2018年度の業績見通しに関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2018年3月特別企画 -

 

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2018年4月12日
株式会社帝国データバンク

2018年度、企業の29.3%が「増収増益」見込み

〜企業はアベノミクスを62.4点と評価、1年前より0.7ポイント低下〜


はじめに

 国内景気は、世界経済の回復を受けた輸出拡大や設備投資の増加などを背景に拡大基調で推移している。しかしながら、人手不足の深刻化や原材料価格の上昇など企業のコスト負担の増大などは、景気拡大を抑制する懸念材料ともなっているうえ、地域や業界、規模によって景気動向が業績に与える影響は異なる。
 そこで、帝国データバンクは、2018年度の業績見通しに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年3月調査とともに行った。


※調査期間は2018年3月16日〜31日、調査対象は全国2万3,137社で、有効回答企業数は1万94社(回答率43.6%)。なお、業績見通しに関する調査は2009年3月以降、毎年実施し、今回で10回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2018年度の業績見通しを「増収増益」とする企業は29.3%と2年連続で増加し、過去最高だった2014年度見通し(30.5%)に迫る水準まで上昇。一方、「減収減益」は1.0ポイント減少した。「増収増益」における大企業と中小企業の規模間格差は拡大しており、2018年度の企業業績は大企業を中心とした回復になる見通し

  2. 2018年度業績見通しの下振れ材料は「人手不足の深刻化」が39.3%でトップとなり、「個人消費の一段の低迷」「原油・素材価格の動向」が続いた。労働市場がひっ迫するなか、企業は人手不足にともなう労働力の確保・維持に危機感を強めている様子がうかがえる。一方、上振れ材料は「個人消費の回復」が33.0%で最高となり、7年連続で上振れ要因のトップ。以下、「公共事業の増加」「所得の増加」が続いた

  3. 安倍政権の経済政策(アベノミクス)の成果に対する企業の評価は、100点満点中62.4点。5年余りにわたるアベノミクスについて、企業は総じて60点以上の評価を与えているものの、中小企業の見方は依然として厳しく、1年前より評価を下げている

1. 2018年度、企業の29.3%が「増収増益」見通し

 2018年度(2018年4月決算〜2019年3月決算)の業績見通し(売上高および経常利益)について尋ねたところ、「増収増益(見込み)」と回答した企業は29.3%と2年連続で増加し、過去最高だった2014年度見通し(30.5%、2014年3月調査)以来となる水準まで上向いた。また、「減収減益(見込み)」は1.0ポイント減少したほか、企業の46.8%が「増収」(「増収」は、「増収増益」「増収減益」「増収だが利益は前年度並み」の合計)、36.4%が「増益」(「増益」は、「増収増益」「減収増益」「増益だが売り上げは前年度並み」の合計)を見込むなど、2018年度業績は改善を見込む企業が多くなっている。他方、2017年度実績見込みは「増収増益」が32.8%、「減収減益」が19.4%となり、前回調査の2016年度実績見込みより改善した。
 2018年度の業績見通しを従業員数別にみると、1,000人超の企業では46.6%が「増収増益」を見込んでいる一方、5人以下の企業では4社に1社にとどまる。「増収」「増益」でも同様の傾向がみられ、企業の業績見通しにおける大企業と中小企業の規模間格差は前回調査(2017年3月)より拡大している。2018年度の業績は大企業を中心に回復が進むと予想される。

 

2. 企業の4割が「人手不足の深刻化」による業績悪化を懸念

 2018年度の業績見通しを上振れさせる材料を尋ねたところ、「個人消費の回復」が33.0%で最高となり、7年連続で上振れ要因のトップとなった。次いで、「公共事業の増加」「所得の増加」「東京五輪需要の拡大」「消費税率10%への引き上げを控えた駆け込み需要」が続いており、2020年五輪需要や駆け込み需要を上振れ材料として考える企業も多い。また、「人手不足の緩和」をあげた企業は14.9%となった。企業からは「設備投資やインバウンド需要の拡大にともなうホテル建設の増加を期待」(配管・暖房・冷凍装置・同付属品卸売、大阪府)や「一般個人の可処分所得の上昇がカギとなる」(プラスチック製品加工、愛知県)、「公共工事の大型プロジェクトが予定通り動くと上振れる」(建設用石材・窯業製品卸売、新潟県)などの意見があがった。
 一方、2018年度の業績見通しを下振れさせる材料では、「人手不足の深刻化」が39.3%で最高となった。次いで、「個人消費の一段の低迷」「原油・素材価格の動向」「所得の減少」「公共事業の減少」が続いた。また、労働市場がひっ迫するなか、「人手不足の深刻化」を下振れ材料にあげた企業は4割近くにのぼっており、労働力の確保・維持に危機感を強めている様子がうかがえる。「人手不足により取引先や専門業者の奪い合いとなり、取引契約金額の上昇で収益が減少する」(一般土木建築工事、山形県)など、人手不足が利益を圧迫しているという指摘がみられた。他方、「個人消費の一段の低迷」が前回調査より5.4ポイント減、「所得の減少」が同5.0ポイント減少し、個人消費に関連する懸念はやや後退した。

 


3. アベノミクスへの評価は平均62.4点、1年前より0.7ポイント低下

 安倍政権による経済政策(アベノミクス)について、現在までのアベノミクスの成果を100点満点で評価した場合、何点と評価するか尋ねたところ、平均62.4点だった。5年余りにわたるアベノミクスに対して、企業は1年前より0.7ポイント評価を下げている様子がうかがえる。
 企業からは、「製造業の活況、国内雇用政策の安定、景気支援対策、地方対策がうまく寄与している」(石灰製造、岐阜県、99点)や「アベノミクスにより確実に景気が良くなり、設備投資が旺盛に推移している」(精密機械器具卸売、鳥取県、95点)、「若年者の就職が良くなっていることは、今後の社会構造を盤石にする可能性がある」(一般貨物自動車運送、愛知県、90点)や「デフレ脱却をほぼ達成した成果は大きい」(放送、島根県、78点)といった、アベノミクスによる成果が表れていることを評価する意見が聞かれた。
 ただし、アベノミクスに対する評価は、依然として「大企業」が「中小企業」を上回り、企業規模による差が表れている。「一部(大企業・首都圏・資産家)にしか好影響がなく、格差は広がってしまっている」(フィットネスクラブ、長野県、30点)や「外需頼みであることや、外国人観光客への依存度が高すぎる」(金属プレス製品製造、埼玉県、10点)など、中小企業や地方においてアベノミクスの効果が実感できないという指摘もみられた。
 企業によるアベノミクスへの評価は60点以上を維持している。しかしながら、「90点以上」と評価する企業が過去4年で最高となった一方、「50〜59点」「60〜69点」「70〜79点」「80〜89点」ではいずれも前年比で低下しており、アベノミクスへの評価は中間層が薄くなる傾向がみられた。

 

 

まとめ

 国内景気が拡大基調で推移しているなか、人手不足が経済成長を左右する重要なファクターとなっていることが本調査で改めて確認できた。2018年度は企業の29.3%が「増収増益」(前回調査比1.7ポイント増)を見込んでいる一方、「減収減益」とする企業も1.0ポイント減少するなど、企業の2018年度業績に対する見通しは総じて改善を見込む企業が多くみられた。しかし、中小企業は緩やかな業績改善にとどまる見通し。人手不足の深刻化が業績に与える影響を懸念する企業が4割近くにのぼるなか、個人消費の低迷に対する懸念は依然として強い。他方、中国経済の後退懸念は沈静化してきた。
 また、企業はこれまでの安倍政権の経済政策(アベノミクス)に対する評価について平均62.4点をつけた。5年余りにわたるアベノミクスに対して60点以上の点数をつけ続けているが、1年前よりわずかに低下した。アベノミクスの効果を実感できないという企業も多く、中小企業でより厳しくみている傾向は変わっていない。
 2018年度の企業業績について前年よりやや改善する見通しとなっているなか、人手不足が一段と深刻化することで利益を圧迫することに対する懸念は高い。政府は、企業が重要な課題と捉えている人手不足対策とともに、個人消費の回復に向けた政策を投入する必要性が高まっている。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,137社、有効回答企業1万94社、回答率43.6%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
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