2017年度の設備投資に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2017年4月特別企画 -

 

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2017年5月17日
株式会社帝国データバンク

2017年度、企業の52.4%が設備投資を計画

〜主な資金調達方法は内部資金が4割、長期借入が3割〜


はじめに

 国内景気は個人消費の伸びが緩やかにとどまるなかで、輸出に加え設備投資がけん引役となることへの期待が高まっている。また、政府は「成長戦略2016」において、2018年度までに設備投資を年間80兆円程度に拡大する目標を掲げ、中小企業向け投資促進税制の拡充など、生産性向上に対する政策が進められている。
 そこで、帝国データバンクは、2017年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年4月調査とともに行った。


※調査期間は2017年4月17日〜30日、調査対象は全国2万3,920社で、有効回答企業数は1万29社(回答率41.9%)

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2017年度に設備投資を行う予定(計画)が『ある』企業は52.4%。規模別では、「大企業」(60.8%)は6割を超えるが、「中小企業」(50.3%)、「小規模企業」(38.1%)と規模による差が大きい。業界別では、『運輸・倉庫』(71.6%)で最も高く、『製造』(68.3%)、『小売』(57.6%)で高い。他方、「予定していない」は36.9%

  2. 設備投資の内容では、「設備の代替」(44.7%)がトップ(複数回答)。以下、「既存設備の維持・補修」(36.0%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(27.9%)、「省力化・合理化」(24.7%)、「情報化(IT化)関連」(19.5%)と続く。更新需要が多いものの、人手不足に対する投資も上位に

  3. 設備投資にかける費用では、「1,000万円以上5,000万円未満」(30.3%)がトップで、平均設備投資予定額は約1億5,821万円。資金調達方法は、「自己資金」(43.9%)が最も多く、「金融機関からの長期の借り入れ」(33.0%)と合わせて両者で全体の76.9%と8割を占める。「クラウドファンディング」は0.1%にとどまる

  4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」(40.5%)がトップ。次いで、「現状で設備は適正水準である」(33.5%)、「投資に見合う収益を確保できない」(22.1%)が続く。特に中小企業は不確実な将来に対する懸念から設備投資を見送る企業が多い

1. 2017年度の設備投資、大企業を中心に半数超の企業が「予定あり」

 2017年度(2017年4月〜2018年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)は52.4%となり、半数を超える企業が設備投資の実施を予定していた。内訳は、「すでに実施した」が4.8%、「予定している」が28.1%、「実施を検討中」が19.5%となった。他方、「予定していない」は36.9%だった。
 設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」(60.8%)が6割を超えている一方、「中小企業」が50.3%、「小規模企業」が38.1%となった。「大企業」と「小規模企業」では22.7ポイントの差があるなど、規模が小さくなるほど設備投資を予定する企業の割合は低下しており、企業規模により状況が大きく異なる実態が浮き彫りとなった。
 業界別では、『運輸・倉庫』(71.6%)が7割を超えたほか、『製造』(68.3%)、『小売』(57.6%)が高い。また、最高の『運輸・倉庫』と最低の『卸売』(41.2%)で30.4ポイントの差が表れており、設備投資の実施は各企業の直面する経営環境により濃淡がはっきり分かれる結果となった。
 企業からは、「老朽化した車両(トラック)の入れ替えで設備投資を実施している」(一般貨物自動車運送、静岡県)や「各自動車メーカーから発表される新型車を積極的に導入していきたい」(一般貨物自動車運送、兵庫県)、「省エネタイプの設備投資を実施し、電気料金等それなりの節約につながった」(家庭用電気機械器具小売、青森県)などの声があがった。また、輸出を行っている企業の設備投資計画が6割を超えるなど、海外取引を行っている企業ほど設備投資に前向きななか、「新しい設備は大幅に生産能力が向上するため、現在は行っていない輸出にも力を入れる」(ビール製造、三重県)といった意見もみられた。





2. 設備投資は更新需要が多いが、増産・販売力増強や人手不足に対する投資も上位

 2017年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業5,259社に対して、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、「設備の代替」が44.7%で最高となった(複数回答、以下同)。次いで、「既存設備の維持・補修」(36.0%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(27.9%)、「省力化・合理化」(24.7%)、「情報化(IT化)関連」(19.5%)が続いた。設備の老朽化にともなう更新投資を目的とする割合が高くなっているが、事業を拡大する積極的な投資も上位にあがった。また、人手不足が深刻化するなか、4社に1社が省力化や合理化、5社に1社が情報化などへの設備投資を予定している様子がうかがえる。
 企業からは、「人材不足のため作業の機械化を検討」(野菜卸売、北海道)や「効率化、省力化できるものは積極的に取り組んでいきたい」(印刷、香川県)といった声のほか、「販売力増強のための新規出店および既存店の改装」(医薬品小売、静岡県)などの意見も聞かれた。

 

3.  設備投資予定額は平均1億5,821万円

 2017年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業5,259社に対して、予定している設備投資にかける費用を尋ねたところ、「1,000万円以上5,000万円未満」が30.3%で最も高かった。以下、「1億円以上10億円未満」(18.7%)、「100万円以上500万円未満」(15.8%)が続き、平均設備投資予定額は約1億5,821万円となった。
 また、主な資金調達方法では、「自己資金」が43.9%で最も高く、「金融機関からの長期の借り入れ」(33.0%)と、両者で全体の76.9%と約8割を占めた。また、近年資金調達手段として注目の高い「クラウドファンディング」は0.1%にとどまった。設備投資予定額別に資金調達方法をみると、「100万円未満」では「自己資金」が7割を超える一方、予定額が1億円以上になると半数超の企業が「金融機関からの長期の借り入れ」で調達すると考えている様子がうかがえる。



4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」が40.5%でトップ

 2017年度に設備投資を「予定していない」と回答した企業3,700社に対して、設備投資を行わない理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が40.5%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「現状で設備は適正水準である」「投資に見合う収益を確保できない」「自社に合う設備が見つからない」「レンタルやリース、外注を活用する」が上位となった。

 とりわけ「先行きが見通せない」では、中小企業が大企業を13.2ポイント上回っており、不確実な将来に対する懸念から設備投資を見送る中小企業が多くなっている様子がうかがえる。また、大企業では「現状で設備は適正水準である」(40.6%)が最も設備投資を行わない要因となっている一方、中小企業は「借り入れ負担が大きい」や「手持ち現金が少ない」が大企業と比較して高く、経営環境や将来見通しの厳しさを反映した結果となった。

 企業からは、「近隣諸国やアメリカの今後の動向など不透明な要素が多く見通しが立たない」(建築材料卸売、東京都)や「先行きの見通しが不透明で、業界全体が不安要素を抱えている」(石工工事、三重県)、「設備投資した設備の償却が負担になることも心配」(油圧・空圧機器製造、京都府)といった意見があがった。

まとめ

 個人消費の伸びが緩やかにとどまるなか、国内景気の回復に向けて設備投資の拡大への期待は増している。本調査結果から、2017年度は企業の52.4%が設備投資の予定が『ある』と考えていることが明らかとなったが、その内容は事業拡大に向けた投資よりも設備の代替や維持・補修など更新需要が中心とならざるを得ない状況である。他方、人手不足が深刻化するなかで、省力化・合理化や情報化に向けた設備投資は人手不足という課題の解消に向けた対応といえよう。
 また、設備投資を実施する企業の予定金額は平均1億5,821万円であった。予定金額1,000万円未満であれば主に自己資金を活用する一方、1億円以上になると金融機関からの長期借り入れで調達する企業が半数を超えるなど、各社は予算に応じて資金調達方法を使い分けている様子もうかがえる。
 2017年度の設備投資は大企業が中心になると見込まれるが、中小企業については、経営環境の改善次第で設備投資に向かう可能性も示唆されており、政府や業界が一丸となって先行きの不透明感を和らげることが設備投資を決断する重要な要素といえよう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,920社、有効回答企業1万29社、回答率41.9%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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