金融円滑化法に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2012年12月特別企画 -

 

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2013年1月21日
株式会社帝国データバンク産業調査部

金融円滑化法利用企業の3社に1社が
「毎月の返済額の減額」を実施と回答

〜 5割超が同法終了後の金融機関の姿勢厳格化を懸念 〜


はじめに

 リーマン・ショック後の2009年12月から3年以上にわたり施行された「中小企業金融円滑化法」(金融円滑化法)は2013年に期限を迎える。金融担当大臣談話では終了後も金融機関のスタンスは変わらないとしているが、企業側の懸念は高い。
 帝国データバンクでは、金融円滑化法の終了と金融機関との関係に対する企業の意識について調査を実施した。なお同調査はTDB景気動向調査2012年12月調査とともに行った。調査期間は2012年12月17日〜2013年1月7日。調査対象は全国2万2,938社で、有効回答企業数は1万293社(回答率44.9%)。なお、金融円滑化法に関する調査は2009年10月、12月、2010年2月、2011年12月に続いて5回目。
 また、金融機関における金融円滑化法に関するアンケートは、経営情報誌『TDBREPORT』119号「特集金融円滑化法と再生支援の動向/地域経済動向2013」内にて実施した。
(http://www.tdb.co.jp/lineup/publish/tdbrep119.html)

調査結果(要旨)

  1. 借り入れの条件変更などを利用した企業は、7.5%に上った。
  2. 条件変更の見直し内容、3社に1社が「毎回の返済額の減額」を実施。不良債権予備軍となる「金利の減免」も14.1%が実施している。
  3. 利用企業のうち、金融機関から実際に受けた対応・支援は「特にない」が50.1%でトップ。
  4. 利用企業の半数が、同法終了後の金融機関の姿勢は、「厳しくなる」と回答。
  5. 金融機関に望む支援、「貸し付け条件の変更などへの継続対応」、「担保・保証条件の柔軟な対応」がともに4割以上となった。
  6. 2割の企業が金融円滑化法の終了により、「悪影響」をもたらすと回答。

金融円滑化法、企業の7.5%が利用

 金融円滑化法による借り入れの条件変更などを利用したことがあるかどうか尋ねたところ、1万293社中775社、構成比7.5%の企業が「利用した(現在利用している)」と回答した。
 業界別にみると『小売』(同9.0%、40社)、『製造』(同8.9%、265社)、『建設』(同8.6%、119社)などが高かった。
 利用企業からは「金融円滑化法により何とか保っている状態。経費削減や効率化を図ることで精一杯で、新しい事業などにも挑戦したいが資金がない」(情報機器小売、広島県)など資金繰りの厳しさが聞かれた一方で、利用していない企業からは、「金融円滑化法を利用している同業他社が、受注欲しさに無謀な低価格競争を仕掛けている」(鉄鋼・非鉄・鉱業、岐阜県)といった声も聞かれた。
 また、「2、3年で問題点を洗い出し、改善計画を軌道に乗せて利益を出すには無理がある。結局淘汰を先送りしただけで、今後の倒産や資産整理が気になる」(建設、長野県)など、利用による効果に疑問を呈する声も聞かれた。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万293社


条件変更の見直し内容、3社に1社が「毎月の返済額の減額」を実施、
「金利の減免」も14.1%

 金融円滑化法の利用企業775社に対して、条件変更の見直しの内容について尋ねたところ、「毎回の返済額の減額」が構成比34.1%(264社)と3社に1社で最も多かった。次いで「返済繰り延べ(1年〜3年未満)」(同19.4%、150社)、「返済繰り延べ(6カ月〜1年未満)」(同17.8%、138社)となっている。また、「金利の減免」が同14.1%(109社)に上った。そもそも、貸し出し条件の変更を実施した債権においても、基準金利が払えていれば不良債権と見なされない。半面、「金利の減免」を行っている債権は不良債権予備軍といえる。そのうえ、経営改善計画が策定されていない場合では、いよいよ不良債権と見なされる可能性が出てき、金融機関の対応が厳しくなることが想定される。
こうした企業は、経営改善計画の策定が必須となっている。



金融機関から受けた対応・支援、5割が「特にない」

 金融円滑化法の利用企業775社に対して、返済条件の変更以外に金融機関から実際に受けた対応・支援について尋ねたところ、「特にない」が構成比50.1%(388社)で最多となった。次いで「経営再建計画の策定支援」が同18.8%(146社)、「担保・保証条件の柔軟な対応」が同17.2%(133社)となっている。金融庁は同法の期限を迎えるに当たって資金繰り支援だけでなく、経営課題の解決などコンサルティング支援を充実する方針を示しているが、2012年末の段階で、5割の企業が支援を受けられていない。
 企業からは、「企業の欠点・課題については中長期的視野で改善を支援してほしい。企業の長所・強みにもっと注目し、それを伸ばす方向で全体の改善計画や経営支援を行ってほしい」(肥料卸売、茨城県)などや業界に関する知識や理解を持った支援が欲しいという声が多く、金融機関のコンサルティング支援には対応・支援数と対応能力の両面で課題が指摘されている。



金融円滑化法終了後の金融機関の姿勢、「厳しくなる」が51.6%

 金融円滑化法の利用企業775社に対して、同法終了後に再度、借入条件の変更を申し込んだ場合の金融機関の見込まれる姿勢について尋ねたところ、「厳しくなる」と回答した企業は構成比51.6%(400社)〔「大変厳しくなる」(25.2%、195社)と「やや厳しくなる」(26.5%、205社)の計〕となった。2012年12月発刊のTDBレポートにて金融機関355社に同様のアンケートを実施した際には「厳しくなる」は同7.6%にとどまっており、同法利用企業と金融機関との間で見込みに大きな乖離がみられた。
 企業からは「銀行は、すでに契約条件の変更や返済額の変更などを申し入れてきている。また、業態変更などの対応ができない場合は融資の打ち切りを示唆している」(書籍小売、大阪府)、「金融庁には中小企業擁護の姿勢はあるが、現実の金融機関の対応とはかなりの開きがある」(土木工事、福岡県)などの声が挙がった。



金融機関に望む支援、
「貸し付け条件の変更などへの継続対応」「担保・保証条件の柔軟な対応」が約4割

 金融庁は金融円滑化法終了後もこれまでと変わらない金融スタンスで対応するよう求めているが、企業にとって、同法終了後に金融機関に望む支援を尋ねたところ、「貸し付け条件の変更などへの継続対応」(構成比42.8%、4,402社)、「担保・保証条件の柔軟な対応」(同41.6%、4,280社)がともに4割以上となっている。直接的な資金面での支援が求められていることが分かる。
 一方で、「業態の変更(合併・転廃業など)の助言」(同5.6%、576社)や「海外進出支援」(同4.5%、459社)、「コンサルタントや公認会計士など外部専門家の紹介」(同3.2%、325社)など、2012年8月に施行された中小企業経営力強化支援法による包括的支援制度に関する支援については、希望度が低く、企業が金融機関等に求める支援とはやや乖離があることがわかった。


注:全企業の母数は有効回答企業1万293社、金融円滑化法 利用企業の母数は775社


金融円滑化法の終了による影響、「悪影響」が21.0%

 金融円滑化法の終了による影響を尋ねたところ、「悪影響」が構成比21.0%(2,164社)となった。同法を利用している企業は7.5%であり、企業は間接的な影響も懸念していることがうかがえる。
 企業からは、「取引先が利用していた場合、取引先の経営安定に影響が出る可能性があるので、取引先の総チェックをしている。支払遅延など、不良取引先の一掃を実施」(繊維卸売、東京都)など間接的な影響が計り知れないことによる不安を持ち、事前に対策を打つ様子もみられた。
 同法の終了を見越して、金融庁が2012年4月に公表した政策パッケージには、金融機関のコンサルティング機能の発揮や中小企業再生支援機構など、外部機関における支援を勧める方針がうたわれている。しかし、外部からの意見を経営に反映することに抵抗を示す経営者は多い。早急な企業支援への時間的猶予は少ないなか、方針決定はされているものの、支援をされる側(企業)の受け入れ態勢は整っているとはいえない状況にあり、企業は不安を抱いている。



参考表


注:母数は金融円滑化法による借入の条件変更などを「利用した(現在利用している)」と回答した775社



注:母数は金融円滑化法による借入の条件変更などを「利用した(現在利用している)」と回答した775社



注1:母数は金融円滑化法による借入の条件変更などを「利用した(現在利用している)」と回答した775社
注2:「(再掲)厳しくなる計」は「大変厳しくなる」「やや厳しくなる」の合計



注:母数は有効回答企業1万293社


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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