女性登用に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2013年7月特別企画 -

 

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2013年8月14日
株式会社帝国データバンク産業調査部

女性管理職割合、企業の約8割が「10%未満」

〜 企業の約2割が、今後女性管理職の増加を見込む 〜


はじめに

 少子高齢化が進み、生産年齢人口が減少しているなか、労働力の確保が経済成長の大きな課題となっている。そのため、労働力としての女性に注目が高まっており、出産・子育て等による離職者の減少とともに、指導的地位に占める女性の割合の増加を図り、十分に活躍できるようにすることが成長戦略などでも掲げられている。
 このような背景を踏まえ、帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2013年7月調査とともに行った。

調査期間:2013年7月19日〜7月31日
調査対象は全国2万3,226社で、有効回答企業数は1万395社(回答率44.8%)
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 女性の従業員割合が「30%未満」の企業は66.3%。一方、管理職で女性が占める割合は「10%未満」が8割を超える。
  2. 過去5年間で、女性管理職割合が増えた企業は16.8%。今後、企業の22.0%が自社の女性管理
    職が増えると見込んでいる。
  3. 企業の活力向上のための行動指針(ポジティブ・アクション)について、企業の4割超が「意
    欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」している。さらに、「女性用のトイレ・休憩室・更衣室などの設備の充実」(39.7%)、「性別に関係なく、能力主義的な人事管理の徹底や人事考課基準の制度化」(38.9%)を行っている企業も多い。
  4. 従業員の仕事と子育ての両立を図るための計画(一般事業主行動計画)を策定し、認定をうけている企業は6.0%にとどまる。

1. 女性従業員割合、「30%未満」の企業が全体の66.3%

 自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、「10%以上30%未満」と回答した企業は1
万395社中4,455社、構成比42.9%で最多となった。さらに、「10%未満」が20.9%、「30%以上50%未満」が19.2%で続いた。「0%(全員男性)」(2.5%)を合わせると、女性従業員割合が「30%未満」の企業が66.3%となった。
 女性従業員割合を規模別にみると、「30%未満」は「中小企業」が64.5%に対して、「大企業」が72.3%となっており、従業員の女性割合は大企業の方が低いことが明らかとなった。ただし、「0%(全員男性)」は中小企業の方が多かった。
 また、「30%未満」を業界別にみると、『建設』(91.7%)と『運輸・倉庫』(82.2%)が突出して高い。他方、「50%以上」(「100%(全員女性)」、「70%以上」、「50%以上70%未満」の合計)では、『小売』(39.8%)は4割近くに達しており、各業界の特性が顕著に現れる結果となった。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万395社


2. 女性管理職割合、企業の8割超が「10%未満」

 自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合を尋ねたところ、「0%(全員男性)」が47.6%で最多となった。さらに、「5%未満」(23.9%)、「5%以上10%未満」(9.6%)が続き、これらを合わせると、女性管理職が「10%未満」の企業は81.1%にのぼった。
 特に、「10%未満」を規模別にみると、「中小企業」が78.8%だったのに対して、「大企業」が88.7%と10ポイント近く高く、大企業における女性登用の割合が低い結果となった。ただし、「0%(全員男性)」では「中小企業」のほうが多かった(「大企業」40.2%、「中小企業」49.9%)。
 業界別では、『農・林・水産』が97.3%で最も高く、『運輸・倉庫』(88.7%)、『建設』(85.8%)、『製造』(85.3%)が続いた。企業の約4割で女性従業員割合が半数を超えていた『小売』においても、女性管理職割合が「10%未満」の企業は67.8%と3社に2社にのぼっている。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万395社


企業の意見(女性の管理職登用について)
  • すべては能力を出してくれるかにかかっている。女性従業員/女性管理職の活用も、労務管理の固定概念にこだわらず、実効的に、按配よく運用するように心がけている(産業用機器卸売、兵庫県)
  • 管理職は0人だが取締役の60%は女性。中小企業だと管理職で育児休暇を取られた場合補充ができない、もしくは復帰後のポストを空けるのに既存の者の降格が必要になり現実的には難しい。労働市場が流動化すれば可能だが、雇用の不安定性にもつながりどちらが良いとはいえない(清酒製造、兵庫県)
  • 管理職採用を積極的に導入している。ただし、男性社員の見る目が統一できておらず、受け入れ教育を進める(無線通信機器製造、栃木県)
  • 基本的に女性、男性といった考え方は一切なく、適した人材が適した部内へ配属され処遇されている(各種商品小売、茨城県)
  • 結婚を機に退職する女子社員が多く、社員教育のための投資が無駄になるケースを幾度となく経験したため、定着率が高い男性社員の登用が優先されがちになっている(医療用機械器具卸売、千葉県)
  • 業界的に難しい面はあるものの、発想の転換も含め、視野をこれまで以上に広げ女性にとって活躍の場を広げる企業努力が必要。また、管理職登用に向けた具体的なキャリアパスづくりも必要と考える(一般貨物自動車運送、東京都)
  • 女性がどのように働きたいのかを確認し、それに沿った方向で女性のパワーを活用すべき。一律に方向付けをすることは、雇用主・勤労女性の双方にとって不幸な事態となる(自動車部分品製造、埼玉県)
  • 女性従業員、管理職などへの積極登用は当社の基本方針の一角となっている。性別に関係なく優秀な人を管理職にしていく(配管工事附属品製造、宮城県)
  • 女性従業員を登用したいが、株主の反対で不可能な状況(化学製品卸売、東京都)
  • 登用の必要性は感じるが、トラブルの解決法が複雑になり、方策が見当たらない(機械同部品製造修理、岡山県)
  • 当社の扱っている製品は主に女性が対象なので、売る方も女性目線を大切にし、これからさらに女性登用(管理職含め)を積極的に図っていきたい(家庭用電気機器卸売、東京都)
  • 女性社員の定着率は男性と比べて低く、女性の管理職誕生は悲願でもあるので、重要課題として取り組んでいく(ソフト受託開発、東京都)
  • 管理職となると業務がきつくなる部署で働いている女性の場合、能力があっても管理職登用を拒否している事例が増えている(損害保険、東京都)
  • 零細企業では、「育児休暇」をとる人を「登用し活用する」のは現実的に難しい(製缶板金業、兵庫県)

3. 女性管理職、過去5年間で増加した企業は16.8%、今後増加を見込む企業が22.0%

 自社の女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、割合が「増加した」と回答した企業は1万395社中1,748社、構成比16.8%にとどまった。逆に「減少した」企業は4.3%であった。しかしながら、「変わらない」とする企業が72.1%と多数を占めており、7割以上の企業は過去5年間で女性の管理職登用に変化はなかった。
 他方、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、割合が「増加する」と回答した企業は22.0%となり、5社に1社が女性管理職の割合が増えると見込んでいる。また、「減少する」(1.0%)、「変わらない」(59.7%)は過去5年間の結果と比較するといずれも減少している。企業の約6割は、女性管理職の割合は変わらないとみているものの、女性の管理職登用については、概ね拡大していくと考えている様子がうかがえる。
 今後「増加する」と考えている企業を規模別にみると、「大企業」が29.2%と「中小企業」
(19.8%)より9.4ポイント高く、現在、女性の管理職登用があまり芳しくない大企業において
も、将来的に女性の管理職登用が進んでいくことが示唆される。


注:母数は有効回答企業1万395社


4. ポジティブ・アクション、「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」が4割超で最多

 企業の活力向上のため、職場内で男女を均等に扱う行動指針としてポジティブ・アクション※1の取り組みが必要とされている。そこで、現在の自社におけるポジティブ・アクションの取り組み状況について尋ねたところ、「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」が1万395社中4,475社、構成比43.0%(複数回答、以下同)で最多となった。さらに、「女性用のトイレ・休憩室・更衣室などの設備の充実」(39.7%)、「性別に関係なく、能力主義的な人事管理の徹底や人事考課基準の制度化」(38.9%)、「男女間の賃金格差解消に向けた賃金管理や雇用管理の改善」(30.3%)が上位に挙げられ、いずれも3割を超えた。


注1:以下、「女性の能力活用に関する担当者の設置など、推進体制の整備」(10.4%、1,082社)
「女性管理職の登用目標を策定」(7.9%、826社)、「男性の育児休暇取得率を向上」(6.9%、717社)
「その他」(3.2%、329社)
注2:母数は有効回答企業1万395社


※1 ポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それを解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取り組み を指す。単に女性というだけで女性を「優遇」するものではなく、これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが原因で、女性が男性よりも能力を発揮しにくい環境におかれている場合に、こう した状況を是正するためのもの。


企業の意見(ポジティブ・アクションの取り組み状況について)
  • まだまだ中小企業はすべてにおいて整備していかなければならない(一般貨物自動車運送、宮城県)
  • 課長以上の女性管理職は役員以外にはいないが、小集団のサブリーダーとしてのポジションには数10%おいている。彼女たちの成長次第では管理職もあり得るが、結婚等による退社等のリスクは男性より高いと考える(食料品製造、岐阜県)
  • 待遇面において制度上、性差は設けていない(弁・同附属品製造、東京都)
  • 仕事と家庭を両立させるために有給休暇の時間休を取り入れ、学校行事等に参加している(農業協同組合、石川県)
  • 女性、男性にかかわらず、可能なかぎり本人の希望に沿って職種や配置を決めている(日用雑貨品卸売、愛知県)
  • 女性だけの店舗や女性だけの部署の立ち上げを検討中(不動産代理・仲介、福岡県)
  • 女性の育児休暇取得率向上と職場復帰支援(建設機械器具賃貸、埼玉県)
  • 昇格や役職登用においては意欲・能力・実績で審査しており、同期入社でも女性が選抜で最初に昇進するケースもある(化粧品等製造、大阪府)
  • 性別による差は行っていないが、地域柄、結婚や出産にともない退職してしまうケースが多く、復職しても家庭の事情により管理職を嫌う傾向が強い(ガソリンスタンド、山形県)

5. 一般事業主行動計画への取り組み、計画を策定している企業は6.0%にとどまる

 従業員の仕事と子育ての両立を図るために策定する計画(一般事業主行動計画※2)について、自社でどのように取り組んでいるか尋ねたところ、「制度を知らなかった」が1万395社中2,429社、構成比23.4%で最多となった。企業の4社に1社は制度自体を認識しておらず、周知が進んでいないことが明らかとなった。また、「計画を策定する予定はない」(22.3%)も2割を超えている。
 他方、「計画を策定し、認定をうけている」企業は6.0%であり、「現在、計画を策定している」(5.0%)、「計画の策定を検討中」(16.9%)を合わせると企業の27.9%は同計画への取り組みを進めている。規模別では、「中小企業」よりも取り組みが進んでいる「大企業」でさえも44.4%にとどまる。


注:網掛けは、全体平均以上を表す。母数は有効回答企業1万395社


※2 一般事業主行動計画とは、次世代育成支援対策基本法に基づき、常時雇用する従業員が101人以上の企業には、行動計画を策定し、一般への公表、従業員への周知、都道府県労働局への届出を行うこ とが義務付けられている。また、常時雇用する従業員が100人以下の企業には、努力義務が課せられている。一定の要件を満たした場合、都道府県労働局へ申請することによって、次世代法に基づく「子 育てサポート企業」として認定される(くるみんマークの認定)。認定された企業には、税制優遇制度などがある。


まとめ

 1986年に男女雇用機会均等法が施行されてから四半世紀以上が経過したが、日本企業の女性登用は欧米と比較して低い状況が続いている。その背景として、結婚や出産・子育てにより離職する女性が多いことがしばしば指摘されるが、国際通貨基金(IMF)のレポート「ファイナンス&ディベロップメント」(2012年10月)では、女性の管理職が低い要因として、女性の低い労働参加率のみならず、女性がキャリアコースの職につく意欲をそぐノンキャリアコースシステムの存在を指摘している。例えば、多様な働き方への対応として勤務地・職種・勤務時間等を限定して就業するコース別雇用管理制度は大企業ほど導入割合が高いことが挙げられる(厚生労働省「平成22年変化する賃金・雇用制度の下における男女間賃金格差に関する研究会報告書」)。安倍内閣による「日本再興戦略」(成長戦略)では、雇用制度改革・人事力の強化の1つとして、女性の活躍推進を掲げ、指導的地位に占める女性割合の増加を図り、女性の役員や管理職への登用拡大に向けた働きかけを行うことが明記された。
 そのようななか、課長職以上の女性管理職割合が8割を超える企業は「10%未満」となっており、現状では管理職への女性登用が進んでいないことが明らかとなった。しかし、少しずつではあるが、女性登用が進んでいることも確かであり、5年前と比較して企業の約17%で女性管理職割合が高まり、今後は企業の約22%が自社の女性管理職の増加を見込み、特に大企業ほど増加すると考えている。
 一方で、人員に余裕を持てない中小企業からは「男女の別なく能力のある従業員を求めている」(酒類製造、福岡県)とあるように、有能な女性を求めている中小企業は多い。また、「育児休暇の取得については、部署の協力が不可欠であるが、女性が多い職場ほど協力が得られにくい状況」(建築工事、大阪府)や「待機児童の問題が大きい。結果的に1年半以上、会社から離れることになり、技術革新の激しい当業界で復帰するのが大変ではないかと危惧している」(ソフト受託開発、東京都)といった、従業員の意識や環境整備の不十分さが女性登用を阻害していることを指摘する意見もある。企業が制度整備を行い、組織の活性化や女性の視点をいかすために積極的に登用するだけでなく、政治や行政により女性が働きやすい労働環境や制度を整え、男性・女性従業員の双方がともに働き方に対する意識改革を進めていくことなど、社会が一体となって解決策を見出す必要がある


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万3,226社、有効回答企業1万395社、回答率44.8%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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