- 2017年3月調査 -
〜 省力化を意図した設備投資需要高まる 〜
(調査対象2万3,929社、有効回答1万305社、回答率43.1%、調査開始2002年5月)
景気DIは前月比0.8ポイント増の46.2となり、2カ月連続で改善した。求人数増加に加え「コト消費」需要を取り込んだ『サービス』が1年7カ月ぶりに50台を回復。国内景気は、生産や部品輸出といった自動車関連の好調や、省力化など人手不足対策の需要増加などを追い風に回復傾向が続いた。今後の景気は、好調な輸出や五輪に向けた建設投資の本格化を背景に、緩やかな回復が続く見込み。
『製造』『小売』『サービス』など7業界が改善、『不動産』など3業界が悪化した。『サービス』は事業者向け、個人向けともに好調となり、景況感は7カ月連続で上昇、1年7カ月ぶりに50台を回復した。また、自動車部品関連の生産・販売が引き続き上向き傾向で推移しており、景気全体を押し上げる要因となった。
『北関東』『北陸』『中国』など10地域中8地域が改善、『四国』『九州』の2地域が悪化した。観光・ビジネス旅行客の増加がプラス材料となったほか、全国的な自動車販売の好調が関連する部品等の生産地域の景況感を押し上げた。規模別では、「中小企業」が大きく改善し、規模間格差は3カ月連続で縮小した。
2017年3月の景気DIは前月比0.8ポイント増の46.2となり、2カ月連続で改善した。
3月の国内景気は、自動車の堅調な国内生産や同部品および半導体などの電子部品の輸出増加、人手不足を背景とする省力化設備需要の高まりなどを追い風に『製造』が改善。また、人材不足の深刻化で求人が高水準で推移していることを受けた「人材派遣」のほか、消費者の「コト消費」および季節需要を取り込んだ「飲食店」や「旅館・ホテル」「娯楽サービス」などを含む『サービス』が7カ月連続で改善、1年7カ月ぶりに50台を回復した。加えて、為替市場の安定も企業活動にプラスに働いた。国内景気は、自動車関連の好調や人手不足対策の需要増加などを追い風に回復傾向が続いた。
今後、米トランプ政権の政策が日本経済に及ぼす影響を注視していく必要があるだろう。米政府と議会との政策調整が難航するなか、米連邦準備制度理事会(FRB)のさらなる利上げの内容や日米経済対話の動向が注目される。また欧州選挙やイギリスのEU離脱交渉の行方など、海外においてリスクを多数抱えていくことになる。一方で国内は、働き方改革の実行計画遂行や雇用・所得環境の改善に加え、賃金水準の上昇が個人消費の回復につながることが期待される。また、世界経済の回復を受けた輸出および生産の拡大のほか、五輪開催に向けた建設投資の本格化や補正予算執行が景気を押し上げる要因となろう。米トランプ政権が及ぼす影響を注視しつつも、今後の景気は好調な輸出や五輪に向けた建設投資の本格化を背景に、緩やかな回復が続くことが見込まれる。
※景気予測DIは、ARIMAモデルに経済統計を加えたstructural ARIMAモデルで分析
『製造』『小売』『サービス』など7業界が改善、『不動産』など3業界が悪化した。『サービス』は事業者向け、個人向けともに好調となり、景況感は7カ月連続で上昇、1年7カ月ぶりに50台を回復した。また、自動車部品関連の生産・販売が引き続き上向き傾向で推移しており、景気全体を押し上げる要因となった。
『製造』(46.3)…前月比0.9ポイント増。2カ月連続の改善。幅広い業種で人手不足が続くなか、取引先から省力化需要が高まっている。また、「輸送用機械・器具製造」(同3.2ポイント増)は、好調な自動車輸出の増加により2014年8月(53.4)以来となる水準まで上昇した。そのため、関連する「機械製造」(同1.8ポイント増)や「鉄鋼・非鉄・鉱業」(同0.8ポイント増)も改善した。また、原料費高騰に一服感がみられるなか、調味料製造や水産食料品製造を含む「飲食料品・飼料製造」(同0.6ポイント増)が2カ月連続で改善するなど、12業種中9業種が改善した。
『小売』(41.1)…同0.2ポイント増。5カ月連続で改善。「自動車・同部品小売」(同1.4ポイント増)は堅調に推移してきた自動車購入が最需要期に入ったこともあり5カ月連続で改善した。また、新生活や引っ越しなど季節要因を背景に販売が堅調な「家電・情報機器小売」(同3.1ポイント増)が前月を大きく上回ったほか、「繊維・繊維製品・服飾品小売」が2カ月ぶりに改善した。しかし、『小売』全体が改善するなか9業種中6業種が悪化し、少数の大幅改善業種が全体を押し上げる結果となった。
『サービス』(50.4)…同1.3ポイント増。7カ月連続で改善し、2015年8月以来1年7カ月ぶりに50台を回復した。人手不足が続くなかで、求人が高水準で推移している「人材派遣・紹介」(同3.8ポイント増)が改善したほか、「広告関連」(同1.2ポイント増)は求人広告などが増加した。また、消費者の「コト消費」需要に加えて、春休みやお花見のほか、プレミアムフライデーをきっかけとした好影響が一部でみられた「飲食店」(同6.1ポイント増)や「旅館・ホテル」(同3.8ポイント増)、「娯楽サービス」(同2.1ポイント増)など、個人向けサービスの景況感も改善した。『サービス』は15業種中12業種が改善、うち6業種で50以上となるなど、回復傾向が続いている。
『不動産』(49.4)…同0.5ポイント減。5カ月ぶりに悪化。低金利の追い風は続いているものの、不動産価格の高止まりに加え、徐々に今後の金利上昇を懸念する見方が増してきた。また、貸事務所業からは「空きテナントの入居がなかなか決まらない」などの声も聞かれ、上向いていた不動産業界の景況感に一服感が表れた。他方、投資用マンションなどの販売・着工は好調に推移するなど、貸家業の景況感は高水準が続いた。
※網掛けなしは前月比改善または増加、黄色の網掛けは前月比横ばい、青色の網掛けは前月比悪化または減少を示す
「大企業」が48.9(前月比0.6ポイント増)、「中小企業」が45.4(同0.8ポイント増)、「小規模企業」が44.4(同0.3ポイント増)となり、2カ月連続で全規模がそろって改善した。
・「大企業」は東京五輪関連や修理ニーズが堅調な『サービス』のほか『金融』など10業界中6業界が改善。「中小企業」は、人手が不足している企業への人材派遣や保育所などを含む『サービス』が2014年7月以来2年8カ月ぶりに50台を記録するなど6業界が改善し、規模間格差は3カ月連続で縮小した。「小規模企業」は、『製造』や『サービス』が1ポイント以上増加した一方、悪化も4業界あり、景気への実感が二分する傾向がみられた。
※網掛けなしは前月比改善または増加、黄色の網掛けは前月比横ばい、青色の網掛けは前月比悪化または減少を示す
『北関東』『北陸』『中国』など10地域中8地域が改善、『四国』『九州』の2地域が悪化した。観光・ビジネス旅行客の増加がプラス材料となったほか、全国的な自動車販売の好調が関連する部品等の生産地域の景況感を押し上げる要因となった。
『北関東』(45.4)…前月比1.2ポイント増。3カ月ぶりに改善。『サービス』(同1.6ポイント増)は観光やビジネス旅行客の増加で「旅館・ホテル」や「リース・賃貸」などが好調だった。また、「飲食料品・飼料製造」「飲食料品卸売」「飲食料品小売」「飲食店」がいずれも改善するなど、食品関連の改善が目立った。
『北陸』(44.1)…前月比1.2ポイント増。3カ月ぶりに改善。『サービス』(同1.6ポイント増)は観光やビジネス旅行客の増加で「旅館・ホテル」や「リース・賃貸」などが好調だった。また、「飲食料品・飼料製造」「飲食料品卸売」「飲食料品小売」「飲食店」がいずれも改善するなど、食品関連の改善が目立った。
『中国』(46.3)…同1.2ポイント増。2カ月連続で改善。自動車の生産・販売が上向いた『製造』(同2.4ポイント増)は「輸送用機械・器具製造」や「鉄鋼・非鉄・鉱業」など8業種が改善し、地域の景況感を押し上げる要因となった。また、国内外からの旅行需要が堅調で『小売』(同3.3ポイント増)や『サービス』(同1.5ポイント増)など、個人消費関連業種も上向いた。
※網掛けなしは前月比改善または増加、黄色の網掛けは前月比横ばい、青色の網掛けは前月比悪化または減少を示す
2017年3月17日〜31日(インターネット調査)
全国企業の景気判断を総合した指標。国内景気の実態把握を主目的として、2002年5月から調査を開始。景気判断や企業収益、設備投資意欲、雇用環境など企業活動全般に関する項目について全国2万社以上を対象に実施している月次の統計調査(ビジネス・サーベイ)である。
全国全業種、全規模を対象とし、調査協力の承諾が得られた企業を調査先としている。
DI(ディフュージョン・インデックス〈Diffusion Index〉)は、企業による7段階の判断に、それぞれ下表カッコ内の点数を与え、これらを各回答区分の構成比(%)に乗じて算出している。
50を境にそれより上であれば「良い」、下であれば「悪い」を意味し、50が判断の分かれ目となる。なお、小数点第2位を四捨五入している。また、DIの算出においては、企業規模の大小に基づくウェイト付けは行っておらず、「1社1票」の単純平均の形をとっている。
企業の多様性が増すなか、資本金や従業員数だけでは計りきれない実態の把握を目的に、中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分している。
注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング
景気DIの先行きを予測する指標。ARIMAモデルに、経済統計やTDB景気動向調査の「売り上げDI」、「設備投資意欲DI」、「先行き見通しDI」などを加えたstructural ARIMAモデルで分析し、景気予測DIを算出している。
【問い合わせ先】株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田剛士、伊藤由紀
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
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