2017年度の雇用動向に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2017年2月特別企画 -

 

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2017年3月14日
株式会社帝国データバンク

正社員採用、過去10年で最高水準

〜副業・兼業はモチベーション向上や人材確保・定着で効果的〜


はじめに

 2016年12月の有効求人倍率は1.43倍と、1991年7月以来25年5カ月ぶりの高水準となり、人手不足が深刻化している。また、新規学卒者の就職内定率は2016年12月時点で85.0%(大卒)と6年連続で上昇し過去最高となっている。さらに、政府は「働き方改革」をアベノミクス第三の矢の柱として、副業・兼業など柔軟な働き方を議論している。しかし一方で、地域間や業界間、社員・非正社員間などの雇用動向には依然として格差がみられる。
 そこで、帝国データバンクは、2017年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年2月調査とともに行った。


※調査期間は2017年2月15日〜28日、調査対象は全国2万3,804社、有効回答企業数は1万82社(回答率42.4%)。なお、雇用に関する調査は2005年2月以降、毎年実施し、今回で13回目

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 正社員の採用予定があると回答した企業の割合は64.3%と、3年連続で6割を超え、過去10年で最高水準。特に「大企業」(83.8%)の採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。「中小企業」(59.0%)の採用予定も2年ぶりに上昇し、正社員の採用動向は上向き状況
  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は47.6%で2年連続の減少となり、非正社員に対する採用意欲はやや弱まった。しかし、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」は8割を超える企業で採用を予定
  3. 従業員の副業・兼業を認めることによる効果では、従業員の「定着率が向上した」が26.6%で最高。次いで、「従業員のモチベーションが高まった」「従業員のスキルが向上した(本業に貢献)」「多様な人材の活躍が推進できた」「継続雇用が増加した(リタイア後の再雇用など)」が続いた。従業員の副業・兼業を認めることで、労働意欲や人材確保・定着の面で効果的と捉えている

1. 2017年度の正社員採用、「採用予定あり」が過去10年で最高

 2017年度(2017年4月〜2018年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は64.3%となり、前回調査(2016年2月実施)を1.4ポイント上回った。採用予定のある企業は3年連続で6割を超え、過去10年で最高となった。他方、「採用予定はない」は26.2%となり、2011年度以降7年連続で減少し、10年ぶりの低水準となった。
 とりわけ「大企業」では、2017年度に正社員の「採用予定がある」と回答した企業が83.8%にのぼり、調査を開始した2005年度以降で最高を更新した。半数を超える大企業が人手不足を感じているなか 1、大企業の採用予定は2002年1月から2008年2月まで続いた戦後最長の景気回復期を上回る水準となり、採用に積極的となっていることが浮き彫りとなった。
 採用予定のある企業からは、「人手不足解消と合わせ、将来の人材育成のためにも新卒採用を増加させる」(パン・菓子製造、山形県)や「業務量と働き方のバランスを考慮すると、業務量増加に対して時間外労働の削減を実現するため、採用を増加させる必要がある」(ソフト受託開発、大阪府)など、業務量増加に対する負荷を軽減させることを目的とする企業が多くみられた。また、「新事業開始にともない中途採用の社員が必要となっており、若干名の増加となる」(一般貨物自動車運送、秋田県)といった事業拡大や、「景気の状況よりも社員の平均年齢が上がっているので世代交代は必要」(製缶板金、石川県)といった従業員の高齢化への対応として正社員を採用するという意見もみられた。



 他方、採用予定のない企業からは、「一昨年から賞与を出せておらず、昇給もない状況で、普通の待遇が提供できないため、正社員などの採用は自粛している」(通信機械器具・同関連機械器具製造、東京都)や「新たな人材を入れたい気持ちはあるが人件費を増やすことのリスクの方が大きく、機械化による効率化を目指している」(各種商品卸売、愛知県)、「現在の人員で適正」(内航船舶貸渡、大分県)といった声があがった。


1.帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2017年1月)」(2017年2月21日発表)

2. 非正社員の採用予定企業は2年連続で減少

 2017年度(2017年4月〜2018年3月入社)の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は47.6%となった。非正社員の採用予定は2011年度以降5年連続で上昇してきたのち、2年連続で減少しており、非正社員に対する採用意欲はやや弱まった。
 しかし、非正社員が人手不足の状態にある業種では採用意欲は高い。とりわけ、「飲食店」や「旅館・ホテル」「娯楽サービス」は、8割を超える企業で採用を予定している。
 企業からは、「仕事量の増加が見込まれるが、非正規社員の定着が進まないため」(一般食堂、埼玉県)や「特に布団敷のアルバイトが不足しているのを補充したい」(旅館、鹿児島県)といった、仕事の増加にともなう採用をあげる企業が多くみられた。また、「定着率が落ち、常時募集をかけている現状」(パチンコホール、東京都)や「労働契約など法改正があり少人数で回すことが難しくなっているため、多くの人を短時間で雇った方が効率的」(中古自動車小売、三重県)など、低い定着率や労働制度への対応を指摘する意見もあった。
 他方、「採用予定はない」(38.6%)と回答した企業は、前回調査(38.8%)とほぼ同水準となった。企業からは、「技術職が中心なので短期の採用は検討していない」(金属製品塗装、埼玉県)や「非正社員の採用は当分しない。採用は正社員で行い、しっかりと育成をしていく方針」(金属製建具工事、宮崎県)といった声があがった。

 

3.  副業・兼業を認めた企業、従業員の「定着率向上」に効果

 政府が進めている働き方改革において、従業員の副業・兼業を含め働き方の柔軟化が主要なテーマの一つとなっている。そこで、従業員が副業・兼業を行うことを『認めている』(「積極的に認めている」「やむを得ず認めいている」の合計)企業1,047社に対して、認めることでどのような効果がみられたか尋ねたところ、「定着率が向上した」が26.6%で最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「従業員のモチベーションが高まった」(16.5%)、「従業員のスキルが向上した(本業に貢献)」(16.2%)、「多様な人材の活躍が推進できた」(11.1%)、「継続雇用が増加した(リタイア後の再雇用など)」(10.8%)が続いた。企業は、副業・兼業を認めた結果、特に従業員の労働意欲や人材確保・定着の面で効果的と捉えている様子がうかがえる。
 企業からは、「農業者について兼業を認めている」(土木工事、秋田県)など農業に従事する必要性や、「給与カットを行った際に、従業員の副業・兼業を認め、明文化した」(通信機械器具・同関連機械器具製造、東京都)といった、待遇面の変更が認めるきっかけになったという声があった。また、「従業員の年間所得額が増えた」(細幅織物、静岡県)や「認めなければ退職者が増加する」(一般貨物自動車運送、愛知県)などの声も聞かれた。
 他方、「事故・怪我・病気などを心配している」(一般貨物自動車運送、兵庫県)という意見もみられた。


まとめ

 2017年度の雇用動向について、正社員の「採用予定がある」企業の割合が過去10年で最高水準となった。特に「大企業」の採用意欲は高く、本調査開始以降の最高を更新した。また、「中小企業」の採用予定は2年ぶりに上昇しており、正社員の採用状況は企業規模にかかわらず上向いた。他方、非正社員の「採用予定がある」企業は2年連続で減少しており、採用意欲はやや弱まったといえる。しかし、人手が不足している業種における採用意欲は依然として高く、なかでも「飲食店」「旅館・ホテル」「娯楽サービス」では8割を超える企業が非正社員の採用を予定していた。
 政府が進める働き方改革の1つである副業・兼業について、「定着率の向上」が副業・兼業を認めていることの効果として捉えている企業が多かった。さらに、従業員のモチベーション向上やスキルアップなども上位にあげられるなど、労働意欲や人材確保・定着について効果的と考えていることが明らかとなった。また、「現在は認めていないが、今後は認める予定(検討含む)」企業は15.4%あり、今後、4社に1社まで副業・兼業を認める企業が拡大する可能性も示唆される。
2017年度の企業の採用意欲は、正社員および大企業を中心として、高水準が続いている。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,804社、有効回答企業1万82社、回答率42.4%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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