして考えられるものを選んでもらったところ、1万713社中4,704社、構成比43.9%が「被災地域外の人々(非営利団体含む)」と回答し最多となった(複数回答、以下同)。次いで、「被災地域の人々(非営利団体含む)」が同43.6%(4,672社)となった。また、「被災地域の民間企業」(同41.2%、4,414社)、「被災地域外の民間企業」(同39.4%、4,224社)、「被災地域の地方自治体」(同23.2%、2,484社)、「中央政府」(同6.2%、661社)が続いた。一方、これまでの復旧・復興の進捗の制約となってきたものでは、「中央政府」が同93.4%(1万7社)と9割を超えた。
 企業からは、「それぞれが貢献してきたと思うが、対応の速さ等は十分ではない」(建設、山形県)や「政府の対応を待っていられないがゆえに、地元企業独自で早期再生を図っている」(建設、福島県)といった声が挙がった。また、「阪神・淡路大震災の時と比べて義援金等も多く、ボランティアもかつてない規模だった」(建設、長野県)など、国内外からの支援の多さを感じた企業も多い。一方で、「政府が復興計画を出さないので全貌が見えない」(一般貨物自動車運送、北海道)や「正常時を想定して定めた法律が足かせになっているのではないか」(建設、青森県)などを指摘する意見も多くみられた。
 復興の進捗について、被災地域内外の人々や民間企業の活動には約4割の企業が復興に貢献していると考えている一方で、行政に対しては、法制度も含めて厳しい見方をしている企業が多くみられた。


注:母数は、有効回答企業1万713社


企業の23.1%が今後、自社への復興需要を見込む

 今後、復興需要が自社に見込めるか尋ねたところ、「ある(見込み含む)」と回答した企業は1万713社中2,479社、構成比23.1%となり、企業の4社に1社が復興需要を見込んでいた。また「ない(見込み含む)」は同51.2%(5,480社)となった。
 自社への復興需要が「ある(見込み含む)」としている企業を地域別にみると、『東北』では同45.5%(280社)と4割を大きく上回った。一方で、『九州』(同12.7%、109社)や『四国』(同15.0%、53社)など、総じて西日本では復興需要を見込む企業は少なくなっている(参考表1参照)。
 業界別では、『製造』(同28.4%、862社)や『建設』(同26.4%、392社)など10業界中4業界で2割を超えたものの、『農・林・水産』(同7.0%、3社)や『不動産』(同7.6%、21社)が1割を下回るなど、業界間で大きな偏りがみられる。
 また、規模別では『小規模企業』(同18.3%、440社)が『大企業』(同28.6%、715社)を10.3ポイント下回っており、復興需要は零細企業に向かわないと考えている様子がうかがえる。



注1:※は「分からない」企業25.7%(2,754社)
注2:母数は有効回答企業1万713社


復興需要を見込む企業、時期としては「2012年度後半」が最も多い

 自社での復興需要が「ある(見込み含む)」と回答した企業2,479社に対して、その時期を尋ねたところ、「2012年度後半」が同69.0%(1,710社)で最多となり、復興需要を見込む企業の7割近くとなっている(複数回答、以下同)。次いで、「2013年度」(同45.2%、1,121社)、「2012年度前半」(同41.3%、1,025社)と続いた。
 地域別では、『東北』は「2011年度内」とする企業が同30.4%(85社)と3割を超えているほか、「2012年度前半」(同55.0%、154社)も半数を超えており、東北地域では早い段階での復興需要を見込んでいる様子がうかがえる(5ページ参考表2参照)。一方で、復興需要が少ない西日本では時期も遅れる傾向がみられた。



注1:母数は、今後、自社で復興需要が「ある(見込み含む)」と回答した企業と回答した企業2,479社


復興需要を見込む企業のうち、85.7%が自社の業績改善を期待、
期待しない理由では「復興需要以外の本業不振を懸念」が最多

 復興需要が自社に「ある(見込み含む)」と回答した企業2,479社に対して、今後の復興需要による自社の業績改善、向上への期待を尋ねたところ、「期待はある」と回答した企業は同85.7%(2,124社)となり、復興需要を見込む企業のうち、8割超が多少なりとも業績改善を期待している様子がうかがえる(「期待は大きい」(同16.1%、398社)と「期待は小さいがある」(同69.6%、1,726社)の合計)。
 一方、復興需要による自社の業績改善を期待しない企業は同13.6%(337社)で1割程度となった(「期待はまったくない」(同0.8%、20社)と「期待はあまりない」(同12.8%、317社)の合計)。その理由として、「復興需要以外での本業不振が懸念される」を挙げた企業は337社中161社、構成比47.8%(複数回答、以下同)となり、復興需要による業績改善を期待しない企業の約半数が本業不振の影響を懸念していた。また、「コストが高く利益を出せない懸念がある」と考えている企業が同24.0%(81社)と4社に1社が高コストを理由に挙げている。一方で、「利益を考えずに復興への貢献を考えている」とする企業も同19.3%(65社)に達した。
 復興需要を見込む企業では、8割超が自社の業績改善につながることを期待している。しかしながら、期待が持てない理由として本業不振を挙げる企業も多かった。



注1:※は未回答0.7%(18社)
注2:母数は、今後、自社で復興需要が「ある(見込み含む)」と回答した企業2,479社



注:母数は、今後、自社で復興需要が「ある(見込み含む)」企業2,479社のうち、「期待はあまりない」「期待はまったくない」と回答した企業337社


今後の復興への課題、「原発事故対策」が84.6%で最多

 今後の復興にとって依然として大きな課題は何か尋ねたところ、1万713社中9,064社、構成比84.6%の企業が「原発事故対策」を挙げ、8割を超す高水準となった(複数回答、以下同)。次いで、「被災地域の経済復興政策」(同69.6%、7,451社)、「災害廃棄物の処理」(同65.8%、7,052社)、「被災者に対する雇用・失業対策」(同61.4%、6,582社)が続き、いずれも6割を超えた。
 とりわけ「災害廃棄物処理」は同様の質問を行った前回調査(2011年10月調査)から21.7ポイントの増加となったほか、「原発事故対策」も16.0ポイント増加しており、今後の復興に大きな障害になると考える企業が大幅に拡大している。
 東日本大震災からおよそ1年が経過し、復興における優先課題も変化してきた。特に、前回調査から課題としてあげる企業が大幅に増加した災害廃棄物処理や原発事故対策などでは、現状の対策が不十分であることが示唆されており、今後の復興に向けた政策課題が改めて浮き彫りとなった。



注1:以下、「被災者への金銭的補償(弔慰金、医療費など)」(28.8%、3,086社)、「被災地域の医療、教育、福祉の復興」 (27.8%、2,976社)、「持続可能な新しい地域づくり(高齢化や人口減少などへの対応)」(26.9%、2,878社)、「ソフト面での災 害に強い社会システム構築(減災・防災教育など)」(23.5%、2,518社)、「復興を支える人材の育成」(20.0%、2,144社)、「震 災に関する学術調査、災害の記録と伝承」(15.2%、1,633社)、「その他」(1.5%、156社)
注2:2012年2月調査の母数は有効回答企業1万713社。2011年10月調査は1万746社


【参考1】 自社への復興需要の有無 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万713社


【参考2】 自社への復興需要の時期(複数回答) 〜 規模・業界・地域別 〜


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は、今後、自社で復興需要が「ある(見込み含む)」と回答した企業2,479社


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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