女性登用に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2014年7月特別企画 -

 

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2014年8月14日
株式会社帝国データバンク産業調査部

企業の4割が女性の登用を進める

〜 女性役員の割合は平均8.4%、大企業・上場企業ほど少なく 〜


はじめに

 日本の経済成長において労働力の確保が大きな課題となっているなか、女性の登用に注目が高まっている。また、6月に閣議決定された成長戦略では、役員の女性比率や女性の登用方針等の積極的な情報開示を企業側に促すことが決定され、「2020年に指導的地位に占める女性の割合30%」を目標としている。さらに、公共事業で女性登用が入札条件の1 つとされる事業が実施予定となるなど、女性登用に対する動きが具体的に始まっている。
 帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2014年7月調査とともに行った。女性登用に関する調査は2013年7月調査に続き2回目。

調査期間:2014年7月17日〜7月31日
調査対象は全国2万3,485社で、有効回答企業数は1万1,017社(回答率46.9%)。
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP
http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 女性の管理職割合が10%に満たない企業は81.1%にのぼる。一方、従業員全体の女性割合では「30%以上」が27.7%を占めている。女性管理職・役員の割合は、小規模企業、『小売』『不動産』『金融』『サービス』、未上場企業で高い。
  2. 今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は20.9%。
  3. 女性の活用や登用を「進めている」企業は45.4%。その理由は「男女にかかわらず有能な人材を活かすため」が9割を超えてトップ。逆に「進めていない」企業は31.2%で、その理由は「資格対象者、候補者がいないため」が4割超でトップ。
  4. 企業の活力向上のための行動指針(ポジティブ・アクション)について、企業の6割近くが「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」している。大企業ほどより多くのポジティブ・アクションに取り組んでいる。

1.  女性管理職が10%に満たない企業、81.1%にのぼる

 自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」と回答した企業は27.7%であった。また、「10%未満」(24.7%)と「0%(全員男性)」(6.0%)を合わせると、女性従業員割合が10%に満たない企業は30.8%と3割を超えた。1
 他方、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、「0%(全員男性)」が51.5%で最多となった。さらに、「10%未満」(29.6%)と合わせると、女性管理職が10%に満たない企業は81.1%にのぼった。逆に、「30%以上」とする企業は5.3%にとどまった。
 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、「0%(全員男性)」が61.7%で6割を超えている。さらに、「10%未満」(14.9%)と合わせると、女性役員が10%に満たない企業は76.6%と8割近くに達する。また、「30%以上」とする企業は11.0%と管理職より割合は高いものの、いずれも低水準にとどまっている。
 政府の「成長戦略」のなかで、「2020年に指導的地位2に占める女性の割合30%」という目標が掲げられているが、現状は管理職・役員とも目標を大きく下回っていることが改めて浮き彫りとなった。

2法人税減税の代替財源に対する賛否

注:母数は有効回答企業1万1,017社




1 「30%以上」は、「100%(全員女性)」「70%以上」「50%以上70%未満」「30%以上50%未満」の合 計。「10%未満」は、「5%以上10%未満」「5%未満」の合計。
2  ここで“指導的地位”とは、管理職、役員、社長などを指す。

2.  女性割合、管理職は平均6.2%、役員は同8.4%。
小規模企業や『小売』『不動産』『金融』『サービス』、未上場企業で高い

 各企業の中で、女性の管理職や役員が占める割合は、平均すると管理職で6.2%、役員で8.4%となった。これらを企業規模、業界・業種、上場・未上場別にみると、いくつかの特徴が表れている。
 管理職と役員の女性割合で共通する特徴を挙げると、(1)企業規模が小さくなるほど女性管理職・役員の割合は高くなる。(2)『小売』『不動産』『金融』『サービス』で高く、『製造』『建設』『運輸・倉庫』で低い。(3)「上場」企業よりも「未上場」企業で割合は高くなっている。
 他方、管理職と役員で異なる特徴では、管理職と比べて役員の方が業種や規模での高低差は大きくなっている。特に、『小売』と『運輸・倉庫』の役員は7.9 倍、「未上場」企業と「上場」企業の役員は5.8倍と高くなっている。
 業種別では、管理職・役員ともに、ペット用品小売やフィルター販売などを含む「その他の小売」、「繊維・繊維製品・服飾品小売」、「医薬品・日用雑貨品小売」が上位3 業種で、顧客に女性の多い業種で共通している。以下、管理職では介護や保育など女性が国家資格を多く有する「医療・福祉・保健衛生」、役員ではいわゆる女将や女性視点のサービスが重要となる「旅館・ホテル」などで高い。総じて、アパレル、医薬品、雑貨、福祉関連、接客業務を中心とするサービス・小売などで高くなっている。




3. 今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は20.9%

 自社の女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、「変わらない」とする企業が72.8%と多数を占めている。割合が「増加した」と回答した企業は17.4%に、逆に「減少した」企業は4.6%にとどまった。
 他方、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、割合が「増加する」と回答した企業は20.9%となり、5社に1社が女性管理職の割合が増えると見込んでいる。また、「減少する」(1.7%)、「変わらない」(61.0%)は5年前との比較の調査結果に対していずれも減少している。企業の約6 割は、女性管理職の割合は変わらないとみているものの、女性の管理職登用については、概ね拡大していくと考えている様子がうかがえる。
 また、女性役員については、5年前と比較して「増加した」と回答した企業は6.4%だった。逆に「減少した」も5.5%で低く、企業の8割超は過去5年間で女性役員割合に変化はなかった。今後「増加する」と考えている企業は6.3%にとどまり、多くの企業は女性役員が増加するとは見込んでいないことが明らかとなった。
 今後の見通しについて「増加する」と回答した企業を上場・未上場別にみると、管理職では「上場」が37.6%と「未上場」(20.4%)より17.2 ポイント高い。また、役員についても、「上場」(10.4%)が「未上場」(6.2%)を4.2 ポイント上回っている。現在、女性の管理職や役員の登用があまり芳しくない上場企業においても、将来的に女性の管理職や役員の登用が進んでいくことが示唆される。
 成長戦略で目標として掲げている「2020 年に指導的地位に占める女性の割合30%」の達成は、相当に高いハードルと言わざるを得ないであろう。

注:母数は有効回答企業1万1,017社


企業の意見(女性の管理職・役員への登用について)
  • 女性従業員の意識改革(能力があれば管理職になれる等)による会社全体のレベルアップを図ることが、今後の成長戦略となっていく(農業協同組合、石川県)
  • 意欲と能力のある女性については今後積極的に管理職に登用する必要があると考える(信用金庫、山口県)
  • 頑張る女性を応援というが、両立は普通に頑張って出来るレベルではない。本当に優秀な女性は管理職や役員になればいいが、目標値を設定するのはナンセンス(消費者向け貸金、神奈川県)
  • 建設業については、現場での拘束時間が非常に長く、家庭との両立については難しい現状にあり、現状では家庭を優先している女性社員がほとんど。男性社員と同じ状況・スキル・考え方で働くことができない社員を女性だからとの理由で課長等管理職に敢えて登用する必要性はない(建設、千葉県)
  • 女性管理職が初めて採用担当となり、今後はより女性従業員登用に力を入れていきたい(不動産、東京都)
  • 営業職は男女比率が半々になるまで、積極的に女性を新規採用していく。女性の管理職増を図るため、その前段階として、女性リーダーを積極登用していく(パン・菓子製造、愛知県)
  • 現場での女性の役割が大きく、女性管理職を登用することで企業の活性化がはかれる(寝具製造、奈良県)
  • 経営層、中間管理職にもっと女性がいて良いと思うが、もともと適齢期の女性が少ない。バックオフィス・管理業務ならまだしも、本業強化や業態変革を牽引していくに当たって、そのようなポジションへ引き上げられる女性従業員は少ない(印刷、東京都)
  • 結婚、出産、育児休暇、子育てと続き、時間的余裕がないのも大きく影響している。保育園、小学校低学年では、急な呼び出しや参観日など親の負担が多い(化学工業製品製造、岐阜県)
  • 男性中心の労働観が根強く会社に残っている。女性を活用する方が会社の発展の可能性が拡大すると考えるが、現状で女性管理職を増やしていく事は大変難しいと感じる(工業用樹脂製品製造、埼玉県)
  • 女性を積極的に管理職に登用するがすぐに辞める女性も多く、育成する労力が無駄になる。労働時間も環境に合わせてフレックスや、実稼働日を少なくしているが定着しない(金属プレス製品製造、佐賀県)
  • 数値目標達成のために女性従業員の登用をする事は、大企業では可能かもしれないが中小企業に於いては理想論かと思われる(電線・ケーブル製造、静岡県)
  • 女性を登用するということよりも、男女を意識せず平等に評価することが大切(楽器・同部品製造、埼玉県)
  • 女性は家庭や子育てを優先しながら勤務しているので、まずは子育てを応援してくれる施設などの整備が必要(食肉卸売、徳島県)
  • 女性管理職以上の登用、活用に関しては、部課の意識改革が必要であり時間をかけて行う必要がある(石油卸売、東京都)
  • 地方では管理職になりたいと望む女性社員はまだまだ少ない(産業用電機機器卸売、長野県)
  • 努めて女性職員の管理職登用を進めたいが、家庭の状況や勤務時間帯等で制約も多くなかなか順調に進まない(一般貨物自動車運送、岩手県)
  • 能力を備えていれば女性を役員や管理職に登用することは当然(総合リース、東京都)
  • 雇用も管理職への起用も企業の裁量にまかされるべき。余計なお世話(パッケージソフト、東京都)
  • 強制されるのではなく、女性自身ももう少し、管理職となるべく努力をしていただきたい(非営利団体、秋田県)

4. 女性登用を進めている企業は4割超、男女の区別なく有能な人材を活かすことに腐心

 自社において女性の活用や登用を進めているか尋ねたところ、4割超の企業が「進めている」と回答した。その理由は、「男女にかかわらず有能な人材を活かすため」が9割を超え、突出して高かった。以下、「女性の労働観が変化してきたため」「従業員のモチベーションが上がるため」「多様な働き方が促進され、労働環境が改善されるため」「女性を登用していかなければ業務に支障が出るため」「将来の人材不足を見据えているため」が続き、いずれも2割を超えた。
 他方、女性の活用や登用を「進めていない」企業は約3割となった。その理由は、「資格対象者、候補者がいないため」が4割、「業務の内容が女性には向いていないため」が3割で上位を占めた。
 女性の活用・登用に対する企業規模による差は大きく、「大企業」では半数超の企業が女性活用・登用を進めているのに対して、「小規模企業」は3社に1社にとどまっている。ただし、この背景には女性の管理職・役員割合が大企業より小規模企業で高く、限られた人材のなかですでに女性登用が進んでいることや、そもそも女性社員がいない小規模企業が多いこともある。


注1:網掛けは、全体以上を表す
注2:母数は有効回答企業1万1,017社

5. ポジティブ・アクション、「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」が約6割で最多

 企業の活力向上のため、職場内で男女を均等に扱う行動指針としてポジティブ・アクション3の取り組みが必要とされている。そこで、現在の自社におけるポジティブ・アクションの取り組み状況について尋ねたところ、「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」が57.4%で半数を超え、最多となった(複数回答、以下同)。さらに、「性別に関係なく、能力主義的な人事管理の徹底や人事考課基準の制度化」が4割超となったほか、「仕事と家庭を両立させるための制度の充実」、「女性用のトイレ・休憩室・更衣室などの設備の充実」、「男女間の賃金格差解消に向けた賃金管理や雇用管理の改善」が上位に挙がった。
 規模別にみると、1位から3位までの順位は全体と変わらないが、取り組み状況は規模が小さくなるほど割合が低くなる傾向がある。特に「意欲と能力のある女性を積極的に採用や登用」や「性別に関係なく、能力主義的な人事管理の徹底や人事考課基準の制度化」では大企業が小規模企業を10ポイント以上上回っていた。ポジティブ・アクションは、1 企業当たりでみると、大企業で平均2.27項目、中小企業で平均2.02項目、小規模企業で平均1.77項目となっており、大企業ほど取り組んでいる様子がうかがえる。

注1:以下、「男性管理職に対し、女性活用の重要性についての啓発」(5.0%)、「女性管理職の登用目標を策定」(3.5%)、
「男性の育児休暇取得率を向上」(2.8%)、「その他」(5.5%)
注2:母数は有効回答企業1万1,017社



3 ポジティブ・アクションとは、固定的な性別による役割分担意識や過去の経緯から、男女労働者の間に事実上生じている差があるとき、それを解消しようと、企業が行う自主的かつ積極的な取り組みを指す。単に女性というだけで女性を「優遇」するものではなく、これまでの慣行や固定的な性別の役割分担意識などが原因で、女性が男性よりも能力を発揮しにくい環境におかれている場合に、こうした状況を是正するためのもの。

まとめ

 安倍内閣による『「日本再興戦略」改訂2014』(成長戦略)では、女性の活躍推進として「2020年に指導的地位に占める女性割合30%」を具体的な目標に掲げ、保育士の確保や税・社会保障制度の見直しなど、女性の役員や管理職への登用拡大に向けた環境整備を行うことが明記されている。
 そのようななか、女性割合として課長職以上の管理職割合や、社長を含む役員の構成比10%未満の企業が8割前後にのぼっており、依然として管理職・役員への女性登用が進んでいないことが浮き彫りとなった。しかし、今後について、企業の2割が管理職における女性割合の増加を見込んでおり、現状で女性登用の進展が遅れている大企業、上場企業ほど増加すると考えている様子がうかがえる。また、現在、女性の活用や登用を進めている企業が4 割を超えている一方、進めていない企業も3割超となっている。女性活用・登用を進めていない企業では、「もともと人材登用に男女による差はない」や「資格対象者、候補者がいない」、「女性自身が昇進等を望まないことが多い」とする企業も多い。加えて、女性が活躍する環境が整うためには、男性のみならず、女性の意識の変化も必要とされる。
 企業からも、「女性の採用については地域限定社員での採用となっており、転勤可能な社員への登用希望がないのが現状」(飲食料品小売、香川県)や「最近は女性の方が優秀な人材が多いが、狭いところや汚れたところ、シフト勤務など嫌う傾向もあり適材適所で活用する必要がある」(情報サービス、東京都)など、企業側による試行錯誤も続いている。
 調査結果から、2020年に女性が指導的地位に占める割合30%の目標達成のためには相当な努力が必要となる。女性の活躍が進むためにも、経済・社会環境を総合的に捉えて、政府・企業・労働者それぞれにおいて課題をひとつひとつ解消していくことが重要といえよう。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万3,485 社、有効回答企業1万1,017 社、回答率46.9%)


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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