2018年度の雇用動向に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2018年2月特別企画 -

 

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2018年3月14日
株式会社帝国データバンク

正社員採用予定の企業、65.9%に上昇

〜リーマン・ショック前の水準を上回る〜


はじめに

 人手不足が深刻化するなか、2017年12月の有効求人倍率は1.59倍と、1974年1月以来43年11カ月ぶりの高水準となった。また、新規学卒者の就職内定率は2017年12月時点で86.0%(大卒)と7年連続で上昇し、1996年に調査を開始して以来最高となっている。さらに、政府では「働き方改革」を政策の重要な柱とするなか、国会での議論が活発化している。
 そこで、帝国データバンクは、2018年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年2月調査とともに行った。


※調査期間は2018年2月15日〜28日、調査対象は全国2万3,173社、有効回答企業数は1万70社(回答率43.5%)。なお、雇用に関する調査は2005年2月以降、毎年実施し、今回で14回目。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。
※賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない。

調査結果(要旨)

  1. 2018年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は65.9%と、4年連続で6割を超え、リーマン・ショック前の2008年度(2008年3月調査)を上回った。特に「大企業」(84.0%)の採用意欲が高く、調査開始以降で最高を更新。「中小企業」(61.3%)の採用予定も2年連続で増加し、11年ぶりに6割を超えた。正社員の採用意欲は上向いており、中小企業にも広がりを見せている

  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は52.4%と3年ぶりに増加、非正社員に対する採用意欲は強まってきた。特に、非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「娯楽サービス」「飲食料品小売」は8割を超える企業で採用を予定している

  3. 2018年度の正社員比率は企業の20.7%が2017年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(51.5%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く

  4. 従業員の働き方に対する取り組みでは、「長時間労働の是正」が46.3%でトップ。次いで、「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」がいずれも4割台で続いた。本調査から、従業員の働き方を変えるための6つのポイントが浮上した(1.心身の健康維持に向けた取り組み、2.仕事と家庭の両立に向けた取り組み、3.多様な人材を生かす取り組み、4.人材育成への取り組み、5.柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み、6.公正な賃金制度構築への取り組み)

1. 2018年度正社員採用、「採用予定あり」が65.9%に上昇、リーマン・ショック前を上回る

 2018年度(2018年4月〜2019年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は65.9%となり、前回調査(2017年2月実施)を1.6ポイント上回った。採用予定のある企業は4年連続で6割を超え、リーマン・ショック前(2008年3月)に調査を実施した2008年度(62.2%)を上回る水準となった。他方、「採用予定はない」は23.5%と2011年度以降8年連続で減少し、13年ぶりの低水準となった。
 2018年度に正社員の「採用予定がある」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」は84.0%にのぼり、調査を開始した2005年度以降で最高を更新した。大企業の採用予定は2002年1月から2008年2月まで続いた戦後最長の景気回復期を上回る水準となり、採用に積極的となっていることが浮き彫りとなった。「中小企業」は61.3%と2年連続で上昇し11年ぶりに6割を超えており、正社員の採用予定は中小企業にも広がりを見せている。
 採用予定のある企業からは、「即戦力を期待し中途採用を強化している。また、半年かけたスカウト活動が実を結びつつある」(事業サービス、北海道)や「新卒採用がかなり厳しい状況であり、中途採用等で不足人員を補充している状態」(セメント卸売、鹿児島県)など、人手不足が続くなかで新卒採用だけでなく、中途採用を積極化しているという意見が多くみられた。また、「2018年4月1日から非正規社員の一部を正社員化する」(駐車場、大阪府)といった非正社員からの正社員化を進める企業や、「新入社員を今から育てていかなければ、将来の我が社は存在しえない可能性がある」(左官工事、静岡県)、「ここ数年、案件量が増加傾向にあるが、対応しきれない状況が続いており、要員不足が懸案となっている」(ソフト受託開発、福島県)などの声が聞かれた。

 他方、採用予定のない企業からは、「多少忙しくても現在の人数でこなしたほうが良い」(製版、長野県)や「求人募集しても応募がない」(土木工事、鳥取県)、「増員せず、対応の仕方に工夫を凝らすようにしている」(食料・飲料卸売、東京都)、「現状で適正。今後、従業員の高齢化で交代要員の採用の必要があるが、まだ検討していない」(建設用石材・窯業製品卸売、滋賀県)といった声があがった。


2. 非正社員の採用予定企業は3年ぶりに上昇、半数超の企業が採用に前向き

 2018年度(2018年4月〜2019年3月入社)の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は52.4%となった。非正社員の採用予定は2016年度以降2年連続で減少していたが、ここにきて非正社員に対する採用意欲は強まってきた。
 特に、非正社員が人手不足の状態にある業種(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2018年1月)」)の採用意欲は高く、とりわけ「飲食店」で9割、「娯楽サービス」「飲食料品小売」は8割を超える企業で採用を予定している。
 企業からは、「生産現場では、パート従業員の高齢化が進展しており生産効率の低下が懸念される。生産能力の維持のためにも、若いパートを採用しスキルの継承を急ぎたい」(野菜卸売、茨城県)や「2020年以降の期待ができないので、スポット的な対応で乗り切りたい」(内装工事、東京都)といった、従業員の高齢化や即時対応として非正社員の採用をあげる企業がみられた。また、「パート従業員の退職にともなう補充人員を確保していく」(紙器製造、埼玉県)や「正社員がなかなか入ってこないなか、パートの希望者が多い」(木造建築工事、栃木県)といった意見もあった。
 他方、「採用予定はない」(35.0%)と回答した企業は前回調査(38.6%)を3.6ポイント下回り、こうした側面からも非正社員の採用動向が積極的な様子がうかがえる。企業からは、「パート時給が高騰するなか、自社の時給を安易に上げることもできず、応募がほとんどない」(電子応用装置製造、長野県)や「社員が安心して子育てや住宅取得できる企業でありたいので、長期的な就業を想定していない非正規採用はしない」(一般管工事、香川県)などの声があがった。


3. 正社員比率、「上昇する」企業は20.7%、要因は「業容拡大への対応」が半数超に

 2018年度の正社員比率について尋ねたところ、2017年度と比較して「上昇する(見込み含む)」と回答した企業は20.7%で、「低下する(見込み含む)」(5.2%)を15.5ポイント上回った。正社員比率が「上昇する」割合は、2010年と比較して9.0ポイント上昇しており、2018年度は雇用形態において正社員化が一段と高まっていくとみられる。
 2018年度の正社員比率が「上昇する(見込み含む)」と回答した企業に対して、その要因を尋ねたところ、「業容拡大への対応」が51.5%と半数を超え、最も高かった。次いで、「退職による欠員の補充」(37.3%)と「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」(31.3%)が3割台で続いたほか、「非正社員から正社員への雇用形態の転換」(28.3%)も3割近くの企業が要因にあげていた。また、労働契約法や労働者派遣法など「法改正への対応」は8.0%となった。

4 従業員の働き方に対する取り組み、「長時間労働の是正」がトップ

 現在、政府は「働き方改革」を政策の重要な柱としており、さまざまな議論が進められている。こうしたなかで、企業が従業員の働き方に対して、どのような取り組みを行っているか尋ねたところ、時間外労働の上限規制など「長時間労働の是正」が46.3%で最も高かった。次いで、賃金規定の整備・改定などを含む「賃金の引き上げ」や「有給休暇の取得促進」が4割台で続いたほか、研修やOJTなど「人材育成の強化」や時短勤務などの「労働時間の柔軟化」が上位にあげられている。
 本調査では、企業による取り組み状況から従業員の働き方を変える6つのポイントが浮かび上がった(1.心身の健康維持に向けた取り組み、2.仕事と家庭の両立に向けた取り組み、3.多様な人材を生かす取り組み、4.人材育成への取り組み、5.柔軟な働き方を支える環境整備への取り組み、6.公正な賃金制度構築への取り組み)。こうしたなか、従業員に対するこれら6つのポイントを通じた働き方の見直しは、企業の生き残りに向けて一段と重要性を増している。
 企業からは、「労働の対価を労働時間に応じて支払う時代は終わっている」(内装工事、東京都)や「働き方改革というと何か新しいことに感じるかもしれないが、社員の働きやすい環境を整えることは経営者の重要な仕事の一つ」(製缶板金、福島県)といった意見が聞かれた。


まとめ

 2018年度の雇用動向について、正社員の「採用予定がある」企業の割合がリーマン・ショック直前の水準を上回るまでに上昇してきた。特に「大企業」は本調査開始以降の最高を更新しており、採用意欲の高さをうかがわせた。さらに、「中小企業」の採用予定は2年連続で上昇し6割を超えるなど、正社員の採用状況は企業規模にかかわらず上向いている。また、非正社員の「採用予定がある」企業は3年ぶりに上昇し、非正社員に対する採用意欲も高まってきた。
 正社員比率の上昇を見込む企業は2割を超え、その要因として半数超の企業が「業容拡大への対応」をあげるなど、2018年度は雇用形態において正社員化が一段と高まっていくとみられる。
他方、従業員の働き方の見直しが本格化するなか、企業は「長時間労働の是正」「賃金の引き上げ」「有給休暇の取得促進」などに取り組んでいることが明らかとなった。本調査からは働き方の見直しに向けて6つのポイントが浮かび上がり、企業の生き残りに向けて重要な要素といえよう。
 総じて、2018年度の企業の採用意欲は高水準での推移が続くと見込まれる

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,173社、有効回答企業1万70社、回答率43.5%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
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