女性登用に対する企業の意識調査(2019年)

- TDB景気動向調査2019年7月特別企画 -

 

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2019年8月15日
株式会社帝国データバンク

女性管理職割合は平均7.7%、緩やかに拡大続く

〜 女性の活躍促進、子育て支援など家庭における負担軽減がカギ 〜


はじめに

 生産年齢人口の減少や共働き世帯の増加などもあり、職場における女性の存在感が高まるなか、政府は女性の活躍促進を政策の重要な柱として掲げている。女性の労働への参画は、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業における新たな視点の導入や男性の働き方改革としても位置付けられている。他方、女性が労働に参画するうえで、多くの課題がいまだ解決されていないのも実情である。
 そこで、帝国データバンクは、女性登用に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年7月調査とともに行った。


※調査期間は2019年7月18日〜31日、調査対象は全国2万3,650社で、有効回答企業数は1万91社(回答率42.7%)。なお、女性登用に関する調査は、2013年以降、毎年7月に実施、今回で7回目

※本調査における詳細データは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com)に掲載している。

調査結果(要旨)

  1. 女性管理職の割合は平均7.7%と前年比0.5ポイント上昇。「30%以上」とする企業は7.1%(同0.3ポイント上昇)と緩やかな増加をみせた。他方、女性管理職がいない企業は46.7%と半数近くにのぼるが、女性管理職の割合は上昇傾向にある。また、女性従業員の割合は平均25.2%で同0.3ポイント上昇、女性役員の割合は平均9.8%で同0.1ポイント上昇した
  2. 今後、女性管理職の割合が増えると見込んでいる企業は23.6%。また、今後女性役員の割合が増えると見込んでいる企業は7.6%だった
  3. 社内外を問わず女性の活用・登用を進めている企業は50.0%。その効果は、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」(68.0%)が約7割となり、突出して高い。以下、「多様な働き方が促進された」(28.4%)、「女性の労働観が変化してきた」(27.5%)が上位となった
  4. 女性の活躍を促進するために重視する上位3項目は、女性の家庭における負担軽減に関する項目が並ぶ。「妊娠・出産・子育て支援の充実」(60.5%)が6割超でトップ。次いで、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(59.0%)、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(58.4%)が続いた

1. 女性管理職割合は平均7.7%、2018年より0.5ポイント上昇

 自社における従業員に占める女性の割合を尋ねたところ、女性従業員割合は平均25.2%となった(前年比0.3ポイント上昇)。「30%以上」と回答した企業 1が3割を超え、比較可能な2014年以降で最も高くなっている。また、女性従業員割合が10%に満たない企業は28.0%(「10%未満」と「0%(全員男性)」の合計)であった。
  自社の管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は平均7.7%と、2018年より0.5ポイント上昇し、過去最高を更新した。「30%以上」とする企業は7.1%で、同0.3ポイント上昇した。また、管理職の女性割合が「0%(全員男性)」の企業は46.7%と半数近くにのぼる。しかし、僅かながら女性管理職の割合は上昇傾向が続いている。
  自社の役員(社長を含む)に占める女性の割合は平均9.8%と、2018年から0.1ポイント上昇した。また、女性役員が10%に満たない企業(「10%未満」と「0%(全員男性)」の合計)は73.5%と同0.2ポイント低下となった。

 

1 「30%以上」は、「100%(全員女性)」「70%以上100%未満」「50%以上70%未満」「30%以上50%未満」の合計。「10%未満」は、「5%以上10%未満」「5%未満」の合計

  女性管理職の平均割合を規模別にみると、「小規模企業」で10.6%となるなど、規模が小さい企業ほど女性管理職の割合は高かった。
  業界別では、『小売』『不動産』『サービス』で高く、『建設』『運輸・倉庫』『製造』などが低い傾向にあった。企業からは、「女性は並行して複数の案件を進行・管理することに長けている」(事業サービス、東京都)や「品質管理などの業務には女性の労働力はとても重要」(釣・はえ縄漁、鹿児島県)とあげられ、女性ならではの強みを期待する声が聞かれた。
  他方、『建設』や『運輸・倉庫』では5%程度にとどまった。企業からも「女性の登用を行いたいが、中小企業は女性を管理者として育成する人的な余裕がないのが実態」(給排水・衛生設備工事、東京都)や「重要と思うが、運輸業ではもう少し時間をかけて変えていくしかない」(一般貨物自動車運送、愛知県)といった意見がみられた。



 女性管理職と女性従業員の平均割合の関係について業界別にみると、女性従業員の割合が高い企業では、女性管理職の割合も高くなる傾向を示した。特に、『小売』は女性従業員割合が平均37.8%、女性管理職割合は平均13.9%となっており、他の業界より女性の活躍が突出している様子がうかがえた。
  企業からも、「もともと、女性主体の業種であり今後も大きく変わることはない」(医薬品小売、神奈川県)や「ユーザーへ女性の目線で提案・営業のできる社員が必要」(二輪自動車小売、山梨県)などの声が聞かれた。従来から女性の活躍がみられる企業に加え、今後活躍を期待する企業の存在により、女性の社会進出を後押ししている傾向がみられた。

2. 企業の23.6%で、女性の管理職割合が今後「増加する」と見込む

 自社における女性管理職割合は5年前と比較してどのように変わったか尋ねたところ、「変わらない」とする企業が69.7%と7割近くに達した。割合が「増加した」と回答した企業は21.5%と2割超となった一方、「減少した」企業は4.2%にとどまった。また、現在と比較して今後どのように変わると考えているか尋ねたところ、企業の6割弱が女性管理職の割合は「変わらない」とみているものの、企業の23.6%で女性管理職の割合が「増加する」と見込んでおり、女性の管理職への登用は、僅かながらも伸展していくと考えている様子がうかがえた。
 他方、今後の女性管理職の割合について、「増加する」と「減少する」の差をみると、2019年は21.8ポイント(前年比1.2ポイント減)となった。2018年までは緩やかながらも拡大傾向を示していたなかで、企業における女性管理職の登用に関して、伸展スピードがやや鈍化する可能性が示唆される。
 女性役員については、5年前と比較して「増加した」企業は8.2%、今後「増加する」と考えている企業は7.6%となった。


3. 企業の50.0%が女性の活用・登用を進める

 自社において女性の活用や登用を進めているか尋ねたところ、44.4%の企業で「社内人材の活用・登用を進めている」と回答した(複数回答、以下同)。他方、「社外からの活用・登用を進めている」は13.2%となった。企業からも「外部より2名の女性を登用しており、女性ならではの仕事のきめ細かさや、正確性に大変満足している」(冷暖房設備工事、岐阜県)といった声が聞かれた。社内または社外から女性の活用・登用を進めている企業は50.0% 2となり、2社に1社の企業で活用・登用を進めている実態が明らかとなった。
 女性の活用や登用を進めている企業にその効果を尋ねたところ、「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が68.0%となり、突出して高かった。以下、「多様な働き方が促進された」(28.4%)、「女性の労働観が変化してきた」(27.5%)、「女性を登用したことで業務が円滑に進んだ」(24.0%)、「従業員のモチベーションが上がった」(23.8%)がいずれも2割台で続いた。
 女性の活用・登用の効果を業界別にみると、すべての業界で「男女にかかわらず有能な人材を生かすことができた」が最も高い結果を示した。『サービス』では、「多様な働き方が促進された」が業界間トップの31.7%となった。企業からも「フレックスタイム導入や時短勤務を推進し、柔軟な勤怠を行えるようにした」(ソフト受託開発、福岡県)といった声があがった。

 また、女性従業員や女性管理職の平均割合が最も低かった『建設』では、「女性の労働観が変化してきた」(29.5%)や「労働環境が改善した」(22.8%)などが業界間でトップ。同様に割合が低かった『運輸・倉庫』では、「従業員のモチベーションが上がった」(26.8%)や「現状の人材不足に対応できた」(19.5%)などが業界間で最高となるなど、女性従業員や女性管理職の割合が低い業界であっても、女性の活用・登用を進めることで様々な効果を実感している様子がうかがえた。


2 「活用または登用を進めている」は、「社内人材の活用・登用を進めている」または「社外からの活用・登用を進めている」のいずれかを回答した企業

4. 女性の活躍促進、女性の家庭における負担軽減がカギ

 2019年6月18日、政府は「すべての女性が輝く社会づくり本部」において、今後重点的に取り組むべき事項「女性活躍加速のための重点方針2019」を決定した。
 そこで、今後より一層、女性の活躍を促進するためにどのようなことが重要と考えるか尋ねたところ、「妊娠・出産・子育て支援の充実」が60.5%でトップとなった(複数回答、以下同)。次いで、待機児童や保育士不足の解消などの「保育サービスの充実」(59.0%)、育休復帰支援などの「仕事と子育ての両立支援」(58.4%)、長時間労働の削減などの「働き方の改革」(50.2%)が5割超で続いた。特に、上位3項目については、女性の家庭における負担軽減に関する項目が並んだ。前回同様な設問を実施した2015年7月調査でも同項目が上位にあがっており、企業は、家庭の負担軽減が女性の活躍促進にとって重要な項目として引き続き認識している様子がうかがえる。また、「働き方の改革」は前回(2015年7月調査)と比較して23.8ポイントと大きく上昇し、企業からも「働き方改革で女性が活躍できる職場になったと思う」(不動産代理業・仲介、埼玉県)という声が聞かれた。

まとめ

 本調査によると、管理職(課長相当職以上)に占める女性の割合は平均7.7%(前年比0.5ポイント上昇)、役員においての女性の割合は平均9.8%(同0.1ポイント上昇)となった。上昇をみせるも依然として1ケタ台にとどまっている。他方、企業の2社に1社は社内外を問わず女性の活用・登用を進めており、その効果は多岐にわたっていた。特に、現状において女性従業員や管理職の割合が低い業界においても、女性の活用・登用を進めることで多様な効果を実感している様子がうかがえた。
 また、企業は、今後より一層女性の活躍が促進されるためには、女性の家庭における負担軽減や、職場の働き方の見直しなどが重要と考えていた。とりわけ、長時間労働の削減などの「働き方の改革」は2015年7月調査と比較して大幅に重要度が増していた。しかしながら、「女性の働きやすい環境を整えることは大切であるが、中小企業が整備するには収益、費用の面で困難がある」(各種商品卸売、東京都)との声があるように、女性の活躍を促進するためにはまだまだ解決すべき課題があるようだ。
 女性の活用や登用は、人手不足に対する労働力確保だけでなく、企業における新たな視点の導入など企業の成長に不可欠という認識が広がっている。しかしながら、女性の活躍には、家庭における負担軽減や職場の働き方の見直しが重要であり、それらの課題解決のためには、政府や行政機関からのより一層の支援が肝要となろう。

調査先企業の属性

1)調査対象(2万3,650社、有効回答企業1万91社、回答率42.7%)

2) 企業規模区分

中小企業基本法に準拠するとともに、全国売上高ランキングデータを加え、下記のとおり区分。

注1:中小企業基本法で小規模企業を除く中小企業に分類される企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが上位3%の企業を大企業として区分
注2:中小企業基本法で中小企業に分類されない企業のなかで、業種別の全国売上高ランキングが下位50%の企業を中小企業として区分
注3:上記の業種別の全国売上高ランキングは、TDB産業分類(1,359業種)によるランキング

内容に関する問い合わせ先
株式会社帝国データバンク データソリューション企画部 産業データ分析課
担当:池田 直紀、窪田 剛士
Tel:03-5775-3163
e-mail:keiki@mail.tdb.co.jp
当リリース資料の詳細なデータは景気動向調査専用HP(http://www.tdb-di.com/)をご参照下さい。
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