人口減少に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2017年8月特別企画 -

 

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2017年9月14日
株式会社帝国データバンク

企業の45.7%が人口減少を「重要な経営課題」

〜商品・サービスの開発・拡充で対応するも、人材確保が阻害要因に〜


はじめに

 総務省が発表した住民基本台帳に基づく2017年1月1日時点の人口動態調査によると、日本人の総人口は1億2,558万3,658人となり8年連続で減少し、減少幅は1968年の調査開始以降で最大となっている。また、少子化が進行するなか、15歳から64歳の生産年齢人口は1997年を境に減少を続けており、人手不足を解消するための労働力確保に加えて、日本経済や企業の成長に与える影響が懸念される。
 そこで、帝国データバンクは、人口減少が企業経営に及ぼす影響などに関する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2017年8月調査とともに行った。


※調査期間は2017年8月18日〜8月31日、調査対象は全国2万3,621社で、有効回答企業数は1万265社(回答率43.5%)。

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。


調査結果(要旨)

  1. 人口減少が与える影響について、「日本全体」では企業の88.7%、「自社の属する業界」では84.8%、「自社」では78.7%が「マイナスの影響がある」と認識

  2. 自社の経営における人口減少への捉え方について、「重要な経営課題である」と考える企業は45.7%、「経営課題だが、それほど重要ではない」が28.3%となり、4社に3社が経営課題として捉えている。他方、「経営課題ではない」は13.0%にとどまる

  3. 人口減少を重要な経営課題として捉える企業は、すでに人口減少がより顕著な地域ほど高くなる傾向があり、企業経営における捉え方の差につながっている様子がうかがえる

  4. 現在、自社の商品やサービスにおいて、人口減少への対応策として行っていることは、「高齢化に対応した商品・サービスの開発・拡充」が17.5%で最も高い。今後の対応策は、「高齢化に対応した商品・サービスの開発・拡充」(25.7%)が最も高いものの、「異分野事業への進出」(24.3%)を考える企業が現在と比べて14.2ポイント上昇

  5. 人口減少への対応策を実施する際の阻害要因は、「人材確保」(75.5%)が突出して高く、以下、「販路拡大」(32.2%)、「技術開発・研究開発」(19.1%)、「企画提案力の獲得」(16.6%)、「他企業との連携」(13.9%)が続く

1. 人口減少による影響、企業の約9割が日本にマイナス、8割弱が自社に悪影響と認識

 日本全体あるいは地域の人口減少が「日本全体」にとってどのような影響を与えると思うか尋ねたところ、「マイナスの影響がある」と回答した企業は88.7%と約9割に達した。「プラスの影響がある」(0.6%)や「影響はない」(3.1%)は割合が非常に低くなっており、企業は人口減少が日本全体にとって重要な問題として捉えている様子がうかがえる。
 また、「自社の属する業界」では、「マイナスの影響がある」が84.8%と8割を超えた一方、「プラスの影響がある」は1.5%、「影響はない」は5.4%にとどまった。
 「自社」に対する影響では、「マイナスの影響がある」が78.7%となり、8割弱の企業が自社にとって人口減少は悪影響をもたらすと考えていることが明らかとなった。また、「プラスの影響がある」は1.6%、「影響はない」は9.5%で、どちらの割合も1ケタ台となった。
 企業からは、「経済規模全体が縮小傾向になる」(経営コンサルタント、千葉県)や「人口減少は、税や年金等の国民負担に影響がある」(食料品加工機械製造、神奈川県)といった、経済規模の縮小や国民負担の増大など、マクロ経済全体に与えるインパクトについて不安を感じている意見が多くみられた。また、「従業員の高齢化と新卒者の確保難に直面しており、営業および技術継承に影響がでている」(土木工事、北海道)など、人材確保が難しくなることで、技術やノウハウの継承などを懸念する声も聞かれた。
 他方、プラスの影響を見込む企業からは、「人員不足に対してIT化により課題を解決しようとする動きが加速する」(ソフト受託開発、東京都)や「人手確保が困難になることから、生産効率化やM&Aの支援ニーズが拡大している」(経営コンサルタント、大阪府)など、都市部を中心にIT化などを含め新たな需要創出の機会として考える声があがった。また、「人の力より機械や装置に頼る環境になっていく。そのため、人員が減る一方で、設備が増加すると見込む」(発泡・強化プラスチック製品加工、群馬県)といった、事業内容に応じて人口減少に備える意見もみられた。

 



2. 人口減少が「重要な経営課題」と考える企業は45.7%

 自社の経営において、人口減少をどのように捉えているか尋ねたところ、「重要な経営課題である」と回答した企業の割合が45.7%で最も高かった。「経営課題だが、それほど重要ではない」は28.3%となり、企業の4社に1社が経営課題と認識する一方で、重要性に関してはやや低く捉えていた。他方、「経営課題ではない」(13.0%)は1割台にとどまっており、概ね4分の3の企業が人口減少を経営課題として考えていることが明らかとなった。
 とりわけ「重要な経営課題である」と回答した企業では、すでに人口減少がより顕著な地域ほど高くなる傾向があり、企業経営における危機感につながっている様子がうかがえる。
 企業からは、「人口減少社会が企業経営に与える影響は『人手不足をもたらすこと』であり『顧客を減らすこと』である」(自動車部分品・付属品卸売、東京都)や「労働力の確保のために外国人の雇用を検討せざるを得ないが、国をはじめとした各方面の援助・指導が必要」(米麦卸売、秋田県)といった声があがった。また、「人口減少は抗えない現実であり、その現実の中でどう対応出来るかが経営力だと考える」(事務所用・店舗用装備品製造、兵庫県)や「柔軟に自ら変化していくしかない」(土木工事、高知県)など、ビジネスモデルの見直しを含めた対応の必要性を指摘する意見も聞かれた。他方、「現時点では経営課題として検討のテーブルに上がっていないが、今後対応が必要となることも想定される」(総合リース、東京都)という声もあった。

 


3. 人口減少への対応策、「高齢化に対応した商品・サービスの開発・拡充」がトップ

 現在、自社の商品やサービスにおいて、人口減少に対してどのような対応策を行っているか尋ねたところ、「高齢化に対応した商品・サービスの開発・拡充」が17.5%と最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」(12.7%)、「国内の店舗網・販売先等の拡大・充実」(11.9%)、「店舗以外の販売経路(ネット販売・宅配等)の拡大・充実」(10.7%)、「異分野事業への進出」(10.1%)が続いた。
具体的には、「少子化傾向のなか、三世代を狙える商品開発を試みている」(靴卸売、栃木県)や「少子高齢化はマンパワー不足を機械で代替することになるため、その代替となる製品の拡販に力を入れる」(一般産業用機械・装置製造、静岡県)、「人口減少による働き手不足を補うための工場の合理化・無人化のための製品を提案している」(機械工具卸売、香川県)などの声があがった。
 他方、今後の対応策では、「高齢化に対応した商品・サービスの開発・拡充」(25.7%)と「労働力人口の減少に対応した商品・サービスの開発・拡充」(25.2%)は、現在と同様に上位にあがった。次いで、「異分野事業への進出」(24.3%)を行うとした企業は、現在より14.2ポイント上昇し、人口減少への対応策として事業の多角化を考えている企業が多くみられた。さらに、「少子化に対応した商品・サービスの開発・拡充」(18.5%)は10.5ポイント上昇しているほか、「海外市場への進出」(16.6%)を挙げる企業も多かった。
 具体的には、「中小零細企業の生き残りを考えると、異分野事業も念頭に置いて事業展開していかなければと考えている」(土木工事、京都府)や「人口の減少にともない、国内需要の減退は避けがたいため、新規需要の開拓や海外市場への進出、異分野事業への進出について、今後いっそう検討する必要性が高まるものと考える」(情報家電機器小売、東京都)などの意見があがった。
 人口減少への対応策として、国内外の店舗網や販売先等の削減・集約は1割未満にとどまる一方、商品やサービスの開発・拡充や異分野事業への進出などが上位にあがるなど、生き残りをかけて前向きな対策を考えている企業が多かった。

 


4. 人口減少への対応、「人材確保」が最大の阻害要因

 人口減少への対応策を実施するとき、どのようなことが阻害要因となるか尋ねたところ、「人材確保」が75.5%で突出して高かった(複数回答、以下同)。次いで、「販路拡大」(32. 2%)が3割台で続いたほか、「技術開発・研究開発」(19.1%)、「企画提案力の獲得」(16.6%)、「他企業との連携」(13.9%)、「ITノウハウの獲得」(10.4%)が1割超となった。
 上位3項目を業界別にみると、「人材確保」では、『運輸・倉庫』が最も高く、『農・林・水産』『建設』が8割を超えた一方、『不動産』は5割台だった。「販路拡大」では『小売』が最も高く、「技術開発・研究開発」では『製造』が唯一3割超となるなど、業界によって、対応策を実施するときの阻害要因が異なっている様子が浮き彫りとなった。
 地域別にみると、「人材確保」はいずれの地域も7割を超えている一方、「技術開発・研究開発」では『北陸』と『北関東』のみ2割超となり、各地域の産業構造の違いが表れる結果となった。
 企業からは、「技術職に不測の事態があった時に対応できる人材が不足していく」(建物サービス、東京都)や「若手が少なく、急激な人員変化によるスキル・ノウハウの維持が一番難しい」(家庭用電気機械器具卸売、東京都)などの意見がみられた。

 


まとめ

 人口減少社会「元年」と呼ばれる2011年以降、日本の人口は減少が続いている。また、1997年から続く生産年齢人口の減少により、日本経済は人手不足という課題を抱える。こうしたなか、安倍内閣は、「未来投資戦略2017」や「経済財政運営と改革の基本方針2017」などにおいて、人口減少と少子高齢化が進むなかで経済成長を実現するため、さまざまな施策を掲げている。
 本調査では、企業の約9割が人口減少は日本全体にとってマイナスの影響を与えると考えており、さらに8割弱の企業が自社にとって否定的な影響をもたらすと捉えていることが明らかとなった。また、人口減少が自社の「重要な経営課題である」とする企業は45.7%と半数近くにのぼり、とりわけすでに人口減少が顕著な地域ほど企業経営に対して深刻に受け止めている。
 人口減少に対しては、商品・サービスの開発や拡充など、企業の生き残りをかけて前向きな対策を考えている企業が多い。しかし、その対策を実施するうえで「人材確保」が最大の阻害要因となることも浮き彫りとなっている。
 人口は経済成長の基盤ともいえる。今後も趨勢的に続く人口減少社会における経済成長の実現には、人手不足を補う技術開発やノウハウの蓄積・継承を進めるとともに、企業が実施する対応策の阻害要因を取り除く政策がカギとなる。さらに、生産性の向上を図るためのハードとソフト両面のイノベーションがより重要となろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,621社、有効回答企業1万265社、回答率43.5%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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