2014年の景気見通しに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2013年11月特別企画 -

 

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2013年12月12日
株式会社帝国データバンク産業調査部

2014年景気、「回復」見込みは前年の2.6倍に急増

〜 今後の景気回復、個人・企業双方への対策を求める声が増加 〜


はじめに

 2013年12月9日に発表された7〜9月期の実質GDP成長率(改定値)は前期(4〜6月期)比0.3%増、年率換算で1.1%増となり、4四半期連続のプラス成長となった。消費税率引上げを前にした駆け込み需要やアベノミクス効果により好業績を示している業界がある一方で、必ずしも恩恵を受けきれていない地域・業界もある。
 このようななか、帝国データバンクは、2013年の景気動向および2014年の景気見通しに対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2013年11月調査とともに行った。なお、景気見通しに対する調査は2006年11月から毎年実施し、今回で8回目。

調査期間:2013年11月19日〜30日
調査対象は全国2万2,863社で、有効回答企業数は1万493社(回答率45.9%)
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2013年、「回復」局面だったと判断する企業は26.2%で、本調査を開始した2006年以降で最高、前年の2.1%から大幅増加。他方、「悪化」局面は前年の50.1%から8.0%へと劇的に減少。
  2. 2014年の景気見通し、「回復」が23.7%、「悪化」が16.5%となり、企業はやや慎重な見方を強める。全規模、10業界中8業界、10地域中7地域で「回復」が「悪化」を上回り、景気の方向感は改善傾向にあると考えている企業が多数を占める様子がうかがえる。
  3. 2014年景気への懸念材料は「税制」(58.6%、前年比23.8ポイント増)が最多。さらに、「原油・素材価格(上昇)」(53.0%、同33.2ポイント増)が5割を超え、景気への悪影響を懸念する企業が大幅に増加。
  4. 景気回復のために必要な政策、「個人消費拡大策」「所得の増加」「法人向け減税」「個人向け減税」が上位となり、個人と企業双方への対応を求めている様子が浮き彫りになった。
  5. 駆け込み需要は15.0%で、3カ月前より6.5ポイント増加。『建設』では約4割が「すでにあ
    った」と回答。「今後出てくる」と考える企業を含めると3業界で半数を超える。

1. 2013年、「回復」は前年比12.5倍、「悪化」は1/6以下に

 2013年の景気動向について尋ねたところ、「回復」局面であったと回答した企業は1万493社中2,752社、構成比26.2%となり、2012年の景気動向(2012年11月調査)より24.1ポイント増加した。「踊り場」局面とした企業は47.4%に達し、2012年より14.0ポイント増加した。また、「悪化」局面とした企業は前年の50.1%から8.0%へと劇的に減少した。
 「回復」局面とした企業からは「アベノミクスによる成長戦略が明確になり、金融庁と経産省が本気で景気回復へ動き始めた年」(専門サービス、大阪府)や「アベノミクスにともない始まった円安傾向によって、震災復興需要やオリンピック景気、資材の価格高騰など、景気は着実に回復基調にある」(内航船舶貸渡、大分県)といった、2013年の景気回復の要因にアベノミクス効果を挙げる声は多く、さらに震災復興や東京五輪などがともなったといえる。
 他方、「悪化」局面とした企業からは「円安による原材料の値上げ、賃上げ圧力、高速料金見直し等、コストアップ要因が多い」(一般貨物自動車運送、岡山県)や「印刷業界は下降傾向変わらず。特に商業印刷は落ち込みが大きいので、当社にとっては厳しい局面が続く」(印刷、東京都)などの声が挙げられ、アベノミクスの結果としての円安にともなうコスト負担の上昇や業界全般における不振を感じている企業もあった。
 「回復」局面とする見方はリーマン・ショック直後の2008年に0.1%となり(2008年11月調 査)、2010年、2011年まで増加したものの3.9%にとどまっていた。2012年は円高や消費不振で2.1%と再び落ち込んだ。今回の26.2%は、本調査を開始した2006年以降で最も高くなった。



2. 2014年の景気見通し、「回復」見込みは前年の2.6倍に急増

 2014年の景気見通しは「回復」局面を見込む企業が23.7%となり、前年の9.1%から2.6倍に急増した。ただし、2013年の景気動向から2.5ポイント減少した。また、2014年の景気を「踊り場」局面と予想する企業は2013年より12.8ポイント低い34.6%となっており、「悪化」局面は16.5%と8.5ポイント増加した。
 2014年の景気見通しを規模別でみると、「回復」と「悪化」について「大企業」と「中小企業」で大きな差がみられない一方、「小規模企業」は「大企業」と比べて「回復」が5.1ポイント低く、「悪化」が5.8ポイント高く、規模の小さい企業ほど2014年の景気を厳しくみている(7ページ参考2参照)。
 業界別では、「回復」は『サービス』が26.7%で最も高く、このほか『建設』『製造』など3業界で全体平均を上回った。他方、「悪化」は『農・林・水産』『卸売』『小売』『運輸・倉庫』の4業界が全体平均を上回り、特に『小売』は30.4%と3割を超えた。10業界中8業界で「回復」が「悪化」を上回っており、2014年の景気は2013年よりやや勢いが弱まるものの、総じて明るい見通しとなった。また、「回復」を地域別でみると、『南関東』が最も高く、『四国』『北関東』『近畿』が全体を上回った。
 2014年の景気見通しは、2013年の景気動向と比べると全規模、全地域、全業界で「悪化」すると予想する企業が増加している。しかし、調査を開始した2006年以降では「回復」見通しは最も高く、企業は景気の方向感が改善傾向にあると考えている様子がうかがえる。 企業からは「アベノミクスをはじめとした経済政策の効果が図れる年と考える」(木造組立材料製造、栃木県)や「必ず景気は回復すると信じて、減収・減益になっても社員を離さずに頑張ってきた。

ようやく地方にもアベノミクス効果の兆しが出てきたかと感じる。リーマン・ショック以来の低迷を跳ね除けたい」(製缶板金、秋田県)といった、アベノミクス効果が業績等の実態として現れてくるという声が挙がった。他方、「このままであれば消費税増税は必ず景気を冷え込ませる。年度内にもう一つ景気浮揚策を実施する必要がある」(建築工事、大阪府)など、消費税率引上げ後の景気に十分配慮し、事前にできるかぎりのことを実施することを求める意見もあった。


3. 2014年景気への懸念材料、増税や資源価格の上昇が半数を超える

 2014年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「税制(消費増税、復興増税含む)」が1万493社中6,144社、構成比58.6%(3つまでの複数回答、以下同)で最も多かった。さらに、「原油・素材価格(上昇)」(53.0%)が続き、いずれも5割を超えた。前回調査と比べると、「税制」は23.8ポイント増(前回34.8%、1位)、「原油・素材価格」は33.2ポイント増(前回19.8%、6位)となり、景気への悪影響を懸念する企業が大幅に増加した。また、「為替(円安)」は22.0%で3位となり、前回から大幅に減少した「為替(円高)」(11.6%、8位。前回30.0%、2位)を上回った。これまでの円高による景気悪化懸念から円安による懸念へと、景気に対して為替相場から受ける影響が様変わりしたことがうかがえる。他方、「金利(上昇)」(11.8%、6位)も前回の3.9%(18位)から大幅に上昇したほか、「物価上昇(インフレ)」(11.6%、7位)も1割超の企業が懸念材料に挙げている。
 全体としては、税制や円安、それにともなう資源高、さらに、金利上昇などに対する懸念が前回より大きく増加し、2014年景気を左右する要因として企業はみていることが明らかとなった。
 企業からは、「建設資材の高騰や技術管理者を含む労働者不足等の懸念材料が長引く」(土木工事、広島県)や「輸出好調のアベノミクス効果が薄れ、消費税増税による国内消費の悪化」(飲食料品小売、静岡県)など、消費税増税や資材価格の上昇、人材不足を懸念する意見が多かった。また、「韓国や中国など近隣諸国との関係の悪化」(建築材料卸売、東京都)や「TPPの決着で主力産業である農業が大きく影響を受けた場合、急激な景気衰退となることを懸念」(建築用金属製品製造、北海道)など、外交問題やTPP交渉の行方について不安視する声も寄せられた。


2014年の懸念材料(複数回答、3つまで)

注1:以下、「雇用(悪化)」(7.6%、793社)、「地政学リスク(中国、韓国など近隣諸国との関係含む)」(7.2%、757社)、
「政局」(4.6%、485社)、「電力供給の制約」(4.4%、466社)、「物価下落(デフレ)」(4.1%、426社)、
「欧州経済」(1.8%、188社)、「その他」(1.7%、177社)、「分からない」(1.8%、185社)、「特になし」(0.7%、75社)
注2:2013年11月調査の母数は有効回答企業1万493社。2012年11月調査は1万407社


4. 今後の景気回復に必要な政策、消費税率引上げが迫るなか、
「個人消費拡大策」「所得の増加」「法人向け減税」などを求める意見が増加

 今後、景気が回復するために必要な政策を尋ねたところ、「個人消費拡大策」が1万493社中4,145社、構成比39.5%(複数回答、以下同)で最多となった。次いで「所得の増加」(38.7%)、「法人向け減税」(38.7%)、「個人向け減税」(29.8%)と続き、いずれも前回調査から大きく増加した。2014年4月からの消費税率引上げもあり、個人と企業双方への対応を求めていることが浮き彫りとなった。第5位は「規制緩和」(27.5%)となり企業がビジネスチャンスを拡大するための施策を求める傾向もあった。また、「原発事故の収束」(22.0%、前回比10.5ポイント増)が前回よりほぼ倍増しており、企業は原発事故対策が依然として進んでいないと認識している様子がうかがえる。
 具体的には、「原発に代わる自然エネルギーの積極的な開発の推進と、個人住宅建設に対する消費税減税(5%に据え置き)の実施が必要」(生コンクリート製造、岐阜県)や「震災の復興、原発事故の収束、消費税率引上げにともなう需要喚起のための個人向け減税・自動車取得税の減額または廃止など」(産業用電気機器卸売、愛知県)など、消費税増税への対策を求める声が多く挙がった。また「実効性のある少子化対策をもっと早く打たないと将来の日本の発展は望めない」(機械同部品製造修理、香川県)や「医療費や介護等、消費税等の負担増、年金や基金の支給減等、将来の不安の解消が必要」(さく井工事、山形県)といった将来不安を解消する政策を指摘する意見も聞かれた。


注1:以下、「震災復興」(14.8%、1556社)、「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加」(11.5%、1207社)、「金融緩和政策」(11.1%、1165社)、「物価(デフレ)対策」(10.6%、1115社)、「地方への税源移譲」(7.1%、740社)、「研究開発の促進税制」(7.0%、737社)、「個人向け手当の創設」(6.1%、645社)、「環境関連の優遇策(補助金など)」(5.5%、578社)、「道州制の導入」(3.5%、369社)、「その他」(2.9%、301社)、「分からない」(2.9%、302社)
注2:2013年11月調査の母数は有効回答企業1万493社。2012年11月調査は1万407社


5.  『建設』の4割がすでに駆け込み需要を実感、消費税率引き上げまでには
『不動産』『卸売』『小売』を含む4業界で企業の半数超が駆け込み需要を見込む

 自社の事業において、現在、駆け込み需要と思われる需要の変化がみられるか尋ねたところ、「すでに駆け込み需要がある」と回答した企業は15.0%となった。駆け込み需要に関する前回調査(2013年8月)と比較すると6.5ポイント増加、前々回調査(2013年5月)からは10.9ポイント増加した。
 業界別にみると、『建設』(38.0%)が4割近くに達しているほか、『不動産』(22.1%)も2割を超えている。また、『金融』(10.8%)、『製造』(12.0%)、『卸売』(11.6%)も1割超の企業で駆け込み需要を感じていた。前回調査との比較では、『建設』が25.1%から12.9ポイント、『製造』が5.6%から6.4ポイント、『卸売』が6.0%から5.6ポイント、それぞれ増加した。また、駆け込み需要が「今後出てくる」と合わせると、『建設』(63.6%)、『卸売』(54.1%)、『小売』(57.2%)で5割を超えた。他方、規模別に「すでに駆け込み需要がある」をみると、「大企業」(17.7%)、「中小企業」(14.2%)、「小規模企業」(18.7%)となり、特に「大企業」と「小規模企業」では前回調査よりそれぞれ7.5ポイント、7.2ポイント増加した。
 具体的には、「9月まで消費税増税による駆け込み需要が発生し、年度内は受注残含めて好調の見込み」(建材・家具製造、岡山県)や「当地は所得水準が低いため増税前の駆け込み需要はかなり限定的と考えられていたが、予想より需要が多かった」(不動産、北海道)、「新政権発足以降、一般景気が回復傾向にあり、不動産市況も好調に推移。3月末にかけては消費税率引上げ前の駆け込み需要も発生」(不動産代理・仲介、東京都)など、各規模・業界で駆け込み需要が生じていた。しかし、「増税前の駆け込み需要に資金が回らず苦戦している企業もみられる」(木造建築工事、三重県)といった、運転資金の不足から需要を取り込めていないという声もみられた。


注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万493社。


まとめ

 安倍政権の経済政策(アベノミクス)により円安基調が続き、自動車等の輸出が増加したことや、2014年4月の消費税率引上げを前にした駆け込み需要と震災復興による建設需要の高まりにともなう同関連産業への波及などから、2013年の景気は前年から大幅に改善された。
 実際、2013年の景気が「悪化」局面だとする企業は、2012年の50.1%から42.1ポイント減と大幅に減少し、同時に、「回復」局面と考える企業も26.2%と、調査を開始した2006年以降で最も高くなった。また、2014年の景気見通しでは「回復」を見込む企業が過去最高となっており、引き続き「回復」が「悪化」を上回っている。総じて景気の方向感は改善傾向にあると考えている様子がうかがえる。
 しかし、懸念材料として、消費税増税や円安を通じた原材料価格の上昇に懸念を抱いている企業が多く挙げられるなど、2014年の景気について消費税増税を控えてやや慎重な見方をする企業も増えている。そのため、個人消費拡大策や所得増加策、法人向け減税、個人向け減税など、景気の腰折れを防ぐ対策を政府に求める傾向が如実に現れた。企業の景況感が2002年以降で最高水準へと上昇しているなか[「TDB景気動向調査2013年11月」(帝国データバンク)]、政府には、予算の効果的分野への投入順位を決定し、スピード感を持って実行に移していく舵取りが求められている。


注:網掛けは、「景気(各局面)」の構成比が前年調査「景気見通し(各局面)」の構成比以上。または、同年調査の「景気見通し(各局面)」構成比が「景気(各局面)」の構成比以上

注1:網掛けは、全体平均以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万493社。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万2,863社、有効回答企業1万493社、回答率45.9%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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