2019年の景気見通しに対する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2018年11月特別企画 -

 

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2018年12月13日
株式会社帝国データバンク

2019年景気、「悪化」局面を見込む企業が29.4%に急増

〜 「消費税制」が最大の懸念材料に 〜


はじめに

 2018年12月10日に発表された7〜9月期の実質GDP成長率2次速報は、前期(4〜6月期)比0.6%減(年率換算2.5%減)と、2四半期ぶりのマイナス成長となった。人手不足の深刻化に加えて、台風や地震など自然災害も重なり個人消費や輸出、設備投資などが悪化した。一方、有効求人倍率の上昇など雇用・所得環境の改善傾向を示す指標もあり、業種や地域で景況感の格差が表れている。
 帝国データバンクは、2018年の景気動向および2019年の景気見通しに対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年11月調査とともに行った。なお、景気見通しに対する調査は2006年11月から毎年実施し、今回で13回目。


※調査期間は2018年11月16日〜30日、調査対象は全国2万3,052社で、有効回答企業数は
9,746社(回答率42.3%)
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している

調査結果(要旨)

  1. 2018年の景気動向、「回復」局面だったと判断する企業は9.4%となり、前回調査(2017年11月)から11.8ポイント減少、2年ぶりの1ケタ台に低下。他方、「踊り場」局面とした企業は54.7%と2年ぶりに半数を超え、「悪化」局面は17.2%と2年ぶりの2ケタ台へと増加
  2. 2019年の景気見通し、「回復」局面を見込む企業は9.1%で、2018年見通し(前回調査20.3%)から大幅に減少。「踊り場」局面を見込む企業は前回とほぼ同水準だったものの、「悪化」局面を見込む企業(29.4%)は2013年見通し以来となる水準まで増加。景気の先行きについて、1年前より慎重な見方を強めている企業が急増している
  3. 2019年景気への懸念材料は「消費税制」(55.3%、前回調査比29.6ポイント増)が最高となり、「人手不足」「原油・素材価格(上昇)」が続いた。米中における関税引き上げなど「貿易摩擦の激化」は14.5%に
  4. 景気回復のために必要な政策、「人手不足の解消」が42.7%でトップ。次いで、「個人消費拡大策」「所得の増加」「個人向け減税」などが続き、消費関連が上位の多くを占めた。以下「雇用対策」「消費税率引き上げへの対策」が続いた。「出産・子育て支援」や「女性登用」「高齢者登用」「外国人材の拡大」を重要施策と捉える企業は1割前後となった

1. 2018年の景気、「回復」局面が大幅減の一方、「踊り場」局面が半数超に増加

 2018年の景気動向について尋ねたところ、「回復」局面であったと回答した企業は9.4%となり、2017年の景気動向(2017年11月調査)から11.8ポイント減少し、2年ぶりに1ケタ台に低下した。他方、「踊り場」局面とした企業は54.7%と2年ぶりに半数を超えたほか、「悪化」局面とした企業は17.2%と2年ぶりの2ケタ台へと増加した。また、「分からない」は18.7%となり、3年ぶりに1割台に減少した。
 「回復」局面とみている企業からは「東京五輪景気および消費税率引き上げ前の駆け込みで工事が増加している」(建設用金属製品製造、宮城県)や「中国の生産が減少した影響で、日本国内に生産拠点を切り替えてきたため、国内設備の更新・新設が増えてきた」(電気機械器具卸売、神奈川県)など、東京五輪や駆け込み需要、設備投資の受注状況などから景況感の回復を実感しているという意見がみられた。しかしながら、半数近くを占める「踊り場」局面とみる企業からは、「消費税率引き上げにともなう何らかの需要が出るかと感じたが、その後の還元や税率引き上げ後の対策が明確でなく、顧客も引き上げ前後どちらの購入が良いか動揺がある」(ソフト受託開発、愛媛県)といった、消費税率引き上げ前の駆け込み需要が期待通りでない様子もうかがえた。
 「悪化」局面とした企業からは、「地震や台風などの自然災害が影響し、景気動向は悪化している」(冷蔵倉庫、北海道)や「地震・台風・局地的豪雨などの自然災害により、本来の経済活動が行われず、マイナス傾向になった」(不動産代理・仲介、兵庫県)などの意見がみられた。また、「燃料費の高騰や人件費の上昇などを起因とした外注費の増加」(一般貨物自動車運送、熊本県)といった、コスト負担の高まりで利益を圧迫しているという声もあがった。
 地域や業種で景気回復の濃淡がみられるなか、概ね「回復」が前年から半減、「悪化」が倍増となるなど、アベノミクス開始から6年目となる2018年の景気動向は一転して、厳しさの増す一年だったといえよう。


2. 2019年の景気見通し、「悪化」局面を見込む企業が29.4%に急増

 2019年の景気について、「回復」局面を迎えると見込む企業(9.1%)は、2018年の見通しを聞いた前回調査(20.3%、2017年11月実施)から11.2ポイントの大幅な減少となった。「踊り場」局面になると見込む企業(38.2%)は前回調査(40.4%)とほぼ同水準だったものの、「悪化」局面を見込む企業(29.4%)は3割近くにのぼり、2013年見通し(34.6%、2012年11月調査)以来となる水準まで増加した。景気の先行きについて、1年前より慎重な見方を強めている企業が急速に増加している様子がうかがえる。
「回復」を見込む企業からは、「製造受注については好調が継続される。新規チャネルの受注拡大なども可能であり上昇基調」(電線・ケーブル製造、山梨県)など、好調な受注状況の継続を見込む企業のほか、「人手不足により景気が悪くなるとは考えていない。雇用が安定し消費者マインドが良くなると、消費に火がつき景気が上がる」(木造建築工事、岐阜県)といった、人手不足による雇用機会の拡大が消費につながることを期待する声もあがった。
 他方、「悪化」とする企業からは、「不動産プチバブルの崩壊と、消費増税による一層の景気悪化」(ビルメンテナンス、広島県)や「衣料は小売も問屋もメーカーもこのままズルズル悪くなる」(下着類卸売、福井県)などの声があがった。また、「消費税率10%のかけ込み需要も大きく見込めず、逆にその後の反動が大きくなる」(情報家電機器小売、宮城県)や「貿易摩擦などを原因とした世界的金融危機に陥る可能性がある」(事業者向け貸金、埼玉県)といった意見もあった。

 

3. 2019年景気への懸念材料、「消費税制」が55.3%で最高、「貿易摩擦の激化」も上位に

 2019年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料を尋ねたところ、「消費税制」が55.3%と前回調査(25.7%)から倍増して半数超に達した(3つまでの複数回答、以下同)。「消費税制」は、消費税率8%への引き上げを前にした2014年(2013年11月調査)で58.6%に達したのち、緩やかに減少していた。しかし、今回は半数を超える結果となり、2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに対して、多くの企業が懸念していることが浮き彫りとなった。
 次いで、「人手不足」(46.2%、前回調査47.9%)および「原油・素材価格(上昇)」(45.4%、同40.0%)が2年連続の4割台で続いた。労働市場のひっ迫や原材料価格の上昇による悪影響を懸念する企業も多い。また、米中における関税引き上げなど「貿易摩擦の激化」をあげた企業は14.5%となった。
 他方、「為替(円高)」は前回調査より9.3ポイント減少し7.4%となるなど、外国為替レートが2018年に入り比較的安定した動きを示すなか、為替変動を懸念する企業は大きく減少した。
 企業からは、「消費税率引き上げによるデフレの再来が怖い」(建築工事、広島県)や「消費税の負担は大きくのしかかる。特に、軽減税率の対象業種にとって、その準備コストは半端なく大きい」(食料品製造、東京都)といった、消費税率引き上げによる悪影響を指摘する意見が多くみられた。また、「米国のほか、中国に関しても注視していく必要がある。日本の景気は、やはり輸出がどれほど伸ばせるかどうかが重要」(食料・飲料卸売、北海道)や「英国のEU離脱が及ぼす影響も見逃せない」(医療用機械器具製造、長野県)など、海外動向の行方を懸念する声もあがった。

4. 必要な政策、「人手不足の解消」「個人消費拡大策」「所得の増加」がトップ3に

 今後、景気が回復するために必要な政策を尋ねたところ、「人手不足の解消」が42.7%(複数回答、以下同)と4割を超え、トップとなった。企業は、深刻化する人手不足の解消に向けた政策の実行が、今後の景気回復に重要な要素になるとみている。
 次いで「個人消費拡大策」(32.8%)、「所得の増加」(29.6%)、「個人向け減税」(29.4%)、「雇用対策」(27.9%)、「消費税率引き上げへの対策」(27.6%)が続いた。消費税率引き上げを控えて、所得増加や個人向け減税などを通じた個人消費の拡大を重要課題と捉えている様子がうかがえる。
 他方、米中における関税引き上げなどの「貿易摩擦の緩和」は14.8%だった。また、「出産・子育て支援」(14.4%)や「女性登用」(7.8%)、「高齢者登用」(12.0%)、「外国人材の拡大」(12.4%)などは1割前後となった。
 企業からは、「個人消費が増すような、中流階級の所得増加策」(電気メッキ、大阪府)や「個人消費マインドの向上のため、低所得層の底上げが必要」(土木建築サービス、東京都)といった、消費拡大には中・低所得層の収入増加が重要とする意見が多かった。また、「景気の良い会社には交際費をどんどん認め、街角景気を良くしたほうが良い」(労働者派遣、栃木県)や「年金・税制問題においては歳入庁の創設、人手不足などについてはITやAI・ロボテクの活用、フィンテックの発展を進めるべき」(電気機械器具卸売、熊本県)といった意見もみられた。

 

まとめ

 2018年の景気は、「回復」局面と考える企業が2年ぶりに1ケタ台に低下した一方、「悪化」局面とする企業は2年ぶりに2ケタ台に増加するなど、景気動向は前年から一転して厳しさの増す一年だったと言えよう。さらに、2019年の景気を「回復」局面と見込む企業は前回調査より半分未満に減少し、景気の先行きについて1年前より慎重な見方を強めている企業が急速に増加している様子がうかがえる。
 2019年の景気に悪影響を及ぼす懸念材料として「消費税制」をあげる企業が55.3%に達した。2019年10月に予定されている消費税率10%への引き上げに対して、半数を超える企業が景気への影響を懸念していることが浮き彫りとなった。また、労働市場がひっ迫するなか、深刻化する「人手不足」による景気への影響を懸念する企業も多いほか、原材料価格の上昇をあげる企業も4割を超える。2019年の景気は、「消費税制」「人手不足」「原材料価格の上昇」が大きなポイントとなろう。
 今後の景気回復に必要な政策として、多くの企業が人手不足の解消をあげている。さらに、個人消費拡大策や所得増加、個人向け減税など消費関連に向けた政策を求める企業は依然として多く、個人消費の活性化を強く求めている様子もうかがえる。
 2018年の国内景気は、夏に相次いだ自然災害に加えて、原油高と人手不足にともなうコスト負担の高まりが全体を下押し、弱含みで推移する要因となってきた。他方、10月以降に生じている原油価格の下落で燃料負担の高まりが和らいだほか、災害からの復旧・復興工事、都市部での再開発、東京五輪向け工事などで、11月は弱含み傾向が一時的に後退した(帝国データバンク「TDB景気動向調査2018年11月」)。企業は、2019年10月に予定される消費税率引き上げによる影響を非常に懸念しており、景気の先行きへの厳しい見方を強めている。今後、経済の好循環を達成するため、政府は人手不足の緩和や消費活性化に向けた政策を推し進めることが一段と重要となってこよう。

 

調査先企業の属性

1)調査対象(2 万3,052 社、有効回答企業9,746 社、回答率42.3%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング


内容に関する問い合わせ先
株式会社帝国データバンク データソリューション企画部 産業データ分析課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
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