電気料金値上げに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2013年4月特別企画 -

 

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2013年5月16日
株式会社帝国データバンク産業調査部

電気料金値上げ、企業の6割が業績に「悪影響」

〜 企業の46.1%が値上げ分を価格にまったく転嫁せず 〜


はじめに

 東日本大震災以後の原子力発電所の停止による原価の上昇で、一部の電力会社では法人向け、個人向けの値上げが申請・承認されており、今後、電気料金の値上げが行われる予定となっている。同時に、円安による化石燃料価格上昇に対する燃料費調整制度や、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度により電気料金に上乗せする賦課金などで、5月の家庭向け電気料金はすべての電力会社で4月より平均して月67〜221円の値上げが実施されている。
 このような背景を踏まえ、帝国データバンクは、電気料金の値上げが自社の業績に与える影響について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2013年4月調査とともに行った。

調査期間:2013年4月17日〜4月30日。
調査対象は全国2万2,755社で、有効回答企業数は1万244社(回答率45.0%)。
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
(http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 電気料金値上げで自社の業績に「悪影響」とする企業は59.8%。『農・林・水産』と『製造』が7割を超えた一方、『サービス』は4割台にとどまり、業界間でのバラツキが大きい。
  2. 業績に「好影響」と考える企業は1.7%で、省エネビジネス関連の需要増を見込む。
  3. 電気料金値上げで影響を受ける企業の7割が「既存設備での節電を実施」で対応。10.2%が「電力会社との契約内容の見直し」。
  4. 電気料金値上げ分の価格転嫁では、企業の46.1%が「まったく転嫁しない」と回答。コスト上昇分を自社の収益で吸収すると考えている企業が半数近くに達する。一方で、ほぼ全額転嫁する企業は2.4%にとどまる。

1. 電気料金値上げによる業績への影響、企業の6割が「悪影響」

 電気料金の値上げにより自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、悪影響と考えている企業(「かなり悪影響」「悪影響」「やや悪影響」の合計)は1万244社中6,130社、構成比59.8%にのぼった。とりわけ、『農・林・水産』(78.0%)や『製造』(77.0%)、『小売』(65.2%)、『運輸・倉庫』(60.5%)が高かった。一方で、『サービス』(49.8%)が4割台にとどまるなど、電気料金値上げによる影響は業界間でのバラツキが大きい。
 具体的には、「生産設備に大量の電気を使用しているため今回の値上げは経営の根幹を揺るがす事態」(鉄鋼・非鉄・鉱業、福島県)といった意見もみられるように、工場などの生産設備や食品管理等に必要となる保冷・保温施設、大規模店舗での空調・照明など、多くの電力消費をともなう業界ほど値上げの影響を認識している様子がうかがえる。「電気料金は経費総額の10%を超えることから、値上がりは事業の存続にも影響」(農・林・水産、北海道)や「業務の性質上、夏場の エアコンは24時間フル稼働をしなければ商品管理に支障が出る」(飲食料品卸売、福岡県)など、事業の性質上電力使用量の削減が難しく、コスト増が経営環境を悪化させることを懸念する企業が非常に多かった。
 一方、好影響と考えている企業(「かなり好影響」「好影響」「やや好影響」の合計)は、「省エネビジネスには電気料金のアップは好材料」(建材・家具卸売、岡山県)や「太陽光発電設備など、自然エネルギー関係の需要が増加する」(建設、香川県)といった、省エネ関連の需要増を見込む意見が挙げられたものの、1.7%にとどまった。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万244社。


2. 対応策、「既存設備での節電を実施」が最多、電力会社との契約見直しは約1割

 電気料金の値上げが業績に対して影響があると回答した企業6,639社に対して、どのような対策を行うか尋ねたところ、「既存設備での節電を実施」が67.4%(複数回答、以下同)で最多となった。次いで、「設備や照明などを省エネ型に更新」(40.8%、第2位)、「人件費以外のコスト削減」(29.3%、第3位)、「現在、対策を検討中」(11.6%、第4位)、「人件費の削減」(9.0%、第6位)などが上位にあがった。また、「電力会社との契約内容の見直し」は10.2%で第5位となり、1割の企業が電力会社との新たな契約を考えていた。
 企業からは、「ソーラーパネルを設置して売電する」(機械・器具卸売、東京都)や「デマンドコントロールにより使用量を抑制」(飲食料品・飼料製造、山口県)といった声が挙がった。しかし、「既に節電対策は行っており、新たな手段を講じるのは難しい」(医療・福祉・保健衛生、千葉県)や「ほとんど対策が立てられない状況」(一般貨物自動車運送、東京都)など、自力での対策に困難を感じている企業も多い。


注1:以下、「生産・営業活動の縮小・抑制」(3.5%、234社)、「設備投資や研究開発 活動の縮小・抑制」(2.9%、191社)、「その他」(2.4%、158社)、「海外への事業 拠点の移転・生産シフト」(2.2%、144社)、「国内他地域への事業拠点の移転・生産シフト」(0.5%、33社)
注2:母数は電気料金の値上げが業績に対して影響が「ある」と回答した企業6,639社

3. 電気料金値上げ分の価格転嫁、企業の46.1%が「まったく転嫁しない」

 電気料金が値上げされた際、値上げ分を自社の商品・サービスの販売価格・利用料金にどの程度転嫁するか尋ねたところ、「まったく転嫁しない」が1万244社中4,723社、構成比46.1%で最多となり、半数近くの企業がコスト上昇分の価格転嫁を考えていなかった。また、「ほぼ全額転嫁する」は2.4%にとどまり、多くの企業でコストアップを自社で吸収する予定であることが明らかとなった。
 背景には、「製造経費の上昇による値上げは認められないのが現状」(飲食料品・飼料製造、北海道)や「価格競争が厳しく転嫁できる状況にない」(鉄鋼・非鉄・鉱業、東京都)とあるように、依然として厳しい価格競争のなかでは、価格転嫁できる市場環境になっていないことが挙げられる。このほか、「原価に占める電気料金の比率が低い」(医療・福祉・保健衛生、大阪府)など、建設や金融などを含めてそもそも電気料金が経費に占める割合は低いため値上げをする必要がな いという見方や、売り上げ拡大を図ることで吸収する方が効率的という意見もみられた。一方、ほぼ全額転嫁する企業からは、「地域全体で電気料金が上昇するので、同条件となり可能」(鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売、新潟県)などの声が挙がった。


注1:※は「分からない」(17.6%、1,800社)
注2:「ほぼ全額転嫁する」は80%以上、「半分程度」は50%以上80%未満、
「半分未満」は20%以上50%未満、「ほとんど転嫁しない」は1%以上20%未満を示す
注3:母数は有効回答企業1万244社


まとめ

 円安や燃料価格上昇、原発の稼働停止、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度など、電気料金は値上げ要因が重なっており、多くの企業にコスト上昇をもたらす。電力は企業活動に欠かせないインフラであり、企業の6割で業績に悪影響があると考えている現状では、今後の景気への影響は無視できない大きさといえよう。特に、生産設備や保冷・保温施設、空調・照明など電力を大量に使用する『農・林・水産』『製造』『小売』『運輸・倉庫』業界で影響が大きく、電気料金の値上げが与える影響は業界間で大きく異なる。
 また、電気料金値上げで影響を受ける企業がとる対策は7割近くが節電を実施するというものであった。コスト削減の方策を模索するなかでも、設備を省エネ型に更新する企業も多い。電力会社との契約見直しを考えている企業も1割を超えており、電力供給企業との関係見直しを視野に入れた対応も検討されている。
 依然として値下げ要請が続いている厳しい市場環境のなかで、電気料金値上げによるコスト上昇を販売価格等に転嫁できず、自らの利益の一部を犠牲にすることで吸収するという企業も多い。
 企業が事業を行ううえで不可欠となるインフラ部分のコスト上昇は、今後の企業活動を抑制する要因となる可能性は高く、アベノミクスにおける成長戦略の早期実施による市場環境の改善が求められる。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万2,755社、有効回答企業1万244社、回答率45.0%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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