2020年東京五輪に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2013年10月特別企画 -

 

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2013年11月14日
株式会社帝国データバンク産業調査部

東京五輪、企業の1/3が自社業績に「プラス」

〜 五輪開催までに解決すべき課題、「原発事故処理」が突出 〜


はじめに

 2013年9月8日(日本時間)、2020年夏季オリンピック・パラリンピックの東京開催が決定し
た。アベノミクスの第四の矢ともいわれ、今後の日本経済を活性化させる起爆剤としての五輪特
需も期待されているが、一方では、東京一極集中の拡大や他地域への経済的影響などを不安視す
る声もある。
 このようななか、帝国データバンクは、2020年の東京五輪に対する企業の見解について調査を
実施した。本調査は、TDB景気動向調査2013年10月調査とともに行った。

調査期間:2013年10月21日〜31日
調査対象は全国2万2,766社で、有効回答企業数は1万769社(回答率47.3%)
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2020年の東京五輪開催は企業の76.0%が日本経済に特需をもたらすと回答。企業規模、業界、地域にかかわらず多くの企業が東京五輪特需に期待を示す。
  2. 企業の33.4%が東京五輪は自社の業績に「プラスの影響」を与えると認識。「大企業」ほど高く、「人材派遣・紹介」「旅館・ホテル」「放送業」「リース・賃貸」「広告関連」などの『サービス』で特に高い。また、地域では、東京を中心とする『南関東』をはじめ、『近畿』『北関東』も3割を超えた。
  3. 東京五輪開催が日本経済を押し上げるために解決すべき課題として、「原発事故処理」が 77.0%で突出して高く、「震災被災地の復興」「公共インフラ整備の加速」「東京五輪終了後の ビジョン作成」が続いた。
  4. 企業の64.9%が日本経済の持続的成長のために東京五輪の開催は「有効」と回答。企業規模や 業界、地域で大きな違いはなく、幅広い企業が持続的経済成長に対して五輪開催を積極的に評 価。

1. 日本経済への東京五輪特需、企業の76.0%が見込む

 日本経済全体でみたとき、2020年東京五輪特需への期待の有無を尋ねたところ、「ある」と回答した企業が1 万769社中8,183社、構成比76.0%となり、4社に3社が日本経済に特需があると考えていた。他方、「ない」は8.8%で1割未満となった。
 「ある」と回答した企業は、「東京」の企業が8割を超えているほか、全規模、全10 業界、全10地域でもすべて7割を超えており、多くの企業が東京五輪特需に期待を示している。
 企業からは、「建設業界の特需は予想できる」(建設、東京都)や「五輪特需というよりも、これにともなった周辺整備に期待したい」(土木建築サービス、大阪府)、「東京五輪はあくまで短期的な経済効果をもたらす特需として認識し、日本にとって本当に経済成長させるべきものは何か議論すべき」(医療用機械器具製造、東京都)といった声が挙がった。他方、特需が「ない」とする企業からは、「一時的な特需が出たとしても、その後の急速な冷え込みは過去にも経験している」(特殊産業用機器卸売、東京都)や「一過性の特需であり、五輪が終われば特需も終わる」(婦人・子供服卸売、愛知県)など、五輪後を懸念する意見がみられた。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万769社


2. 自社業績に対して企業の33.4%が「プラスの影響」があると回答

 2020年に東京五輪が開催されることで、自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、「影響はない」が39.1%で最も高かった。他方、「プラスの影響」があるとした企業も33.4%となり、3社に1社が自社業績に好影響と見込んでいることが明らかとなった。逆に、「マイナスの影響」は4.3%にとどまった。
 「プラスの影響」を規模別にみると、「大企業」(39.0%)が「中小企業」(31.7%)を7.3ポイント上回り、大企業ほど業績への影響に期待している様子がうかがえる。
 業界別では、『サービス』(36.3%)が最も高く、『製造』(34.3%)、『卸売』(34.2%)、『建設』(33.9%)、『運輸・倉庫』(32.3%)が同程度の割合で続いた。さらに、業種別でみると、「人材派遣・紹介」が49.2%で第1位となり、以下、「旅館・ホテル」(47.4%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(46.2%)、「放送業」(44.4%)、「リース・賃貸」(44.0%)、「その他サービス」(43.5%)、「広告関連」(43.2%)、「鉄鋼・非鉄・鉱業」(42.4%)、「その他製造」(41.1%)、「専門サービス」(41.1%)が上位10業種となり、いずれも4割を超えた。そのうち、サービス業が7業種を占めており、『サービス』業界での期待の高さがうかがえる。
 また、地域別では、『南関東』(45.2%)が唯一4割を超え、以下『近畿』(34.9%)、『北関東』(31.8%)が続いた。さらに、都道府県別でみると、「千葉」が47.3%で第1位となり、以下、「東京」(47.1%)、「神奈川」(40.0%)、「大阪」(38.5%)、「埼玉」(38.0%)と続き、『南関東』の一都三県がいずれも5位以内となった。また、「群馬」(37.3%)や「栃木」(34.2%)の『北関東』のほか、『四国』の「徳島」(36.8%)と「高知」(34.1%)が第7位と第9位となった。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万769社


企業の意見(2020年東京五輪開催による自社業績への影響について)

<プラスの影響>

  • 1964年の東京五輪では建設だけでなく、都市開発や生活習慣などいろいろな変化があった。2020年においてもまだ予想されていないさまざまなプラス効果が出てくると思う(一般機械器具卸売、福岡県)
  • 目標を掲げ、それに進む力が事業のすそ野を大きく広げ、日本の活力としてまとまることを期待(建設用金属製品製造、東京都)
  • LED照明設備の設置が競技関係施設や公共インフラの整備等で増加していく(産業用電気機器卸売、山梨県)
  • いい影響がありそうな分野へシフトし、そのためのビジネスモデル再構築を検討する(金属表面処理、東京都)
  • 東京五輪のキーワードのひとつである“おもてなし”にユニフォームは不可欠であると考えるため、特需の期待は大きい(事務・運動服等製造、神奈川県)
  • 公式スポンサーを筆頭に、さまざまな派生商品、サービス等の告知宣伝が増えて、日本の広告費全体が大きく成長すると想定される(広告代理、大阪府)
  • オリンピック関連のシステム開発が増え、IT業界にもプラス(ソフト受託開発、東京都)
  • カメラなど需要が喚起され売上拡大につながる(アルミ・同合金圧延、埼玉県)
  • ゴルフもリオデジャネイロ五輪から正式種目になり、今まで以上にゴルフというスポーツのイメージが富裕層向けから一般スポーツに変化し、ジュニアゴルファーなどの需要や、シニアでも健康志向と繋がって効果があるのではと考える(スポーツ用品小売、広島県)
  • サッカーなどは東北、北海道で行われる予定など、北海道に特需の期待は大きいものがある(飲食料品卸売、北海道)
  • スポーツ用品メーカーから、販促関連商品の案件の話をいただくようになってきている(樹脂フィルム製造、香川県)
  • ホテルの稼働率が上がり、飲食店も活性化が期待される(飲食料品卸売、東京都)
  • 扱い品目はそれほど必需品ではないが、雰囲気的に明るいムードになり、弊社扱いのインテリア木工、寝具あたりは良い影響を受けそう(寝具類卸売、兵庫県)
  • 海外からの観光客が東京を拠点に、関西地区にも来ることが予想される(家庭用電気機器卸売、京都府)
  • 開催国の認知拡大による、海外客の増加が見込まれる。また、開催が夏季であり冷涼な気候の北海道への関心が高まる(一般食堂、北海道)
  • 建設業界向けの人材派遣ニーズの増加により、建設業界以外での人材不足が想定され、各人材会社への照会、配属実施依頼が増加すると見込む(人材派遣・紹介、東京都)
  • 選手団の先乗りトレーニング宿泊に期待(旅館・ホテル、沖縄県)
  • 海外からの観光客の増加が予想され、受け入れ施設の改良・新設が進むと思われる。これに伴いトイレの増設・トイレの環境の改善に向けた動きが活発化する(環境衛生用品レンタル、東京都)
  • 首都圏の設備投資活発化に伴う、物流の増加に期待(内航船舶貸渡、高知県)
  • 安心な品質の日本製品のアピールに繋がる(ソフト受託開発、滋賀県)

<マイナスの影響>

  • 地方における建設業は、資材の高騰、技術者・技能者不足がより一層懸念される(建設、福井県)
  • 五輪開催中は観光客が東京に向かい、地方における観光客の減少が見込まれる(飲食料品小売、香川県)
  • 復興が疎かになることが懸念される。職人不足が深刻になると思われる(建設、福島県)
  • 五輪期間が近くなると、東京への交通費、宿泊費とも高価になり、予約も取りづらくなるため、地方から東京に出張で仕事に行く場合、大きな負担になる(ソフト受託開発、北海道)
  • 開催地近辺に事業所があり、物流機能の混乱が予想される(鉄鋼・同加工品卸売、東京都)
  • 道路の交通規制、混雑等により、トラックでの集配送業務に不安がある(一般貨物自動車運送、東京都)

3. 解決すべき課題、「原発事故処理」が77.0%で最多。「震災被災地の復興」も半数超に

 2020年の東京五輪開催が日本経済を押し上げるために、どのような課題を解決すべきか尋ねたところ、「原発事故処理」が77.0%(複数回答、以下同)で突出しており、8割近くの企業が日本経済の活性化のためにも原発事故処理が欠かせないと考えている。さらに、「震災被災地の復興」(55.0%)が5割を超え、東日本大震災に対する解決を重視している様子がうかがえる。次いで、「公共インフラ整備の加速(耐震化、バリアフリー化、交通インフラなど)」(46.2%)や「東京五輪終了後のビジョン作成(施設維持・管理・処分・転用など含む)」(36.4%)、「財政の健全化」(33.7%)が続いた。インフラ整備や持続可能な財政のほか、五輪終了後のビジョンの作成を求める意見が上位にあがった。
 企業からは「老朽化したインフラの再整備と防災政策の再構築、治安維持、そして何といっても汚染水をはじめとした原発事故の終息に目処をつけること。安全安心が損なわれる可能性は極力ゼロにすべき」(自動車部品付属品卸売、東京都)や「原発政策に対する国民的コンセンサスの形成」(石油卸売、岡山県)、「建築関係では、既に東京に需要が集中し始め、東北震災復興の妨げとなる懸念がある」(工業計器製造、京都府)といった、原発や震災復興の取り組みを急ぐ必要性を指摘する意見が多い。また、「都心部の建物・インフラの耐震化と再生リニューアルを進める事が必須」(不動産代理・仲介、東京都)、「五輪を目標とするのでなく、五輪を起爆剤としてどのような経済振興策を取ろうとしているのか、将来のビジョンを明確にしてほしい」(建築工事、大阪府)など、大会終了後にどのような制度設計を描いているかについて懸念を抱いている様子がうかがえる。


注1:以下、「観戦者の地方への誘導策」(23.0%、2,478社)、「日本人の英語力の向上」(18.1%、1,946社)
「都市の魅力向上(景観投資など)」(16.5%、1,781社)、「通信サービスの充実」(12.7%、1,370社)
「MICE(国際会議等)の誘致」(5.3%、569社)、「その他」(2.4%、258社)
注2:母数は有効回答企業1万769社


4. 日本経済の持続的成長に東京五輪開催が「有効」64.9%

 日本の持続的な経済成長のために、東京五輪開催は有効かどうか尋ねたところ、「(有効だと)思う」と回答した企業が64.9%となった。他方、「(有効だと)思わない」は13.2%と1割程度にとどまった。「(有効だと)思う」企業は、規模、業界、地域で大きな違いはなく、幅広い企業が持続的経済成長において東京五輪の開催を積極的に評価している様子がうかがえる。
 企業からは、「1964年の東京オリンピックで確立された戦後のインフラを中心にメンテナンスならびに補強の時期にきており、日本の持続的な景気浮揚において今回の東京オリンピックは絶好のタイミング」(機械工具製造、神奈川県)や「オリンピックが開催されることで建設関連、飲食関連、食品、菓子関連、雑貨関連など、あらゆる業界に相乗効果をもたらして経済成長に有効な要因を作ることになる」(菓子・パン類卸売、北海道)といった、経済を活性化するチャンスと捉えている意見も多い。また、「オリンピックを機にアジアの中心であることを再認識し、日本の良さを全世界に知ってもらう良い機会になる」(産業用電気機器卸売、福岡県)や「スポーツを通じたビジネス、人的交流が閉塞感のある経済にカンフル剤となる可能性がある。また、若年層にも刺激を与え、海外志向の流れが生まれる」(一般貨物自動車運送、新潟県)、「スポーツ文化の発展や、各地域がスポーツと健康をテーマに活動起点を作る良い機会」(印刷、東京都)など、海外や生活面に与える影響を期待する意見も挙がった。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万769社。


まとめ

 2020年の夏季オリンピック・パラリンピック東京大会が決定以降、すでに開催に向けた具体的な動きは始まっている。企業活動においては、東京五輪開催が日本経済の先行きや自社の業績にどのような影響を与えることになるのか、さまざまな試算や検討が行われている。
 実際、企業の8割近くが日本経済全体で五輪特需が生まれると考えており、このような認識は企業規模や業界、地域にかかわらず7割を超え、東京の80.8%とも大きな違いはない。また、自社業績についても、東京を中心とする関東圏や近畿圏で好影響と考える企業が多く、人材派遣・紹介や旅館・ホテルなどサービス業で五輪への期待が高い。地域や業種により業績への影響に差異はみられるものの、全体では企業の3社に1社が自社業績にプラスの効果をもたらすと見込んでいる。
 五輪が開催されるまでに「原発事故処理」「震災被災地の復興」といった東日本大震災への対応を進め、さらに、「公共インフラ整備」「東京五輪終了後のビジョン作成」などハード面の再構築や五輪終了後の青写真を具体的に描き、用意しておくことは、日本経済を一段と活性化させることにつながるであろう。
 東京五輪開催が日本経済の持続的な成長に有効なイベントだと考えている企業は、3社に2社に達する。特に、「20年以上続いた日本人の沈滞ムードが消え、明るい未来を期待する気持が出てきている」(生鮮魚介卸売、東京都)とあるように、多くの人に2020年という目標が生まれたことによる効果は大きい。アベノミクス効果により再び成長過程に入った日本経済にとって、2020年東京五輪は新たな起爆剤となる存在といえよう。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万2,766社、有効回答企業1万769社、回答率47.3%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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