2013年度の賃金動向に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2013年1月特別企画 -

 

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2013年2月14日
株式会社帝国データバンク産業調査部

賃金改善を見込む企業は39.3%と微増

〜 「ベースアップ」「賞与」実施企業は3年間横ばい 〜


はじめに

 厳しい雇用・賃金環境が続くなか、安倍政権はデフレ脱却を最優先の政策課題に掲げており、賃金改善の動向が注目されている。1月11に閣議決定された「日本経済再生に向けた緊急経済対策」のなかで、企業による雇用・労働分配(給与等支給)を拡大するための税制措置についても言及された。また、29日に閣議決定された「平成25年度税制改正の大綱」では、より具体的に雇用・所得の拡大に対する税制措置が盛り込まれた。支払給与総額を増やした分の最大10%(中小企業は20%)を法人税額から控除する新制度と、雇用者数が増加した場合に増加雇用数一人あたり40万円(現行20万円)を税額控除する雇用促進税制の改正である。
 帝国データバンクは、2013年の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。なお、同調査は、TDB景気動向調査2013年1月調査とともに行った。

調査期間:2013年1月17日〜1月31日。
調査対象は全国2万2,972社で、有効回答企業数は1万461社(回答率45.5%)。
なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で8回目。
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
(http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載した。

調査結果(要旨)

  1. 2013年度の賃金改善を「ある」と見込む企業は39.3%。前年度見込みを1.8ポイント上回る にとどまった。
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベア32.0%、賞与(一時金)21.0%。2011年度見込み以降、実施企業の割合は3年間ほぼ横ばい。
  3. 賃金を改善する理由は、「労働力の定着・確保」が最多。「業績拡大」も5割超となった。改善しない理由は、「自社の業績低迷」が最多。
  4. 雇用・所得拡大へ向けての税制措置、給与へ「影響を与える」企業が23.6%と少ない。

1. 2013年度の賃金改善企業は39.3%

 2013年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、 一時金の引き上げ)が「ある(見込みを含む)」と回答した企業は、1万461社中4,109社、構成比39.3%となり、前回調査(2012年1月度)における2012年度見込みの同37.5%を1.8ポイン ト上回るにとどまった。また、「ない(見込み含む)」と回答した企業は同32.3%と前回調査(同35.1%)を下回った。
 「ある(見込み含む)」を地域別にみると、「東北」(同42.4%、258社)、「近畿」(同41.6%、723社)、「南関東」(同40.0%、1,370社)が4割台にのぼった。「東北」では復興需要によるところが大きく、「ある程度アップしなければ、技能者不足により同業他社に移られる」(一般土木建 築工事、東北)と人手不足を要因として挙げる声も聞かれた。
 業界別では、『卸売』(同41.6%、1,339社)と『サービス』(同41.6%、620社)が4割を超えた。『建設』(同37.8%、540社)は全体を下回っているものの、前回調査を8.2ポイント上回った。
企業からは「昨年は業績が悪く、厳しい賞与となった。今年は少し戻す予定」(専門サービス、南関東)と、厳しいながらも改善を見込む声がある一方で、「景気は好感触だが、実体経済が確実によくなってない状況では、賃金改善は当面横ばいで考えざるをえない」(ビルメンテナンス、北陸)など慎重な意見も多くみられた。
 今後の景気回復期待は高まっているものの、業績の回復には至っておらず、2013年度の賃金動向に力強い回復はみられない。


注:2011年1月調査の母数は有効回答企業1万1,017社 2012年1月調査の母数は有効回答企業1万665社 2013年1月調査の母数は有効回答企業1万461社

注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万461社

2. 賃金改善の具体的内容、ベア実施企業が32.0%、賞与(一時金)は21.0%

 2013年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が1万461社中3,348社、構成比32.0%となり、「賞与(一時金)」は同21.0%(2,194社)となった。前回調査(2012年度見込み)と比べると、それぞれ1.2ポイント、0.5ポイントの上昇にとどまった。
 リーマン・ショック前の2008年度見込みでは「ベースアップ」が同40.0%、「賞与(一時金)」が同22.1%あったが、リーマン・ショック後の大幅な落ち込みのあと、2011年度見込み以降は3年間ほぼ横ばいで推移している。


注:2011年度見込みは2011年1月調査。母数は有効回答企業1万1,017社
2012年度見込みは2012年1月調査。母数は有効回答企業1万665社
2013年度見込みは2013年1月調査。母数は有効回答企業1万461社

3. 賃金を改善する理由、「労働力の定着・確保」が最多、「業績拡大」も5割超
に改善しない理由では「自社の業績低迷」が最多

 賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「労働力の定着・確保」で4,109社中2,399社、構成比58.4%(複数回答、以下同)。次いで「自社の業績拡大」(同51.0%、2,095社)となり、ともに5割を超えた。インフレ目標の導入を受けて、「物価動向」(同12.1%、499社)は、前回調査(同7.3%)から4.8ポイント上昇した。
 他方、賃金改善が「ない」理由では、「自社の業績低迷」が3,375社中2,257社、構成比 66.9%(複数回答、以下同)と5年ぶりに7割を下回った。規模別では、「大企業」の同59.4%(443社)に対し、「中小企業」(同69.0%、1,814社)、うち「小規模企業」(同70.5%、685社)が約7割となり、約10ポイントの開きがあった。5位の「人的投資の増強」(同14.8%、501社)は、前回調査(同12.6%)から2.2ポイント上昇しており、3年連続で上昇している。(参考表2、3参照)


注:2011年度見込みは2011年1月調査、2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査。
母数は賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業、2011年度4,131社、2012年度4,002社、2013年度4,109社

注:2011年度見込みは2011年1月調査、2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査。
母数は賃金改善が「ない(見込み)」と回答した企業、2011年度3,942社、2012年度3,741社、2013年度3,375社

4. 雇用・所得拡大へ向けての税制措置、給与へ「影響を与える」企業が23.6%

 1月29日に閣議決定した「税制改正の大綱」に盛り込まれた雇用・所得の拡大へ向けての税制措置が、企業の給与や雇用者数の増減決定に影響を与えるかどうか尋ねたところ、『給与』への「影響を与える」企業は1万461社中2,474社、構成比23.6%となった。また『雇用』では同18.2%(1,907社)が「影響を与える」と回答している。
 また、同措置が『給与』への「影響を与える」とした企業の同57.0%は、2013年度の賃金改善が「ある」と見込んでいることも分かった。企業からは「今まで給与・賞与を改善しても、会社負担が増すだけだったが、この税制措置は中小企業の負担が軽減され、好意的に働く」(機械器具卸売、四国)と政策による後押しを歓迎する声も聞かれた。
 一方で、「税制措置が実施されても景気回復がなければ、雇用も賃上げもできず、利益がなければ税金も払えない」(陸運、北関東)や「企業は世界経済の状況や先行き不安から内部留保に回すため、賃金の改善は期待できない」(鉱業製品卸売、中国)など、賃金改善を厳しくみる意見も多かった。


注:母数は有効回答企業1万461社

注:母数は有効回答企業1万461社

 リーマン・ショックにより大幅に縮小した賃金改善を見込む企業の割合は、緩やかながら回復していたが、2011年以降は伸び悩んでいる。ベアや賞与(一時金)を実施する企業が、増えておらず、利益を上げている企業の内部留保や、業績の停滞などが浮き彫りとなっている。「平成25年4月からの改正高年齢者雇用安定法も含め、賃金体制をどうするか検討中」(機械製造、近畿)など、2013年度は高齢者雇用に関しても考慮する必要があり、企業の業績回復が進んでいないなか、賃金改善に向かう土壌が整っているとは言い難い。
 新政権による景気対策への期待が高まってはいるが、足元の景気回復こそ、賃金改善に欠かせ ない要素である。実体経済を活発化させ、企業が自発的に賃金を改善できる経済状況にもっていくことが急務となっている。

参考表

【参考1】賃金改善の具体的内容(正社員)

注:2011年度見込みは2011年1月調査。母数は有効回答企業1万1,017社
2012年度見込みは2012年1月調査。母数は有効回答企業1万665社
2013年度見込みは2013年1月調査。母数は有効回答企業1万461社

【参考2】2013年度に賃金を改善する理由(複数回答)

注:2011年度見込みは2011年1月調査。2012年度見込みは2012年1月調査。2013年度見込みは2013年1月調査。
母数は賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業。2011年度4,131社、2012年度4,002社、2013年度4,109社

【参考3】2013年度に賃金を改善しない理由(複数回答)

注:2011年度見込みは2011年1月調査、2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査。
母数は賃金改善が「ない(見込み)」と回答した企業、2011年度3,942社、2012年度3,741社、2013年度3,375社

【参考4】税制措置による給与・雇用への影響

注:母数は有効回答企業1万461社

調査先企業の属性

1) 調査対象(2万2,972社、有効回答企業1万461社、回答率45.5%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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