個人消費活性化に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2016年12月特別企画 -

 

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2017年1月19日
株式会社帝国データバンク

現状の個人消費、企業の半数超が「悪い」と認識

〜早期回復を見込む企業は1割未満、消費活性化には8つの条件を1つ1つクリア〜


はじめに

 2016年11月実施のTDB景気動向調査の特別企画「2017年の景気見通しに対する企業の意識調査」において、景気回復に必要な政策として「個人消費拡大策」が5年連続でトップとなった。国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費の拡大は、本格的な景気回復に欠かせない要素となっている。
 そこで、帝国データバンクは、個人消費活性化に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2016年12月調査とともに行った。


※調査期間は2016年12月15日〜2017年1月5日、調査対象は全国2万3,804社で、有効回答企業数は1万33社(回答率42.1%)。

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 現在の個人消費動向、『悪い』と回答した企業は51.9%となり半数を超えた(『悪い』は「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計)。他方、『良い』は8.7%にとどまり、とりわけ「非常に良い」と回答した企業は0社で、個人消費動向について非常に厳しい見方

  2. 過去に実施された消費活性化策で効果のあった政策は、「所得税減税」(43.9%)が最高。2位は「エコカー減税・補助金」(40.9%)、3位は「住宅ローン減税」(37.3%)となり、減税にともなう消費者の負担軽減策が上位に。さらに、4位「エコポイント制度」(23.1%)と5位「プレミアム付商品券」(18.8%)には付加サービスが得られる政策が続いた

  3. 個人消費活性化には「賃金の増加」(74.3%)が突出。以下、「将来不安の払拭(年金など)」「個人所得税の減税」が4割台、「企業業績の改善」が3割台で続く

  4. 個人消費活性化に向けてクリアするべき条件は、1)消費機会の創出、2)自由な時間の増加、3)若者支援、4)高齢者支援、5)マクロ環境の改善、6)将来不安の払拭、7)家計負担の軽減、8)企業活動の伸長

  5. 個人消費の回復時期、「長期的に回復する見込みはない」が28.8%。「2年後」(13.3%)「3年後以降」(12.8%)と4社に1社は回復時期を2年以上先と見込む。1年以内は1割未満

1. 個人消費、企業の半数超が厳しい見方

 現在の個人消費動向についてどのように感じているか尋ねたところ、『悪い』と回答した企業が51.9%となり半数を超えた(『悪い』は、「非常に悪い」「悪い」「やや悪い」の合計)。他方、『良い』(「非常に良い」「良い」「やや良い」の合計)は8.7%で1割を下回ったほか、「どちらともいえない」は35.9%で3社に1社となった。特に、「非常に良い」と回答した企業は0.0%(0社)、「良い」も0.5%にとどまり、個人消費動向について企業は非常に厳しくみている様子がうかがえる。
 業界別に『悪い』の割合をみると、『小売』が64.5%で最も高く唯一6割を超えた。消費者と直接接する小売業の危機感の高さが際立つ結果となった。
消費動向が『悪い』とみている企業からは、「価格に大変敏感で、購入決定までにリサーチする時間が長くなっている」(自転車小売、大阪府)や「消費を“吟味”し、身の丈消費をする傾向がある」(男子服小売、東京都)など、消費者が時間をかけて購入する傾向の高まりを指摘する意見があった。また、「将来に対する不安から、消費より貯蓄に向かう生活防衛姿勢が非常に強くなっている」(陶磁器・ガラス器卸売、愛知県)や「収入の増加より税金や商品の値上げの方が早くて大きい」(鉄鋼卸売、東京都)、「社会不安(年金受給要件の悪化、社会保障の悪化)が一般消費者の購買意欲を削いでいる」(しょう油・食用アミノ酸製造、北海道)といった、将来不安とともに可処分所得の伸び悩みが購買意欲を落としているという声も多くみられた。
 『良い』とみている企業からは、「年末の賞与も上積みされ消費意欲が増している」(建築工事、徳島県)など所得環境の改善のほか、「建築後、20〜25年経過した高齢者住宅のリフォームが多い」(ビルメンテナンス、長崎県)、「レンタカーの予約状況が回復基調」(自動車賃貸、兵庫県)といった自社商品への反応の変化をあげる企業もみられた。また、「ネット販売で多数の新興企業に需要が散らばり企業毎の感覚には現れないが、全体では数年前より消費傾向は高まっている」(貸衣装、神奈川県)や「『がまん消費疲れ』からの『ちょい高消費』の動きが出ている」(土木建築サービス、東京都)など、購入場所の多様化や購買行動の変化で消費の動きを捉えることが難しくなっていることを指摘する意見もあった。

 

2. 消費者の負担軽減が消費活性化に有効と認識も、生活の豊かさが根本問題との声も

 これまでに実施された消費活性化策のうち、どのような政策で効果があったと思うか尋ねたところ、「所得税減税」が43.9%で最高となった(複数回答、以下同)。次いで、「エコカー減税・補助金」が4割を超えたほか、「住宅ローン減税」が3割超となるなど、減税にともなう消費者の負担軽減策が上位にあがった。さらに、「エコポイント制度(住宅エコポイントや家電エコポイント)」、「プレミアム付商品券」など、消費を行うことで付加サービスが得られる政策が続いた。
 これまで実施された消費活性化策について、厳しい経済環境が続いたなかで直接的に消費を押し上げる政策を評価している一方、根本的には生活が豊かになる政策が重要と考えている様子がうかがえる。

3.  個人消費活性化には「賃金の増加」が突出、クリアすべき8つの条件

 個人消費が活性化するために必要な条件はどのようなことだと思うか尋ねたところ、「賃金の増加」が74.3%で突出して高かった。以下、「将来不安の払拭(年金など)」と「個人所得税の減税」が4割台で続き、「企業業績の改善」が3割台となった。また、「消費税率の引き下げ」も23.8%となり、4社に1社が個人消費活性化には消費税率引き下げも必要だと考えていることが分かった。
 企業からは、「賃金は上昇しているなか、20〜30代の消費が大幅に落ちているのは将来への不安以外に考えられない」(スーパーストア、北海道)や「年金制度の不信感が長期消費低迷の最大の原因」(婦人・子供服卸売、愛知県)、「子育て世代の減税対策や子育て環境の充実が重要」(靴卸売、大阪府)、「若い人たちが将来に希望や夢を持てる政策が必要」(ソフト受託開発、愛知県)、「住宅ローン減税の延長と空家に対する優遇税制の廃止が必要」(造園工事、東京都)といった意見があがった。
 個人消費活性化に必要な条件について因子分析を行ったところ、8つのポイントが浮かび上がってきた。1)消費機会の創出、2)自由な時間の増加、3)若者支援、4)高齢者支援、5)マクロ環境の改善、6)将来不安の払拭、7)家計負担の軽減、8)企業活動の伸長、である 1。消費の活性化に向けて、日本社会はこれらの条件を1つ1つクリアしていくことが重要となろう。



1 因子分析は、主成分解により因子を抽出し、直交バリマックス回転を行った。各因子に含まれる選択肢(消費活性化の具体的項目)は参考表参照


4. 消費の回復時期、早期回復を見込む企業は1割未満、慎重な見方が根強く

 今後、個人消費が本格的に回復する時期について尋ねたところ、「長期的に回復する見込みはない」が28.8%と、個人消費の動向に悲観的な企業が3割近くに達した。また、「3年後以降」(12.8%)と「2年後」(13.3%)を合わせると26.1%となり、4社に1社は2年以上先になると見込んでいる。さらに、「すでに回復している」(2.0%)や「1年後」(7.6%)など、短期での回復を見込む企業は1割に満たない。しかし、「分からない」も35.4%と多く、企業にとっても個人消費の先行きを想定することが難しいという実態も見えてきた。

まとめ

 今後の国内景気は個人消費の動向がカギを握る。家計は先行き不安により支出を抑えようとする誘因が働く一方、消費が弱いままとなれば、年金や保険制度など他の政策にも影響を及ぼす可能性が高い。
 こうしたなか、現在の個人消費について、企業の半数超が『悪い』と捉えている一方、『良い』は1割に満たず、非常に厳しい見方をとっていることが浮き彫りとなった。他方、過去の消費活性化策では、「所得税減税」や「エコカー減税・補助金」「住宅ローン減税」で効果が高かったと捉えている。直接的に消費を刺激する政策を評価する一方で、寄せられたコメントからは中長期的に生活が豊かになる政策も重視している様子もうかがえた。
 個人消費が活性化するために必要な条件では、「賃金の増加」が突出しており、現実問題として消費者の所得増加が最大の活性化策となろう。ただし、若年層を中心に財布のヒモが緩くなるためには、年金など将来不安が払拭されなければならない。早期に消費が回復すると見込む企業は少なく、依然として慎重な見方が根強く残っている。個人消費が活性化するためには、消費機会の創出や自由な時間の増加など、本調査で浮かび上がった8つの条件を1つ1つクリアしていく必要がある。「個人消費の回復時期は政府の政策次第」(男子服小売、北海道)という意見もあるように、個々の企業や消費者だけでなく、政府による役割も大きく、消費活性化に向けた取り組みは日本社会全体で進めることが肝要であろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,804社、有効回答企業1万33社、回答率42.1%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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