マイナンバー制度に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2015年4月特別企画 -

 

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2015年5月19日
株式会社帝国データバンク

マイナンバー、企業の9割超が認識も対応進まず

〜 コスト負担は1社平均109万円と想定 〜


はじめに

 全国民に対する税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度が導入されることに先立ち、2015年10月には市区町村から全国民へマイナンバーの通知が開始される。さらに、2016年1月からは、社会保障や税、災害対策の分野での番号の利用が始まる。企業は、2016年以降、税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応することが求められているほか、従業員とその家族のマイナンバーの情報を企業自らの努力により収集・管理する必要が生じるなど、さまざまな準備が発生すると見込まれている。  帝国データバンクは、企業のマイナンバー制度への対応および見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2015年4月調査とともに行った。

※調査期間は2015年4月16日〜30日、調査対象は全国2万3,211社で、有効回答企業数は1万720社(回答率46.2%)
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. マイナンバー制度について、企業の9割超は何らかの形で同制度を認識していたが、「内容も含めて知っている」という企業は約4割にとどまった。同制度の情報を得る手段としては「新聞」や「テレビ」などマスコミ媒体を通じて入手している
  2. マイナンバー制度への対応を進めている(あるいは完了した)企業は2割弱にとどまる。企業の約6割は対応を予定しつつも何もしておらず、全体の進捗状況は8.9%にとどまっている。対応を進めている企業の具体的内容では、「給与システムの更新」が半数を占め、「社会保障関係書類の更新」「基本方針・取扱規程等の策定」が3割台で続く
  3. マイナンバー制度へのコスト負担額は1社当たり約109万円と推計される。従業員数が多くなるにしたがって上昇し、1,000人超の企業では約581万円の負担を想定している
  4. 法人番号制度、企業の約4割が「知らなかった」。特に、従業員数が5人以下の企業では半数超が法人番号制度自体を認識せず

1. マイナンバー制度、9割超が認識も、内容を理解している企業は4割にとどまる

 マイナンバー制度に対する認知について尋ねたところ、「内容も含めて知っている」と回答した企業は43.5%となり、マイナンバー制度の内容まで知っている企業は約4割にとどまった。「言葉だけ知っている」という企業が半数超に上っているものの、企業の9割超は何らかの形でマイナンバー制度に対する認識を有していた。
 「内容も含めて知っている」企業を業界別にみると、『金融』が66.9%で最も高く、『サービス』が5割を超えている。逆に、『農・林・水産』『小売』『不動産』は3割台にとどまっており、最も高い『金融』と最も低い『農・林・水産』で30ポイント以上の差がある。マイナンバー制度について、内容の理解度が業界間で大きく異なっている。
 従業員数別では、概ね従業員数が多くなるにしたがって、認知度も高くなる傾向がある。特に、従業員数が1,000人超の企業では64.2%がマイナンバー制度を内容まで知っている。他方、従業員数が20人以下の企業では3割台にとどまっており、規模の小さい企業において制度の理解が進んでいない様子がうかがえる。

 企業からは、「効率化につながり、公正・公平性がアップする」(飲食料品卸売、滋賀県)や「マイナンバーの使用範囲が、将来どの程度まで拡大していくのか明確に示されておらず、多少の不安は感じている」(機械・器具卸売、宮城県)、「この制度のメリットとデメリット(リスク)をもっと丁寧に説明し、極力混乱を事前に回避するよう行政は努力義務を果たさなければならない」(飲食料品卸売、愛知県)など賛否両論はみられたものの、マイナンバー制度のメリットやデメリットの説明を求める意見が多くみられた。

2.  情報の入手経路、「新聞」から得ている企業が最多、小規模企業ほどテレビ依存高い

 マイナンバー制度について「内容も含めて知っている」「言葉だけ知っている」のいずれかを回答した企業1万271社に対して、同制度をどのような経路で知ったのか尋ねたところ、「新聞」が61.3%で最多となった(複数回答)。次いで「テレビ」(40.6%)が続き、多くの企業がマスコミ媒体を通じてマイナンバー制度に関する情報を入手している様子がうかがえる。以下、「政府や官庁などの広報」「インターネット」が2割台で続いた。
 情報の入手経路は企業規模によって特徴が異なっている。「新聞」や「政府や官庁などの広報」「インターネット」「雑誌」では中小企業と比較して大企業が高くなっている一方、「テレビ」や「ラジオ」など受動的な入手経路では中小企業の割合が相対的に高い。特に、小規模企業においてマイナンバー制度に関する情報経路は「テレビ」の果たす役割が重要であるといえよう。


3.  マイナンバー制度、「対応中・完了」企業は2割弱、進捗率は平均8.9%にとどまる

 マイナンバー制度の導入を控えて、企業においては、給与所得の源泉徴収票の作成、社会保険料の支払・事務手続きなどでマイナンバーの取り扱いが必要となり、対象業務の洗い出しや対処方針の決定など、同制度への円滑な対応に向けた準備を行う必要がある。
 そこで、自社におけるマイナンバー制度への対応状況について尋ねたところ、「対応は完了した」という企業はわずか0.4%だった。対応を検討・進めているとした「対応中」は18.7%で、対応完了と合わせても2割に満たない。また、「予定はあるが、何もしていない」企業が62.0%に上っておりマイナンバー制度について多くの企業は認識を持っているにもかかわらず、対応が進んでいない実態が浮き彫りとなった。同制度への対応状況について、対応完了から予定はあるが何もしていない企業まで、現時点の進捗率は平均8.9%にとどまっている。

4.  マイナンバー制度への対応内容、「給与システムの更新」が約半数で最多

 マイナンバー制度への対応状況について「対応は完了した」「対応中」のいずれかを回答した企業2,042社に対して、具体的にどのような対応を行っているか尋ねたところ、「給与システム(源泉徴収票等)の更新」と回答した企業が約5割で最多となった(複数回答)。次いで、「社会保障関係書類(社会保険、健康保険等)の更新」「基本方針・取扱規程等の策定」が3割台で続き、「従業員への周知方法の検討」「従業員や家族のマイナンバー把握・登録・管理方法の整備」が上位に挙がった。情報管理の重要項目にあがる「情報セキュリティの整備(情報漏洩防止等)」(26.2%)は7位となっており、現状においてセキュリティに対して具体的に取り組んでいる企業は4社に1社にとどまっていた。

 企業からは、「各企業が対応できないままスタートする可能性が高いなかで、あと半年で対応出来るのか大変不安」(情報サービス、東京都)や「あまりにも分からないため、これから勉強し、どう対応したらいいのか検討する。そのうえで、どう行動していくかをコンサルタント担当と協議して進めていきたい」(飲食料品・飼料製造、青森県)といった、具体的に何をすればよいか分からないという企業や、円滑なスタートについて不安を覚えている企業は多い。また、「法人は給与管理システムの変更や個人への周知など、負担を強いられることになる。政府は個人や法人にもっと周知する努力が必要」(繊維・繊維製品・服飾品製造、奈良県)など、政府に対してさらなる周知を求める意見も多く挙がった。

5.  平均コスト負担額は約109万円と推計、従業員数1,000人超では約600万円に

 マイナンバー制度への対応状況について「対応は完了した」「対応中」のいずれかを回答した企業2,042社に対して、同制度への対応でどのくらいのコスト負担を想定しているか尋ねたところ、「10万円以上50万円未満」が21.3%で最も多かった。以下、「50万円以上100万円未満」「100万円以上」が続いた。その結果、1社当たりの平均コスト負担額は約109万円と推計される。従業員数別にみると、従業員が多くなるにしたがって負担額も高まっており、従業員数が「5人以下」「6〜20人」では40万円台となっている一方、「1,000人超」となる大手企業では平均で600万円近い負担を想定している。

 企業からは、「大小分け隔てなく導入されるのであれば、対策にかかる費用については税金で賄うか、あるいは最悪でも補助金等の対応がほしい。投資をすると業績に響くが、投資をしないと信用に響くというのでは選択のしようがない」(建材・家具製造、兵庫県)や「コストがかかり秘密情報保全等のリスクが高まり民間企業にとっては大変な業務である」(情報サービス、東京都)、「制度の適用に関しては、社内インフラ整備が必要なため、コスト面も含めて慎重に対応していきたい」(機械・器具卸売、東京都)といった意見がみられ、とりわけ中小企業において導入にかかるコストと得られる効果に関して、不安を感じている企業は多い。

「100万円以上」は、「100万円以上500万円未満」「500万円以上1,000万円未満」「1,000万円以上」の合計

6.  法人番号制度、企業の約4割が「知らなかった」

法人番号制度に対する認知について尋ねたところ、「内容も含めて知っている」と回答した企業は20.7%にとどまった。他方、「知らなかった」企業が37.7%で約4割に達しており、法人番号制度に対する認識は広がっていないことが明らかとなった。
 「知らなかった」企業を従業員数別にみると、概ね従業員数が少ない企業で高い。特に、従業員数が5人以下の企業では半数超が法人番号制度の存在自体を認識していなかった。
 企業からは、「法人番号は全く知らなかった。もっと詳しい周知をお願いしたい」(飲食料品卸売、静岡県)や「法人番号に関する用途等具体的に知りたい」(情報サービス、東京都)など、法人番号制度に対する情報提供を求める声が多く挙がった。また、「法人番号が設定されるのならば、官公庁の入札や金融機関からの借入などに必要な証明書関係はそのデータベースに紐付けして、取得の手間がかからないようにして欲しい」(電気機械製造、愛知県)といった、行政書類の作成などの効率化を期待する意見もみられた。



まとめ

 税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度について、2015年10月から全国民に番号通知が開始される。企業においては、税や社会保障の手続き、給与所得の源泉徴収票作成など、同制度への円滑な対応に向けて準備を行わなければならない。マイナンバー制度に対する認知度は9割を超えているものの、制度の内容を理解している企業は4割程度にとどまっているうえ、同制度への対応を進めている企業は2割に満たないのが現状である。さらに、対応を予定しつつも現時点で何もしていない企業は6割超に上っており、多くの企業は認識を持っているにもかかわらず、対応が進んでいない実態が浮き彫りとなった。
 企業の対応が進まない背景には、内容の理解不足とともに、新たなコスト負担への懸念が挙げられる。マイナンバー制度に対応するために企業が想定している費用は平均して約109万円かかると推計される。とりわけ、中小企業では導入にともなう新たな費用に対する効果について不安を感じている企業も多い。

 同時に開始される法人番号制度では、約4割が制度自体を「知らなかった」と回答しており、企業からは「制度、内容について、まだ充分には周知徹底が行われていない」(機械製造、群馬県)など政府による周知不足を指摘する意見も多い。2016年1月には社会保障や税、災害対策の分野での番号の利用が始まる。制度への対応進捗が遅れている中小企業、とりわけ小規模企業では「テレビ」から情報を入手している企業が多いという結果も明らかとなった。そのようななかで、円滑に制度をスタートさせ、企業の費用負担を早期に明確にするためにも、政府は企業や個人に対してより効果的に制度の理解を図っていかなければならない。

調査先企業の属性

1) 調査対象(2万3,211社、有効回答企業1万720社、回答率46.2%

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部 産業調査グループ 情報企画課
担当:窪田
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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