2019年度の設備投資に関する企業の意識調査

- TDB景気動向調査2019年4月特別企画 -

 

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2019年5月16日
株式会社帝国データバンク

企業の62.3%が設備投資を計画

〜投資内容は「設備の代替」がトップ、予定額は平均1億3,554万円 〜


はじめに

 国内景気は、米中貿易摩擦をはじめとする海外リスクや人手不足の深刻化、原油高を背景とした燃料価格の上昇などが悪材料となるなど、不透明感が一層強まっている。
 設備投資の動向においては、生産性向上に向けた省力化・自動化需要などがプラス材料となる一方、海外経済の減速など先行きへの不透明感が高まり、悪影響を受ける可能性が懸念される。また、政府は2019年度予算において、災害への事前対策を強化するための投資促進税制の新設をはじめとする、中小企業向け投資関連税制の拡充などの政策を進めている。
 そこで、帝国データバンクは、2019年度の設備投資計画などに関する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年4月調査とともに行った。


※調査期間は2019年4月15日〜30日、調査対象は全国2万3,174社で、有効回答企業数は9,775社(回答率42.2%)。なお、設備投資に関する調査は、2017年4月、2018年4月に続いて今回で3回目
※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 2019年度に設備投資を行う予定(計画)が『ある』企業は62.3%。規模別では、「大企業」(71.1%)で7割を超えている一方、「中小企業」(60.1%)、「小規模企業」(48.6%)と規模による差が大きい。業界別では、『運輸・倉庫』(76.6%)で最も高く、『農・林・水産』(76.1%)、『製造』(72.5%)で高い。他方、「予定していない」は29.6%
  2. 設備投資の内容では、「設備の代替」(45.5%)がトップ(複数回答)。以下、「既存設備の維持・補修」(33.3%)、「省力化・合理化」(28.7%)、「情報化(IT化)関連」(28.6%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(21.9%)と続く
  3. 設備投資にかける費用では、「1,000万円以上5,000万円未満」(26.9%)がトップで、平均設備投資予定額は約1億3,554万円。資金調達方法は「自己資金」(48.4%)が最も多く、「金融機関からの長期の借り入れ」(27.9%)、「金融機関からの短期の借り入れ」(6.3%)が続いた
  4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」(44.4%)がトップ。次いで「現状で設備は適正水準である」(33.2%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.7%)が続く。特に中小企業は、「借り入れ負担が大きい」や「手持ち現金が少ない」が大企業と比較して高く、中小企業を取り巻く経営環境の厳しさを表す結果となった

1. 企業の62.3%で設備投資の予定「あり」、3業界で7割超

 2019年度(2019年4月〜2020年3月)に設備投資を実施する予定(計画)があるか尋ねたところ、設備投資が『ある』(「すでに実施した」「予定している」「実施を検討中」の合計)は62.3%となり、6割を超える企業が設備投資の実施を予定していた。内訳は、「すでに実施した」が6.6%、「予定している」が34.1%、「実施を検討中」が21.6%となった。他方、「予定していない」は29.6%だった。
 設備投資の予定(計画)が『ある』企業を規模別にみると、「大企業」が71.1%、「中小企業」が60.1%、「小規模企業」が48.6%となった。特に「小規模企業」では「大企業」を22.5ポイント下回っており、企業規模によって設備投資の予定割合に格差がみられた。
 業界別では、『運輸・倉庫』(76.6%)がトップ、次いで『農・林・水産』(76.1%)、『製造』(72.5%)が7割超で続いた。他方で、『不動産』(43.9%)は唯一4割台にとどまっており、7割を超える3業界との隔たりは大きい結果となった。
 設備投資の予定(計画)が『ある』企業からは、「社員募集強化のため社員寮の建設を検討している」(一般乗用旅客自動車運送、東京都)や「省人化、自動化、IoT化への投資を検討している」(工業用プラスチック製品製造、群馬県)といった声があがった。
 一方で、「予定していない」企業からは、「環境関連業種の先行きは全く不透明であり、設備投資意欲は湧かない」(給排水・衛生設備工事、長野県)や「設備投資をしてもそれが回収できるかどうかが危ぶまれる」(経営コンサルタント、東京都)など、先行きに対する不安感から設備投資を躊躇している意見も聞かれた。




 


2. 設備投資は更新需要を中心とし、人手不足に対する投資やIT関連投資も上位

 2019年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業に対して、予定している設備投資の内容について尋ねたところ、「設備の代替」が45.5%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「既存設備の維持・補修」(33.3%)、「省力化・合理化」(28.7%)、「情報化(IT化)関連」(28.6%)、「増産・販売力増強(国内向け)」(21.9%)が続いた。設備の老朽化や事務機器等のメンテナンス時期にともなう更新需要を中心に、深刻化する人手不足に対する省人化設備への投資や情報化への投資が上位にあがった。また、政府が進めている災害への事前対策を強化するための投資「防災・減災設備の取得」は、2.8%と低い割合にとどまった。
 設備投資の内容を従業員数別にみると、従業員数1,000人以下の企業においては「設備の代替」がトップとなり、「1,000人超」の企業では「情報化(IT化)関連」がトップとなった。会社規模によって重視する投資内容に差異がみられた。なお、すべての従業員数において「既存設備の維持・補修」が第2位となっており、会社の規模に関わらず既存設備に対する投資意欲が高い結果となった。
 企業からは、「従業員の不足が深刻化しているなか、省力化及び協力工場のために設備投資を大幅に増やす予定」(米麦卸売、東京都)、「品質向上のため、最新検査器具を導入」(自動車部品・付属品製造、愛知県)などの意見が聞かれた。他方、「Windows7のサポート終了にともなうパソコンの入れ替え」(一般管工事、岡山県)や「消費税率引き上げにともなう軽減税率への対応のため、関連システムの改修を実施予定」(生薬・漢方製剤製造、神奈川県)など、2020年1月にサポートが終了するWindows7の代替や2019年10月に予定されている消費税率引き上げを見据えた、システム関連の対応を検討しているという声があがった。


3. 投資予定額は平均1億3,554万円、7割超の企業が「自己資金」や「長期借り入れ」で賄う

 2019年度に設備投資の予定(計画)が『ある』と回答した企業に対して、予定している設備投資額を尋ねたところ、「1,000万円以上5,000万円未満」が26.9%で最も高かった。以下、「100万円以上500万円未満」(19.6%)、「1億円以上10億円未満」(15.9%)が続いた。設備投資予定額は平均1億3,554万円となった。
 設備投資予定額を従業員数別にみると、「5人以下」の企業では500万円未満の小規模な投資予定額が半数以上を占めており、平均設備投資予定額は4,702万円となった。他方、「1,000人超」では「1億円以上10億円未満」が37.0%で最も高く、平均設備投資予定額は6億903万円となっている。
 また、主な資金調達方法では、「自己資金」が48.4%で最も高く、以下、「金融機関からの長期の借り入れ」(27.9%)、「金融機関からの短期の借り入れ」(6.3%)が続いた。「自己資金」と「金融機関からの借り入れ」で全体の82.6%と8割以上を占めた。また、近年、新しい資金調達の方法として脚光を浴びている「クラウドファンディング」は0.1%と低調な結果となった。
 主な資金調達方法を設備投資予定額別にみると、「100万円未満」とする企業では「自己資金」が7割を超えており、設備投資予定額1,000万円未満の企業の半数超が「自己資金」で賄う結果となった。他方、設備投資予定額が1億円以上になると、半数を超える企業が「金融機関からの長期の借り入れ」で調達すると考えている様子がうかがえる。


4. 設備投資を行わない理由、「先行きが見通せない」が44.4%でトップ

 2019年度に設備投資を「予定していない」と回答した企業2,896社に対して、設備投資を行わない理由を尋ねたところ、「先行きが見通せない」が44.4%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、「現状で設備は適正水準である」(33.2%)、「投資に見合う収益を確保できない」(20.7%)と続いた。
 特に「先行きが見通せない」では、中小企業の約半数が回答しており、将来に対する懸念から設備投資を見送る様子がうかがえた。大企業(32.8%)においても、前回調査から5.3ポイント増加しており、先行きに不安感を抱く企業が増加した。
 他方、大企業では前回調査に引き続き「現状で設備は適正水準である」が設備投資を行わない理由のトップとなっているが、4.8ポイント減少し36.0%となった。また、中小企業は「借り入れ負担が大きい」や「手持ち現金が少ない」が大企業と比較して高く、中小企業を取り巻く経営環境の厳しさを表す結果となった。

 

まとめ

 本調査結果から、2019年度は企業の62.3%が設備投資の予定(計画)が『ある』と考えていることが明らかとなった。特に、更新需要を中心として企業の投資意欲は高まっている。他方、人手不足が深刻化するなかで、省力化・合理化に向けた設備投資や消費税率引き上げなどの外部環境の変化を見据えた情報化関連の投資も上位にあげられ、喫緊の課題解消に向けた対応がみられた。
 また、設備投資を実施する企業の予定金額は平均1億3,554万円であった。1,000万円未満の投資では主に自己資金を活用する一方、1億円を超す大規模な投資の場合、半数以上の企業が金融機関からの長期借り入れを選択する傾向がみられ、企業は資金調達の方法を投資予定金額に応じて選定している様子がうかがえた。他方で、「自己資金で計画しているが、一部補助対象になる設備は補助申請している」(育林、宮崎県)というように、設備投資の内容によっては自己資金や金融機関からの借り入れ以外の調達方法も取り入れていた。
 2019年度の設備投資は、先行き不透明感の払拭や中小企業の経営環境の改善などが要となる。政府は、先行きの不透明感を緩和する政策を進めるとともに、企業が直面する環境変化などを踏まえた設備投資への支援策を提供することが重要となろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,174社、有効回答企業9,775社、回答率42.2%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング

内容に関する問い合わせ先
株式会社帝国データバンク データソリューション企画部 産業データ分析課
担当:池田 直紀、窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
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