事承継業に関する企業の意識調査(2017年)

- TDB景気動向調査2017年10月特別企画 -

 

PDF形式のファイルをご覧いただくには、
下記リンク先からダウンロードしてください。

プレスリリースをダウンロード

プレスリリースをダウンロード
2017年11月15日
株式会社帝国データバンク

事業承継、企業の71.1%が「経営上の問題」と認識

〜事業承継実施、企業の3割で5年後の業績にプラス影響〜


はじめに

 中小企業庁は、7月に今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定した。日本経済が継続的に発展を続けていくためには、永続的に企業を存続・発展させ、雇用や技術、暖簾(のれん)を後の世代に伝えていくことが必要不可欠といわれる。一方で、経営者の高齢化や後継者難が問題となる場合もしばしば指摘されている。
 そこで、帝国データバンクは、事業承継に関する企業の見解について調査を実施した。なお、本調査は、TDB景気動向調査2017年10月調査とともに行った。


※調査期間は2017年10月18日〜31日、調査対象は全国2万3,235社で、有効回答企業数は1万214社(回答率44.0%)。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。


調査結果(要旨)

  1. 事業承継への考え方について、「経営上の問題のひとつと認識している」企業が57.5%と半数を超え、「最優先の経営上の問題と認識している」(13.6%)と合わせると、約7割の企業が事業承継を経営上の問題として認識。「経営上の問題として認識していない」は18.2%

  2. 事業承継の計画の有無について、「計画はない」が29.1%で最も高い。次いで、「計画があり、進めている」(22.9%)、「計画はあるが、まだ進めていない」(21.3%)が続き、計画がある企業は合計44.2%となった。「すでに事業承継を終えている」企業は14.2%。社長の年齢が上昇するにつれて、計画を進めている企業の割合は増加するが、80歳以上では70代より減少

  3. 「計画はあるが、まだ進めていない」「計画はない」理由では、「まだ事業を譲る予定がない」が35.8%で最も高い(複数回答)。次いで「後継者が決まっていない」(35.2%)、「自社には不要(必要性を感じない)」(18.3%)、「事業の将来性に不安がある」(16.9%)が続いた

  4. 「すでに事業承継を終えている」企業の業績への影響では、翌年度に「プラスの影響があった」は26.0%だったものの、「影響はなかった」が55.9%で半数超に。5年後では、「プラスの影響があった」は30.8%に上昇した一方、「マイナスの影響があった」は4.9%に低下

  5. 事業承継を円滑に行うために必要なことでは、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が60.4%で最も高い(複数回答)。以下、「早期・計画的な事業承継の準備」(46.3%)、「経営状況・課題を正しく認識」(45.7%)、「早めに後継者を決定」(42.7%)が4割台で続いた

1. 企業の71.1%が事業承継を『経営上の問題』として認識

 事業承継について、どのように考えているか尋ねたところ、「経営上の問題のひとつと認識している」と回答した企業が57.5%と半数を超え、最も高い割合となった。また、「最優先の経営上の問題と認識している」は13.6%だった。他方、「経営上の問題として認識していない」(18.2%)は2割以下にとどまり、 企業の71.1%が事業承継を経営上の問題として考えていることが明らかとなった。「分からない」は10.8%だった。
企業の意見では、事業承継に関して、中小企業における難しさが指摘されたほか、商工会議所等が行う勉強会を積極的に活用している様子もうかがえる。また、事業承継を行うタイミングとして業績の良いときに済ませておくべきだった、という声もあった。
 とりわけ、後継者がいない場合には、廃業を選択肢に加えることが避けられない状況となる。そのため、企業の存続について、個別企業の問題として捉えるのではなく、地域経済全体の課題として考えるという視点も欠かせないであろう。

 



2. 企業の4割超で事業承継の計画を有するものの、進めている企業は22.9%

 事業承継を進めるための計画の有無について尋ねたところ、「計画はない」が29.1%で最も高かった。次いで、「計画があり、進めている」(22.9%)、「計画はあるが、まだ進めていない」(21.3%)が続いており、計画がある企業は合計44.2%となった。また、「すでに事業承継を終えている」(14.2%)企業は1割超だった。
 また、事業承継に関する計画の有無は、経営上の問題認識と大きく関連している。事業承継を「最優先の経営上の問題と認識している」企業では半数近くが計画を進めている一方、「経営上の問題のひとつと認識している」企業では4社に1社へと減少する。また、「経営上の問題として認識していない」企業ではすでに事業承継を終えている企業が26.0%と増加するとともに、5割超の企業で計画がなく、何らかの形で事業承継に関する計画がある企業は14.4%にとどまっていた。
 さらに、事業承継に関する計画の有無を社長の年齢別にみると、「39歳以下」では、すでに事業承継を終えている企業が半数近くに達する一方、事業承継を進めている企業も1割近くある。事業承継に関する計画がある企業は、社長の年齢が高くなるにつれて増加する傾向にある。「70代」においても計画がある企業は約6割となっているが、計画を進めている企業は36.2%と3社に1社にとどまる。しかし、「80歳以上」では、計画を有する企業は46.5%と「70代」より13.7ポイント減少し、計画を進めている企業は23.6%にとどまっているうえ、計画がない企業も24.2%となっている。

 


3. 計画を進めていない/計画がない理由、「まだ事業を譲る予定がない」がトップ

 事業承継について「計画はあるが、まだ進めていない」または「計画はない」と回答した企業5,147社に対して、その理由を尋ねたところ、「まだ事業を譲る予定がない」が35.8%と最も高かった(複数回答、以下同)。次いで、「後継者が決まっていない」(35.2%)、「自社には不要(必要性を感じない)」(18.3%)、「事業の将来性に不安がある」(16.9%)、「自社株など個人資産の取扱い」(16.0%)が続いた。
 しかしながら、上位2項目では、「計画はあるが、まだ進めていない」企業と「計画はない」企業で理由に大きな差はないが、3位以下の項目では理由は異なっている。
 「計画はあるが、まだ進めていない」企業では、「自社株など個人資産の取扱い」(27.7%)が3番目に高く、計画を有していない企業より20.3ポイント上回った。また、「相続税・贈与税などの税金対策」(18.1%)は同13.9ポイント上回ったほか、「事業の将来性に不安がある」(21.9%)も2割を超えた。他方、「計画はない」企業では、「自社には不要(必要性を感じない)」(29.9%)が計画を進めていない企業より27.6ポイント高かった。


4 事業承継による業績への影響、約3割の企業が5年後にプラス効果を実感

 事業承継について「すでに事業承継を終えている」と回答した企業1,448社に対して、事業承継が行われた「翌年度」および「5年後」に、自社の業績にどのような影響を与えたか尋ねた(「翌年度」または「5年後」まで経過していない企業および不回答を除く)。
 事業承継を終えた翌年度では、業績に「プラスの影響があった」と回答した企業は26.0%だったほか、「影響はなかった」(55.9%)が半数超となった。また、「マイナスの影響があった」とする企業も1割程度みられた。
 さらに、事業承継を終えてから5年後では、「プラスの影響があった」企業は30.8%と翌年度より4.8ポイント上昇した一方、「マイナスの影響があった」(4.9%)が4.4ポイント低下したほか、「影響はなかった」(36.8%)は19.1ポイント低下した。


 

5 円滑な事業承継、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が最も必要

 事業承継を円滑に行うためにどのようなことが必要か尋ねたところ、「現代表(社長)と後継候補者との意識の共有」が60.4%と最も高かった(複数回答、以下同)。以下、「早期・計画的な事業承継の準備」「経営状況・課題を正しく認識」「早めに後継者を決定」が4割台で続いた。さらに、「今後の経営ビジョンを持つこと」「他の役員・従業員・株主の協力」「事業の将来性、魅力の維持」が3割を超えた。
 円滑な事業承継には、多くの企業で互いの意識のすり合わせや計画的な準備、正しい現状認識などが大切と考えていることが明らかとなった。


 

まとめ

 国内人口の減少が予測されるなか、今後、中小企業は厳しい経営環境におかれることが見込まれている。中小企業庁による「事業承継5ヶ年計画」では、後継者マッチング支援の強化や、事業からの退出や事業統合などを行いやすい環境の整備などが想定されている。事業承継の実施による業績への影響を把握する必要性が認識される一方、中小企業においては後継者の確保や税負担など困難をともなうことも多い。
 本調査では、事業承継を経営上の問題として認識している企業が7割を超えることが明らかとなった一方、事業承継の計画を進めている企業は2割程度にとどまっていることも浮き彫りとなった。また、計画を有しつつもまだ進めていない企業も5社に1社となっている。事業承継を実施した翌年度の自社業績に対して企業の26.0%がプラスの影響があったと考えられており、マイナスの影響を大きく上回る。さらに、5年後では、プラスの影響が翌年度より4.8ポイント上昇しており、業績への影響が一定程度表れることも認識されていることがうかがえる。また、多くの企業では、事業承継を円滑に進めるために、現代表と後継候補者との意識の共有のほか、早期・計画的な準備や正しい経営課題の現状認識などが、重要なことと考えている。
 しかしながら、同時に「非上場株式の贈与・相続に関する税制の根本的見直し」など、税制が事業承継における壁になっているという意見も多く寄せられた。日本経済は多数の中小企業によって支えられているが、技術やノウハウの継承が進まず事業を廃する決断を迫られるケースも多い。さまざまな課題を抱える日本経済が今後も成長を続けるために、円滑な事業承継の重要性が一段と高まっているといえよう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,235社、有効回答企業1万214社、回答率44.0%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

当レポートの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。
当レポートはプレスリリース用資料として作成しております。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。

プレスリリースをダウンロード   会員募集中

このページのトップへ

このサイトについて  サイト利用規定  プライバシーポリシー  免責事項  サイトマップ
Copyright (c) 2002- TEIKOKU DATABANK, LTD. all rights reserved.