2014年度の賃金動向に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2014年1月特別企画 -

 

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2014年2月17日
株式会社帝国データバンク産業調査部

賃金改善を見込む企業は46.4%と過去最高

〜 賞与で賃金改善を考える企業が増加 〜


はじめに

 政府が消費税率引上げに対する経済対策とデフレ脱却に向けた政策を進めているなかで、雇用確保とともにベースアップや賞与(一時金)の引上げなど、賃金改善の動向は今後のアベノミクスの行方を大きく左右する要素として注目されている。また、経済団体では業績が回復してきた企業においてベースアップを含めた賃上げを容認する方針を示しており、労働組合側から今春闘でベアを要求する動きも出ている。賃上げによって購買力を高めることで景気の好循環を生み出し、消費税率引上げ後の反動減に対応する役割を果たすことも期待されている。
 このようななか、帝国データバンクは、2014年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2014年1月調査とともに行った。

調査期間:2014年1月21日〜31日
調査対象は全国2万2,834社で、有効回答企業数は1万700社(回答率46.9%)。
なお、賃金に関する調査は2006年1月以降、毎年1月に実施し、今回で9回目。
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/visitors/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2014年度の賃金改善を「ある」と見込む企業は46.4%。前年度見込みを7.1ポイント上回り、2006年1月の調査開始以降で最高の見通しとなった。また、賃金改善が「ない」企業は29.0%で前回調査を3.3ポイント下回った。
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベア34.0%、賞与(一時金)27.8%。前回調査よりいずれも増加しており、特に賞与(一時金)は6.8ポイント上昇した。
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が最多。また、「物価動向」や「同業他社の賃金動向」が大きく増加した。改善しない理由は、「自社の業績低迷」が最多となったが、7年ぶりに6割を下回った。消費税率引上げの影響は、賃金改善の有無にかかわらず4社に1社が理由として挙げた。

1.  2014年度の賃金改善企業は46.4%、過去最高の改善見通し

 2014年度の企業の賃金動向について尋ねたところ、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある(見込みを含む)」と回答した企業は、1万700社中4,970社、構成比46.4%となり、前回調査(2013年1月)における2013年度見込み(39.3%)を7.1ポイント上回り、2006年1月の調査開始以降で最高の見通しとなった。また、「ない(見込み含む)」と回答した企業は29.0%と前回調査(32.3%)を3.3ポイント下回った。
 「ある(見込み含む)」を業界別にみると、『建設』(49.2%)、『卸売』(48.5%)、『製造』(47.2%)が高かった。特に、『建設』は「ここ数年、役員、管理職、一般社員など全般において給与改善できる余力は少なかった。2014年度は景気改善期待とともに、若手社員の確保も意図し、全社員を対象に少しでもアップしたい」(建設、東京都)など、前回調査を11.4ポイント上回った。

 地域別では、「近畿」(49.0%)、「四国」(48.8%)、「北海道」(48.6%)など、全地域が4割を超えた。特に、「北海道」「中国」「北陸」「四国」では前年より10ポイント以上増加している。
 企業からは「自社の業績を向上させて賃金改善を図っていくことで社員もがんばってくれるので、良い循環をこれからも作っていく」(木材・竹材卸売、京都府)と、業績改善により賃金上昇を見込む声がある一方で、「零細企業ですが、今回の景気改善が本物になるためにも、かなり無理はありますが思いきって給与アップするつもり」(樹脂製品加工、群馬県)など景気上昇に対する期待と従業員への貢献を指摘する意見もみられた。 

     注1:網掛けは、全体以上を表す
     注2:母数は、有効回答企業1万700社

 今後の景気には消費税増税の一時的ショックが予測されるものの、上昇基調が続くとみられるなか、半数近くの企業が賃金改善を見込んでおり、2014年度の賃金動向は明るい傾向が現れた。



2. 賃金改善の具体的内容、ベア実施企業が34.0%、賞与(一時金)は27.8%

 2014年度の正社員における賃金改善の具体的内容は、「ベースアップ」が34.0%となり、「賞与(一時金)」は同27.8%となった。前回調査(2013年度見込み)と比べると、それぞれ2.0ポイント、6.8ポイントの上昇となっており、特に賞与(一時金)で賃金改善を実施する企業の増加が目立った。
 中小企業についてみると、ベースアップ、賞与(一時金)ともに前回調査を上回ったうえ、大企業より割合は高く、リーマン・ショック前の2008年度見込みでは「ベースアップ」が41.5%、「賞与(一時金)」が23.1%であったが、リーマン・ショック後の大幅な落ち込みのあと、2013年度、2014年度見込みと2年連続で上昇している。
人手が不足している部門・役割(複数回答)

注:2012年度見込みは2012年1月調査、母数は有効回答企業1万665社。
2013年度見込みは2013年1月調査、母数は有効回答企業1万461社。
2014年度見込みは2014年1月調査、母数は有効回答企業1万700社。

注:2012年度見込みは2012年1月調査、母数は中小企業の有効回答8,131社、大企業の有効回答2,534社。
2013年度見込みは2013年1月調査、母数は中小企業の有効回答8,014社、大企業の有効回答2,534社。
2014年度見込みは2014年1月調査、母数は中小企業の有効回答8,247社、大企業の有効回答2,453社。


3. 賃金改善理由、「物価動向」「同業他社の賃金動向」が大幅増加、
改善しない理由では「自社の業績低迷」が最多も8.9ポイント減少

 賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業4,970社に理由を尋ねたところ、最も多かったのは「労働力の定着・確保」の57.2%(複数回答、以下同)で、さらに「自社の業績拡大」(50.2%社)が続きともに5割を超え、4月に実施される「消費税率引上げ」は23.8%と4社に1社が挙げた。また、物価が徐々に上昇しつつある現状を受けて「物価動向」(22.5%、499社)は前回調査(12.1%)から10.4ポイント増加したほか、「同業他社の賃金動向」(18.7%)は5.5ポイント増加した。

注:2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査、2014年度見込みは2014年1月調査。
母数は賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業、2012年度4,002社、2013年度4,109社、2014年度4,970社

 企業からは、「消費増税分をカバーするだけの昇給、ボーナス支給は、企業としてできる限り行うべき」(機械同部品製造修理、香川県)や「世の中の情勢が上向きであっても当社の属する業界はなかなか業績に跳ね返ってこないが、個々人のモチベーションを上げてゆくためにもベアを考えていく必要がある。景気が上昇傾向にあるので、結果は自ずとついてくる」(建設用金属製品製造、東京都)といった、消費税増税の影響や景気の上昇基調を期待する意見がみられた。一方、「多少の賃上げは従業員のモラルの維持や生活の維持においてやむを得ないが、同時に内部留保を厚くして借り入れを減らしたいのも本音」(コンクリート品製造、大阪府)など、従業員のモチベーション維持を図ることで賃金改善を行うという声も挙がった。

 他方、賃金改善が「ない」企業3,106社に理由を尋ねたところ、「自社の業績低迷」が58.0%(複数回答、以下同)と前年調査(66.9%)より8.9ポイント減少し、7年ぶりに6割を下回った。2位の「消費税率引上げ」(24.7%)は、改善が「ある」理由と同程度となっており、消費税増税に対する賃金動向について対応が分かれる結果となった。また、「自社の業績低迷」を規模別にみると、「大企業」の53.4%に対し、「中小企業」(59.3%)と5.9ポイントの開きがあった(5ページ表2参照)。

注:2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査、2014年度見込みは2014年1月調査。
母数は賃金改善が「ない(見込み)」と回答した企業、2012年度3,741社、2013年度3,375社、2014年度3,106社

 企業からは、「原価ばかりが上がっており、利益確保がなされていない」(電子計算機等製造、東京都)や「エネルギー関連コストの大幅アップにより、賃金改善は不可能」(自動車部品製造、福島県)、「資材の高騰によって利益率は下がっており、この状況下では賃金の継続すら危ぶまれる」(建設、鹿児島県)といった、収益環境の厳しさが続いていることを指摘する意見が挙がった。



まとめ

 リーマン・ショック以降、賃金改善を見込む企業の割合は大幅に縮小してきたが、国内景気の上昇基調が継続するなかで2014年度は過去最高の賃金改善見通しとなった。また、賃金改善の内容をみると賞与(一時金)で実施する企業の増加が顕著となっており、まずはボーナスで従業員への還元を図ると考える経営者の姿が浮き彫りとなった。ただし、賃金改善の理由はこれまでと変わってきており、実施する理由では「物価動向」「同業他社の賃金動向」が大きく増加している。
 また、実施しない理由として「自社の業績低迷」を挙げる企業は7年ぶりに6割を下回るなど、着実に減少している。また、労働組合による賃上げ要求に対しては、経済団体が業績の改善している企業のベア実施を容認するなど、賃金改善に向けた企業側からの前向きな姿勢も現れつつある。
 他方、2014年4月の消費税率引上げに対して「現在、受注・売上とも増加しているが、外注単価や資材単価の上昇によりなかなか利益につながるのが難しい状況のなか、消費税増税分をスムーズに受注単価に上乗せできるのか不明確」(建設、山形県)という意見が現れるなど、消費税への対応が今後の企業業績に対して重要な要素となり、賃金動向の大きな試金石になると考えられる。また、中小企業では、賃上げは物価や他社の動向など外部要因の変化への対応に追われて行わざるを得ない状況があるなか、優秀な人材の定着・確保のためという声や今後の業績次第といった厳しい見方を持つ企業も多く、必ずしも賃金改善が全体に広がるまでには至っていない。



参考表

【参考1】2014年度に賃金を改善する理由(複数回答)

注:2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査、2014年度見込みは2014年1月調査。
母数は賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業、2012年度4,002社、2013年度4,109社、2014年度4,970社

【参考2】2014年度に賃金を改善しない理由(複数回答)

注:2012年度見込みは2012年1月調査、2013年度見込みは2013年1月調査、2014年度見込みは2014年1月調査。
母数は賃金改善が「ない(見込み)」と回答した企業、2012年度3,741社、2013年度3,375社、2014年度3,106社

調査先企業の属性

1) 調査対象(2万2,834 社、有効回答企業1万700社、回答率46.9%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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