2018年度の設備投資に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2018年4月特別企画 -

 

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2018年5月16日
株式会社帝国データバンク

2018年度、企業の62.4%で設備投資計画

〜投資内容、「設備の代替」が4割超でトップ、「省力化・合理化」は28.2%〜


はじめに

 国内景気は、人手不足の深刻化や原材料価格の上昇などマイナス材料が目立ちはじめてきた一方、輸出が好調を続けているなか、企業業績の改善にともない設備投資が増加している。また、政府は2018年度予算において中小企業向け投資促進税制を拡充するなど、生産性向上に対する政策が進められている。
 そこで、帝国データバンクは、2018年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年4月調査とともに行った。


※調査期間は2018年4月16日〜30日、調査対象は全国2万3,118社で、有効回答企業数は9,924社(回答率42.9%)
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2018年度に設備投資を行う予定(計画)が『ある』企業は62.4%。規模別では、「大企業」(70.7%)で7割を超えている一方、「中小企業」(60.3%)、「小規模企業」(49.0%)と規模による差が大きい。業界別では、『農・林・水産』(80.4%)で最も高く、『運輸・倉庫』(78.0%)、『製造』(75.0%)で高い。他方、「予定していない」は29.8%

  2. 設備投資の内容では、「設備の代替」(45.4%)がトップ(複数回答)。以下、「既存設備の維持・補修」(35.7%)、「省力化・合理化」(28.2%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(24.1%)、「情報化(IT化)関連」(23.8%)と続く。更新需要に加え、人手不足に対する投資が上位に

  3. 設備投資にかける費用では、「1,000万円以上5,000万円未満」(28.0%)がトップで、平均設備投資予定額は約1億3,928万円。「5人以下」の3,961万円から「1,000人超」の6億2,104万円まで従業員数による違いは大きい。資金調達方法は「自己資金」(48.9%)が最も多く、「金融機関からの長期の借り入れ」(28.4%)と合わせて両者で全体の77.3%と全体の8割を占めた

  4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」(40.0%)がトップ。次いで「現状で設備は適正水準である」(35.8%)、「投資に見合う収益を確保できない」(21.2%)が続く。特に中小企業は、将来の不確実性や収益性に対する不透明感、経営環境の厳しさが設備投資を見送る要因に

1. 2018年度の設備投資、企業が62.4%で予定「あり」

 2018年度(2018年4月〜2019年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)は62.4%となり、6割を超える企業が設備投資の実施を予定していた。内訳は、「すでに実施した」が6.9%、「予定している」が35.2%、「実施を検討中」が20.3%となった。他方、「予定していない」は29.8%だった。
 設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」が70.7%、「中小企業」が60.3%、「小規模企業」が49.0%となり、「小規模企業」は「大企業」を21.7ポイント下回った。企業規模が小さくなるほど設備投資の予定割合は低くなっており、企業規模により状況が大きく異なる実態が浮き彫りとなった。
 業界別では、『農・林・水産』(80.4%)が8割を超えたほか、『運輸・倉庫』(78.0%)、『製造』(75.1%)が高い。また、最高の『農・林・水産』と最低の『不動産』(46.5%)で33.9ポイントの差が表れており、設備投資の実施は業界間で濃淡がはっきり分かれる結果となった。
 企業からは、「屋根付き岸壁漁港における衛生管理型の荷捌所への投資を予定している」(漁業協同組合、北海道)や「主要顧客でロボットや省エネ工作機械部品などの増産が次年度にかけて計画されており、仕掛倉庫・生産工場の増設計画が進行中」(機械製造、群馬県)といった声があがった。また、「内部事務を省力化するためのシステム投資を予定」(一般貨物自動車運送、山形県)や「今後も人材不足が予測され、設備更新に加えて省力化が急がれる」(一般製材、宮崎県)など人手不足への対応のほか、「新事業の立ち上げに投資する設備は補助金を申請しながら進めていきたい」(プリント回路製造、静岡県)など、公的な支援策を活用したいとの意見も聞かれた。

 

2. 設備投資は更新需要が多いが、増産・販売力増強や人手不足に対する投資も上位

 2018年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業に対して、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、「設備の代替」が45.4%で最高となった(複数回答、以下同)。次いで、「既存設備の維持・補修」(35.7%)、「省力化・合理化」(28.2%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(24.1%)、「情報化(IT化)関連」(23.8%)が続いた。設備の老朽化にともなう更新投資を目的とする割合が高くなっているほか、人手不足の深刻化による省力化や合理化を目的とした投資が上位にあがった。また、2割超の企業で事業の拡大や情報化など積極的な設備投資を予定している。
 設備投資の内容を従業員数別にみると、すべての従業員数において「設備の代替」がトップとなった。従業員数1,000以下の企業では「既存設備の維持・補修」がいずれも第2位にあげられているが、「1,000人超」では「情報化(IT化)関連」が第2位となった。IT関連投資は大手企業でより積極的な様子がうかがえる。他方、従業員数「5人以下」の企業では、「省力化・合理化」「増産・販売力増強(国内向け)」にかわり、「新製品・新事業・新サービス」「事務所等の増設・拡大」が上位にあがった。
 企業からは、「営業担当のスキルアップのため営業支援ソフトを導入」(精密機械器具卸売、京都府)や「バックオフィス業務の効率化を図る」(土地売買、東京都)といった声のほか、「生産性向上のため増産体制を確立していきたいが、人員不足が想像以上で確保が困難。金利が非常に低かったため、7年ぶりに資金調達を実施した」(化学製品卸売、東京都)などの意見が聞かれた。他方、「今後は一番大変な建物の更新をしなければならないが、同業他社の新築オープンによる影響が懸念されるなかで、なかなか思い切った判断ができない。老朽化が激しい建物であるのでお客さまのためにも少しでも早く取り組みたい」(菓子小売、長崎県)など、老朽化対策の需要がある一方で、同業他社との競争のなかで慎重になるケースもみられた。

 


3. 設備投資予定額は平均1億3,928万円、企業の約半数が「自己資金」で賄う

 2018年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業に対して、予定している設備投資にかける費用を尋ねたところ、「1,000万円以上5,000万円未満」が28.0%で最も高かった。以下、「100万円以上500万円未満」(19.2%)、「1億円以上10億円未満」(16.0%)が続いた。設備投資予定額は平均1億3,928万円だった。
 設備投資予定額を従業員数別にみると、「5人以下」の企業では「100万円未満」「100万円以上500万円未満」といった、小規模な投資を予定する割合が高く、平均設備投資予定額は3,961万円となった。他方、「1,000人超」では「10億円以上」が39.5%で最も高く、平均設備投資予定額は6億2,104万円となっている。
 また、主な資金調達方法では、「自己資金」が48.9%で最も高く、「金融機関からの長期の借り入れ」(28.4%)と続き、両者で全体の77.3%と約8割を占めた。また、近年資金調達手段として注目の高い「クラウドファンディング」は0.1%にとどまった。
 主な資金調達方法を設備投資予定額別にみると、「100万円未満」とする企業では「自己資金」が75.0%と4社に3社が自社保有の資金で実施するとしており、設備投資予定額1,000万円未満の企業の半数超が「自己資金」で賄う結果となった。他方、設備投資予定額が「10億円以上」になると、企業の半数超が「金融機関からの長期の借り入れ」(53.4%)で調達すると考えている様子がうかがえる。

 

 

4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」が40.0%でトップ

 2018年度に設備投資を「予定していない」と回答した企業2,962社に対して、設備投資を行わない理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が40.0%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「現状で設備は適正水準である」「投資に見合う収益を確保できない」がいずれも2割を超えた。  とりわけ「先行きが見通せない」では、中小企業が大企業を14.3ポイント上回っており、不確実な将来に対する懸念から設備投資を見送る中小企業が多くなっている様子がうかがえる。また、大企業では「現状で設備は適正水準である」(40.8%)が最も多く設備投資を行わない大きな要因となっている一方、中小企業は「投資に見合う収益を確保できない」や「借り入れ負担が大きい」「手持ち現金が少ない」が大企業と比較して高く、収益性に対する不透明感や経営環境の厳しさを反映した結果となった。

まとめ

 人手不足の深刻化が進むなか、企業業績の回復にともなう設備投資に対する期待は増している。本調査結果から、2018年度は企業の62.4%が設備投資の予定が『ある』と考えていることが明らかとなった。しかし、ビンテージ(設備の平均年齢)の上昇が続くなかで、その内容は設備の代替や維持・補修など老朽化した設備の更新需要が中心になるとみられる。他方、省力化・合理化や情報化に向けた設備投資は人手不足という課題の解消に向けた対応として上位にあげられた。
 また、設備投資を実施する企業の予定金額は平均1億3,928万円であった。予定金額1,000万円未満であれば主に自己資金を活用する一方、10億円以上になると金融機関からの長期借り入れで調達する企業が半数を超えるなど、各社は投資規模に応じて資金調達方法を使い分けている。
 2018年度の設備投資は大企業が中心になると見込まれるが、中小企業については先行き不透明感の払拭など経営環境の改善が設備投資拡大に向けたカギとなる。企業の設備投資額は従業員数によってその規模や内容も大きく異なっている。
 企業からも、「ものづくり助成金の採用要件緩和を求める。現状、新製品・新事業に向けた研究開発・試作品作成にともなう設備関係への助成を主としているが、例えば高齢者雇用を新規に創出するための既存設備の代替など、将来の構造変化を念頭に入れた設備も助成の対象としてもらいたい」(印刷、大阪府)といった声も聞かれ、目的に応じた経営支援や企業にとって利用しやすい政策投入が必要となろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,118社、有効回答企業9,924社、回答率42.9%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
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