2016年度の業績見通しに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2016年3月特別企画 -

 

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2016年4月14日
株式会社帝国データバンク

4社に1社が「増収増益」も、個人消費や中国経済への懸念強まる

〜 アベノミクスへの企業の評価は60点、1年前より3.9ポイント低下 〜


はじめに

 国内景気は、公共工事の減少が地域経済を悪化させる要因となっているほか、中国経済や資源国経済の低迷による金融市場の混乱で企業や家計のマインドを萎縮させるなど、全国的に悪化している。また、人手不足による受注機会の喪失は景気拡大を抑制する懸念材料ともなっているなか、景気動向は地域や業界、規模によって業績に与える影響が異なっている。
 そこで、帝国データバンクは、2016年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2016年3月調査とともに行った。


※調査期間は2016年3月17日〜31日、調査対象は全国2万3,342社で、有効回答企業数は1万622社(回答率45.5%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年3月以降、毎年実施し、今回で8回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。
※賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない。

調査結果(要旨)

  1. 2016年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は25.9%。2015年度実績見込みからは2.0ポイント減少するものの、「減収減益」も3.9ポイントの大幅減少。2016年度業績は厳しい見方を強めながらも改善を見込む企業が多い
  2. 2016年度業績見通しの下振れ材料は「個人消費の一段の低迷」が40.7%でトップとなり、「外需(中国経済の悪化)」「所得の減少」が続いた。特に、中国経済の悪化は前回(2015年3月調査)から倍増しており、中国の景気低迷に危機感を強めている。他方、上振れ材料は「個人消費の回復」が38.4%でトップとなり、「公共事業の増加」「原油・素材価格の動向」が続いた
  3. 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の成果に対する企業の評価は、100点満点中60.3点。3年余りにわたるアベノミクスについて60点以上の評価を与えているものの、1年前より3.9ポイント低下しており、厳しい目で見る企業が増加している

1. 2016年度は企業の25.9%が「増収増益」見通し、2015年度実績から2.0ポイント減少

 2016年度(2016年4月決算〜2017年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益ベース)について尋ねたところ、「増収増益(見込み)」と回答した企業は25.9%となり、2015年度実績見込みから2.0ポイント減少した一方、「減収減益(見込み)」は前年度から3.7ポイント減少した。また、「前年度並み(見込み)」は10.8ポイント増加した。「増収増益」の減少幅より「減収減益」の減少幅の方が大きいほか、企業の41.0%が「増収」(「増収」は、「増収増益」「増収減益」「増収だが利益は前年度並み」の合計)を見込むなど、2016年度業績は厳しい見方を強めながらも業績改善を見込む企業が多くなっている。

 2016年度の業績見通しを従業員数別にみると、1,000人超の企業では6割近くが「増収」を見込んでいる一方、5人以下の企業では3社に1社にとどまる。「増収増益」も同様の傾向がみられ、2016年度の業績は大企業を中心に回復が進むと予想され、企業業績において規模間格差の拡大が懸念される。




2.  2016年度業績見通し、個人消費への動向を注視するなか、「中国経済の悪化」が急増

 2016年度の業績見通しを下振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の一段の低迷」が40.7%で最多となった。次いで、「外需(中国経済の悪化)」「所得の減少」「公共事業の減少」「人手不足」が続いた。特に、2位の中国経済の悪化を挙げた企業は前回調査(15.0%)から倍増しており、中国の景気低迷に危機感を強めている様子がうかがえる。また、家計の所得増加が厳しい状況のなか「消費税率10%への引き上げをにらんだ買い控え」は約2割となっており、とりわけ『小売』や『不動産』『運輸・倉庫』などの業界で家計支出の抑制を懸念する企業が多くなっている。「賃金の上昇と消費税の据え置きの両方がなければ、消費が落ち込み、景気が悪くなる」(金融、東京都)や「利益に関係なく計算される消費税はこれから先経営に大きく響く」(老人福祉事業、群馬県)といった、消費税率引き上げにともなう消費への影響を指摘する企業も多くあった。また、「マイナス金利」については、「マイナス金利による収益の悪化」(信用金庫・同連合会、岐阜県)など『金融』業界では3割超の企業が下振れ要因として挙げていた。
 2016年度の業績見通しを上振れさせる材料では「個人消費の回復」が38.4%で最多となり、5年連続で上振れ要因のトップとなった。次いで、企業から「東京五輪関連など公共事業の活性化」(機械製造、新潟県)といった声もある「公共事業の増加」が続いたほか、「原油・素材価格の動向」「所得の増加」「為替動向」が続いた。また、「消費税率10%への引き上げを控えた駆け込み需要」を上振れ要因として挙げる企業が15.9%となっており、各社とも下振れ要因となる買い控えとともに、消費税率引き上げの影響は企業業績にとってプラスとマイナスの両面で不確定要因となる可能性がある。



3.  アベノミクスへの評価は平均60.3点、1年前より3.9ポイント低下

 安倍政権による経済政策(アベノミクス)について、現在までのアベノミクスの成果を100点満点で評価した場合、何点と評価するか尋ねたところ平均60.3点だった。企業は3年余りにわたるアベノミクスについて60点以上の点数をつけているものの、前回調査から3.9ポイント低下しており、厳しい目で見る企業が増加した。
 企業からは、「アベノミクスが打ち出されなければ日本経済は停滞が続き、ベア実施など実現できなかった」(電気機械器具卸売、神奈川県、99点)や「アベノミクスによりデフレ脱却の機運が高まったのは事実」(不動産、福岡県、85点)など、賃金上昇やデフレ脱却に向けた取り組みを評価する意見が多くみられた。また、「高齢者にやさしい政策が多いと思うが、相対的に人口が少ない子供や出生率が上がる取り組みをもっと進めてほしい」(製缶板金、大阪府、75点)や「株価上昇、円安等の金融政策がある一定の効果を生み出している」(自動車(新車)小売、愛媛県、80点)などの声があがった。
 アベノミクスに対する評価には依然として企業規模による差が表れている。「大企業」が62.1点だった一方、「中小企業」は59.8点と、中小企業では60点を下回る評価となっている。また、1年前と比べるといずれの規模においても点数が低下しており、とりわけ「大企業」において大きく悪化した。企業からは「一時的に企業の賃上げは行われたものの、実体経済に好影響があったとは思えず、政策が効果を上げていない」(燃料小売、愛知県、20点)や「実質所得の減少を把握していながら政策的な手段を何ら行っていない」(金属プレス製品製造、滋賀県、30点)といった、アベノミクスは実体経済を活性化させていないとの指摘が挙がった。  総じて、企業はこれまでのアベノミクスに60点以上をつけているものの、中小企業ほど厳しくみており、企業の4割近くが60点未満となっているほか、80点以上の高評価をつける企業が10%ポイント近く減少している。政府は、企業がアベノミクスに対して徐々に厳しい見方を増しているなか、より効果的な政策を果断に実行しなければならない。


まとめ

 中国の景気低迷や原油安にともなう資源国経済の減速に加え、2017年4月に予定されている消費税率引き上げを前に不透明感が漂っている。そのようななか、2016年度は企業の4社に1社が「増収増益」(前年度実績比2.0ポイント減)を見込んでいるが、同時に「減収減益」とする企業も3.7ポイント減少するなど、企業の2016年度業績に対する見通しは総じて厳しい見方を強めながらも業績改善を見込む企業が多くみられた。特に、個人消費に対する懸念は強く、消費税率を8%に引き上げて以降長期化している駆け込み需要の反動減とともに、収入の増加が厳しい状況のなかで10%への引き上げを前にした家計の支出抑制の影響を視野に入れている様子がうかがえる。
 また、企業はこれまでの安倍政権の経済政策(アベノミクス)に対する評価について平均60.3点をつけていることが明らかとなった。3年余りにわたるアベノミクスに対して60点以上の点数をつけているものの、1年前と比較すると3.9ポイント低下しており、政府の経済政策に厳しい見方をとる企業が増加していることも浮き彫りとなった。
 2016年度の企業業績について前年よりやや弱気の見通しとなっているなか、個人消費や中国経済の動向などを懸念材料として捉えている。政府は一層効果的な政策を打ち続けていかなければならない。

 

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,342社、有効回答企業1万622社、回答率45.5%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 顧客サービス統括部 産業調査グループ 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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