マイナンバー制度に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2015年10月特別企画 -

 

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2015年11月17日
株式会社帝国データバンク

マイナンバー制度の理解は進むも、対応完了企業は1割未満

〜 法人番号の活用、イメージの湧かない企業が多数 〜


はじめに

 全国民に対する税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度について、2015年10月5日からは個人を対象とするマイナンバー、10月22日からは法人番号が通知され、2016年1月から社会保障や税、災害対策の分野での番号の利用が始まる。企業は、2016年以降、税や社会保障の手続きでマイナンバー制度に対応することが求められているほか、従業員とその家族のマイナンバーの収集・管理など、さまざまな準備が発生すると見込まれている。
 帝国データバンクは、企業のマイナンバー制度への対応および見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2015年10月調査とともに行った。

※調査期間は2015年10月19日〜31日、調査対象は全国2万3,173社で、有効回答企業数は1万838社(回答率46.8%)。なお、マイナンバー制度に対する調査は2015年4月以来2回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. マイナンバー制度について、「内容も含めて知っている」という企業は75.0%。4月調査時点と比較して31.5ポイント増加しており、制度の理解は浸透してきている。しかし、従業員数が「5人以下」の企業では5割台にとどまる
  2. マイナンバー制度への対応を完了した(あるいは進めている)企業は7割超。対応の進捗率も平均47.6%となり、4月調査時点と比較して38.7ポイント上昇。ただし、対応を完了した企業は6.4%と依然として1割を下回る状況が続いている
  3. マイナンバー制度へのコスト負担額は1社当たり約61万円と推計される。対応が徐々に進むにつれ、費用面での不安も低下していることは好材料と言える
  4. 法人番号を活用する「予定がある」企業は2.8%だった。「検討中」(20.8%)と合わせても2割程度にとどまった。他方、「予定はない」が40.5%、「分からない」も35.9%となり、自社の企業活動で法人番号を活用することについてイメージの湧かない企業は多い
  5. 法人番号の活用、「取引先の情報更新の迅速化」が49.3%でトップ

1. マイナンバー制度、内容を理解している企業が75%、制度への理解は大きく浸透

 

2015年10月時点で、マイナンバー制度に対する認知について尋ねたところ、「内容も含めて知っている」と回答した企業は75.0%となり、マイナンバー制度の内容まで知っている企業は4社に3社となった。2015年4月(43.5%)から半年で31.5ポイント増加した。また、「言葉だけ知っている」という企業は23.8%となり、4月(52.4%)から28.6ポイント減少した。企業のマイナンバーに対する認知度は半年間で格段に進み、ほぼすべての企業で何らかの形でマイナンバー制度に対する認識を有していた。
 「内容も含めて知っている」企業を業界別にみると、『金融』が82.4%で最も高く(4月:66.9%)、『サービス』『運輸・倉庫』『製造』など8業界が7割を超えている。逆に、『不動産』だけが6割台にとどまっており、マイナンバーに対する認知が最も遅れている。
 従業員数別では、最も高い「101〜300人」(84.7%)と比べて「5人以下」(55.5%)の企業への浸透が進んでおらず、29.2ポイントの開きがある。概ね、小規模企業から中堅企業にかけては認知度が高まる傾向があるものの、「301〜1,000人」「1,000人超」と従業員数が多くなるにつれて、マイナンバー制度の認知度が再び減少する傾向がみられた。
 企業からは、「公平な社会になるため非常に良いこと」(塗装工事、東京都)や「情報が簡素化され、公共の無駄、税金の無駄遣いが減るので好ましい」(木造建築工事、鹿児島県)など、積極的に受け止める企業がある一方、「マーナンバー情報の収集・保管の管理業務の負担増大が悩み」(産業廃棄物処分、福岡県)や「国民にとってのメリットを説明しないと、不信感だけが募る」(建物売買、東京都)といった意見もみられた。


2.  マイナンバー制度、「完了・対応中」企業は7割超、4月からの半年で大幅に進捗

 マイナンバー制度の導入に向けて、企業においては、給与所得の源泉徴収票の作成、社会保険料の支払・事務手続きなどでマイナンバーの取り扱いが必要となり、対象業務の洗い出しや対処方針の決定など、同制度への円滑な対応に向けた準備を行う必要がある。
 そこで、自社におけるマイナンバー制度への対応状況について尋ねたところ、「対応は完了した」という企業は6.4%で、依然として1割に達していない状況が浮き彫りとなった。対応を検討・進めているとした「対応中」は65.9%で、対応完了と合わせると7割超の企業が何らかの対応を進めている。他方、企業の21.6%が「予定はあるが、何もしていない」としており、10月時点でもマイナンバー制度への対応を開始していない企業も多い。ただし、同制度への対応状況について、現時点の進捗率は平均47.6%となっており、4月時点(8.9%)と比較すると38.7ポイント上昇した。


3. 平均コスト負担額は約61万円と推計、従業員数「5人以下」では約23万円

 

マイナンバー制度への対応状況について「対応は完了した」「対応中」のいずれかを回答した企業7,831社に対して、同制度への対応でどのくらいのコスト負担がかかったか、あるいは、かかると想定しているか尋ねたところ、「10万円以上50万円未満」が25.1%で最も多かった。以下、「10万円未満」「費用はかけない」「50万円以上100万円未満」「100万円以上」が続いた1 。その結果、1社当たりの平均コスト負担額は約61万円と推計される。
 従業員数別にみると、従業員が多くなるにしたがって負担額も高まっており、従業員数が「5人以下」では約23万円、「6〜20人」では約32万円などとなっている一方、「1,000人超」となる大手企業では平均で約342万円の負担を想定している。
 企業からは、「企業にとってコストやリスクが増大するだけで企業のメリットがどこにあるのか現状では感じられない」(左官工事、愛媛県)や「管理コストをかけるだけのメリットを出せるように社会的に様々な仕組みを整えてほしい」(建物売買、東京都)、「コスト的なマイナス面もあるが、公的サービスの合理化に協力するしかない。官公庁などの肥大化防止になれば幸い」(光学機械レンズ製造、大阪府)といった意見がみられ、コストの高まりを懸念するとともに、得られるメリットを高めて欲しいという意見も上がった。


1 「100 万円以上」は、「100 万円以上500 万円未満」「500 万円以上1,000 万円未満」「1,000 万円以 上」の合計

4. 法人番号の活用イメージが湧かない企業が多数

 

国税庁は2015年10月22日から11月25日にかけて、登記上の所在地にある法人宛に、法人番号を通知している。また法人番号は広く公表され、官民問わず、自由に利用することが可能となっている。そこで、自社の企業活動において法人番号を活用する予定があるか尋ねたところ、「予定がある」と回答した企業は2.8%だった。また、「検討中」(20.8%)と合わせても2割超にとどまった。他方、「予定はない」が40.5%、「分からない」が35.9%となっており、自社の企業活動で法人番号を活用することについて、イメージが湧いていない様子がうかがえる。

5. 法人番号の活用予定、「取引先の情報更新の迅速化」「取引情報の効率化」が4割超

 

法人番号の活用予定について、「予定がある」と「検討中」と回答した企業2,556社に、具体的にどのような活用方法を想定しているか尋ねたところ、「取引先の情報更新の迅速化(住所・商号など)」が49.3%でトップだった。次いで、「取引情報の効率化(各部署で保有する取引情報の集約、名寄せなど)」が4割台で続いた。以下、「法人情報の管理・提供」「新規取引先の開拓・把握」が3割台、「マーケティング活動」が2割台となった。上位2項目は、特に取引先の多い「大企業」で割合が高くなる傾向がある。
 企業の多くは、積極的な営業活動への活用ではなく、取引情報の効率化や情報更新の迅速化、偽装法人の確認などを見据えていることが明らかとなった。しかしながら、企業からは「現実にどういったビジネスが想定されるのかイメージが湧かない」(情報処理サービス、岐阜県)や「活用など考えてもみなかった」(生鮮魚介卸売、兵庫県)など、法人番号を用いてビジネスに生かすという発想を持ち得ていない企業も多くみられた。

6. 法人番号付与で便利に感じるものが「ある」企業は4.5%にとどまる

 

業務で利用するデータのなかで、法人番号が付与されていると便利に感じるものはあるかどうか尋ねたところ、「ある」と回答した企業は4.5%にとどまった。しかし、「ない」も1割程度で、「あるかないか分からない」が57.1%、「むしろ便利になる使い方を知りたい」が25.9%となっており、便利になるかどうかの判断がついていない企業が8割を超えている。 企業からは「同一商号の会社と取引があり、手続き上のミスが軽減される」(ソフト受託開発、東京都)や「部門ごとに異なる顧客IDの統合に寄与できる 」(ガソリンスタンド、秋田県)、「正真正銘の正当な会社とのイメージ作りに寄与する」(デザイン業、大阪府)といった意見がみられた。

まとめ

 税と社会保障の共通番号(マイナンバー)制度は、個人・法人ともに番号の通知が始まっている。また、現実に2016年1月からはマイナンバーの利用がスタートする。企業においては、税や社会保障の手続き、給与所得の源泉徴収票作成など、さまざまな準備を行わなければならない。
 そのような状況において、マイナンバー制度に対する認知度はここ半年で大きく高まった。しかし、従業員数別にみると、依然として「5人以下」の企業への浸透が遅れている。また、マイナンバー制度への対応を完了している企業は現時点でも1割に満たない。対応を進めている企業は大幅に増えているものの、制度開始を直前に控え、さらなる対応の進捗が求められる。
 これまで、企業の対応が進まなかった背景には、内容の理解不足とともに、新たなコスト負担への懸念が挙げられていた。マイナンバー制度に対応するために企業が実際に要した、あるいは想定している費用は平均約61万円と推計されている。4月時点では平均109万円と想定していた企業だったが、対応が進むにつれて費用面での不安が低下したことは好材料と言えよう。
 他方、同時に開始される法人番号制度では、法人番号を自社のビジネスに活用しようという企業は非常に少数であることが分かった。活用方法では、取引情報の効率化や取引先情報の更新の迅速化を挙げる企業が多い。しかし、そもそも法人番号を活用する予定のない企業が多数を占めており、政府の想定通りには必ずしも進んでない様子がうかがえた。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,173社、有効回答企業1万838社、回答率46.8%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部 産業調査グループ 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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