「就活ルール」に関する企業の意識調査(2018年)

- TDB景気動向調査2018年9月特別企画 -

 

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2018年12月10日
株式会社帝国データバンク

賛否拮抗、ルール廃止に賛成23.5%、反対24.5%

〜 多くの企業が今後の影響について様子をうかがう状況 〜


はじめに

 2018年9月に一般社団法人日本経済団体連合会(以下、「経団連」)会長が「経団連が採用選考に関する指針を定め、日程を采配していることに違和感を覚える」と発言し、「就活ルール」の見直しの動きが本格化してきた。近年、学生の就職活動においては、就活期間の前倒しや長期化などによる学業への悪影響が問題視されている。そのようななかで、10月15日から「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」が開催され「就活ルール」に関する協議が進められた。10月29日の同会議において、政府は現行日程を当面維持するように経済団体・業界団体に対して要請することを決めた。
 そこで、帝国データバンクは、「就活ルール」に関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年9月調査とともに行った。


※調査期間は2018年9月13日〜9月30日、調査対象は全国2万3,101社で、有効回答企業数は9,746社(回答率42.2%)

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している

調査結果(要旨)

  1. 「就活ルール」を廃止することについては、「賛成」が23.5%「反対」が24.5%と拮抗している。しかし、「分からない」が52.0%と最も多く、今後の影響について現時点で、判断しかねている企業が多数存在している
  2. 業界別にみると『サービス』において、「賛成」が約3割を占め最も高い結果となった。業種別では「人材派遣・紹介」「情報サービス」など『サービス』業界の業種で「賛成」の割合が高い傾向を示していた
  3. 地域別では、『南関東』『東海』『四国』の3地域において、「賛成」が「反対」を上回る結果となった
  4. 従業員数別にみると、「51〜100人」、「101〜300人」、「301〜1,000人」の企業において「反対」が約3割となっており、「賛成」を上回る結果となった。中堅規模の企業で「就活ルール」の廃止に対する危機感が高い傾向が明らかになった

1. 企業の見解は、賛否が拮抗し半数以上が「分からない」と回答

 経団連が「就活ルール」について廃止を含めた見直しを提起しているなかで、経済団体などが定める「就活ルール」を廃止することについて賛否を尋ねたところ、「賛成」が23.5%、「反対」が24.5%と拮抗した。しかしながら、企業の52.0%が「分からない」と回答しており、半数を超える企業が「就活ルール」廃止について賛否を決めかねている状況がうかがえた。
 「賛成」と回答した理由について、企業からは「就活ルールは事実上形骸化しており無意味なため、廃止が妥当」(事業サービス、東京都)、「本来採用側(企業)が日程を決めるのでなくて、学校側が生徒・学生の勉学・卒論・単位を含めて決めるべきである」(ソフト受託開発、愛知県)、「新卒採用を行っていないので直ちに影響はないと考えるが、年ごとにルールが変更になるのは学生としても企業としても負担が大きい。むしろ学生や企業の自主的な判断に任せるのがよいのではないか」(木材チップ製造、大分県)、「大企業が新卒目当てに大量一括採用する日本方式が世界の非常識、柔軟な対応がグローバルスタンダード」(金型・同部品等製造、山形県)といった声があがった。特に、現状の「就活ルール」が実態に即していない点への指摘やルールに縛られず自由競争のもとに活動を行ったほうが良いという意見、日本型雇用からの脱却を目指すべきといった意見などがみられた。

「反対」と回答した企業からは、「中小企業はある一定のルールがないと戸惑い、新卒学生を容易に集められないと考えられる」(建築工事、山形県)、「就活ルールの廃止は大手企業の青田買いが一層加速し、中小企業の採用が一層厳しくなる恐れがある。また、学生が就活に追われる期間が非常に長くなる可能性が高い」(広告代理、神奈川県)、「採用活動のみに専念できる要員がいないため、就活ルールが廃止になることで年中採用業務が発生する事は、結果的に人件費のアップに繋がる」(磨棒鋼製造、愛知県)などの意見がみられた。採用活動が困難になることへの懸念や学生が勉学に励む時間が少なくなる点への危惧、採用業務のコスト増大に対する不安が主にあげられた。

 一方で「分からない」と回答した企業からは、「ルールは形骸化しているので必要性を感じないが、無くなると予算が多い大企業が圧倒的有利になるのは否めない」(ソフト受託開発、群馬県)、「就活ルールが変わろうと、地場の中小企業にはそれほど影響はない」(一般管工事、茨城県)などの意見が聞かれた。

2. 業界別では『サービス』において約3割が「賛成」と回答

 業界別にみると、すべての業界において「分からない」という回答が最も多かったが、賛否については業界別にバラツキがみられた。「就活ルール」の廃止について、『農・林・水産』『金融』『建設』『不動産』『運輸・倉庫』『サービス』の6業界で「賛成」が「反対」を上回った。特に、『サービス』においては「賛成」が29.5%と最も高い結果となった。
一方、「反対」が「賛成」を上回っている業界は『製造』『卸売』『小売』の3業界であった。
『小売』に関しては、「反対」が26.4%と最も高く、「就活ルール」が廃止された場合の危機感を持っていることがうかがえる。
「就活ルール」の廃止に関する賛否を業種別にみると、「賛成」では「医薬品・日用雑貨品小売」がトップとなった。次いで「人材派遣・紹介」、「情報サービス」、「娯楽サービス」が続き、『サービス』の業種が上位に連ねる傾向となった。
『サービス』では、以前より新卒採用ばかりでなく、専門的な能力を持った人材を中途で採用する雇用方針がみられている 1。このように採用体系が多様化していることも「賛成」の割合が高くなった要因と考えられる。
他方、「反対」の業種では、「教育サービス」が最も高く、次いで百貨店やスーパーなどの「各種商品小売」、「専門サービス」が続いている。『サービス』においては、「反対」の割合も相応に高くなっており、同業界が「就活ルール」に関して鋭敏に反応している様子がうかがえる。


1 厚生労働省「平成20年版厚生労働白書」

3. 地域別では、「賛成」は『南関東』が最も高く、「反対」は『北陸』が最も高い

 地域別にみると、全10地域で「分からない」という回答が最も多かった。
『南関東』『東海』『四国』の3地域においては、「就活ルール」の廃止に対して、「賛成」が「反対」を上回った。特に、『南関東』においては、1都3県(「埼玉県」「千葉県」「東京都」「神奈川県」)すべてにおいて「賛成」が「反対」を上回った。また、『南関東』は「分からない」の割合が全10地域中で最も低く、学生が多く集まる地域であることも一因となっている可能性がある。
 他方、『北陸』や『北関東』をはじめとする7地域で「反対」が「賛成」を上回った。

4. 従業員数別では、「101〜300人」の企業で「反対」が31.7%と最高

 従業員数別に「就活ルール」に関する企業の見解をみると、「5人以下」「6〜20人」「21〜50人」および「1,000人超」の企業においては、「就活ルール」の廃止に「賛成」が「反対」を若干上回った。
 一方で「51〜100人」「101〜300人」「301〜1,000人」の企業においては、「就活ルール」の廃止に「反対」が「賛成」を上回っており、「分からない」という回答が半数以下という傾向を示していた。特に「101〜300人」の企業は「反対」が3割を超えていた。
 従業員数が51人から1,000人以下の企業においては、「就活ルール」の廃止に対して、危機意識を持っている傾向が明らかになった。

まとめ

 「就活ルール」について、政府はこれまでと同様に、現行日程を当面維持するように経済団体などに対して要請することを決めている。
 本調査からは、「就活ルール」の廃止に対して「賛成」と「反対」の見解が拮抗するなか、半数以上の企業が「分からない」と回答しており、影響をはかりかねている様子がうかがえた。
 しかしながら、業界や地域、従業員数の違いにより「就活ルール」に対してさまざまな見解を有していることも明らかになった。
 特に、従業員数別では、51人から1,000人以下の企業においては「反対」が約3割となっており、「賛成」を上回る結果となった。中堅規模の企業にとっては、「就活ルール」が廃止されることで採用活動がより困難になることを危惧しているとみられる。
 他方、新卒一括採用や終身雇用を基本とした日本型雇用の見直しについては、一定の時間を要し議論が進められることが示唆されている。そのようななか、企業からは「大切な大学4年間の半分を就活に費やす日本式にはもとより大きな疑問を抱いている。未成熟な人材確保に多くの時間と金をかけてきた日本式とは決別すべき段階に来ている」(事業サービス、神奈川県)、「何故、同時期で無ければならないのか疑問である。一年中チャンスがあった方が良い」(専門サービス、山梨県)、「大学を就職予備校とせず、卒業証書を得た段階で就職活動するやり方に移行した方が良い。新卒一括採用、終身雇用等は既に限界だと感じる」(建設機械器具賃貸、東京都)などの意見もあがっていた。
 政府、経済界、大学などが連携して、採用選考活動のあり方などを含め「就活ルール」についてさまざまな協議を進めていくとみられる。企業において「就活ルール」は、経済活動の重要な要素となっており、今後の協議の結果により社会や企業に大きな影響を与える可能性が高い。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,101社、有効回答企業9,746社、回答率42.2%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


内容に関する問い合わせ先
株式会社帝国データバンク データソリューション企画部 産業データ分析課
担当:池田 直紀、窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
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