“本業”の現状と今後に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2015年6月特別企画 -

 

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2015年7月14日
株式会社帝国データバンク

創業以来、企業の47.7%が“本業”に変化

〜 江戸期以前に創業の企業、“本業”を保ちつつ新分野への挑戦も積極的 〜


はじめに

 経済のグローバル化やサービス化、技術革新・情報化の進展等、企業経営を取り巻く環境の急 激な構造変化が進むなか、企業が長期継続する要因として、経営戦略のなかで“本業”をどのよう に捉えるかが重要となっている。また、成長戦略では、金融機関に対して、融資企業の経営改善や 生産性向上、体質強化への取り組みがなされるように、企業の本業支援に努めるよう求めている。
 そこで、帝国データバンクは、“本業”の現状と今後に対する企業の見解について調査を実施し た。本調査は、TDB 景気動向調査2015 年6 月調査とともに行った。

※“本業”は自社の売上額の最大構成事業として質問した
※調査期間は2015 年6 月17 日〜30 日、調査対象は全国2 万3,442 社で、有効回答企業数は1 万867 社(回答率46.4%)
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 創業時(設立時)と現在とを比較して、企業の47.7%で“本業”が変化していた。また、約半
    数の企業は今後10 年間で本業が変わる「可能性はある」と見込む。とりわけ、過去に“本業”
    が変化した企業では、今後も変わる可能性を視野に入れており、全体の3 社に1 社に上る
  2. “本業”が変化したきっかけは「本業以外の事業の拡大」が5 割超で最高。以下、「本業の競争激化・競争力低下」「本業の市場縮小」が続く。また、その内容は「主要取扱商品・サービス」が8 割を超えており、「業種転換」は16.2%にとどまる
  3. 自社の“本業”市場が今後「縮小する」と見込む企業は47.5%。「拡大する」と見込む企業19.7%にとどまる。今後実施・検討する事業展開は「本業の国内取引先を深める」「本業での新商品・サービスの展開」が5 割超
  4. 江戸期以前に創業の企業、“本業”が変わっていない企業は56.3%だが、今後は4 割超が変わる「可能性はある」と回答。新分野への参入も積極的に考えており、“本業”を保ちつつも果敢に新しいことへ挑戦しようとする姿が浮き彫りに

1. 創業以来、企業の47.7%で“本業”に変化、今後も半数近くが変わる「可能性あり」

 創業時(設立時)と現在を比較して自社の“本業”が変化したかどうか尋ねたところ、「変化し
た」と回答した企業は47.7%となり、約半数の企業で創業以来、本業が変わっていることが明ら
かとなった。他方、「変化していない」も47.1%で、ほぼ拮抗する結果であった。
 また、今後10 年間で自社の“本業”が変わる可能性があるか尋ねたところ、「可能性はある」
が47.8%となり、「可能性はない」(33.1%)を14.7 ポイント上回った。約半数の企業が、今後、
“本業”が変わる可能性はあると見込んでいる。

 過去に“本業”が変化した企業では、今後も変わる可能性を視野に入れており、全体の3 社に1 社に上った。同時に、過去には変化してこなかったが、今後は変化する可能性があると考える企 業も1 割超となっている。ただし、これまでも今後も“本業”に変化はないとする企業は3 割近 くとなっており、自社の本業を保持し続けるとする企業も多い。

 そこで、“本業”の変化を業種別にみると、本業が過去に変化し、かつ今後も変化の可能性はあ ると回答した企業【常に変化】は、「電気通信」「放送」「出版・印刷」が5 割以上となった。その 他、「繊維・繊維製品・服飾品製造」や「パルプ・紙・紙加工品製造」「紙類・文具・書籍卸売」「繊 維・繊維製品・服飾品卸売」など、繊維や紙類関連において“本業”を変化させ続けている様子が うかがえる。
 また、本業が過去に変化しておらず、かつ今後も変化の可能性はないとした企業【常に変わら ず】は、「医薬品・日用雑貨品小売」が50.0%で最高となったほか、「旅館・ホテル」「教育サービ ス」「各種商品小売」「放送」「農・林・水産」が4 割台で続いた。
 本業が過去は変化していないが、今後は変化の可能性はあるとした企業【変化に直面】は、「電 気・ガス・水道・熱供給」が27.3%で最も高く、以下「電気通信」「情報サービス」「飲食店」「家 具類小売」が2 割台で続いた。「電気通信」は【常に変化】でも1 位となっており、これまで変化 しなかった企業においても“本業”の変化を迫られている。その他、「娯楽サービス」や「専門商 品小売」など個人を顧客対象とする業種が上位に上がる結果となった。

 企業からは、「本業を守りながら、サービス内容を革新させていくことで、事業の継続を図って いく」(鉄鋼卸売、鳥取県)や「本業の生産性の向上・効率化などによる本業の深化をはかるのみ」 (森林組合、茨城県)など、“本業”を中心として今後も事業を展開するという声が多く挙がった。 また、「本業の拡大や多角化というところは計画として考えている」(一般貨物自動車運送、北海 道)という意見のほか、金融機関からは「地域の活性化に貢献し、本業である融資や預金のボリュ ームを増加させていく」(信用金庫、兵庫県)といった、地域経済に果たす役割として本業支援を 行うという声もあった。他方、「本業のグローバルチャンスはあると考えているが、それを追求で きる実力がまだ弱い」(機械製造、石川県)など、中小企業ではチャンスを見出しながらもさまざ まな制約のなかで事業の拡大を図れていないという意見もみられた。


2.  “本業”が変化したきっかけは「本業以外の事業の拡大」が5 割を超える

 創業時(設立時)と比較して“本業”が「変化した」と回答した企業5,179 社に対して、どのよ うなことが変化したか尋ねたところ、「主要取扱商品・サービス」が80.3%で最も高かった(複数 回答、以下同)。また、従来とは異なる業種を本業とする「業種転換」と回答した企業は16.2%と なった。本業が変わった企業の8 割超は自社の扱う商品・サービスにおける事業構成が入れ替わ っていたが、業種そのものを転換した企業は2 割弱にとどまっている。 “本業”が変化したのはどのようなことがきっかけとなったのか尋ねたところ、「本業以外の事 業の拡大」が50.4%で最高となった。次いで、「本業の競争激化・競争力低下」「本業の市場縮小」 が4 割台で続き、「経営者の交代」も4 社に1 社が、本業が変わったきっかけに挙げた。自社の競 争力低下や市場縮小よりもむしろ、本業ではない事業が拡大することで“本業”が変わっていっ たことがうかがえる。特に、本業以外の事業の拡大をきっかけとして“本業”が変化した企業は 「大企業」で高く、「中小企業」を8.4 ポイント上回った。 また、“本業”が「業種転換」によって変わった企業についてそのきっかけをみると、7 割以上 の企業が「本業以外の事業の拡大」がきっかけとなっていた。さらに、「本業の市場縮小」も5 割 弱に達しており、業種を転換する際 には、それまで本業としていた市場 に代わる新たな市場を見出している ことが示唆される。 企業からは、「本業を深堀してより 質の良い製品、サービスを提供する とともに業界で圧倒的な一番になり 経営を安定させる」(床板製造、北海 道)や「本業をさらに専門化し能力を 高めなければ、今後の競合に勝って 行けなくなる」(精密機械器具卸売、 静岡県)、「本業をないがしろに しないで、副業を社内ベンチャ ーのような形で立ち上げて、新 たな事業展開を見出したいと考 えている。投資とのバランスを 考えて経営していかなければな らない」(一般管工事、青森県) といった声があった。“本業”を 経営の軸に据えながらも、新た な事業を開拓するという企業の 意見が目立った。


3.  “本業”の市場見通し、「縮小」を見込む企業が47.5%、「拡大」は19.7%にとどまる

 自社の本業に係る市場の将来性(今後5〜10 年程度の市場見通し)について、どのように認識 しているか尋ねたところ、「縮小見込み」(「縮小する見込み」「やや縮小する見込み」の合計)が 47.5%で最多となった。企業の半数近くは自社の“本業”分野における市場が今後、縮小していく とみていることが明らかとなった。また、「拡大見込み」(「拡大する見込み」「やや拡大する見込 み」の合計)は19.7%と2 割を下回り、「横ばい見込み(変わらない)」は3 割弱となった。自社 の“本業”の先行きについては、多くの企業が 厳しく捉えている様子がうかがえる。本業が変 化したきっかけとして「市場の縮小」を挙げる 企業が4 割を超えているなかで、将来性に対す る見方は、今後“本業”が変わっていく可能性 を示唆しているといえよう。 自社の“本業”市場が拡大すると認識してい る企業を業界別にみると、『サービス』が31.6% で最も高かった。なかでも、「旅館・ホテル」 (46.9%)と「情報サービス」(41.6%)は4 割 超の企業で市場が拡大するとみており、訪日旅 行客の増加や景気回復にともなうIT 投資の増 加などを見込んでいる。以下、『金融』『運輸・ 倉庫』が2 割台で続き、『小売』は13.4%で最 も低くなった。ただし、『小売』のなかでも「医薬品・日用雑貨品小売」は50.0%となっている一 方、「自動車・同部品小売」や「専門商品小売」は1 ケタ台にとどまるなど、業界内で市場の見通 しについて大きな差が生じている。

4.  今後実施・検討する事業展開、「本業の国内取引先を深める」が最高

 今後どのような事業展開の実施・検討を想定しているか尋ねたところ、生産や販売・調達など「本業の国内取引先を深める(深耕)」と回答した企業が58.0%で最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「本業での新商品・サービスの展開」が57.5%で続き、多くの企業が“本業”を充実させる事業展開を考えていた。以下、「本業以外の事業(既存の別事業)の拡大」や「新規事業への参入(多角化)」、生産・販売・調達などでの「本業の海外への新規展開や拡充」が2 割台となった。本業の縮小や業種転換など、事業を後退させるという企業はいずれも1 ケタ台にとどまった。

5.  江戸期以前に創業の企業、“本業”を保ちつつ新分野への挑戦も積極的

 “本業”の変化について、企業 の創業時代別にみると、江戸期以 前に創業した企業では半数超の企 業は“本業”が変わっていないこ とが明らかとなった。他方、今後 については42.2%が「可能性はあ る」と考えており、これからは“本 業”も変化させなければならない とする企業も多い。また、今後実 施・検討する事業展開においても 海外への新規展開や本業以外の事 業の拡大、新規事業への参入など、 新分野への挑戦も積極的に考えて いる。長く続いてきた企業では、 “本業”を保ちつつも果敢に新し いことへ挑戦しようとする姿が浮 き彫りとなった。他方、「昭和戦中」 時代に創業した企業について、今後“本業”が変わると考える割合は低い一方、国内取引先を深耕 しつつ本業の海外展開を考えており、慎重な中にも大胆さを有している様子がうかがえる。



まとめ

 経済のグローバル化が進み、企業経営を取り巻く環境が大きく変化するなか、企業が自社の“本 業”をどのように捉えるかが、生き残りを図るための重要な要素となっている。また、政府の成長 戦略では、企業の持つ強みを生かしていくことで生産性向上や企業体質の強化を図ることを掲げ ている。
 そのようななか、創業(設立)以来、企業の47.7%で“本業”は変化していた。多くは取扱商 品・サービスが変わったことによる本業の変化であったが、一部では業種の転換を図った企業も ある。さらに、企業の半数近くは今後“本業”が変わる可能性があると考えていることが明らかと なった。その本業を過去に変えたきっかけは本業以外の事業の拡大が最も多くなっており、必ず しも後ろ向きの本業の変化だけではなかったことがうかがえる。ただし、本業の市場縮小や競争 力低下も重要な要因となっていることも事実である。また、自社の本業に係る市場の先行きにつ いても厳しい見方をしている企業は多い。
 他方、江戸期以前に創業した企業は、「利益が確保できる限り、本業をしっかりやっていく」(機 械工具等卸売、愛知県)や「時代の変化は余りに早く、伝統に基づく価値観は引き継ぐとしても、 いつまでも“本業”にもこだわってはいられない」(事務用機械器具卸売、群馬県)といった声に もあるように、“本業”をしっかりと守りつつ、新たな挑戦を続けている姿が浮き彫りとなった。 長期にわたり継続してきた企業の歴史は、多くの企業にとって示唆に富むものとなっていよう。

調査先企業の属性

1) 調査対象(2 万3,442 社、有効回答企業1 万867 社、回答率46.4%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部 産業調査グループ 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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