2017年度の業績見通しに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2017年3月特別企画 -

 

PDF形式のファイルをご覧いただくには、
下記リンク先からダウンロードしてください。

プレスリリースをダウンロード

プレスリリースをダウンロード
2017年4月14日
株式会社帝国データバンク

企業の27.6%が「増収増益」見込みで緩やかな回復傾向

〜企業はアベノミクスを63.1点と評価、1年前より2.8点上昇〜


はじめに

 国内景気は、原油価格の上昇など企業のコスト負担が増しているものの、サービス業や製造業を中心に景況感が上向いてきた。しかしながら、人手不足による受注機会の逸失は景気拡大の抑制要因として懸念される。また、地域や業界、規模によって景気動向が業績に与える影響は異なっている。
 そこで、帝国データバンクは、2017年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年3月調査とともに行った。


※調査期間は2017年3月17日〜31日、調査対象は全国2万3,929社で、有効回答企業数は1万305社(回答率43.1%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年3月以降、毎年実施し、今回で9回目

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2017年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は27.6%。2016年度見通しから1.7ポイント増加した一方、「減収減益」は3.0ポイント減少。2017年度業績は改善を見込む企業が多くなっており、業績回復は緩やかに中小企業にも広がりつつある

  2. 2017年度業績見通しの下振れ材料は「個人消費の一段の低迷」が35.5%でトップとなり、「人手不足」「所得の減少」が続いた。特に、「人手不足」は前回(2016年3月調査)から6.1ポイント増加しており、労働力の確保・維持に危機感を強めている様子がうかがえる。一方、上振れ材料は「個人消費の回復」が36.8%で最高となり、6年連続で上振れ要因のトップ。以下、「公共事業の増加」「所得の増加」が続いた

  3. 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の成果に対する企業の評価は、100点満点中63.1点。4年余りにわたるアベノミクスについて、中小企業ほど厳しくみている傾向は変わらないものの、企業は1年前より評価を高めており、総じて60点以上の評価を与えている

1. 2017年度は企業の27.6%が「増収増益」見通し、2016年度見通しから1.7ポイント増加

 2017年度(2017年4月決算〜2018年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益(見込み)」と回答した企業は27.6%となり、前回調査(2016年3月)の2016年度見通しから1.7ポイント増加した一方、「減収減益(見込み)」は3.0ポイント減少した。企業の44.1%が「増収」(「増収」は、「増収増益」「増収減益」「増収だが利益は前年度並み」の合計)、35.1%が「増益」(「増益」は、「増収増益」「減収増益」「増益だが売り上げは前年度並み」の合計)を見込むなど、2017年度業績は改善を見込む企業が多くなっている。
 2016年度実績見込みは「増収増益」が28.3%、「減収減益」が23.0%となり、前回調査の2015年度実績見込みより改善した。
 2017年度の業績見通しを従業員数別にみると、1,000人超の企業では4割超が「増収増益」を見込んでいる一方、5人以下の企業では4社に1社にとどまる。「増収」「増益」でも同様の傾向がみられ、2017年度の業績は大企業を中心に回復が進むと予想される。しかし、企業の業績見通しにおける規模間格差は前回調査(2016年3月)より縮小しており、業績の回復は緩やかに中小企業にも広がりつつある。





2. 「人手不足」による業績への悪影響を懸念する企業が3割超に増加

 2017年度の業績見通しを上振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の回復」が36.8%で最高となり、6年連続で上振れ要因のトップとなった。次いで、企業から「東京五輪に向かってスポーツ施設の充実化と新設物件の需要が増える」(スポーツ用品卸売、千葉県)といった声もある「公共事業の増加」のほか、「所得の増加」「為替動向」「原油・素材価格の動向」が続いた。企業からは「最終ユーザーが食品小売業界のため、やはり個人の所得増加、消費増加が最大の要因」(化学機械・同装置製造、群馬県)や「為替の安定が何よりの改善になる」(医療用機械器具製造、長野県)などの意見があがった。
 一方、2017年度の業績見通しを下振れさせる材料では、「個人消費の一段の低迷」が35.5%で最高となった。次いで、「人手不足」「所得の減少」「原油・素材価格の動向」「公共事業の減少」が続いた。特に、2位の「人手不足」を挙げた企業は前回調査(24.5%)から6.1ポイント増加しており、労働力の確保・維持に危機感を強めている様子がうかがえる。「人手不足による賃金の上昇で利益を圧迫している」(金属プレス製品製造、滋賀県)や「建設業全体に及ぶ人手不足により工程の遅れが生じており、利益確保が困難になることがある」(内装工事、大阪府)、「財政政策でも人手不足が公共工事のコスト高騰を招いている」(一般産業用機械・装置製造、静岡県)など、人手不足が利益を圧迫しているという指摘がみられた。さらに、「人手不足からくる人件費の負担増により、一時金の減少につながり耐久消費財など高額品消費が減退する」(精密機械器具卸売、愛知県)といった、消費への悪影響を懸念する声も聞かれた。他方、前回調査で2位に位置していた「外需(中国経済の悪化)」は11.0ポイント減少し19.7%となった。2016年前半に拡大した中国経済の先行きに対する不透明感は、やや沈静化している様子がうかがえる。

 

3.  アベノミクスへの評価は平均63.1点、1年前より2.8点上昇

 安倍政権による経済政策(アベノミクス)について、現在までのアベノミクスの成果を100点満点で評価した場合、何点と評価するか尋ねたところ、平均63.1点だった。4年余りにわたるアベノミクスについて、企業は大きく落ち込んだ前回調査から再び評価を高めている様子がうかがえる。
 企業からは、「少なくとも株価は上昇し、円安傾向にもなり、求人倍率も高くなっている部分は評価すべき」(一般貨物自動車運送、北海道、90点)や「アベノミクスの施策が今になって効果が表れている」(くぎ製造、大阪府、90点)など、アベノミクスによる成果が表れていることを評価する意見が多くみられた。また、「ものづくり補助金など中小企業向け支援が充実している」(プリント回路製造、神奈川県、85点)や「アベノミクスをしていなければ日本経済はもっと悪い状態」(金属表面処理、兵庫県、80点)、「日本の施策の進むべき方向性が明確」(紙製品卸売、大阪府、75点)といった声も聞かれた。
 ただし、アベノミクスに対する評価は、依然として「大企業」が「中小企業」を上回り、企業規模による差が表れている。「アベノミクスが約束したトリクルダウン効果は少なくとも地方では起きていない」(ディスプレイ、広島県、29点)や「金融緩和によるインフレ化によって経済を再生するという計画が上手くいっていない」(食料・飲料卸売、北海道、20点)など、中小企業や地方においてアベノミクスの効果が実感できないという指摘も多くなっている。
 アベノミクスに対して中小企業ほど厳しくみている傾向は変わらないものの、企業は1年前より評価を高めており、総じて60点以上の評価を与えていることがうかがえる。


まとめ

 国内景気が緩やかな回復傾向を示すなか、人手不足が経済成長を左右する重要なファクターとなっている。2017年度は企業の27.6%が「増収増益」(前回調査比1.7ポイント増)を見込んでいる一方、「減収減益」とする企業も3.0ポイント減少するなど、企業の2017年度業績に対する見通しは総じて改善を見込む企業が多くみられた。しかしながら、個人消費の低迷に対する懸念は依然として強いなか、人手不足が業績に与える影響を懸念する企業が大幅に増えている。他方、中国経済への不透明感はやや沈静化してきた。
 また、企業はこれまでの安倍政権の経済政策(アベノミクス)に対する評価について平均63.1点をつけていることが明らかとなった。4年余りにわたるアベノミクスに対して60点以上の点数をつけており、1年前より上昇している。しかし、アベノミクスの効果を実感できないという企業も多く、中小企業や地方においてより厳しくみている傾向は変わっていない。
 2017年度の企業業績について前年よりやや改善する見通しとなっているなか、人手不足による利益圧迫を懸念する傾向が増している。政府は、企業が重要な課題と捉えている労働力の確保・維持に対する効果的な支援策を打ち出す必要性が高まっている。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,929社、有効回答企業1万305社、回答率43.1%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。
当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。

プレスリリースをダウンロード   会員募集中

このページのトップへ

このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.