2019年度の雇用動向に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2019年2月特別企画 -

 

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2019年3月14日
株式会社帝国データバンク

正社員採用予定の企業は64.2%で高水準続く

〜 生産性向上につながる人材育成、短期はOJTが60.1%で突出 〜


はじめに

 人手不足が深刻化するなか、2018年の有効求人倍率は1.61倍と、1973年以来45年ぶりの高水準となった。また、新規学卒者の就職内定率は2018年12月時点で87.9%(大卒)と8年連続で上昇し、1996年に調査を開始して以来最高となっている。さらに、政府・企業をはじめとして「働き方改革」が進められるなかで、生産性と人材育成の関連に対する注目が高まっている。
 そこで、帝国データバンクは、2019年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年2月調査とともに行った。


※調査期間は2019年2月15日〜28日、調査対象は全国2万3,031社、有効回答企業数は9,701社(回答率42.1%)。なお、雇用に関する調査は2005年2月以降、毎年実施し、今回で15回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2019年度に正社員の採用予定があると回答した企業の割合は64.2%と、5年連続で6割を超えたものの、3年ぶりの減少に転じた。特に「大企業」(84.8%)の採用意欲は高く、調査開始以降で最高を更新した。しかし「中小企業」(59.1%)は前回調査(2018年2月実施)を下回った。正社員採用は、大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した
  2. 非正社員の採用予定があると回答した企業の割合は50.3%となり、2年連続で半数を超えたものの、前回調査を2.1ポイント下回り、採用意欲がやや一服した。非正社員が人手不足の状態にある「飲食店」は9割、「飲食料品小売」「医薬品・日用雑貨品小売」は8割を超える企業で採用を予定している
  3. 2019年度の正社員比率は企業の18.3%が2018年度より上昇すると見込む。その要因では、「業容拡大への対応」(45.8%)をあげる割合が最も高く、「退職による欠員の補充」「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」が3割台で続く
  4. 自社において生産性向上に最も効果がある人材育成方法について、短期間(1年以内)の生産性向上に効果がある方法では「職場内における教育訓練(OJT)」が60.1%で突出して高かった。他方、長期間(1年超)の効果では、「職場内における教育訓練(OJT)」(26.8%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(22.7%)、「職場内における能力開発(OJD)」(22.4%)がいずれも2割台となり、効果的な人材育成方法が分散する傾向が表れた

1. 2019年度正社員採用、「採用予定あり」は64.2%、3年ぶりに前年を下回る

 2019年度(2019年4月〜2020年3月入社)の正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は64.2%となり、2016年度調査(2016年2月実施)以来3年ぶりに減少した。しかし、採用予定のある企業は5年連続で6割を超えており、リーマン・ショック前(2008年3月)に調査を実施した2008年度(62.2%)を上回る水準が続いている。他方、「採用予定はない」は24.4%と2010年度以来9年ぶりに増加した。
 2019年度に正社員の「採用予定がある」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」は84.8%にのぼり、調査を開始した2005年度以降で最高を更新した。大企業の採用予定は2002年2月から2008年2月まで続いたいざなみ景気当時を上回る水準となり、積極的な採用姿勢の継続が浮き彫りとなった。「中小企業」は59.1%となり、前回調査(2018年2月実施)から2.2ポイント減少した。大企業の積極性が続く一方、中小企業の採用姿勢は高水準ながら一服した。
 採用予定のある企業からは、「人手不足もあるが、平均年齢の若返りも重要」(野菜果実缶詰等製造、北海道)や「4月から新卒新入社員が入社することにともない、ベテランのパート社員が定年退職する」(紙・文房具小売、山形県)など、人手不足が深刻化するなか若手従業員の採用で、年齢構成をバランス化するという意見が多くみられた。また、「随時求人活動を行っており、特に中途採用を積極化する」(電気機械器具卸売、神奈川県)といった、中途採用の強化を進める企業や、「過去の業績低迷により人員が減少した反動で、人員は不足している。採用は増加させる見込み」(窯業・土石製品製造、静岡県)などの声が聞かれた。



 他方、採用予定のない企業からは、「会社の現況を踏まえ、まずは業務の効率化を目指す。その上で、必要とあれば人員を増やすことを検討する」(蒸留酒・混成酒製造、沖縄県)や「新卒者・中途社員の応募がなく採用できない」(一般貨物自動車運送、香川県)、「適正であり、退職者もいない」(自動車部品・付属品卸売、兵庫県)といった声があがった。


2. 非正社員の採用予定企業は50.3%、2年連続で半数を超えるが、採用意欲はやや一服

 2019年度(2019年4月〜2020年3月入社)の非正社員(新卒・中途入社)の採用状況について尋ねたところ、「採用予定がある」(「増加する」「変わらない」「減少する」の合計)と回答した企業は50.3%となった。非正社員の採用予定は2年連続で半数を超えているものの、前回調査を2.1ポイント下回り、採用意欲がやや一服した。
 ただし、非正社員が人手不足の状態にある業種(帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2019年1月)」)の採用意欲は高く、とりわけ「飲食店」で9割、「飲食料品小売」「医薬品・日用雑貨品小売」は8割を超える企業で採用を予定している。
 企業からは、「働き方改革関連法に含まれる有給休暇の義務化により、余剰人員を抱えておかないと、現在ぎりぎりの人員で稼働している機械が止まってしまう」(ニット等染色整理、福井県)といった、働き方改革関連法の施行にともなう対応として非正社員の採用をあげる企業がみられた。また、「店舗出店によりアルバイトやパート雇用を増加させる」(がん具・娯楽用品小売、愛知県)といった意見もあった。
 他方、「採用予定はない」(36.3%)と回答した企業は前回調査(35.0%)を1.3ポイント上回り、3年ぶりに増加する結果となった。企業からは、「当社のシステムでは、非正社員の雇用は考えていない」(土木工事、山梨県)や「現在は充足しており、非正社員よりも社員として将来の管理職候補予備軍を採用していきたい」(溶融メッキ、広島県)などの声があがった。

3. 正社員比率、「上昇する」企業は18.3%、要因は「業容拡大への対応」がトップ

 2019年度の正社員比率について尋ねたところ、2018年度と比較して「上昇する(見込み含む)」と回答した企業は18.3%で、「低下する(見込み含む)」(6.1%)を12.2ポイント上回った。2019年度は雇用形態の正社員化で一段の進展が見込まれるものの、正社員比率が「上昇する」割合は前回調査から2.4ポイント低下しており、その勢いはやや鈍化するとみられる。
 2019年度の正社員比率が「上昇する(見込み含む)」と回答した企業に対して、その要因を尋ねたところ、「業容拡大への対応」が45.8%で最も高かったものの、2018年度(51.5%)と比較して5.7ポイント減少した。業容拡大が正社員比率の上昇に与える影響が薄らいでいる様子がうかがえる。次いで、「退職による欠員の補充」(37.8%)と「技術承継などを目的とした正社員雇用の増加」(30.5%)が3割台で続いたほか、「非正社員から正社員への雇用形態の転換」(28.0%)も3割近くの企業が要因にあげていた。

4. 生産性向上に効果的な人材育成、短期ではOJTが突出、長期では複数の方法に分散

 自社において、生産性向上に最も効果がある人材育成方法について、期間別に尋ねたところ、短期間(1年以内)の生産性向上に効果がある方法では「職場内における教育訓練(OJT)」が60.1%となり、突出して高かった。以下、「職場内における能力開発(OJD)」(10.7%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(9.5%)、「自己啓発援助制度(SDS)」(2.4%)が続いた。
 他方、長期間(1年超)の生産性向上に効果がある方法では、「職場内における教育訓練(OJT)」(26.8%)、「職場外での教育訓練(Off-JT)」(22.7%)、「職場内における能力開発(OJD)」(22.4%)がいずれも2割台、「自己啓発援助(SDS)」(10.3%)が1割台となった。長期的な生産性向上に効果的な人材育成方法は分散する傾向が表れた。
 企業からは、「人材育成は急務と考えており、OJTとOJDの併用が望ましい。ただし、現実的にはOJTが中心となっており、OJDまで手が回っていない状況。Off-JTやSDSも活用はしているが短期的な面が強く、時間を掛けて育てるのがベストと考える」(ソフト受託開発、大阪府)や「入管法の改正で技術者を含む外国人労働者の雇用を考えたとき、言語の指導セクションや技術のOJTを充実させる必要がある」(建築工事、埼玉県)、「人材育成について外部の研修に派遣し、育てている。費用がかかるので年間二名ほど送り込んでいる」(金型・同部品等製造、福岡県)といった意見が聞かれた。


まとめ

 2019年度の雇用動向について、正社員の「採用予定がある」企業の割合は5年連続で6割を超えているものの、3年ぶりに減少した。特に「大企業」は本調査開始以降の最高を更新するなど、積極的な採用姿勢が継続していたが、「中小企業」の採用姿勢は高水準ながら一服した。また、非正社員の「採用予定がある」企業は2年連続で5割を超え高水準が続いているが、やや頭打ちの傾向もみられてきた。正社員比率の上昇を見込む企業は2割近くにのぼるものの、昨年より2.4ポイント低下した。
 また、生産性向上として効果が高い人材育成に関しては、短期間(1年以内)ではOJTが突出して高かった。しかし、長期的(1年超)な生産性向上の効果についてみると、OJTだけでなく、Off-JTやOJDなど、複数の人材育成方法に分散する傾向が表れた。
 2019年度の採用意欲は高水準で推移すると見込まれるが、その勢いはやや鈍化するとみられる。


調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,031社、有効回答企業9,701社、回答率42.1%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング

内容に関する問い合わせ先
株式会社帝国データバンク データソリューション企画部 産業データ分析課
担当:窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
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