2014年度の業績見通しに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2014年4月特別企画 -

 

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2014年5月19日
株式会社帝国データバンク産業調査部

2014年度、企業の3割が「増収増益」を見込む

〜 消費税増税による反動減は短期間で収束、今秋には解消 〜


はじめに

 国内景気は公共投資の増加や金融緩和などアベノミクス効果が原動力となり、上昇基調が続いている。他方、人手不足による受注機会の喪失や、円安による原材料費の高騰など、地域や業界、規模で景気上昇による業績への反映は大きく異なる。また、4月1日に実施された消費税率引上げ が企業業績に及ぼす影響も懸念されている。
 帝国データバンクは、2014年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2014年4月調査とともに行った。

調査期間:2014年4月17日〜30日
調査対象は全国2万3,323社で、有効回答企業数は1万204社(回答率43.8%)。
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2014年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は30.5%。2013年度実績からは5.4ポイント減少するものの、見通しとしては調査を開始した2008年度以降で最高となった。
  2. 企業の約6割で駆け込み需要が「あった」と回答。ただし、当初の想定よりも小さいとする企業も約3割。駆け込み需要による反動減を想定する企業のうち6 割弱が3カ月以内に、9割弱が今秋までに反動減は終了すると見込んでいる。特に、駆け込み需要の大きかった『卸売』や『小売』『運輸・倉庫』においては、6割超が3カ月以内に終了すると予想。
  3. 2014年度業績見通しの下振れ材料は「個人消費の一段の低迷」が39.2%でトップとなった。次いで、「原油・素材価格の動向」が続いた。他方、上振れ材料は「個人消費の回復」が43.4%でトップ。次いで、「公共事業の増加」「所得の増加」が続いている。上振れ、下振れともに個人消費の動向が最大の焦点となっている。

1.  2014年度の業績見通し、約3割の企業が「増収増益」を見込む

 2014年度(2014年4月決算〜2015年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益ベース)について尋ねたところ、「増収増益(見込み含む)」と回答した企業は、「分からない/不回答」を除いた1 万134社中3,095社、構成比30.5%となり、2013年度実績(見込み含む)から5.4ポイ ント減少した。他方、「減収減益(見込み含む)」は前年度から1.1ポイント増加した。また、「前年度並み(見込み含む)」は8.6ポイント増加した。
 このように、アベノミクスによる円安、株価上昇の追い風や消費増税にともなう駆け込み需要で業績が改善した2013年度実績から比べると一服感がみられたものの、2014年度に増収増益を見通す企業の割合は、調査を開始した2008年以降で最も高くなっており、引き続き企業業績は改善傾向にあるといえる。

2013 年度の実績見込み、2014 年度の見通しについて

注1:母数は「分からない/不回答」を除く2012年度実績見込みが9,934社、2013年度見通しが同9,911社、2013年度実績見込みが同1万151社、2014年度見通しが同1万134社
注2:業績は、売上高および経常利益ベース

「増収増益」を見通す企業の割合〜業界別〜

 「増収増益(見込み含む)」企業を業界別にみると、2013年度から増加した『金融』が最多となったほか、『サービス』や『製造』が全体を上回った。特に、「消費税率8%への増税は折り込み済み」(娯楽サービス、東京都)として見通しを立てている企業は多く、「企業の広告費予算が減る要素は少ない」(広告代理、宮城県)や「東京五輪関連の仕事が増加傾向と予測」(産業廃棄物収集運搬、埼玉県)、「為替が好材料で輸出しやすい状況にあり、国内生産が堅調に進み所得も安定してくれば、結果として国内需要も堅調に進む」(機械製造、岐阜県)といった、堅調な企業業績に支えられた民間投資の拡大や円安による輸出改善などを要因としてあげる企業もあった。他方、『建設』や『農・林・水産』は、「建築資材の不足・値上げが大きい」(建設、大阪府)や「現場の人員不足により仕事を処理できない」(建設、香川県)、「TPP をはじめとする自由化圧力に有効な対策がうてていない」(農業協同組合、東京都)といった声も挙がっており、前年度より10ポイント以上減少した。


2. 消費税増税にともなう反動減、短期間で収束し今秋には解消する見通し

 消費税増税による駆け込み需要と反動減は、2014年度の業績を左右する大きな要因となる。そこで、自社の事業において、駆け込み需要と思われる需要の変化がみられたか尋ねたところ、6割近くの企業が「駆け込み需要があった」と回答した。ただし、当初想定した規模と比較すると、 想定より小さかったと感じている割合は28.7%、想定通りの規模だったとする企業は23.4%で、想定を上回る駆け込み需要があったとする企業は7.2%にとどまった。
 また、自社において消費税増税による駆け込み需要の反動減がいつ頃まで続くと考えているか尋ねたところ、反動減があると回答した企業6,830社のうち、6割近くが3カ月以内(2014年6月まで)に反動減は終わると想定していた。さらに、9割弱の企業が今秋(2014年9月まで)には終了すると見通していることが分かった。

注:母数は有効回答企業1万204社

※母数は消費税増税による反動減があるとする企業6,830社

 「とりわけ、『農・林・水産』は最も早く収束すると想定している。さらに、駆け込み需要が大きかった『卸売』や『小売』、『運輸・倉庫』においても、「高額必需品の家や車は反動減があっても、飲食嗜好品はそこまで高額ではないので、市場が逆に拡大すると考えている」(飲食料品小売、愛知県)といった意見もあるなど、6割超の企業が3カ月以内に反動減は終了するとみている。反面、住宅関連業種の『建設』『不動産』では、3 カ月以内に反動減が終了するとみる企業の割合が3割台にとどまった。

 このように、駆け込み需要の反動減は短期で収束すると想定されるものの、消費税増税による可処分所得の低下などは懸念材料である。消費税率引き上げによる売り上げへの影響を尋ねたところ、企業の約4 割が業績に悪影響を及ぼすと見込んでいることが分かった。特に『小売』は3 社に2社が通年での売り上げ減少を予想しており、「クルマは大型消費財なのでその影響は今年だけでなく来年も厳しい」(自動車・同部品小売、兵庫県)といった声が挙がるなど小売業の2割が売り上げの2ケタ減少を予想している。
 一方で、「売り上げは増加する」「変わらない」と回答した企業も合計で38.7%にのぼっている。

注1:網掛けは、全体以上を表す
注2:母数は、有効回答企業1万204社


3. 2014年度業績見通し、下振れ・上振れ材料ともに個人消費の動向が最大の焦点に

 消費税を含めて、2014年度の業績見通しを下振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の一段の低迷」が最多となった。次いで、「原油・素材価格の動向」が続いており、「原材料価格の上昇にともなう仕入価格の上昇」(文房具・事務用品卸売、兵庫県)により収益の下振れを懸念する企業は多い。また、「外需の悪化」を挙げる企業も3割近くあり、とりわけ中国経済の成長鈍化を懸念する企業が目立つ。他方、日本銀行による金融緩和政策なども影響し、「物価下落(デフレ)の進行」は前年調査より5.8ポイント減少しており、デフレに対する懸念は昨年よりも弱まっている。外需のうち、欧州債務危機など小康状態が続いている欧州経済を下振れ材料と考える企業も減少した。
 2014年度の業績見通しを上振れさせる材料では「個人消費の回復」が最多となり、前年に引き続き上振れ要因のトップとなった。次いで、企業から「公共事業などの建設需要の増加」(鋳鋼製造、長崎県)といった声もある「公共事業の増加」が続いたほか、個人消費を押し上げる要素としての「所得の増加」も上位に挙がった。また、「雇用の改善」も前年調査から増加しており、所得・雇用の両面で業績を上振れさせる要素として注目される。
 なお、「外需の好調維持」を挙げる企業も多く、特に、今回調査で新たに選択肢に加えた「ASEAN諸国の成長持続」が「中国経済の成長持続」と同程度の割合となっており、海外経済においてASEAN諸国への期待も高い。
 業績見通しを上振れ・下振れさせる材料として個人消費の動向がいずれもトップにあげられており、2014年度の企業業績は消費の行方が最大のキーポイントになるといえよう。

注1:2014年4月調査の母数は有効回答企業1万204社。
2013年3月調査は1万6社
注2:「外需の好調維持」は、「外需(米国経済の回復)」、
「外需(中国経済の成長持続)」、「外需(欧州経済の回復)」、「外需(ASEAN諸国の成長持続)」のいずれかを回答

注1:2014年4月調査の母数は有効回答企業1万204社。
2013年3月調査は1万6社
注2:2014年度業績見通し 2013年度業績見通し「外需の悪化」は、「外需(米国経済の悪化)」、「外需(中国経済の成長鈍化)」、「外需(欧州経済の 悪化)」、「外需(ASEAN諸国の成長鈍化)」のいずれかを回答

まとめ

 消費増税が実施されてから1カ月が経過し、駆け込み需要に対する反動減の影響が現れ始めた。また、反動減がいつまで続くのか、さらに消費税増税が売り上げにどの程度の影響を及ぼすのかが、今後の企業業績における焦点となっている。このようななか、2014年度の業績見通しは約3割の企業が「増収増益」を見込んでいる。駆け込み需要の影響等で上振れした2013年度実績と比べると減少しているものの、2013年度の業績見通し並みの水準を維持している。
 また、駆け込み需要については、約6 割の企業があったと認識しているが、そのうちの9割弱が今秋までには反動減が解消すると見込んでいることが分かった。とりわけ、駆け込み需要とその反動減が顕著な『卸売』や『小売』『運輸・倉庫』においては、反動減に直面している企業の6割超が今後3カ月以内でその影響は収束すると考えている。一方で、4割超の企業が消費税率引上げが原因で売り上げが減少すると見込んでいる。
 2014年度の業績見通しのカギを握るのは個人消費の動向である。個人消費回復のためには、今後の雇用の改善、所得の増加が必要で、公共事業の増加とともに上振れ材料として企業が見ていることが分かった。反面、下振れリスクとして原油・素材価格の動向には注目していかなければならない。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万3,323 社、有効回答企業1万204社、回答率43.8%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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