働き方改革に対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2018年8月特別企画 -

 

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2018年9月14日
株式会社帝国データバンク

企業の63.1%が働き方改革に前向き

〜 具体的には「長時間労働の是正」や「休日取得の推進」 〜


はじめに

 2018年6月、参院本議会で「働き方改革関連法案」が可決・成立、2019年4月1日に施行されることとなった。大企業は2019年4月、中小企業は2020年4月から対象となっており、人手不足が続くなか、働き方改革への取り組みは人材の採用や定着、育成とともに、投資やイノベーションなどによる生産性向上に向けて、今後ますます重要になると考えられている。
 そこで、帝国データバンクは、働き方改革に対する企業の取り組み状況や見解について調査を実施した。

※調査期間は2018年8月20日〜8月31日、調査対象は全国2万3,099社で、有効回答企業数は9,918社(回答率42.9%)。
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)に掲載している。
※本調査に関する詳細な分析結果は、TDB REPORT 154号(2018年10月26日発刊予定)に掲載

調査結果(要旨)

  1. 働き方改革への取り組み状況では、「取り組んでいる」が37.5%、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(25.6%)と合わせて、63.1%が取り組みに前向きとなっている。「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」は2.6%、「取り組む予定はない」は15.1%

  2. 働き方改革への取り組みで最も重視する目的は、「従業員のモチベーション向上」が25.6%でトップ。次いで、「人材の定着」(19.8%)、「生産性向上」(15.9%)、「従業員の心身の健康(健康経営)」(15.4%)、「円滑な人材採用」(8.9%)が続く

  3. 取り組みの具体的内容は、労務・人事面に該当する「長時間労働の是正」が79.8%で最も高く、「休日取得の推進」(61.8%)、「人材育成」(56.3%)と続く。効果のある内容では、労務・人事面では「長時間労働の是正」(30.3%)、業務改善(生産性向上)では「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(21.5%)、経営・事業では「従業員の理解を得ること」(22.2%)が、それぞれ最も高かった

  4. 今後、新たに取り組む予定の項目では、「休日取得の推進」(24.8%)が最も高い。以下、「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」(23.9%)、「多様な人材の採用・登用」(21.2%)が続く

  5. 取り組んでいない理由は、「必要性を感じない」(37.6%)が最も高い。以下、「効果を期待できない」(34.1%)、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(29.4%)が続く

1. 働き方改革、企業の37.5%が「取り組んでいる」、25.6%が「今後、取り組む予定」

 自社の「働き方改革」への取り組み状況について尋ねたところ、「取り組んでいる」と回答した企業は37.5%であった。また、「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」(25.6%)と合わせると、6割超の企業が働き方改革への取り組みに前向きなことが明らかとなった。他方、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」が2.6%、「取り組む予定はない」が15.1%となり、合計17.7%の企業が働き方改革に取り組んでいないことが分かった。
 企業からは、「健康管理の観点からも働き方改革は避けて通れない」(農・林・水産、秋田県)といった、働き方改革を社会全体の流れとして捉えている声があがった。また、「働き方改革は前進すると思うが、結果として、日本経済が上向くのか、あるいは弱体化していくのか、結果はわからない」(金融、神奈川県)、「働き方改革の趣旨は理解できるが、産業全体がすべて同じ歩調で取り組めるのだろうかという疑問をもってしまう」(一般貨物自動車運送、群馬県)、「人手不足の状況での働き方改革には無理がある。人口増加が見込めない現状では、外国人人材の受入制度など規制緩和にも取り組むべき」(銑鉄鋳物製造、富山県)などの意見も聞かれた。一方、「働き方改革を進めていくには会社全体の理解と資金が必要であり、時間が掛かる」(一般土木建築工事、山形県)など、ある程度の時間や資金も重要になるという声もあった。




2. 働き方改革で重視する目的、「従業員のモチベーション向上」がトップ

 働き方改革への取り組み状況について、「取り組んでいる」または「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」と回答した企業に対して最も重視する目的を尋ねたところ、「従業員のモチベーション向上」が25.6%で最も高かった。次いで、「人材の定着」(19.8%)、「生産性向上」(15.9%)、「従業員の心身の健康(健康経営)」(15.4%)、「円滑な人材採用」(8.9%)、「コンプライアンスへの対応」(5.8%)が続いた。働き方改革に取り組む目的として、主に従業員のモチベーション向上や心身の健康など、従業員への影響を重視する傾向がみられた。他方、「コストダウン」や「企業イメージの向上」、「新商品開発など新たな事業の創出」は1%台にとどまっており、総じて事業内容や企業運営に関することを目的とする企業は少数となっていた。
 企業からは、「改めて『働き方改革』と言わずとも、時間短縮や生産性向上などは、これまでも当たり前のこととして取り組んでいる」(木材・竹材卸売、大阪府)といった意見が聞かれたほか、「建設業界における課題として取り組む必要あり」(土木工事、愛知県)など、業界として取り組まなければならないという声もあがった。他方、「厳しい労働環境が当たり前だと感じていた従業員は働き方改革によって、環境の劇的な変化に対応することに苦慮している」(食料・飲料卸売、北海道)など、従業員による環境の変化への戸惑いに対応する必要性を指摘する意見もあった。

 


3. 取り組み内容は「長時間労働の是正」が約8割

 働き方改革への取り組み状況について、「取り組んでいる」と回答した企業に具体的内容を尋ねたところ、「長時間労働の是正」が79.8%で最も高く8割近くにのぼった(複数回答、以下同)。働き方について、多くの企業が労働時間の長期化を課題として捉えている様子がうかがえる。さらに、労務・人事面では、週休増や有給休暇の取得目標の設定、記念日休暇などの「休日取得の推進」(61.8%)が6割超、「人材育成」(56.3%)が5割超となった。業務改善(生産性向上)に関する働き方改革では、「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(49.2%)に取り組んでいる企業が多く、経営・事業に関しては朝礼・研修などでの「職場風土づくり・意識の改善、コミュニケーションの活性化」(48.8%)に取り組んでいた。
 また、効果のある項目について、労務・人事面では「長時間労働の是正」(30.3%)、業務改善(生産性向上)では「業務の合理化や効率化のためのIT・機器・システムの導入」(21.5%)、経営・事業では「従業員の理解を得ること」(22.2%)が、それぞれ最も高かった。

 

 

4. 今後の取り組み、「休日取得の推進」が24.8%でトップ、次いで「人事評価・賃金制度」

 働き方改革への取り組み状況について、「取り組んでいる」または「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」と回答した企業に対して、今後、新たに取り組む予定の項目を尋ねたところ、「休日取得の推進」が24.8%で最も高かった(複数回答、以下同)。以下、「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」(23.9%)、「多様な人材の採用・登用」(21.2%)、「勤務時間・制度の多様化」(20.9%)、「人材育成」(20.4%)が2割台で続いた。
 他方、取り組み状況として「現在は取り組んでいないが、今後取り組む予定」と回答した企業だけでみると、「休日取得の推進」をあげる企業が41.9%と最も多く、次いで「長時間労働の是正」(37.9%)や「人材育成」(34.9%)などが3割超となった。
 企業からは、「今後は有休の促進を図ることに力を入れていきたい」(生鮮魚介卸売、岡山県)や「時間外割増や有給休暇取得など従業員の待遇向上は図れるが、取引先に理解してもらえるかが課題」(広告、福岡県)、「いろいろなタイプの人間がいるので、各人が最もパフォーマンスの上がる形が一番の理想」(老人福祉、滋賀県)、「従業員が同じ方向に向かうことができれば、改革のパワー、改革のスピードは一段と増すだろう。意識改革を先行実施したい」(放送、長崎県)などの声が聞かれた。

 

 

5. 取り組んでいない理由、「必要性を感じない」がトップ、「人手不足」も上位に

 働き方改革への取り組み状況について、「以前取り組んでいたが、現在は取り組んでいない」または「取り組む予定はない」と回答した企業にその理由を尋ねたところ、「必要性を感じない」が37.6%で最も高かった(複数回答、以下同)。さらに、「効果を期待できない」(34.1%)が続き、働き方改革に取り組んでいない企業では、その必要性や効果に疑問を感じていることが明らかとなった。また、「人手不足や業務多忙のため、手が回らない」(29.4%)や「推進できる人材がいない」(20.2%)など、人手不足が企業活動のなかで大きな課題と捉えられるなかで進められている働き方改革に対して、人手不足が足かせとなって実施できない様子がうかがえる。

 

まとめ

 2018年6月29日に成立した働き方改革関連法では、「働き方改革の総合的かつ継続的な推進」「長時間労働の是正と多様で柔軟な働き方の実現等」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」が柱となっている。これにともない、各社では施行に向けた対応が必要となっている。
 本調査によると、企業の6割超が働き方改革への取り組みを進めていた。最も重視する目的では従業員のモチベーション向上が多いなかで、具体的取り組みとしては「長時間労働の是正」や「休日取得の推進」「人材育成」などが上位にあげられた。さらに、今後は「人事評価制度・賃金制度の変更、改善」を考えている企業も多くみられている。
 企業の半数超が正社員不足に直面する一方、追加就労希望就業者や潜在労働力人口、失業者など今後の労働力供給余力を測る未活用労働は400万人を超えている(総務省「労働力調査」)。こうしたなか、働き方改革の取り組みに対して、人手不足が足かせとなって実施できないという実態も表れている。そのため、未活用労働をいかに有効なものとするかが、今後の大きな課題のひとつとなろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,099社、有効回答企業9,918社、回答率42.9%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


【問い合わせ先】
株式会社帝国データバンク 産業調査部 情報企画課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
リリース資料以外の集計・分析については、お問い合わせ下さい(一部有料の場合もございます)。

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