2018年の景気見通しに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2017年11月特別企画 -

 

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2017年12月14日
株式会社帝国データバンク

2018年景気は「人手不足」が最大の懸念材料

〜回復局面を見込む企業は4年ぶりに2割超す〜


はじめに

 2017年12月8日に発表された7-9月期の実質GDP成長率2次速報は前期(4〜6月期)比0.6%増、年率換算で2.5%増と、7四半期連続のプラス成長となった。また、輸出の増加や有効求人倍率の上昇など改善傾向を示す指標も相次いで発表されている。一方で、個人消費は天候不順など一部で足踏み状態がみられているほか、業種や地域では景況感の格差も表れている。
 帝国データバンクは、2017年の景気動向および2018年の景気見通しに対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年11月調査とともに行った。なお、景気見通しに対する調査は2006年11月から毎年実施し、今回で12回目。


※調査期間は2017年11月16日〜30日、調査対象は全国2万3,212社で、有効回答企業数は1万105社(回答率43.5%)。。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。


調査結果(要旨)

  1. 2017年の景気動向、「回復」局面だったと判断する企業は21.2%となり、前回調査(2016年11月)から15.5ポイント増加。4年ぶりに2割台へ回復。他方、「踊り場」局面とした企業は49.0%と3年ぶりに5割を下回り、「悪化」局面は9.2%と4年ぶりの1ケタ台に減少

  2. 2018年の景気見通し、「回復」を見込む企業は20.3%で、2017年見通し(前回調査11.0%)から増加。「踊り場」局面を見込む企業は前回より増加したものの、「悪化」局面を見込む企業(12.3%)は前回より減少した。景気の先行きについて、1年前より上向いていくと見通す企業が増加している

  3. 2018年景気への懸念材料は「人手不足」(47.9%、前回調査比19.5ポイント増)が最高となり、「原油・素材価格(上昇)」「消費税制」が続いた。特に中東や東アジア情勢などを受けて「地政学リスク」(19.1%)が急増。前回トップだった「米国経済」(14.1%、同27.7ポイント減)は大幅に減少した

  4. 景気回復のために必要な政策、「個人消費拡大策」「所得の増加」が4割台、「個人向け減税」が3割台で、消費関連がトップ3を占めた。次いで「法人向け減税」「年金問題の解決(将来不安の解消)」が続いた。「出産・子育て支援」や「介護問題の解決」を重要施策と捉える企業も2割前後。また、正社員が「不足」している企業では3社に1社が「雇用対策」を求める

1. 2017年の景気、「回復」局面が2割台に回復、再び上向きに

 2017年の景気動向について尋ねたところ、「回復」局面であったと回答した企業は21.2%となり、2016年の景気動向(2016年11月調査)から15.5ポイント増加し、4年ぶりに2割台に回復した。他方、「踊り場」局面とした企業は49.0%と3年ぶりに5割を下回ったほか、「悪化」局面とした企業は9.2%と4年ぶりの1ケタ台に減少した。また、「分からない」は20.7%と前回(21.0%)とほぼ同水準で推移した。
 「回復」局面とみている企業からは「産業界は全般的に動きが出てきている。回復傾向は間違いない」(製缶板金、福島県)や「観光客の増加や製造業の輸出競争力の回復などにより景況が上昇してきた」(精密機械器具卸売、大阪府)、「2017年は為替動向や株式市場の上昇相場にともない、回復基調で持ち直しつつある状況」(旅館、大阪府)など、経済指標の改善や自社業績などから景況感の回復を実感しているという意見がみられた。しかし、半数近くを占める「踊り場」局面とみる企業からは、「2017年当初は回復傾向がみられ、受注量も増加したが、現時点で成長率がプラスであるとの実感はなく、踊り場局面にいると考えている」(事業システムサービス、神奈川県)といった、1年の間に景気状況が変化したと考えている見方もあった。
 「悪化」局面とした企業からは、「事業展開している地域が過疎地であり、消費意欲も活気もない」(ガソリンスタンド、福島県)や「人員不足により受注できない」(ゴムホース製造、神奈川県)などの意見がみられた。また、「プラス成長の実感がない。東京五輪を中心とした大都市圏だけが良いのではないか」(石油卸売、新潟県)といった、地方において景気回復の実感がないという声もあがった。
 地域や業種で景気回復の濃淡がみられるものの、アベノミクス開始から5年目となる2017年の景気動向は、再び上向き傾向が強まった一年だったと言えよう。



2. 2018年の景気見通し、「回復」局面を見込む企業が4年ぶりの20%台に増加

 2018年の景気について、「回復」局面を迎えると見込む企業(20.3%)は、2017年の見通しを聞いた前回調査(11.0%、2016年11月実施)から増加した。「踊り場」局面になると見込む企業(40.4%)は前回調査(37.9%)より増加したものの、「悪化」局面を見込む企業(12.3%)は前回調査(20.0%)より減少した。景気の先行きについて、1年前より上向いていくと見通す企業が増加している様子がうかがえる。
 「回復」を見込む企業からは、「東京五輪前のインバウンド効果も大きく内需拡大が図れる」(木造建築工事、栃木県)など、東京五輪に向けた需要拡大で2020年まで景気が改善するという見方のほか、「半導体やスマホ、有機EL、自動運転関連で設備投資が堅調に推移し好調が続く」(プラスチック加工機械・同付属装置製造、愛知県)といった、好調な業界からの積極的な設備投資を期待する声もあがった。また、「金融緩和政策を継続した上で、適正な財政政策を行えば、国内景気は確実に上向くと思う」(機械設計、千葉県)など、適切な経済政策の実施を望む意見もみられた。
 他方、「悪化」とする企業からは、「イギリスのEU離脱や日銀総裁任期満了など、景気を左右するマイナス材料が多い」(一般機械修理、埼玉県)や「人手不足が深刻化し、注文があっても処理できない状況が続く」(鋼管製造、三重県)といった声があがった。また、「地方から関東圏に集中するだけ」(石油卸売、東京都)や「ネット通販の台頭により、リアル店舗業界の厳しさが顕著に出てくる」(印刷、愛知県)など、地域や業界により景況感のばらつきを予想する意見もあった。

 


3. 2018年景気への懸念材料、「人手不足」が47.9%で最高、「地政学リスク」も急増

 2018年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「人手不足」が47.9%で最も高かった(3つまでの複数回答、以下同)。「人手不足」は前回調査(2016年11月)から19.5ポイント増加した。労働市場がひっ迫し、企業の約5割が人手不足と捉えているなか、景気への悪影響を懸念する企業が急増していることが浮き彫りとなった。次いで、「原油・素材価格(上昇)」(40.0%、前回調査28.5%)や「消費税制」(25.7%、同12.6%)が続き、いずれも前回調査から大幅に増加した。逆に、前年調査ではトランプ大統領の経済政策への懸念からトップだった「米国経済」は、同27.7ポイント減の14.1%となるなど、景気の懸念材料はこの1年で大きく様変わりした。
 特に、中東や東アジア情勢の緊迫化にともない「地政学リスク」を懸念する企業が19.1%に急増した。「北アフリカや中東から東アジアにかけて、政治的リスク拡大による景気停滞の恐れ」(園芸用品卸売、兵庫県)など、景気の先行きに対し海外の政治情勢が大きなポイントとなってきた。
 企業からは、「人手不足が今後の見通しに大いに影響する」(一般土木建築工事、青森県)や「人件費が上がっているため、零細企業ではさらに人材確保が難しくなっている」(繊維製品製造、群馬県)といった、人手不足による悪影響を指摘する意見が多くみられた。また、「原油価格の上昇と同時に円安が進行すると、原材料コストが上昇してしまう懸念がある」(一般貨物自動車運送、静岡県)や「消費税増税の時期が迫り、財布のひもは一層固くなる」(野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造、大分県)など、原材料価格の上昇や消費税率引き上げを懸念する声もあがった。


4 必要な政策、「個人消費拡大」「所得増加」「個人向け減税」の消費関連がトップ3

 今後、景気が回復するために必要な政策を尋ねたところ、「個人消費拡大策」が42.4%(複数回答、以下同)と4年連続で4割を超え、6年連続のトップとなった。次いで「所得の増加」が40.8%と3年ぶりに4割超となったほか、「個人向け減税」「法人向け減税」「年金問題の解決(将来不安の解消)」が3割を上回った。企業は個人向け減税や将来不安の解消を通じた個人消費の拡大を重要課題と捉えるとともに、競争力向上を図る法人向け減税を求めている様子がうかがえる。さらに、「雇用対策」では、正社員が「不足」している企業の3社に1社が必要と考えていた。
 他方、「出産・子育て支援」(23.0%)や「介護問題の解決(老人福祉、介護離職など)」(18.5%)は2割前後、「高齢者登用」(13.4%)や「女性登用」(9.1%)は1割前後となった。
 企業からは、「若い人の正規雇用を促進しなければ、個人消費は伸びない」(木材・竹材卸売、青森県)や「企業所得を個人の賃金に転嫁しなければ、消費の拡大はありえない」(金属熱処理、愛知県)といった、消費拡大には若年者の正規雇用や賃金の上昇が重要とする意見が多かった。また、「子育てに必要な幼稚園や保育園を充実させれば、雇用が増加し個人所得も増加する」(一般貨物自動車運送、山口県)や「豊かな高齢者のストックをフローに還流すること」(総合リース、東京都)、「年金問題を透明化して将来不安を拭うのが最優先」(建築材料卸売、静岡県)など、子育て支援や年金など将来不安を解消する政策を求める声も聞かれた。


まとめ

 2017年の景気は、「回復」局面と考える企業が4年ぶりに2割台を回復した一方、「悪化」局面とする企業も4年ぶりに1ケタ台に減少するなど、景気動向は再び上向き傾向が強まった一年だったと言えよう。さらに、2018年の景気を「回復」局面と見込む企業は前回調査より1.8倍に増加し、景気の先行きについて上向いていくと考えている企業が増加している様子がうかがえる。
 しかしながら、懸念材料として「人手不足」をあげる企業が47.9%に達した。雇用関連の指標が軒並み改善するなかで、景気への悪影響を懸念する企業が急増していることが浮き彫りとなった。また、中東や東アジアの政治情勢に対する不透明感が増すなか、「地政学リスク」を懸念する企業は19.1%と、前年の5.7%から大幅に増加しており、景気見通しにおいて海外の政治情勢が大きなポイントとなってきた。
 今後の景気に必要な政策として、企業は個人消費拡大策や所得増加、個人向け減税など消費関連がトップ3となっており、個人消費の活性化を強く求めている様子がうかがえる。
 2017年の企業の景況感は製造業を中心として改善傾向をたどっており、11月は2002年5月以降で過去2番目に高い水準まで上昇してきた[「TDB景気動向調査2017年11月」(帝国データバンク)]。こうしたなか、企業は海外動向における政治リスクの高まりを懸念しつつも、景気の先行きを再び前向きに想定し始めている。今後、経済の好循環を達成するため、政府は消費活性化や人手不足の緩和、将来不安の解消に向けた政策を推し進めることが一段と重要となっている。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,212社、有効回答企業1万105社、回答率43.5%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。

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