女性登用に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2015年7月特別企画 -

 

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2015年8月13日
株式会社帝国データバンク

女性管理職割合は平均6.4%も、ゼロの企業が50.9%

〜 女性の活躍促進、「社会」「家庭」「職場」における環境整備で業績改善に 〜


はじめに

 生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感の高まりがみられるなか、政府は女性の活躍促進を成長戦略と同時に、地方創生の一環としても重要政策として打ち出している。また、企業においては新しい視点の取り入れや男性の働き方改革としても位置付けられるなど、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業の成長に女性の活躍が不可欠 という認識も高まっている。
 そこで、帝国データバンクは、女性の活用や登用に対する企業の見解について調査を実施した。
なお、本調査は、TDB 景気動向調査2015 年7月調査とともに行った。女性登用に関する調査は2013
年7月調査、2014 年7月調査に続き3 回目。

※調査期間は2015 年7 月17 日〜7 月31 日、調査対象は全国2 万3,176 社で、有効回答企業数は
1 万1,008 社(回答率47.5%)。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 女性管理職がいない企業は50.9%と半数にのぼり、女性管理職の割合は平均6.4%にとどまる。
    一方、従業員全体の女性割合は平均24.2%、役員は平均8.4%。女性管理職の割合は、小規模
    企業や『不動産』のほか割合の低い業界で、上昇傾向にある
  2. 今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は22.3%
  3. 女性の活用や登用を「進めている」企業は4 割を超える。その効果は「男女にかかわらず有能
    な人材を活かすことができた」が7 割超で突出。女性活用から受ける効果は企業規模によって
    異なり、「大企業」では女性の労働観や採用活動、「小規模企業」では業務の円滑な進行やコミュニケーションの活発化、人材不足への対応に表れる
  4. 女性の活躍促進には、「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場の働き方見直し」がカギ。「仕事と子育ての両立支援」「妊娠・出産・子育て支援の充実」を重視する企業が過半数となった

1. 女性管理職がいない企業、50.9%で半数にのぼる

 自社の従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、「30%以上」と回答した企業は28.3%であった 1。また、「10%未満」(23.8%)と「0%(全員男性)」(5.7%)を合わせると、女性従業員割合が10%に満たない企業は29.5%となり、2014 年の30.7%から2 割台に低下した。平均女性従業員割合は24.2%となり、2014 年より0.3 ポイント上昇した。
 他方、自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合では、「30%以上」とする企業は5.9%
にとどまった。逆に、「0%(全員男性)」が50.9%で半数にのぼり、さらに「10%未満」(29.9%)と合わせると、女性管理職が1 割に満たない企業は80.8%にのぼった。その結果、平均女性管理職割合は6.4%となり、2014 年より0.2 ポイント上昇した。
 自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合では、「0%(全員男性)」が61.5%で6 割を超え
ている。さらに、「10%未満」(15.1%)と合わせると、女性役員が1 割に満たない企業は76.6%
と前年と同水準だった。また、「30%以上」とする企業も11.0%で、平均女性役員割合は8.4%と
2014 年と変わらなかった。

 

 女性管理職の平均割合を規模別にみると、規模が小さくなるほど女性管理職の割合は高くなり、
2014 年と比べるとすべての規模で上昇した。業界別では、『小売』『不動産』『金融』『サービス』
で高く、『運輸・倉庫』『建設』『製造』などで低かった。特に『不動産』では「実力があれば女性
でもどんどん登用したい」(東京都)など、積極的に登用を進める企業も多く、前年から2.1 ポイント上昇した。ただし、下位業界においても「意欲的に業務を行う女性従業員について、積極的に支援していきたい」(一般貨物自動車運送、愛知県)といった意見がみられるなど、女性管理職割合は少しずつ上昇する傾向にある。
 女性管理職の平均割合は前年から0.2 ポイントの上昇にとどまったが、内訳をみると「小規模企業」や『不動産』に加えて、低割合業界で上昇傾向が進むなど、女性の管理職登用に対して企業間で変化が表れている。

 


2.  今後、自社の女性管理職割合が増えると見込んでいる企業は22.3%

 自社の女性管理職割合は5 年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、「変わらない」とする企業が71.4%と多数を占めている。割合が「増加した」と回答した企業は18.8%、逆に「減少した」企業は4.4%にとどまった。他方、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、企業の約6 割が女性管理職の割合は「変わらない」とみているものの、企業の2 割超で女性管理職の割合が「増加する」と見込んでおり、女性の管理職登用については、概ね拡大していくと考えている様子がうかがえる。
 女性役員については、5 年前と比較して「増加した」企業は7.1%だったが、今後「増加する」と考えている企業は6.5%にとどまり、企業における女性役員の増加はスピードがやや緩慢になってきている可能性が示唆される。


3. 女性登用を進めた効果、企業規模による違いが顕著に

 自社において女性の活用や登用を進めているか尋ねたところ、企業の41.1%が「進めている」と回答した。他方、女性の活用や登用を「進めていない」企業は約3 割であった。女性の活用や登用を進めている企業にその効果を尋ねたところ、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が7 割を超え、突出して高かった。以下、「女性の労働観が変化してきた」「女性を登用したことで業務が円滑に進んだ」「従業員のモチベーションが上がった」「多様な働き方が促進され、労働環境が改善された」が続き、いずれも2 割を超えた。
 女性の活用・登用を進めることによる効果は企業規模間の差が大きく、「女性の労働観が変化してきた」では「大企業」(40.6%)が「小規模企業」(25.5%)を15.1 ポイント上回ったほか、「採用活動等で有利に働いた」と感じている割合も大企業が高い。他方、「女性を登用したことで業務が円滑に進んだ」「従業員同士のコミュニケーションが活発になった」では「小規模企業」が「大企業」より10 ポイント以上高くなっている。また、「将来の人材不足に対応できた」とする企業も小規模企業で高く、企業規模により女性活用・登用から得られる効果の違いが明らかとなった。

 

4. 女性の活躍促進、「仕事と子育ての両立支援」「妊娠・出産・子育て支援の充実」を重視する企業が過半数

 6 月26 日、政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」において「女性活躍加速のための重点方針2015」を決定したほか、6 月30 日には女性の活躍促進を柱の1 つとする「『日本再興戦略』改訂2015」(成長戦略)と「経済財政運営と改革の基本方針2015」(骨太の方針)が閣議決定された。
 そこで、女性の活躍を促進するためにどのようなことが重要と考えるか尋ねたところ、「仕事と子育ての両立支援(育休復帰支援など)」が57.4%で半数を超え、最多となった(複数回答、以下同)。さらに、「妊娠・出産・子育て支援の充実」が54.3%で続き、「保育サービスの充実(待機児童や保育士不足の解消など)」が4 割超となるなど、女性の家庭における負担軽減に関する項目がトップ3 となった。以下、「税・社会保障制度の見直し(個人所得課税、被用者保険の適用拡大)」「男性の育児・介護休業取得、育児参加の促進」「介護の支援」「働き方の改革(長時間労働の削減など)」「ワーク・ライフ・バランスを推進する企業を幅広く評価する枠組みの導入」が2 割台で上位に挙がった。
 企業からは、「育児について、社会全体、地域全体で支援することで、女性の負担軽減、ひいては少子化問題までつながることから、積極的に取り組む必要がある」(放送、宮崎県)や「育児休業制度において、男性の取得率が上がらないと女性の社会進出の妨げになる事は明白。そのためには、育児休業を取った場合の男性をサポートする制度が整わないと、女性進出ばかりを掲げても実現は難しい」(自動車・同部品小売、福岡県)など、女性が活躍する社会の実現には、女性だけでなく男性に対して、地域や社会全体として支える仕組みが重要とする意見が多かった。

5.  女性の活躍、「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場の働き方見直し」がカギ

 前ページにおける女性の活躍を推進するために重要なこと「企業の重視項目」について、これらの実施が、企業の業績(売り上げ)に与える影響を分析した2。その結果、女性の活躍が進むことで、企業の重視項目の実施→女性管理職割合の上昇→売り上げ増加確率の上昇というプロセスを経て、企業の業績改善につながることが明らかとなった3。企業の重視項目は「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場の働き方見直し」の3 因子にまとめることができ、これらは今後の女性活躍を促進するためのキーポイントとなる(各因子に含まれる重視項目は参考表参照)。
 女性管理職割合に対し3 因子を説明変数として回帰分析を行ったところ、各重視項目を実施すると女性管理職の割合が上昇することが確認できた。ただし、その影響度は項目により異なっており、「職場の働き方見直し」は「社会の制度拡充」より女性管理職割合上昇に対し3.8 倍強い影響度を持っている。したがって、女性がより働きやすい職場環境を作っていくことが重要といえる。さらに、女性管理職割合が1%上昇した場合、売り上げ増加確率が0.52%上昇する、という関係性にあることが分かった。女性が活躍できる環境を社会・家庭・職場それぞれの分野で構築していくことは、企業業績の改善に結びつく可能性を高めるといえよう。

 

 



まとめ

 安倍内閣による『「日本再興戦略」改訂2015』では、女性の活躍促進に対するKPI として「2020
年に指導的地位に占める女性割合30%」「25 歳〜44 歳の女性就業率73%」「第1 子出産前後の女
性の継続就業率55%」「男性の育児休業取得率13%」「男性の配偶者の出産直後の休暇取得率80%」
「2017 年度末までに46.3 万人の保育所勤務保育士の確保」などの目標を掲げている。
 そのようななか、課長職以上の管理職に占める女性の割合は平均6.4%と微増にとどまっている。ただし、企業における変化は表れており、小規模企業や不動産業、低割合業界において女性管理職は拡大する傾向がみられた。女性従業員割合が上昇していることは、今後の女性管理職割合が増加する一助となりうる一方、役員は増加スピードがやや緩やかになっている可能性が示唆された。また、現在、女性の活用や登用を進めている企業は4 割を超えているなか、その効果は企業規模間で大きく異なり、「大企業」では女性の労働観や採用活動等で有利に働いたとする企業が多い一方、「小規模企業」では業務の円滑な進行やコミュニケーションの活発化、人材不足への対応などに表れていた。
 女性の活躍が促進されるためには、「社会の制度拡充」「家庭の負担軽減」「職場の働き方見直し」
が今後のキーポイントになることが、本調査の分析から確認できた。さらに、女性が働きやすい環境を社会・家庭・職場において構築することで企業の業績が改善する確率を高めることも示されている。日本が女性の活躍できる社会となるには、女性の働き方だけでなく、社会制度や男性の働き方、職場の各種制度を整えていくことが重要となろう。

調査先企業の属性

1) 調査対象(2 万3,176 社、有効回答企業1 万1,008 社、回答率47.5%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部 産業調査グループ 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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