消費税率再引き上げに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2014年10月特別企画 -

 

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2014年11月14日
株式会社帝国データバンク産業調査部

2015年10月からの再引き上げに企業の約7割が否定的

〜 容認派は財政再建、否定派は経済動向を重視 〜


はじめに

 2014年4月に消費税率が8%へ引き上げられてから6カ月が経過したが、その後、経済活動にさまざまな影響が表れてきている。2012年8月に成立した改正消費税法には2015年10月に税率10%への引き上げが明記されているが、政府は2014年7〜9月期の実質GDPや政労使会議での議論等を重要な判断材料として、消費税率再引き上げの可否を12月に判断するとしている。
 そこで、帝国データバンクは、消費税率の再引き上げに対する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2014年10月調査とともに行った。

調査期間:2014年10月20日〜31日
調査対象は全国2万3,327社で、有効回答企業数は1万755社(回答率46.1%)
本調査における詳細データは、景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 消費税率再引き上げ、「時期を延期して引き上げるべき」が32.1%で最多。「予定通り引き上げるべき」は25.3%にとどまる。「延期」「現行維持」「引き下げ」を合計すると、企業の66.1%が予定通りの引き上げに否定的
  2. 企業規模が小さくなるほど予定通りの引き上げに否定的となり、「小規模企業」では大企業を5.4ポイント上回った
  3. 予定通り引き上げるべきとする企業は財政再建や社会保障の充実、国際公約を重視。再引き上げに否定的な理由では、経済・物価動向や企業業績が上位に挙がった。政府には景気の腰折れ回避を第一に捉えた決断が求められる

1. 消費税率再引き上げ、企業の7割近くが2015年10月からの再引き上げに否定的

 2015年10月の消費税率10%への引き上げに対する是非を尋ねたところ、「時期を延期して引き上げるべき」と回答した企業が32.1%で最多となった。企業の3社に1社は消費税率の引き上げは延期すべきと考えていることが明らかとなった。次いで、「引き上げるべきでない(現行の8%を維持)」の27.4%が続いた。「予定通り引き上げるべき」は25.3%にとどまり、「延期すべき」と「現行維持」「引き下げるべき」を合計すると66.1%となり、回答企業の3社に2社は2015年10月から10%に引き上げることに否定的であることが判明した。
 規模別にみると、予定通り引き上げるべきと考えている企業は規模が小さくなるほど少なくなる傾向があり、「小規模企業」は「大企業」を3.8ポイント下回っている。逆に、現行の8%を維持すべきと考える企業では、「大企業」の23.7%に対して「小規模企業」は29.1%と5.4ポイント上回った。
 中小企業からは、「もし増税になれば、ますます景気が落ち込む」(飲食料品製造、山口県)や「大企業とは異なり、中小企業の経済状況は非常に微妙な段階」(化学品製造、大阪府)、「中小企業は業績回復に期待できないし収益の圧迫も感じている」(飲食料品小売、大阪府)などの意見がみられた。
 否定派を地域別にみると、『北海道』が73.2%で最も高く、『南関東』(63.2%)を10.0ポイント上回った。「年末の需要期前の増税は経済が混乱するおそれがある」(飲食料品・飼料製造、北海道)といった、冬の観光シーズンを前にした10月の引き上げを懸念する意見もあった。

注:母数は有効回答企業1万755社

 業種別にみると、「予定通り引き上げるべき」では、「家具類小売」が45.5%で最も高く、「専門サービス」「電気・ガス・水道・熱供給」「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」「紙類・文具・書籍卸売」が続いた。企業からは、「景気動向が不安定な中での消費税の再引き上げには意見が分かれようが、国際公約とした以上実施時期の繰り延べは論外」(土木建築サービス、東京都)や「計画した以上、震災のような突発的なことがない限り実施すべき。時期がはっきりしている方が対応を取りやすい」(専門サービス、岡山県)など、計画通りの実施を求める意見が挙がった。
 他方、「時期を延期して引き上げるべき」では、「教育サービス」と「家電・情報機器小売」が4割を超えており、「輸送用機械・器具製造」「再生資源卸売」「化学品製造」が続いた。また、「現行の8%を維持すべき」では、「飲食料品小売」と「繊維・繊維製品・服飾品小売」が4割超となった。企業からは、「増税は必要と理解するが、短期間で二度の増税は早急すぎる」(化学品製造、兵庫県)や「消費税増税による財政再建は、景気の回復を確信できる時期まで待つべき」(教育サービス、大阪府)など、短期間での引き上げによる景気への影響を懸念する意見が多くみられた。


2.  容認派は財政再建、否定派は経済・物価動向を重視

 消費税率再引き上げの是非に対する回答についてその理由を尋ねたところ、「予定通り引き上げるべき」と回答した企業では「財政再建」が81.6%で突出して高く、次いで「社会保障の充実」が51.8%で半数超となった。また、「時期を延期して引き上げるべき」と回答した企業では、「経済動向(金利、株価、為替など)」が51.1%と半数を超え、「財政再建」が4割超で続いた。
 「予定通り引き上げるべき」とした企業からは、「いま財政再建をしておかなければ将来世代が過大な負担を負うことになる」(飲食料品卸売、東京都)や「社会保障における世代間のギャップを埋める努力が必要」(建設、兵庫県)など、財政や社会保障において将来世代が受ける負担を軽減すべきとする声が挙がった。また、「5%から8%への引き上げ時に価格に転嫁できておらず、10%になる時に対応する予定だった」(化学品卸売、兵庫県)といった、すでに10%への引き上げを想定して計画していることを指摘する意見も多くみられた。
 予定通りの引き上げに否定的な企業からは「賃金の上昇がまだまだ消費税UPに追いついていない現状からは消費が冷え込むのは自明」(鉄鋼卸売、大阪府)や「まずは景気回復が最優先」(建設、京都府)、「現状での経済成長率をもう少し吟味してからでも遅くない」(非破壊検査、兵庫県)など、賃金の上昇が追い付いていないなかで再び消費税率を引き上げることによる景気への悪影響を懸念する声や、8%への引き上げに対する検証を行ってから10%への引き上げを検討すべきとする声が多く挙がった。

注:母数は有効回答企業1万755社


まとめ

 4月に消費税率が8%に引き上げられて以降、国内景気は当初想定されていた“夏場にも反動減は解消し景気は回復する”というシナリオ通りに進んでいない。2012年の改正消費税法では、景気条項を付したうえで、2015年10月に消費税率を10%に引き上げることが明記されている。しかし、本調査によると、予定通り引き上げるべきと考える企業は4社に1社にとどまり、7割近くの企業が2015年10月の再引き上げに対して否定的であった。特に規模が小さい企業ほどその傾向が強い。
 延期すべきという企業からは、「国の歳出が不透明なので、まずはその問題から解決すべき。解決の暁には国民は十分理解できる」(建設、佐賀県)など、消費税率再引き上げには理解を示しつつも、議員の定数削減など2012年の3党合意を進めるべきという考えが残っているなかで、予定通りの実行に否定的な意見を示す企業も多くみられた。予定通りに再引き上げすべきという企業では財政再建や社会保障の充実、国際公約を重視する一方で、再引き上げに否定的な企業は経済・物価動向や企業業績を理由として挙げている。財政再建を果たす必要があるという見解は多くの企業が有しているものの、そのタイミングについては見方が分かれる結果となった。
 消費税率の再引き上げは企業業績や計画に影響を与えるだけに、政府には景気の腰折れ回避を第一に捉えた決断が求められる。


調査先企業の属性

1) 調査対象(2万3,327社、有効回答企業1万755社、回答率46.1%


2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp

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